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●箱の乾燥中、ユニットを仕上げていきます。
4301の116Aやこちらの125Aはドーム型の丸いアルニコマグネットが特徴的です。ですがそのほとんどは錆(緑青)が発生しているので、気持ちよく使うためには綺麗にする必要があります。
錆を取り除いたら錆止め剤を塗り、その後さらに塗装して保護します。私は錆の発生していないフレーム部分も一応処理しています。こちらは幸いにもコイルはノーダメージでしたが、中にはコイルに錆の塊が付着していることがあり、それを落とすのは根気と技術のいる作業になってしまいます。
●当たり外れと言ったところでしょうか。
見た目は同じでも作業内容や時間がぜんぜん違ったりします。
ただこちらのユニットはツィーターがいじられてました。何をやろうとしたかはわかりませんが、いじられた物は形跡があるのですぐにわかります。そういうものは極力さけたいものです。
●ツィーターの仕上げ
ツィーターのリングは純正でスポンジがほとんどですが、こちらのようなフェルト?もあったのでしょうか。かなり痩せているいるので、何十年も経った感じがします。
このままでもギリギリ大丈夫かな、というレベルですが
●新品に交換しました。
こちらは低反発ウレタンスポンジを加工したものです。
アメリカより輸入?されているスポンジは厚みが1cm以上あるので、非力なLE25に装着すると能力も落ちてしまいます。何より見た目がよろしくありません。なのでこちらの素材に変更しました。
見た目のマッチングも良いと思います。
●さて、
前のページで見たやばそうなネットワークですがフルチューンしました。
コンデンサー(jantzen)も現代物に変えたのでサイズも小さくなり、ネジを取り付けるスペースも十分に確保できました。
●ケーブルは私のオリジナル、1.25mmOFC銅の撚り線をねじり、片側に2本使った物量投資型です。
JBLで使われてる線はベルデンタイプの硬いすずメッキ線ですが、解像度よりもワイドレンジの方向性にしたくて、この自作線材にいきつきました。電流は配線の外側を流れるので、太さも十分にあり反応も速くなります。
何より硬い線よりも柔らかい線は音質も柔らかくなり、きつすぎる音の多いJBLではマッチングがとてもよく、心地良い音質に変わります。このあたりは過去の実績や経験がものをいいますが、コストと実力をかねたちょうどいい塩梅どころを狙い作ってみました
4311など逆に解像度を高めるには、単線や銀線がおススメです。
それと大事な所はやはり製作過程であり、貧弱なラグなどは使わず、全てダイレクトに接続しガッチリ固定する。そんなところが大事なポイントです。
●完成したネットワークを箱にビルドイン。
綺麗に取り付けられました。
そうそうメンテナンスの必要はありませんが、いざと言うときは取り外しが楽におこなえます。
●ターミナル
JBLでよく見られるターミナル(下)よりもスリムなタイプが装着されてました。
内部まで丁寧に磨いてやれば使えなくもないですが、こちらは太いケーブルが装着できないので交換することにします。
●今風にかわりましたね。
中国製ですが物により微妙に精度等が違うので、何種類か違う業者より購入し、より良い物を選び使ってます。
もちろんベースプレートも強化しました。
●ターミナルが出たところで、こちらはJBLでおなじみのターミナルですが、磨く前は錆の塊のような状態になってます。
それをせっせと磨いていると、
●なんと、こんなのが出てきました!
←左の2個の色違い、わかります?

そう、素材が純銅?でした!
しかもマイナス側(黒)だけ銅にするとは、ハイエンドスピーカーでありがちないかにも通志向です。
これ4311の初期型に付いていたターミナルで、今まで100個以上磨いてきましたが、このような物は初めてお目にかかりました。びっくりです、こんなのあるんですね。
極レアなのか?アメリカ人の気まぐれなのか?はわかりませんが、未だ同じ物は発見できず希少性は高そうです。
ちなみに通常の物を切り込みを入れても鉄(黄銅?)のままでした。
●さて、箱の最終仕上げに入ります。
吸音材がヘロヘロなので新品を補充しました。
一般的にモニター系は吸音材が多く、民生用?は少なめが特徴です。吸音材で音質も変わるので意外に大事部分ですが、私は吸音材が多いほうが好みです。
●ポートもしっかり鳴き止めしました。
●最後にユニットを取り付け
●プレートを装着し
祝!完成!
●ツキ板はオークのようですがウォールナットと同じよう

