●MK超絶フルカスタムパート2、ページ2 U
●ユニットもすべてのレストアが完了しました。
●MKIIのウーハー2213Hは4312Aとはロッドが違い、その動きも硬く音も硬めです。なのでできる限りスムーズに動くよう調整するのがレストアの肝になります。スコーカーの104H-3も同じ調整とフレームやコーンの再塗装をおこないました。LE25は前回紹介したとおり、リコーンしたことで音も見た目も新品のような出来栄えです。そしてフルチューンした自信のネットワーク
●例えばまったく同じユニットでもマグネットの大きさにより、小さいマグネットは甘くぼやけた音で、大きいマグネットはより詳細で鮮明な音色に変わります。
それが簡単に言う解像度です。
純正の撚り線に比べ、音の情報がより明確になるのが単線です。もちろん2mmという太さや、純銅品質ということも関係しています。一度この音を聴くと撚り線には戻れなくなります(笑
●慎重にユニットを装着していきます。
何度見てもかっこいい!
●新品で購入できるパーツはできるだけ交換しました。
●以前製作したカスタムプレートを合わせてみました。箱の色が微妙なので、真っ白は合わないかもしれませんね。
●こちらは箱の色に合いそう!と直感で購入した生地です。色味は悪くないのですが音響用生地ということもあり、バッフルが白だとユニットがくっきり透けてしまいます。黒バッフルに合わせれば透け感は少なかったです。TV番組のよかれと思って・・・じゃないですが、良くしたい良くしたいという思いが逆に先走ってしまったようです(^^;
●こちらは薄茶。オーナー様と相談してこの色に決めました。黒よりやさしくて柔らかな風合いで、見とれそうなほど似合ってます。


●いよいよ最後にプレートを取り付け
●祝!完成!

かっこいい〜
●背面はご覧のようすっきりさせました。
●貴賓が感じられます。
何度見ても惚れ惚れするスタイル。これはもう新品ですね。
●カスタム品は完成したとき、毎回毎回良くできた!と思うのですが、 
今回の2種も超絶かっこよくて良い出来栄えだと思います! 

そしてブルーバッフルに装着されたD131の音質が気になるところですよね。 
ということでさっそくインプレッション、エージングはほぼ0での音出し
まずは一言
「 すごい中域だ 」

まったくエージング無しのさら(新品)ということもあり、多少予測はできていた
が、想像通りの℃迫力な中域。まるでスコーカーのLE5-2を4個、いや6個追
加して搭載したかのような、または大型ホーンで聴いているような傾向でした。
だがこの時点で良いと思ったのが
「 うるさいと感じるような癖がほとんど無いこと 」

これだけ中域が張り出してくると、よく言う”うるさい ”という感覚に思われが
ちだが、むしろ女性ボーカルの輪郭が鮮明なことのほうに驚かされました。
これがアルニコマジックなのかもしれません。
2213と比較すると、D131は妙に声質が「 生っぽく 」色気があります。中域が
張り出してるので低域、重低音はあまり感じられません。ただ2、3ヵ月ほどじ
っくりエージングしてやれば、今よりだいぶこなれてくるはずです。

あとはD131の能率が飛びぬけて高かった事でしょうか。
今回の構成はウーハーのD131が8Ω、スコーカーのLE5-2も8Ωそしてツィーター
のLE20-1が16Ω。実はネットワークを作り終えてからツィーターが16Ωという事に
気づき、あわててインピーダンスを測定後ネットワークの再調整をおこないました。
目安ですが4311の場合、一番能率の高いスコーカーLE5-2を基準で
100とすると
・ツィーター  60
・スコーカー
100
・ウーハー   70
くらいのバランス感覚になりますが、
今回のD131仕様の場合
・ツィーター(16Ω) 100
・スコーカー    
100
・ウーハー(D131) 150
という具合のバランスフィーリングになりました。
とにかくD131の能率が高すぎて、スコーカーとツィーターを全開でも微妙な感じです。
16ΩのLE20は8Ω版より能率が高いので、スコーカーのLE5-2との相性はドンピシャ
でした。通常の4311でも、16Ωのツィーターの方が合いそうな気がします。40年近く
前のJBL製品では、スコーカーやツィーターだけをあえて16Ωにしている機種があり、
以前はなぜ?と不思議がってましたが、こういうカラクリがあったのかもしれません。

