●「 おおお 久しぶり!」 U
見た瞬間そんな思いがよぎるほど懐かしいDENON SC-E535(以下535)は10年振りの登場です!
さっそくチェックがてらに軽く音出し U
まずは一言
「 え?こんなに”こもって ”た?」 U
軽く流した女性ボーカルの声は、分厚いサランネット越しのようなフィーリングでした。
1、10年前当時はまだまだ未熟、経験不足の耳だった。 U
2、ダイヤトーンをはじめ、ほとんど日本製ばかりを聞いていた。 U
3、最近は声が超クリアーのJBLばかり扱っていた。 U
という理由もありますが、ちょっとイメージが違いあわてて当時の記事を読み返すと、 U
なんとなくこもりにはふれていたようですね(^^; U
とそんなところで、さっそくフルコース(ご依頼品)で仕上げていきたいと思います。 U |
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●パッと見外装の傷は少ないものの、スレや汚れがけっこう目立ちます。 |
●さっそくユニットを外していきます。
まずはネジを覆い隠しているゴムカバーを外します。
するとネジが現れます。 |
●ネジ(木ネジ)を外すとユニットが外れます。 |
●箱の内部 ネットワークはツィーターとウーファーが分離された、独立式になってます。
吸音材はほぼ無しで、所々に軽くフェルトが貼ってあるていど。
日本製は
バスレフ=吸音材少なめ
密閉 =吸音材(かなり)多め
という構造が多いです。
個人的はバスレフで吸音材多めの音が好きなので、私がチューニングする場合、吸音材を追加することも多いです。 |
●さてこちらはウーファー。
ユニットに詳しい方なら感じると思いますが、あきらかに外国の風貌ですね。
たぶんデンマーク(ヨーロッパ)製だと思われます。
コーンやセンターキャップの素材から使い方など、日本製とはまるで別物。
そしてなんと言っても素晴らしいのが「 エッジ 」です。
粘りが強く、よく伸びるブチルゴム系の素材で作られており、20年経った今でもひび割れどころから、まったく硬化しておらず、しなやかさを保ってます。
日本製のエッジはダメな物が多く、こういうところがヨーロッパ製品に勝てない理由ですかね。とにかく素晴らしいユニットです。
●内部・ダンパー。
これも日本製やJBLに多く採用されているコの字形ではなく、フラットな一枚ものです。
このタイプはコに字形に比べ、変形しにくくヘタリにくいという長所があります。
弱点はストローク量、動く量が多少制限されることです。
このユニットはエッジとダンパーが柔らかく、けっこうな量のストロークですが、ダンパーがまったくへたってませんでした。
きっと良い材質で作られた証なんでしょう。
今時のマークオーディオよりも、上質な質感に感じました。 |
●こちらはツィーター。
あれこれと長くなるので割愛しますが、こちらも素晴らしく良いツィーターです。
ただし両ユニットにはブチルゴムがベタベタ貼ってあり、何気に持ったりすると手がベトベトでまっ黒になります(^^;
ユニットにとってはベストな使い方ですが、洗っても中々落ちないブチルゴムはいささかやっかいでした。 |
●次はネットワーク
左がウーファー用で右がツィーター用。
こちらのノーマルを
↓ |
●フルチューンしました。
部品はコンデンサーと抵抗の交換です。
今回は”こもり ”を消すために、”クロスオーバーを変更 ”
したチューニングです。
こうして書くと簡単ですが、
チューニング→セッティング(音出し)→調整の繰り返しで
セッティングに手馴れた私でも、”ビシッと決まるまでは ”
何度も何度も繰り返す大変な作業です。
だからメールいただいても、完全に決まった物(数値)を簡単に教える事はできないのでご理解ください。 |
●ターミナル
バイワイヤリングで大きいつまみが特徴的ですが、一番はやはりこの”ジャンパーピン ”でしょう。
今時では考えられないくらい厚みがあり、しなやかで柔軟な素材です。
これもヨーロッパ製品なのかな?素晴らしいです。
新品の状態に戻るよう、隅々まで丁寧に磨きました。 |
●さて、最後は外装の仕上げに入ります。
今回の箱は日本製に多く見られるシートタイプ。
傷はそれほど多くないものの、このような欠けが何ヶ所かありました。 |
●手持ちのシート(左)で色の近いものを合わせてみましたが、質感がだいぶ違いました。
横下など目立たない場所ならいいのですが、ここは正面の顔で、自然と目に付く場所です。
そこで底面のシート(右)を少し拝借し、移植することにしました。
大事なのが、補修部分の木目に、できるだけ似た模様を探すことです。 |
●そして仕上がりはこうなりました。
艶有りの反射で見え難いですが、かなり自然に仕上がったと思います。
このあと2、3回最終コートをおこないますので、完成時には修理跡がもっと目立たなくなります。 |
●最後は全体を磨き、下地を丁寧に整えたあとクリアコートします。
表面のバッフルもダメージが大きかったので再塗装しました。 |
●これはサランネットのフレームで、自作したものす。
ネットが片方しか無いとの事だったので、サービスで作らせていただきました。
純正と同じプラフレームなので、汚れても気にせずジャブジャブ洗えるのが利点です。 |
●装着するとこんな感じ。 音響用の生地を使ってます。
純正はフロントを全部を覆ってますが、こちらはやや小さくスマートに作りました。
純正のような装着させられてる感、圧迫感がないので、このままでも自然に使えると思います。 |
●全てのレストアが完成しました。 |
●元々艶有りの箱ですが、仕上がりは”おまかせ ”いただきましたので、自分が納得できうるよう入念に仕上げました。
下に大きい写真も載せましたが、本物のツキ板と見紛うレベルで、上品に仕上がったと思います。 |
●ユニットも全て組みなおしました。
日本製と違い分解がスムーズで、作業も楽に進みました。
ネットワーク(セッティング)も完璧です。 |
●仕上がった箱にネットワークを装着し吸音材を追加、
そして最後にユニットを装着し |
●祝!完成!
