●9月になりましたが、まだまだ暑い日が続いてまおりすね。 U
気温は高くても耐えられますが、湿度が70%近いとべたべたしてほんとつらいです。 U
秋とさんまが待ち遠しい季節になりました。 U
さて、だいぶ前から4311と4301のフルカスタムをおこなっているのですが、 U
台風と塗装の時期がぶつかり、なかなか進まない状況が続いておりました。 U
そこで今回は、先に仕上がった「 畳・カーペット用、スピーカースタンド 」と U
ハイエンドスピーカー、ビクターSX-900 スコーカー修理の模様をお送りします。 U |
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●塗装がほぼ終わった4311と4301
写真でわかりますかね、ユニットの取り付け位置の変更などなど、フルカスタムのお品です。
製作はけっこう大変でした。
塗装は終わりましたがまだ乾燥中なので、
完成まであと1歩と言ったところです。
←4311はシンメトリーなんですよ。 |
●実は4311と同時に台の製作もおこなってました。
UPするのは4311が完成してからと思ってましたが、先に完成したので紹介する事にします。
まずは材料の選択
←これは「 サーモウッド 」という特殊加工された素材で、フィンランドで開発されたものです。
これを見たとき「 おっ!?ウォールナットに似てるな! 」
というのが第一印象で、いつか使いたいと思っていました。
安価なホワイトウッド(SPF)や松、杉に比べると3〜4倍、少し値のはるレッドシダーの2倍ほどの値がします。
ちょっと高いですよね。 |
●でも無垢なんです。
本音を言えばウォールナットの無垢が理想ですが、このような無垢の角材はまず見つからず、あってもかなりの高額になりそうです。
見た目だけの事を考えると、合板で作りツキ板で仕上げるという事も考えましたが、やはり台は無垢で作りたい!が心情です。だから材料が無くて中々作る機会がありませんでしたが、これ・サーモウッドを見つけたので早速製作に至りました。
やはり無垢は良いですね。
天然木なので、節の少ないものを選びました。 |
●白木などを表面加工した材料は多々ありますが、これは内部まで色が付いてるのが特徴です。
最初に見たとき、「 この色は表面だけだろ? 」と思ったので、わざわざ短いのを購入し、切って確認したほどです。
すると「 中まで色が付いてるよ! 」と感動し即決しました。
←削りカスの色もウォールナットと酷似しています。 |
●ただし似ていてもウォールナットではありません。
そこでよりウォールナットに近づくよう、オイルやステインなどを駆使しテストしていきました。
そうそうこれ削っていると、なんと香木なみに
「 めちゃくちゃ甘い香り 」が漂ってきました。
何と言いますか、ブランデーが入れられていた樽でしょうか、チョコレートのようなおいしそうな香りが漂うので、思わずかじってしまいそうでした(笑
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●次に使う素材はこちら。
これはよくTV台や棚などに使われる「 メラミン化粧板 」といわれているものです。
最初はMDFを考えていましたが、
とにかく「 ソリの無いフラットな板 」を探していたところ、これにいきつきました。
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●このメラミンボードは白や黒、薄茶が一般的で多いのですが、こちらは黒に近いこげ茶で、木目もしっかり付いたものです。
塗料で言うとエボニーといった感じでしょうか。
見た目の質感も中々です。 |
●中はこんな感じ。
中央の桐をMDFでサンドイッチし、圧力をかけたものです。
材料は桐以外もあるようですが、MDFより軽いのがやや気になります。
MDFは18mmや21mmあたりを2枚重ねにすると、ズッシリした重量感が出ます。ただしものによっては、若干ソリが出てる場合もあるので、完全加工されたメラミンにしました。
フラット感は◎です。
←切り口は小口テープを貼り、面取り処理をおこないます。 |
●変わりまして、こちらはビクターの「 SX-900 」という
高級機になります。
密閉+アルニコという構成で、音が良さそうな雰囲気ですね。
今回このユニットから「 ビビリ音 」がするという事で修理のご依頼をうけました。
通常はこの手のタイプ(日本製)の修理は受けてないのですが、お世話になった御方からということだったので、気持ちよく引き受けさせていただきました。 |
●ただし全部を送られると大変なので、修理の必要なユニット、スコーカーだけを送って頂きました。
上の写真の真ん中にあるもので、写真ではわかりにくいですが、かなり大きくて重いです。
15cmユニットくらいはありそうですかね。 |
●横から見ると、完全に形がアルニコですね。
アルミフレームといい、凄く堅牢な作りです。
写真にあるマスキングテープ(黄色)部分は、元々ブチルゴムが貼ってあり、ベタベタとひっついて作業性が悪いので巻きました。 |
●まずはネットを外します。
日本製なのでガッチリ装着してありました。
この網は通常外せないので、汚れが溜まるのが難点ですね。
でっかいドームだなー。中央の黒いドームは6.5cmもありました。固い素材で、けっこう重みもあります。
表面が鏡面仕上げなので、色々と写ってしまいます(^^; |
●六角レンチ折れるんじゃね。
というくらいがっちり固着してましたが、なんとか無事に外れました。
錆も無く綺麗ですね。
ヨーク(中央部分)のズレも無いようです。
それにしても穴あきヨークなどなど、精巧な作りです。 |
●こちらはカバーとドーム(+コイル)部分。
目視すると若干中央からずれていたので、まずは一度分解し、中央に再セット、組みなおしました。
その後テストしましたが、まだビビリは直りません。 |
