●今回は初の試みとなる、4311のシンメトリーカスタムと U
最強の4301を求めてフルカスタムに挑戦です。 U
9月10月とたてこんでおりアップが遅くなりましたが、実は忘れていました(^^; U
●左がベースとなる4311Bのグレー
右の黒がベースとなる4301
どちらも程度の良い物をチョイスしました。

431シリーズは、4310から始まり、4311A、4311B
そして4312とチェンジしていきますが、
1978年〜1981年に製造された4311Bまでは左右非対称の構造です。
●そんな左右非対称の4311Bを音響的に有利と言われている左右対称、シンメトリーに改造します。

まずはスコーカーとツィーターの穴を埋めるため、21mm厚のMDFを用意しました。
MDFは密度も強度も十分な上、加工が楽なのでこういう作業に向いた素材です。
●MDFを丸くカットしハメコミます。
ゆるいと強度が心配なので、丸材はコンマ5mm〜1mmくらい大きくし、ハンマーではめ込むぐらいのきつさに調整します。
3回目くらいに、ちょうどいいサイズにカットできました。
MDFは削るのも楽なので、少し大きいくらいがいいかもしれません。
●こちらは4301。
上にある4311とはツィーターが同じなので、穴のサイズも同じです。
←表面は一皮剥いてフラットにしました。
●今回の4301はツィーターを1インチドライバーに変更します。
そのために一度穴を埋め、再度ホーン用の穴を開け直すところから始まります。
←はドライバーを取り付ける為のホーンで、正方形タイプのものです。
右の物が一番小さいホーンですが、4301には物理的にこれが限界でした。
他に丸型や長方形タイプのホーンもあり、ほんとうは丸型(ロングタイプ)を取り付けたかったのですが、サイズがぜんぜん大きくて無理でした。他の箱に検討しています。
●こちらは4311。
丸材をハメコミ(接着)表面を整えたあと塗装しました。
←パッと見普通に見えますが、こちらが加工した物で、奥にうっすら見えるのが元です。

このあとさらに表面を整えて塗装を重ねていきます。
●こちらはスコーカー(LE5)
4311Bと4312(初代)の2機種のみ、このタイプのセンターキャップが使われていますが、このキャップ、よく凹んでいる物を見かけますよね。実はこれプラスチックではなくアルミなんです。
だから一度凹むと元に戻らず、凹んだ物の修正が難しい材質なんです。
コーンを痛めぬよう、慎重に取り外しを試みましたが、ご覧のようなありさまです。
コーンを濡らしてカットすればもっと綺麗に取れそうですが、それだと確実にコーンを痛めるので、地道にやってみましがこれが限界でした。
どうしても凹みを綺麗に直したい場合は、キャップを外さずにダンパーを外してウラから修正するのがいいと思いますが、手間も技術もかかります。
キャップは元々交換しようと思っていたのでこの作業にチャレンジしてみたわけですが、肝心の換えキャップが小さい・・・。(右上)
そこで自作することにしました。
せっかく自作したので、通常の凸ではなく逆の凹、アルニコLE5のように装着してみました。
いい塩梅でできました。最初からこうしておけばよかったかもしれませんね。

●お次はこちら、JBLの顔とも言えるプレートです。
純正プレートはアルミ製で表面に印刷してあります。
年代も年代だけに汚れた物も多く、ダンプ材が垂れて印刷が剥げていたり、外す際に凸凹になったりと、メンテナンスする上ではやっかいなしろものです。
●そこで自作することに。
アクリル板をベースに、印刷したものを貼っていきます。
と、作ったみたのはいいものの、紙質の違いで表面ががらっと変わってしまいます。
光沢紙、半光沢紙、マット紙など、メーカーによってもかなり違うので色々買い集め実験しました。
私はこういう事を一心不乱にやるから、時間と経費が膨大にかかってしまいますが、全ては質感を上げるために、トライ&エラーの繰り返しです。
そして今も試行錯誤しアップグレード中です。

インクジェットプリンタで印刷した物は、上からコーティングできないのが難点です。それができれは艶の調整など楽にできるんですけどね。
クリアーを吹くと色が溶けてしまいます。
ですが頑張ってすごい物を完成させるので、欲しい方はお楽しみにお待ちください♪