今回の組み合わせではD131の能率が高すぎるという結果でしたが、能率は簡単に
変更でき、D131の能率を落とせばバランスも問題なく整うはずです。当時のD130や
D131の資料を見ていると、ほとんどが075などの高能率ツィーターと合わせられてる
ようでした。私もフルカスタムした4301にドライバーを搭載したとき、ウーハーとの能
率差があまりにも大きいので、ネットワークを何度も調整する羽目になりました。でも
能率が合っていないだけの問題なので、ビタッと合った時に出てきた音は、気持ち良
い印象深いものでした。このあたりもカスタムの醍醐味と言いますか、成長させる楽し
みがあります。そしてグレーの天地反転カスタムは、これまたお手本のような見事なフ
ラット感を奏でてくれました。MKIIの2213Hはロッドにより硬めの音ですが、それをツィー
ターがうまくカバーしてる感覚がよく感じられます。ノーマルのMKIIにはない、どんなソー
スでも使いやすい傾向はベストマッチの組み合わせとなりました。

どちらもまだまだ熟成前ですが、斬新で新鮮な素晴らしいポテンシャルを秘めた無二の存在

 超絶フルカスタム・スーパーMKIIがここに誕生です!

私個人の感想ですが、JBLの限定モデル4312SEより価値のある素晴らしい作品に仕上がった
と思っております。そして生涯心に残る、最高のスピーカーだと自信をもって言えることでしょう。


最後に。
2週にわたりお送りした「 MKIIカスタム特集 」はいかがでしたか。
当時のJBLはなぜ中域だけを16Ωにしたかなど、今回の結果によりその意図がすこ
しだけわかったような気がします。そして私がもっとも感じたことは、JBLに高級感は
必要ないということ。自作やカスタムを続けていくと、最後にはどうしても高級感や品
位を求めがちになります。ですがJBLの場合は高級感よりも無骨さやたくましさが似
合うのだと改めて実感しました。また一つJBLの極意に近づけたかもしれません。

そして今回のカスタムは「 自分用にも欲しいな 」と思いながらの製作となりました。
青は再塗装したことにより深みが段違いに良くなり、グレーはどことなく大人の佇まい
で落ち着いた雰囲気です。個人的にはやはりウーハーが上に位置した4311スタイル
が好みで、それが「 シンメトリー 」になっているというのも、他の4311には無い最も
差別化できるポイントだと感じてます。そしてしつこいようですが、サイド入れられた
JBLロゴは超かっこいいです。とてもよく似合ってます。
きっとこの記事を読んでる皆さんも欲しくなるでしょう(笑
今は新しいロゴ入れに挑戦してる最中で、またか
っこいい一台をお見せできたらなと励んでおります。

 今回もご依頼くださったオーナー様には感謝の気持ちでいっぱいですm(_ _)m
しばらくは足を向けて寝られそうもありません(笑 ありがとうございますm(_ _)m
これからもさらに魅せられる作品を作り続けていきたいと思います。

次回。今「 至高の4311、バージョン2 」を製作していますが、完成まで時間
がかかりそうなので、久々の日本製か自作あたりを出す予定です。お楽しみに♪

JBL 4312MKII 2000年頃の発売
メーカー解説:メーカー解説:4312の改良型にあたる3ウェイスピーカーシステム。
 低域には低歪にドライブするSFG、30cmホワイトコーン・ウーファー2213H。
 中域には12.5cm径のコーンミッドレンジドライバー104H-3。
 高域にはJBL独自のダイヤモンド構造エッジで一体成型した2.5cmリプレス・ピュアチタンドームトゥイーター052Ti。
 エンクロージャーは、WXがブルーバッフルと木目の美しいウォールナット突板仕上げ、
 GYはグレーペイント仕上げとなっています。(中略)
方式 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型(052Ti)元
中域用:13cmコーン型 (104H-3)
低域用:30cmコーン型 (2213H)
再生周波数帯域 45Hz〜22000Hz
インピーダンス
出力音圧 93dB/W/m
クロスオーバー周波数 2kHz、5kHz
外形寸法 幅362×高さ597×奥行298mm 約L
重量 20kg(1台)

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