●ばらしたときエッジが怪しいな?と感じたとおり
ビビリの原因はこの「 エッジ 」にありました。
8cmのフルレンジくらいはある大きさでストローク量も多く、布エッジにダンプ剤が塗られた仕上げです。
この布エッジが経年劣化により変形し、傾いたのが原因でした。
ドームが重いという要因もありそうです。 |
●一般的な不具合はこんな感じが多い。
凸(ヨーク自体)のズレにより、コイルに接触してしまいます。 |
●今回の原因はこれ。
これはエッジの変形でおこるものですが、へたな人がエッジの張替えをやると、こうなる事も多いです。
↑のズレは位置を修正すれば直りますが、傾きの場合はクリアランスがほとんど無くすぐに当たるので、修正も難しくなります。 |
●まずはエッジのダンプ剤を落とします。
次にドームが水平(フラット)になるよう、エッジの変形ヶ所を丹念に修正していきます。
そして最後はテスト。テストテストの繰り返し。
この手の修理は、ドームの位置をずらす程度がほとんどだと思いますが、それだとまたビビリが出る恐れがあります。
私は原因であるエッジそのものを修復してるので、少しは安心できるはずです。
とにかく忍耐力の必要な作業でした。 |
●修理完了です。
クリーニングはもちろん、少し出ていた錆を軽く磨いたり、剥げた網を塗装(両方)するなど、隅々まで手を入れました。
私が修理をするときは、「 必ず、壊れてない方もお預かり 」し、バランスを診ていきます。
今回はエッジの補修だったので、壊れてない方も一応対策を施しておきました。
片方だけを調整し、もう片方は何もしないとバランスが崩れる恐れがあります。特に私の場合は修理だけではなく、良い音が出るようにも調整もしますので。スピーカーはペアで1組、2本分の作業ですが、いただく料金が1本分なのが泣き所です。 |
●最後に網を装着し完成!
フルレンジのように分厚く、かつクリアーな声の出る優秀なスコーカーです。音質はもちろん、見た目も新品のように復活できたと思います。
ただし原因が原因だけに、今後再発しないとは言い切れないので、再調整しやすい方法で組み上げました。
たぶん他のSX-900でも、同じ症状が出てる物がありそうなので、参考になればと絵付きでUPしました。 |
●さてさて、台の製作に戻ります。
これは表面を丹念に処理し、自家配合の蜜蝋などで仕上げた状態です。
ほぼ乾燥しており、1ヶ月くらいかかりました。
さらに良い質感になったと思います。
甘い香りは鼻を近づけると感じる程度で、だいぶ落ち着きました。
白木の塗装では、こんな雰囲気は出せませんよね。
この面だけ見れば、詳しい人でもウォールナットと間違えるかもしれない、といったレベルです。 |
●完成した足をベースの台に固定。 |
●本体に触れる接触面(断面)は、傷防止のために硬質のフェルトを貼りました。
私はスピーカーを移動させる機会も多いので、よく底面に弱粘着で貼ってますが、フェルトを貼るとだいぶ気が楽になります。 |
●そして完成!
畳やカーペットにブロックを置くのは気が引けるな〜
跡も付くしなー・・・。などなど
台ってわりと簡素にしてる場合が多いですよね。
そこで面で圧を伝えるフラットベースの採用により
「 畳・カーペット用 」、4311専用台が完成しました!
もちろんフローリングでもOKです。 |
●ひっくり返して使う事もできます。 |
●サイズ。
一般的な3wayの場合、本体が大きいので台は20cm以下が多いですが、4311という微妙な大きさという事もあり、
若干高めの「 26cm 」にしてみました。
写真でも感じられるよう、バランスもGOODです。 |
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●台は今までに何台か作りましたが、いつも完成したとき U
「 う〜ん、想像してたよりかっこ悪いな・・・ 」という印象が、正直多かったです(^^; U
ですが今回はけっこう良い雰囲気で仕上がりました。きっと素材が肝なんでしょうね。 U
ウォールナットの4311が近くに無く、合わせたものを見せられないのが残念ですが、 U
フィーリングは確認済みなのでバッチリです。 U
もちろんグレーや黒でも、写真のようバッチリ合います。 U
最後に。
最初は、構造がシンプルだから製作も簡単だろう?と思っていたところ、 U
逆にミリ単位でもずれると気になってくるなど、けっこう神経の使う作業でした。 U
見た目の雰囲気も良く、畳やじゅうたんでも気兼ねなく使える。 U
そんな4311の台を待ち望んでいた方も多そうです。 U
天然木なので、木目の違いや節の有る無しなど、良し悪しに差が出るのが難点ですが、 U
良い素材があれば、すぐに確保していきたいほどの材料です。 U
ただ現場で全ての板を並べ、何時間も見比べている私は、きっといい迷惑でしょうね(笑 U
構造に関して、JBLのモニター系は低域が締まっているので、個人的には低域が豊かになる U
3点止めにしたかった、という気持ちもあります。 U
ただ完成してみると、4点止めは何か妙な安心感があるので、こちらのほうが良いのかもしれません。 U
これでまたひとつ、オーディオライフが楽しくなりそうです。 U
次回、スーパーB、スーパーBと何回書いた事か(笑 ↑上の箱U
スーパーBとは何?と不思議がっていた方も多いと思いますが、 U
ようやく完成間近になりました。お楽しみにお待ちください♪ U
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JBL 431系専用台 2016年 |
●メーカー解説:素材と質感にこだわって製作しました。 |
方式 |
4点式 |
外形寸法 |
幅362×高さ260×奥行299mm |
重量 |
約3kg |
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