 デザイン度は自由。

今回は40年近く前のスピーカーなので、現代版クラシック風なスタイル、アラビア数字にしてみました。
実物はけっこう良い感じですよ。
●さて、箱が完成しユニットも全てのオーバーホールを終え、いつものように並べて撮ります。写真が小さいのでわかりずらいですが、ユニットの裏側、マグネットやフレームには錆止め処理を施してあります。ヤフオクで多くのユニットを見ましたが、錆止め処理されたユニットはいまだ見た事がありません。
10年後20年後30年後でも品質が安定し、差が明確になるはずです。
ネットワークはフルチューンしました。ネットワークの話しを書くと長くなりがちですが、4310、4311A、4311B、4312〜はどれも微妙に違っています。だからLE20などを使う場合には、それに合わせたネットワークが必要で、うまくシンクロさせないと音もマッチしなくなります。
●完成した新しい箱にユニットを取り付けます。
内部の吸音材は、色々と実験した結果、独自の方法で施工してあります。
●最後にカスタムプレートを取り付け完成、の前に
●4301に戻ります。
4301、4302、4305、4306とこのシリーズ中では作られていない
 「
プロフェッショナルグレー 」で仕上げました。

元々木目の箱なので、下地調整にだいぶ時間をとられてしまいました。あとこのように全体を塗装すると、微妙な凸凹や歪みが見えやすくなり、それらの修正にもだいぶ時間をとられました。
箱の塗装が乾燥したあと、仕上げにJBLロゴを塗装します。
マスキングテープを慎重に剥がしていくと
●じゃん、綺麗にできました!

このロゴも4311にはなく、4312の黒に白ロゴがあるだけです。
だからグレーに黒ロゴはとても新鮮ですね。
サイズは4312ロゴをそのまま4301用に縮小しました。

4301のロゴ入りはおろか、グレーさえ無いものなので、たぶん日本で1台きりのお品になったと思われます。
●さて、ユニットのオーバーホール、ネットワークのフルチューンも完成しました。
今回LE25-2の変わりに使うのがこちら、
JBL D220Ti です。

ドライバーとしては廉価版ですが、色々なツィーターと比較した結果、中々素晴らしい音質だったので採用することにしました。
ホーンは硬質樹脂ですので、鉄に見えるよう塗装しました。
1インチドライバーは種類も多く、簡単に入れ替える事もできます。
●そしてネットワークもこのドライバーに合わせてリファインしました。
このドライバーは長所といって良いのか?能率がえらい高く、50ΩのアッテネータでもWFと合いません。
だからネットワークを再構築しました。
さらにドライバーのポテンシャルがいかんなく発揮できるよう、コンデンサーはもちろんコイルも変更しました。
116A(アルニコ)とのつながりをマッチさせるためクロスオーバーも変更、セッティングには2週間以上かかりました。
だから自信をもって人様にお出しできる作品なんです。
●こちらはアッテネーターのツマミ。
4301は箱から凸ておらずフラットで、回すのにマイナスドライバーが必要です。
昔はスプーンとかで回していたツマミですが、今回は長めのアルミ製に交換しました。
これで操作性はもちろん、見た目の雰囲気もだいぶ変わります。4311用にもかっこいいアルミのツマミがあればいいのですが中々見つからないので、そのうち自作しようかと考えてます。
●箱にネットワークを装着し、次にユニットを装着します。
ご覧のよう、ツィーターの穴からはドライバーが入りませんので、
●ウーファーの穴から入れて装着します。
ホーンとドライバーはねじ込み式なので、簡単に装着できますが、ケーブルは手探りでの装着になります。
●手探りなので、どっちが+?かわかりませんよね。
ですが大丈夫。
ご覧のよう、ご丁寧エンボス加工がされています。
これを頼りに指でさわって確かめ、ケーブルを装着します。
私はさらに分かりやすい印を付けておきました。
●ホーンとドライバーを装着したらウファーを取り付け、

 いよいよ

完成です!

