約2年ぶりに作った自作スピーカー。
前回制作した、LS3/5a 専用STWもほぼ自作と言えそうだが、本格的なスピーカーとしては、こちらが3作品目。
パッと見、何かを感じる人もいるかと思うが、実はデザイン・・・。
スピーカーBOXは木材で箱を作るわけだが、ただの四角い箱ではなく、
色々と試行錯誤して作る、特別な箱なんです。
そんなこだわりを、ぜひご覧ください。


名称:アーデン・ミニ (VK-01)
メーカー解説:いい音でますよォ- (〃∇〃)
方式 2ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式・防磁設計
使用ユニット 13cm同軸2ウェイ
再生周波数帯域 45Hz〜20000Hz
インピーダンス
出力音圧 88dB/W/m
クロスオーバー周波数 1.5KHz 4KHz (切り替え式)
外形寸法 幅230×高さ350×奥行165mm 内容積 約7L
重量 6kg
材料は12mmのラワン合板だったか、コンパネより値段が少し高く、表面が多少良くなったもの。
写真が一気に飛んでますが(^^; カットし、穴を開けて借り組みした状態です。
塗装する面は右写真のように、とのこを塗って下地処理を施す。
合板は欠けやささくれができやすく、処理は以外に大変でした。
取り付けるユニットは、TEAC S-300 (同軸2way) から流用しました。
前面にポート(直径32mm)を3つ開ける。 ユニットをのせ、箱の特性をチェックしています。
このユニットは前に出っ張り(TW)があるので、Fバッフルの奥行きを多めにとりました。
普通はこれに吸音材を入れて完成、と言ったところだが、しっかり内部をチューニングします。
まずは補強。 どんなに厚い板を使っても、補強の有る無しでは響き具合が変わってきます。
2つのポートをふさぎ、Fバッフル面の補強ができました。 次に塗装します。
内部を塗装すると、多少響きに影響してくるが、一番は何より、劣化しにくくなるところ。
私が2年前に作った作品も内部塗装してあり、久々に開けてみると、ついこないだ塗ったかのような綺麗な状態でした。
だから精神的にも良さそうです。
塗料は防虫・防腐・防カビ性のある撥水タイプのステインに、炭パウダーを混ぜました。
前回の炭は粒でしたが、今回はパウダーなのでサラっとしています。それを軽めに塗りました。
少し厚めのパイル地を、アイロンで波型にします。 これを箱の下側に装着。
ブチルテープを貼ってから、パイル地をホッチキスで止めます。 とりあえずこんな感じ。
この部分、背面の板を接着する予定なので、今しか手を加えられません。
通常の吸音材(グラスウール)、綿、ウレタンスポンジ、フェルトなど、色々試しました。
何がどう作用してるのかはわからないが、低域の出方が一番自然で、心地いいものでした。
内部チューニングもだいぶ煮詰まってきたので、ここらで足を作ります。
こう細かい材料で水平を出すのは、骨が折れますね。 素直に角材使えばいいものを、余りの端材でせっせと作りました。
背面・裏側も塗装します。 接着し隙間を埋め、残りの補強をして第一部・完成。
裏板をネジ止めにしようかとも思ったが、これ以上内部をいじる必要が無い「 自信の表れ 」という事にしといてください。
この穴は約70φで、ターミナル用です。
8cmフルレンジを取り付ける! とは考えてませんが、そんな使い方ができるかもしれません。   つづく
★★★  お待たせしました 
前回は接着までですよね。 サーフェーサーを塗り、黒を塗ります。
乾燥後、突き板を貼りました。 突き板はチェリーの柾目。面が多いと手間がかかりますね。
2種類の色で塗装してみた。右がメープル、左はマホガニー。
塗装は1週間から10日くらいのスパンをおきます。
乾燥後ユニットを装着し、響き(箱なり)具合を確認。 吸音材を調整します。
いよいよ大詰め、私がもっとも力を入れるネットワークにとりかかります。
ターミナルにトグルスイッチを付けました。
これは私お得意の「 切り替え式
ハイエンドなツィーターなどでは、まれにみかけますね。
基本はナチュラルになるようセッティングしていくのだが、切り替え式の場合は
少しメリハリをつけていく。
目玉はEROのコンデンサー。 これ柔らかいのにメリハリがあり、中々いい音出してくれるんですよ。
配線を銀半田でつなぐ。 自分でも解らなくなりそうなほど、特殊な付け方になりました。
最後は切り替え具合を確認。たまに間違えて音が出ない(ショートなど)、なんて事もあるんですよ(^^;
線材は銀・テフロン線(銀メッキ)を使ってみた。
この線、プアーな音をシャープに、ボアボアな低音を引き締めてやる、というような特徴がある。
長さが短いので、どれほどの効果が出るかは微妙なところだが。
さて、今回は自作スピーカーなので、ディティールまでこだわり、ステッカーを作りました(イラストレーター)。
左は写真を拡大したものでぼやけてる。
文字が完全に読み取れない・・・。 真ん中、Hornの次がどうしてもわかりませんでした。 
スピーカーの絵もだいたいですが、雰囲気ということで、ゆるしてやってください。
こんな感じにできあがり。↑の真中のアッテネーターがなんか青い。 これは写真を修整し出力したのだが、
モニターの色と印刷の色味がだいぶ違う。 で結局、写真を絵に直す(右)。
サイズは25mm×45mm と小さいもので、これ以上まっ黒にすると、つまみの立体感が消えてしまいます。
ユニットを仕上げます。↑見た目も音質も微妙な違い。
厚紙でガスケットを作り接着後、フレームを金で塗装した
ツィーター裏側のスポンジは破れぬよう、全て補強する。
金塗装だが、金・銀などのラメ色は、物によってだいぶ変わってくる。
スピーカーの金を何個かみたが、黄味が強くマット系でじみだったので、リアルに色味にしてみました。
最終工程。 ターミナルを取り付け、ステッカーをはります。 そして箱に吸音材を挿入。
毎度の事だが、私は吸音材をたっぷり入れた音が好きなんで、ちょっと多いんじゃないってくらい入れる。
吸音材をたっぷり入れると、響き(箱なり)が減少、全体の解像度が上がる。
ただし低域の量感が減少するが、そこはネットワークで調整していく。そんな感じです。
グラスウールなんで、少しチクチクするのが難点。 ユニットを取り付け
ステッカーの具合を確認する。 だがなぜかシックリこない。で、右のようする。
アッテネーターのステッカーだが、よくよく考えると、直径1cmのつまみなんかありませんよね(笑
それが不自然だった為か? その辺がシックリこない原因かもしれない。
こんなテクニックは、プラモデルではよくやります。
ちょっとした事だが、何かこう命が吹き込まれた、そんな感じに変わりました。
最後にサランネットを作ります。 色は黒で、見た目もいい音響用という布を使ってみた。
目がやや粗めなのが特徴的。
前回制作したロジャースネットは少し大き目だったので、余裕をもたせたら、少し小さくなってしまう(^^;
スポンジテープでかさ増しさせました。
それとスポンジテープを使ったのはもう一つの理由があり、その弾力を利用する為です。
だからマジックテープなんかが無くても、ビシッとした取り付けができるようになる。
簡単に脱着できるよう、凸をもたせた。
そして完成!!! タンノイ・アーデンの約1/3サイズ。ローアングルで撮ってみました。 いかがでしょう?
細かいとこまで入念に作りこんだので、けっこう大変でした。\(TvT)/
右はオリジナルのアーデン(合成写真)
ほぼ同寸で決まりました。
サランネットを装着すると、こんな感じ。
ロジャースみたい。
背面 この奥行、今時のスピーカーでは中々見かけない、
浅目の設計。
どこにでも、気軽に置けるというのが狙い。
部品待ちの時作っていたのがこのスピーカー台。
これは依頼品で、これ用に作ったわけではないのだが、わりと似合ってる。
ギミック付きの台なんですよ。
背面のトグルスイッチで、「 音色の切り替え 」ができるのが、もう一つの特徴。
解りやすいよう、おおまかな図を書いてみた↑
この切り替え動作だが、ウーファーとツィーターを同時に切り替えてる。
ようはネットワークが、2個付いているという具合なんです。
外国製の超ハイエンドなんかではありますけどね、普通のスピーカーにはまず無いでしょう。
自作だからこその「 」でもある。

