●今回はパークオーディオというメーカーから発売されている ”DCU-F121W ”というユニットを使った
自作スピーカーのご紹介です。
ついこないだ、DCU-F122Wというバックロード専用ユニットを買おうと思ったら、いつのまにか(中2日ほど)完売されていた。
原因は受注が困難になり、数が少ないからだそうです。
すぐにプレミアが付きそうだが、音が伴わなければ今だけかもしれませんので
気長に待つこととしましょう。 |
自作箱 ユニット PARC Audio DCU-F121W 1台約7,500円 |
●メーカー解説:当社独自の多層構造ウッドコーンを採用により、独特の艶やかな音色を再現。
多層構造とすることにより、高剛性と高内部損失を両立させており、高域まで素直な特性を実現しています。 |
方式 |
1ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式 |
使用ユニット |
高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:16cmコーン型 |
再生周波数帯域 |
Fo〜16000Hz |
インピーダンス |
6Ω |
出力音圧 |
86.5dB/W/m |
クロスオーバー周波数 |
KHz |
外形寸法 |
箱のサイズ 幅150×高さ295×奥行235mm 約7.5L |
重量 |
約3kg |
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●↑SX-V1、いいスピーカーです。お持ちの方はチューニングをおススメします。ちなみにこの時は4セットありました。
さて今回のF121Wは、写真の中でもひときわ目立つ?ウッドコーン・ユニットのやつです。
パッと見可愛らしい外観だが、持ってびっくり激軽な箱でした(^^; 側面を叩くとコンコンと、やはり軽い音。
最近は良くなったが、一昔前のカラーBOX(3段とかのやつ)知ってますか?
あれは薄いベニヤ的な感じで、中が空洞、超軽くてスッカラカン。
この箱はパーチクルボードらしいが、そんな感じの材質でした。
で、不安を覚えながらの視聴、まずは一言
「 く、癖がひどいな〜 」
サイズらしからぬ低域の量感はいい。だがいかんせん高域がたりない。
そのせいで中域の凸が目立ってくる。
メーカー製・中域凸は、前に押し出してくる感じの凸だが、この凸は癖による凸で一味違います。
純粋に高域が足りない影響もあるかと思うが、これ”耳触り ”な音でタチが悪い。
頭痛がするような刺激というか、女性ボーカルは聴けたもんじゃありません。
そこで、右上の写真のよう、スーパーツィーターを追加してみた。
これで中域の癖がだいぶ緩和され、ようやく”聴ける音 ”になりました。
で、隣のBOSEが付いた箱と入れ替えてみると、なんと”まともな音が出るじゃありませんか ”
どうやらこの耳触りの原因は、箱にあったようです。
ではさっそく検証していきましょう。 |
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●フロントバッフルは何かの集成材で
厚みは15mm。
その周りがさっき説明したカラーBOXのような箱。
作りは良く、ユニットの落とし込みも彫ってあるなど、
素人制作でないことはすぐにわかりました。
Fバッフルはクリアーのペーパーがけによる
半艶ほどの仕上がりです。 |
●まずはユニットを外してみた。
内部にはフェルトが一周はられており、
吸音材はやや多めと言った感じ。
でもフェルトだけでは十分な吸音効果を得られませんので
グラスウールを追加したいところです。
その他、特に特徴はありません。 |
●ユニットのドUP。エッジはゴム。
中央のフェイズプラグがかっこいい!
このフェイズプラグ、どれほどの効果があるのかは
わかりません。
ただいかにもクリアーな音が出そう。
そんな予感を感じさせますよね。
特徴的なウッドコーンは、サペリマホガニーという材質で
ビクターに比べると、やけに木目を強調してる気がします。
メーカーHPは「 こちら 」をどうぞ。 |
●マグネットは大きめ。
フレームは鉄なのでしっかりしています。
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●さて問題の箱。
なにやら六角ボルトがあるので、外してみた。
どうやら本体にFバッフルを留めていたようです。
交換できるようにすることを視野に入れてるのか?
Fバッフルをネジ留めするという、意図は見えません。 |
●で外したのがこれ。
う〜ん・・・
フロントポートは塩ビ管。
綺麗にザグリを入れるなど、
ところどころにいい仕事が見えてます。 |
●さっそく大手術しました。
上下にはセメントで施工した” VCCシステム”
底面やって一晩おき、乾いたらひっくり返してまたやる。
上下施工は、そんなめんどくさい作業です。
ただこれで、強度が30%は上がるでしょう。 |
●最後の決め手はこの十字組の補強。
側面にもセメントを考えたが、
それだと響きがぜんぜんなくなりそうなので
このような十字補強にしてみた。
補強板をこれ以上大きくすると、Wバスレフ動作になりかねないので
幅はヒヤリングして調整しました。
この補強はかなり効果があり、やわなユニットだと
低域がぜんぜんでなくなる(響かない)ほどなんです。
その他余計な穴とかあいていたので、全部埋めました。
完全に乾燥したらユニットを取り付け |
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●完成!!! 見たくれはなかなかいいですよね。
で肝心の音だが、「 ようやくまともな音が出るようになりました^^ 」
まずは超不快で耳触りだった中域だが、だいぶ軽減され、スーパーツィーターなしでも
聴けるようになりました。
耳障りな音、最初はユニットに問題あるのか?と感じたが、
そのほとんどは箱に原因があったようです。まさに不要振動ってやつですね。
段ボール箱なんかを試された事があるのなら、わかりやすいでしょう。
この箱、作りはわりといいんですけどね。
前回紹介した黒い自作箱とはうってかわり、スピーカーを知らない人が制作したんじゃないんですかね。
スピーカー選びのポイントだが、音質・見た目以外では” 重量”も大事な要素。
もしスピーカーを持つことができるなら、軽いものはさけたほうがいいでしょう。
ただコンポ用とかじゃないのなら、ここまで軽い箱はそうそうありませんがね。
さて音質だが、特徴的なウッドコーン以上に、このシャープなフェイズプラグが効いているのか?