いかがでしょう、日本にただ一つのカスタム4311と4301です。 U
グレー箱に黒バッフルは、私的にめちゃくちゃかっこいいと思ったのですがいかがでしょうか。 U
カスタムは好みの分かれるとこですが、できるだけ純正路線を外れぬよう気を使っており、 U
一番は見たときに「
うわっ、これ欲しぃー 」そんな風に思われるようにするのが狙いでもあります。 U

さて、肝心の音質ですが、4311BはAのアルニコに匹敵するよう解像度を高めてやり、 U
さらに切れッ切れのAにはない「
温もり 」がBにはあるので、生っぽい女性ボーカルの艶かしさが味わえます。 U

肝心の4301は一言で言うと「
なんだこの臨場感は! 」と言えるくら広がる傾向に変わりました。 U
元々4301はバランスの取れたフィーリングですが、あえて弱点を書くと U
高域の伸びが足りません。それはツィーターが紙コーンによる構造という点が影響しています。 U
そしてアルニコの場合輪郭がはっきりしており解像度は高いのですが、 U
どこか冷めた感じ、クールな音調もいなめません。 U
そこでJBLお得意のチタン型ドライバーに変更。新しいチタンの音はさらさらと透明感が強く、 U
15kHzだったスペックも21kHzまで
伸びました。体感音は数字以上です。 U
中域・ボーカルの帯域はホーン効果による
厚みが加わり、クールな音像が一気に温められました。 U

それら広がる臨場感とコクのある中域により本来ある4301の弱点を克服、

 ここに「
最強の4301 」が誕生したわけです。

もちろんホーン+ドラーバー+ウーファーの全ての音をまとめるのがネットワークであり、 U
ネットワークも一から再構築し、時間をかけて再セッティングした結果が表れております。 U
フィーリング的には現代的な音色になりましたが、4302や4305、4306とは明らかに違うこの U
フィールングは、初代アルニコ4301の何者でもありません。 U
自作スピーカーコンテストのような広い会場で、大勢のお客様に生々しい女性ボーカルを聴いてもらいたい! U
そんなスペシャル4301に仕上がりました。 U

最後に。
 スピーカーはステレオ(左右のペア)なので、三角形の位置で聴く場合、 U
シンメトリーの方が音像が中央に定まりやすく、特にボーカルものには有利になります。 U
JBLでは4312(1982年)のモデルから現代の4312Eまでの全てが、シンメトリー配置に変更されました。 U
私の場合アンプの調子が悪いのか?たまに右の音が小さくなったりするので(^^; U
よけいシンメトリー効果を感じやすいです。もちろん見た目がかっこいい!というのも大事ですよね。 U
もっともっと色々なカスタムをしていきた!そんな気持ちですが、 U
数が多くなると方向性もずれていきそうなのでほどほどにしておきます。 U

4301+ホーンは、ほんと想像以上のできに仕上がりました。 U
ツィーターを交換しただけの時は???な音でしたが、ネットワークのセッティングが U
びしっと決まったときの音色の心地良さときたら、文字にはできないほどのものがあります。 U
だから木目バージョンも作ろうかと思いましたが、製作はけっこう大変なので U
ご依頼があれば作ろうと思います。 U

先日LE8Tのカタログをコンビニでカラーコピーしてる時、両面印刷に四苦八苦していると U
店長が出てきて「 うわーLE8Tですかー懐かしいー 」などと言われました。 U
60代くらいの御方でしょうか「 当時は欲しくても、高すぎて買えなかったんですよ U」なんて言われると U
時代背景がぐっと身近になった気分でした。 
また一歩JBLに近づいたかな、そんな思いを寄せる日になりました。 U

次回、KEFやスペンドール、そしてレアなセレッションなどなど U
   大手術が必要なヴィンテージ君達がたくさん待機しております。どれが出るかはお楽しみに♪ U
JBL シンメトリー4311B 1979年〜1981年 1台¥135,000円〜
JBL ホーン+ドラーバー+アルニコウーファー、フルカスタム4301
メーカー解説:↓カスタム4301のスペックになります。
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:1インチドラーバー+ホーン(D220Ti)
低域用:20cmコーン型 (116A)アルニコ
再生周波数帯域 45Hz〜15k → 21kHzに
インピーダンス
出力音圧 88dB/W/m
クロスオーバー周波数 2.5KHz → 1.8KHに
外形寸法 幅291×高さ483×奥行306mm 約28L
重量 13kg


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