もう新品レベルです。 |
●ヴァリアスクラフト、チューニングの証 |
●左は4301(未仕上げ)で並べてみました。
普通の方ならどちらも本物(ツキ板)に見えるはずです。
下地を丁寧に丁寧に仕上げ
こだわりの0.5部艶で仕上げました。
↓どうでしょう↓ |
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●当時の記事を読み返すと、あながち間違ってはいないように感じましたが、 U
いかんせん文字色がごちゃごちゃで、加えて黒バックに白文字で「 読みにくい・・・ 」ページでしたね(^^; U
当時の私のレベルという事でそのままにしました。 U
そんな見ずらい記事をお読みになり、私の元にご依頼くださるとは「 なんて嬉しいことでしょう! 」 U
だからご満足いただけるよう、隅々まで丁寧に作業しました。ご依頼ありがとうございますm(_ _)m U
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DENON SC-E535は、私がヴァリアスクラフトを立ち上げてすぐの頃に扱ったスピーカーで、 U
気づけばすでに10年の月日が経っていました。 U
最初の音出しチェック時、10年振りに聴いた535は、正直「 こもりが強いな(^^; 」という印象でした。
90年代のDENONは、どれもこもりの強いフィーリングが印象的です。 U
2000年以降DENONはクリアー質へ変わるが、出方がやや不自然でした。 U
2006年頃発売されたCX303では、ピュアオーディオへの方向転換を感じましたが、 U
まだまだバランスに問題があった、そんな印象です。
そして今改めて1992年に発売された535を聴いてみると、 U
当時の印象とは裏腹に「 中域・ボーカルの声質がこもりすぎ 」という結果でした。 U
当時535はイイと連呼した自分に、少し赤面する思いです(^^; U
ただ素晴らしい面もあり、特にユニットの音質やポテンシャルはあなどれません。 U
そんな素晴らしいユニットを活かしきれていない535は、「 ネットワークが最大の弱点 」です。 U
だからユニットのポテンシャルを引きだすべく、ネットワークを再構築しました。 U
さらにユニットの完全オーバーホールや、吸音材のセッティングなどが加わり U
結果「 激変、びっくりするくらい良音、ハイエンドな音 」に生まれ変わりました。 U
誤解してほしくないのですが、DENON製品はこもりをクリアにすれば良いってもんじゃありません。 U
クリアな声質が聴きたかったらJBLを買えばいいんです。 U
DENONにはDENONの、535には535の良さがあります。 U
そんなメーカーの開発者がおこなったセッティング・味付けは極力変えずに、 U
悪い所を削ってやる、良い所は伸ばしてやる。そんな U
「 微妙な塩梅でリセットできるのも、ヴァリアスクラフトの技 」であり、好結果の理由でもあります。 U
今回10年振りに聴いた535、こもりを改善する方向性へチューン、 U
クロスオーバーと能率を変更し、入念にセッティングした結果 U
「 日本で一番音の良い、日本一のE535 」がここに誕生しました。
お客様の声はほとんど書いてませんが、皆様にはとてもご満足頂いてるので、 U
どうぞお楽しみにお待ちください!そして末永く可愛がってあげてくださいm(_ _)m U
今回懐かしのDENON SC-E535をご依頼くださり、当時を思い出しながら楽しく作業できました。 U
心からお礼申しあげますm(_ _)m U
最後まで楽しく、そして最高のスピーカーに仕上がったE535でした。
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日本にE535を所有されてるオーナー様が何人おられるのかはわかりませんが、 U
E535のオーナー様は、ぜひ私の元へお送りください。驚くほどの高音質に仕上げさせていただきます。 U
ただし今の音が気に入ってるのであれば、激変するのでお止めになった方がいいかもしれません。
次回、JBLのフルカスタム・スーパーBと、JBLパーツ開発が着々と進んでおります。 U
びっくりするほどに仕上げていきますので、お楽しみにお待ちください♪ U
SC-E757再び!のフルチューンも進めていくのでお楽しみに♪ U
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DENON SC-E535 1992年 \90,000円(ペア) |
●メーカー解説:音楽と人の結びつきの原点を見つめなおし、音楽と人のナチュラルな調和を目指して開発されたEシリーズのスピーカーシステム。
低域には17cmウーファー。過渡応答に優れたゴム系素材のエッジや、ゴム系センターキャップを採用。
高域には広指向角の2.5cmドーム型トゥイーター。
指向特性を改善することで、上下・左右120゜の広いリスニングエリアを確保。
エンクロージャーのバッフル板にはMDF材にすることで、パーティクルボードより高い強度を確保。
さらに天然コラーゲン繊維配合の塗料によって、不要輻射を抑えています。
また、各ユニットにはゴム系樹脂のフロントバッフルを装着し、不要振動を除去しています。 |
方式 |
2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式 |
使用ユニット |
高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:17cmコーン型 |
再生周波数帯域 |
35Hz〜45000Hz |
インピーダンス |
6Ω |
出力音圧 |
90dB/W/m |
クロスオーバー周波数 |
3KHz |
外形寸法 |
幅232×高さ406×奥行272mm 約L |
重量 |
8kg |
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