全体はけっこうなクリアー質。
そのクリアー質のおかげで、こもり感もほとんどなく、高域がたりなくてもなんとか聴けるかな?という具合。
低域はユニットに馬力があるので、質・量感共にいい感じ。
ただ、やはり高域はちとたりないというか、メーカー製スピーカーを聴き慣れた私の耳には
ものたりなさを感じてしまいます。
メーカーやショップの店員なんかは” フルレンジ、ん、こんなもんだよ”なんていう声もきこえてきそうだが
ツィーターをたさないとまともな音にならないのなら、それは” フルレンジじゃないでしょう”
このDCU-F121W、高域をカットして2wayとしての使い方をすれば、私が言うとこの満足感は得られるでしょう。
だがフルレンジとしての魅力もなくなり、有意性・存在意義さえなくなりそうですがね。
ちなみに最初の写真中にAUDAX(オーダックス)のユニットがあり、これもデータ表では15kHくらいの
ダラ下がりでしたが、音はまったくの別次元、すごくいいユニットです。
いまスーパーツィーターを制作中なので、それが完成したら一緒にUPする予定です。
DCU-F121Wに戻ります。
相性のいいソースは、クラシックや楽器系。
低域の馬力・量感は十分なので、フルオーケストラも臨場感たっぷりでこなしてくれます。
たぶんパークオーディオは全般的に、リアル系・クリアー質サウンドなんでしょうね。
限定品のDCU-F122Wはバックロード専用ですが、このF121Wも小型バックロードなんかがいいように感じました。
もっと中域を凸・厚みを増やしてやると、バランスも良くなりそうです。
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●さてさてこちら、21mm厚MDFを使い制作した超頑丈箱。 BOSE(11.5cm)のユニットを取り付ける為に制作したものです。
「 こちら 」
BOSEもなかなかパワフルなユニットですが、スルーで聴くとけっこう中域が飛び出してきます。
加えて鳴らし込みにより、中域凸も増してきました。
そこでポートからの中域を少しも出したくない、凹ませたいという思いから、Wバスレフへと仕様変更しました。
穴から木材を入れ接着するのだが、中に入れる仕切り板が入らないので、分割して入れました。
これにより、狙い通りの中域に近づけることに成功。
Wバスレフらしさのある低い音も十分だが、高域がすごく綺麗なのでバランスも良好です。
さらにもう一度、ユニットをオーバーホールしました。
右はエッジに塗った液体ゴムが、まだ乾いてない状態。乾くと真っ黒になります。
BOSEのエッジって、なんかスカスカ感あるんですよね。
圧がかからない=負担をかけない=耐久性UP
という意図があるかどうかは解りませんが、エッジで低域の特性も変わってきます。
オーバーホールにより動作は新品に戻りましたが、またまた鳴らし込みが必要になります。 |
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●外装もリファイン、半艶で仕上げ直しました。高級感もほどよくでています。
このスピーカーにはBOSE回路(自作)を入れてあるので、スルーと回路の2種類を、切り替えて楽しむ事ができます。
メインで使うなら回路ON。クリアー質になり、オールジャンルこなせます。
ホールなどの臨場感を味わいたいのなら、回路OFF(スルー)で、抜群のワイドレンジに変貌します。
BOSEファンにはおススメできる、自作スピーカーでしょう。
最後に。
私が自作する時、基本はMDFを使います。
そんな高密度で重いMDFに慣れてしまったせいか、合板や集成材なんかは軽く感じる時があります。
今回紹介した2作品は真逆の性質なので、音質・傾向の違いがよくわかる結果となりました。
大まかに分けると「 鳴るか 鳴らないか 」という事です。
薄い板と厚い板、密度のあるなしなど、どちらがいいとは言い切れませんが、不要振動は出ないに越したことはないでしょう。
材質以前の問題かもしれませんね。
先に紹介したF121W箱は、ぶっちゃけ作り直した方が楽だったかもしれません。
ただし補強等をきちんとすれば、ダメな素材でもまともになるということが実証されたので
結果オーライとしときましょう。
最近では資材の入手も困難で、日曜大工がますますやりにくくなってますが、
完成した時の充実感は、たまらないものがあります。
自作。しばらく経つと、またむしょうに作りたくなる。一種の麻薬的存在かもしれません。
次回、ダイヤトーンDS-A7の予定です。お楽しみに♪
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