●JBLと言えばスピーカー業界では一流中の一流であるが、実はヴァリアスクラフトでは JBLを紹介した事がありません!
今まで100台以上も取り上げてきたのに、どんだけ かたよってんねん!
とつっこまれそうですが、ものは沢山所有しております。
 紹介するタイミングがみつからなかった、それだけの理由なんですね。
年末くらいに一気に大特集やりますので、乞うご期待ください。

という前フリからJBLの紹介?ではないが、こちらJBLの2600?
実はJBLは箱だけで、FOCALのユニットを使った自作スピーカーなんです!

FOCALはあまりピンッとこないかもしれませんが、オーダックスと同じおフランスのメーカーなんです。
主力商品はカーオーディオなので、ナビ以外にスピーカーまで交換する人にとっては知られている、有名な高級メーカー。
いちおう家庭用(家庭用と言っていいのか?)もあるみたいですね。

で今回は、JBLの箱にFOCAL ユートピア165W というユニットを搭載した、自作スピーカーの紹介です。
これはお世話になっている知人の友人が制作したものだが、パッと見とても良くできており、
サランネットにあるエンブレム(JBL2600)がなければ、FOCALのスピーカーだと思ってしまうほどの完成度。
フロントバッフル・色使いなどなど、とにかくセンスよくまとめられており
プロが作ったと思えるほどの出来栄えには脱帽するほどです。
FOCAL Utopia 165W 2000年頃? 1ペア 158,000円
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式 (箱は JBL 2600)
使用ユニット 高域用:2.5cm逆ドーム型 ・低域用:16cmコーン型
再生周波数帯域 50Hz〜22KHz
インピーダンス
出力音圧 92.5dB/W/m
クロスオーバー周波数 3.0KHz
外形寸法 幅×高さ×奥行mm 約L
重量 10kg
●音出しは問題ないので、さっそくインプレに入りましょう。

まずは一言
「 な・る・ほ・ど 」

思わずうなってしまうほど、よくまとまってる音でした。
特に中域はかなりニュートラルに近く、周辺・クロスオーバー近辺は雑身すらありません。
かといってこもりもなく輪郭がシャープなので、ボーカルはリアリティ重視タイプ。
スッキリと上品にまとめられた音色は、高品位なネットワークも 一役かってるのでしょう。
これはもう、このままでも十分な気がします。さすが高いだけはありますね。

 今回は(も)隣にダイヤトーンDS-500を並べての視聴。
手前味噌ですが、DS-500はスペシャルチューニングしたもので、元よりもかなりスッキリ・シャープな音質です。
そんなDS-500との比較ですが、2・3気になった事を書きます。

まずは中域、私のDS-500はけっこうクリアー質に仕上げたものですが
それを二周りほど上回るくらいのクリアー質。
そんなクリアー質は、ソースによってはボーカルのさ行が強すぎる感じがしました。
フロントポートなので、バランスを取るためには いたしかたないかもしれません。

 基本的にこのユニットとネットワークは、車に搭載する事が前提ですので
そういうセッティングとも考えられます。
それにともない、高域のシャリシャリ感が少し強く感じた。
ただし伸びのある柔らかい音質なので、あまりうるさくありません。
家で聴く場合、例えばTVや映画などがメインならば、これくらいでいいという微妙なレベルなんです。

さてさて、この自作スピーカーは 低域に締りが無くもたついた感じ、などなどを改善してほしいとの依頼品。
私の環境ではそれほど悪く感じなかったのですが、低域は環境や機材にも左右されやすいですよね。
その他
・小音量でも全体のバランスが崩れず聞きやすい音
・弦楽器、ボーカルが情感豊かになる
というのがご希望なので、さっそくがんばってみたいと思います!
●↑は仕上げ後の写真で、預かり当初はこちら。
自作とは思えないほどの完成度ですよね。
たぶん言われなければわからない人も多いはず。
●背面に???
●これはネットワーク。
車載用を御自分で取り付けたとか、
興味のある人にはピンときますよね。