さて、インプレに入りますが、まず一言
 「 いい音だ 」(手前味噌だが)
自分好みでセッティングしてるので、あたりまえと言えばあたりまえだが、
箱のダブルバスレフ動作がうまく効いてるのか?
想像以上の量感が出てくれたので、気持ちの良い音となりました。
そして定位がいい!のも、特徴であり、同軸ならではのものとも言えるでしょう。

ネットワークはいつものよう、ボーカルの声質には、特に力を入れました。
1.5kHzは、クリアーでリアルな質感。
 4kHzは、よりは厚みを持たせ、色気が出る方向へと。
とにかく癖が極力でないよう、入念に入念を重ね、セッティングしました。
女性ボーカルを聴いてると、ちょと胸がドキドキしてきます。

綺麗系のボーカルやJAZZには、4Kが抜群。
クラシックは楽器によりますが、ピアノやラッパは4K、オーケストラは1.5Kが合う。
高域の透明感は、4kHzのほうが、より感じられます。
とにかく万能選手なので、色々と聞き返していきたくなります。

最後に。
このアーデン・ミニを作る前は、ロジャースのLS3/5a を聴きっぱなしでした。
その影響もあり、なんとか深みを出そうと、がんばってみた。
そして完成、全てにおき、納得のいく結果となりました。。

そしてサイズだが、最初はもう少し奥行きとろうかな?なんて事も考えていた。
ただ奥行きが浅い方が、使い勝手が格段に良くなるので、そうしました。
PCモニターや薄型TVにピッタリです。

スピーカーの能力はユニットに大きく左右され、ネットワークでのセッティングは、
その性能を発揮できるか否かになる。
そして最後の決め手はやはりバランス。 何事もバランスは大事ですね。

このスピーカー、「 コンテスト 」などににもってこいの存在だと思うのだが、
コンテストはもぅ無いようなので残念です。
味わい深い一台となりました。


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