●MKII超絶フルカスタムパート2、ページ1 U
●ずらーと魅力的なスピーカーが並んでますね!こちらは大変お世話になっているオーナー様のお写真をお借りしました。自作もハイレベル物ですし、台も揃っていてとても綺麗です。
そして真ん中に見えるグレーのMKIIが今回カスタムする物で、写真のよう「 天地反転 」カスタムをおこないます!
●その前に上にある4312A、こちらも以前レストアさせていただいたものです。
左がレストア前で→右がレストア後。
元々程度の良い4312でしたので写真だとそれほど変わり栄えしませんが、実物ではだいぶ綺麗に仕上がりました。そして中身もチューンしてます。スコーカーがLE5-2に変更された厚みのある音色を奏でる4312A改です。
●バッフル塗装の乾燥中
元々の状態が綺麗でも、やはり塗装をすればさらに良くなります。
●木目を仕上げました。プレミアム2施工です。
4312Aは木目の質感が良い品とそうでない品の当たり外れがあります。それはアメリカ製から中国製へ変わった経緯でもあり、シリーズ中製造の分岐点とも言える機種です。ただ製造国は全部アメリカになってるので、見た目で判断するしかありません。
こちらは板目模様は少ないものの、メリハリがしっかりあり当たり箱と言えそうです。
●さて、こちらが今回カスタムするMKIIグレー。まずは天地反転させるにあたり、状態をより確認しやすくするため、ユニットを全部外して観察します。じっくり見ていると、バスレフポートが中央ではなく端に寄ってるところに目がいきました。これはスコーカーのLE5が斜めではなく水平に搭載されてる為、バックキャビティの関係で横にずらしたと思われます。
●そして今回オーナー様のご希望により、ツィーターをLE25に変更します。
紙コーンで厚みのある音色が特徴のLE25ですが、実は現代物と比べてもまったく見劣りせず、逆に程度の良い品は驚くほど繊細で透明感のある高音域が出ます。だからハードドームより、むしろ4311にはベストマッチのツィーターだと感じます。それを最高の状態にするためリコーンし、完璧に仕上げました。
●完成イメージ図を作るとこんな感じになります。
ツィーターをLE25に変更する場合、まずはMKII箱のツィーター部分、●のくぼみを埋める必要があります。そして天地反転させるならプレートを反対にして、ネットワークの位置も逆にする必要があります。そして際難関のポート位置。横に1cm程度と、ほんのちょっとだけずらすのが問題であり、施工も難しくなりそうです。
●こちらは4311A。
4311はLE5が斜めに搭載されてる為、ポートは箱の中央に位置しており、ウーハーのセンターキャップの黒●と垂直でバランスも良好です。このスタイルばかり見ているので、ポートが1cmずれただけでも、何か妙な違和感が気になってしまいます。



●下は以前製作した4311スーパーBで、ユニットがシンメトリーになるようカスタムした物です。私の中でも印象に残る最高の一台でした。

そこで4311の箱に変更するなら、ポートをいじらずに
・片側のユニット位置を入れ替えるだけです。

MKII箱をそのまま加工するのなら
・ツィーターの●を埋める
・ネットワークの位置を変更する
・ポートを横に1cmずらす(いずれも両方)
という作業が必要になるので、正直4311箱使った方が簡単ですし、より正確に作れると判断しご相談しました。

●そこでまずは4311の箱が無いと話しになりません。在庫してる物の中から程度の良い4311を見つけました。もし無かったら、購入しようかとも思ってました。
左が4311で右がMKIIです。こうして隣に並べてみると、色味がぜんぜん違うことにあらためて気づきます。4311は若干青みがかったグレーですが、MKIIはグレーというよりベージュやアイボリーに近い感じです。とにかくこれで、より完成度の高い箱ができるはずです。
●見つけた4311を一度クリーニングしてから塗装に入ります。
まずはこんな感じで色見本を作り、元々のMKIIと同じ色になるよう調合していきます。ハーマンが調合色を教えてくれればいいのですが、そうは問屋がおろしません(笑 ただ色味はわりとすぐにできますが、問題なのは”艶の加減 ”。同じ色でも、艶の状態によって見え方がぜんぜん変わってきます。そんな微調整が一番難しいです。
●2週間ほどかかりましたが、とりあえずベストな塗料が完成しました。
下の箱はMKIIの上部をクリーニングした物で、上にある小さい■が完成した色見本です。ちなみに隣あるグレーは4311Aに使っている色見本です。ぜんぜん違いますよね。
今回は4311箱を完璧なMKII箱に仕上げる為、プロに見本を見てもらい艶のアドバイスをいただきました。
●そして箱の完成です!
加工は片側のスコーカーとツィーターの位置を入れ替えてシンメトリーにしました。一番難関だった艶の加減もほぼ完璧に仕上がったと思います。写真では左右で色が違うように見えますが、これは光のあたり方の問題ですかね。ポート内部も隅々まで塗装しました。とにかく丁寧に、思いを込めて製作させていただきました。
●さらに今回は側面に「 JBLロゴ 」を入れます。
ロゴ入れする面がフラットなら型紙で十分なのですが、表面が凸凹してるので滲まないよう、マスキングテープを使い仕上げてます。
●十分に乾燥させたあと、慎重にマスキングをはがしていきます。
●そしてどん!と完成。
いかがですか。自分で言うのも変ですが
かっこいい! 」ですね〜
黒箱に白文字より、白箱に黒文字の方が自然ですね。ベストマッチです。ただロゴ入れって、想像してるよりけっこう手間がかかります。とにかく丁寧にやることが一番ですかね。
●そして箱が完成しました。
左が今回製作した4311箱で、右が元々のMKII箱です。言われなければどっちがどっちだかわからないほどの仕上がりだと思います。艶の微妙な加減が一番苦労しました。
    続く ↓NEXT


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