OPTION接続もでき、詳細はわからないが
何かいい感じに聞こえました。
●内部はこんな感じ。
24dB/oct が、スッキリ感を演出しています。

部品構成をみると???なところもありますが
ツィーターとウーファーは能率が変えられる。
(最初のインプレ時はわからなかった)

ツィーター・ウーファー共に0、-2、-4dB という可変具合。
これ、やや凸〜やや凹という微妙なさじ加減が上手く
感心しました。
●ユニットを外します。
内部は全面に吸音材が貼られてある
シンプルでスタンダートなタイプ。
●ユニット。
エッジはゴムで幅広タイプ。
フェイズプラグはプラスチック、硬すぎず柔らかすぎない
金属とかより、これくらいが”ちょうどいい ”
と感じさせる一品です。
写真じゃわかりずらいが、綺麗な大理石模様になっている。
●なんと裏側フレームまで、びっしり塗装されていた。
マグネットカバーは鏡面キラキラで、すごく煌びやか。
こういうのは見ただけで気分を高揚させてくれますよね。
派手好きにはたまらない、凝ったユニットでした。
●こちらツィーター。
これも写真じゃわかりづらいが、銀色部分は
逆ドームになってます。
そこに拡散板でしたっけ?
黒い横棒は、真ん中(裏)が円錐形状になっていた。
レンズの焦点(X)のような効果があるのか?
こちらも凝った形状でした。

このツィーター小さいくせに伸びが良く
とても綺麗な音を奏でます。
●さてさて。
低域の改善は色々あるが、まずはなんと言っても
VCC でしょう!!

ただしVCCは、低域改善というよりも
全体音の改善といえる効果なので、
低域を落としたいのに、逆に量感UPしてしまった。
なんてこともありえるんです。

箱の容量や強度にも関ってくるので
まずはやってみないと、なんとも言えないところなんですよ。
●でセメントを流し込み、
傾斜を付け乾燥させたのがこれ。
ズドンと重くなってます。


VCCをやって悪くなった!は
今のところありません。
●今回はネットワークをいじらないので、
箱そのものを改善していきます。
元々バランスの良い音なので、チューニングが
非常に難しいスピーカーですが。

これはポートを少し延長しました。
これで約10Hzほど低くなるはずです。
ポートはスポンジで、両面しっかりダンプさせます。
●箱の内・外装、仕上げが終わり、
エッジを強化したユニットを取り付け
●完成!!!
外装は7部艶くらい。
元は5部艶仕上げだが、軽く磨いていくと艶がのってしまうので、7部艶くらいになってしまいました。
外装は上々でしょう。

問題は音質だが、今回はネットワークをいじらなかったの、極端な変化はありません。
私的には、ツィーター-2dBが好みなのだが、たぶん耳が微妙なので、
抵抗を外付けし、これも微妙な約0.8dB落としにしました。
 最近のさしすせそは、カーグラフィックTVのナレーション(ガンダム・アムロの声)も使い調整してます。
男性声なので、変な厚み(付加帯域)もチェックできる。
まァ万全ではないんでしょうが、たぶんオーナー様も気にいってくれる・・・でしょう。

もともといい!と感じたスピーカーをチューニングするのは、やっぱ難しいですね。
特に低域の締りを上げるのと、中域をぶ厚くするのは逆のセッティングになるので
2wayではかなり困難な作業でした。
メーカー製なら、あえて手をつけないほどのレベルです。
ガラッと変えるならネットワークを作り直すのが一番ですが、これはさすがに煮詰まっているので
手を付けるのは野暮、逆に崩しかねません。

最後に。
こちらの自作スピーカーだが、個人的には背面ポートが好みで
たぶんオーナー様もそれの方がいいかもしれません。
ですがこれはこれで素晴らしい味があり、
ツィーターから出る煌びやかな音と、ウーファーとフロントポートから出る重厚な音の重なり合いが見事、
24dB/octもいいアクセントになってます。
 そんないい音を、ちょっとだけ引き延ばしてやったのが今回のチューニング。
とにかく自作スピーカーとしては、メーカー製を凌ぐほどハイレベルなスピーカーになりました。

次回、だいぶ前に要望もあった?DENONの80年代OLDタイプです。お楽しみに♪

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