汚れ落とし→水研ぎ→軽くサンダー→OIL研ぎ→仕上げ

の工程を何度か繰り返して仕上げていきました。
手間をかけた分綺麗に仕上がります。ウォールナットよりもダイナミックな模様が特徴的ですね。
●さてさて、こちらは同時進行で仕上げていた4301Bです。
いつものようユニットをオーバーホールし、ネットワークも丁寧に仕上げました。
今回ようやく
上質のゴムエッジを入手できました。ヤフオクで出ている安物の硬いゴムではなく、ブチルゴム素材の大変しなやかで質の良いゴムエッジです。セーム革とウレタンを足したような質感です。116Aではウレタンで十分ですが、116Hではゴムエッジの相性が抜群で、アルニコ4301のバランスを抜きに出る実力が備わるようになります。116H(4301B)にはずっと悩んでいましたが、これでばっちり解消しました。ゴムだからどれでもよいのではなく素材が大事ということを忘れないでください。
●ネットをオーダー色に張り替えました。
貴賓が出てとても良くマッチした感じです。
純正の紺が高校生の紺ブレなら、こちらは私立の上品なベージュブレザーってところでしょうか(笑
●時代が新しくなっていくせいもありますが、4301B(青)は4301(黒)に比べ、良い木目が少なめですが、こちらは中々いい感じの雰囲気です。
●こちらはL26。このダイナミック感は好みの分かれるところですね。
←米松にも似た雰囲気です。
●L26、スペシャルチューン&フルカスタム
●日光下で撮影なのでやや白っぽく写ってますがばっちり決まりました。
いかがでしょう。何も言われなければ純正と思えるほどの仕上がりだと思います。

さてさて、スピーカーは音が命。肝心のインプレですが、 

最初はチューンする前、エッジの張り替え後にそのまま音出しした時の 
 まずは一言 
  「
ちょっとうるさいな

 全体のフォーリングはJBLらしさのあるシャリが強めの傾向で、中域はやや 
引っ込み気味。低域の量感はまだ少なめのせいもあり、高域がキラキラしすぎて 
中域・女性ボーカルの帯域が、華やか過ぎる、うるさいといった印象でした。 
4301よりも一回り大きい25cmウーファーの魅力は残念ながら感じられず、 
ネットワークのせいもあると思うが、雑身が多く薄っぺらいフィーリングでした。 
4301の足元には遠く及ばない感じでした。 

 そんなL26ですが、原因は25cmウーファーが開花していないのか中低域が 
少ないのと、ネットワークの構成に原因があるように感じました。 
そこで、
1、うるささを消す。 
2、中域をもっとリアルで前に、かつ広がる方向性で。 
3、箱鳴りを抑える。
 
といったチューニングメニューが頭をよぎりました(1と2はネットワークで)。 
そしてスペシャルチューンの完成後 
 まずは一言 
  「
うわー、ほんとに同じスピーカーかよ

と自分で言うのもなんですが、別物と思えるほどフィーリングが良い方向性を向きました。 
最初は4301があれば必要ないと思ってましたが、この音を聴けば考えが変わるはずです。 

最後に。 
 今回初めての紹介となるL26Decade(ディケイド)、
プロ用と民生用の一番の違いは 
ネットワークでした。JBLではユニットの音そのものの影響力が強く、今回のL26に搭載 
されている125Aは、純正ネットワークとの相性が合っていないと強く感じました。 
メーカーでは悪い音だとわかっていながらも、ラインナップを多くするために強引な差別化を 
計り、そのしわ寄せがL26にきたのでは、とも感じました。L26に4301のネットワークを装着し 
たほうが、より良い音質に変わるでよくわかります。ただし音質は食の好みと同じよう、人に 
よって大きく変わるので、純正のL26が好きな人もいるはずです。 
私の中で音の良し悪しを決めてるのは、聴いてて「
気持ちよくなれる 」かが大きなポイントです。 
体が求める反応を考えると、心地良すぎていつのまにか眠ってしまうスピーカーはいつまでも傍にいます。 
だから最初に感じた”うるささ”は心地悪いので、必死に消そうと思ったしだいです。 
スピーカーを聴く場合は環境や状況にも左右されますが、私が製作するチューンアップモデルでは 
どんな環境下でも良い音を奏でてくれるはずです。今回フルカスタムしたL26は、いまのところ 
 きっと「
日本で一番良い音のするL26 」と思いたいです。 
それでこそ「
所有する喜びも 」も十分に味わえるはずです。 
新たに生まれ変わった JBL L26 Decade(ディケイド)、あとは喜んで頂けることを願うばかりです。 

次回、毎回ダイヤトーン、ダイヤトーンって書いてますよね(^^; 
未紹介の物がまだ8機種ほど手元にあるので少し混乱しています(笑 
未定なのでネットワークのお話でも↓NEXT 、お楽しみにお待ちください♪ 

JBL L26 Decade(ディケイド) 1972年〜 
メーカー解説:1.1kgのアルニコVマグネットを使用した25.5cmウーファー、125A。
           強力なマグネットを使用したトゥイーター、LE25。
           外観はナチュラルオーク仕上げで、ネットはオレンジ、ブラウン、ブルー、ホワイトの4色がありました。中略
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:3.6cmドーム型(LE25〜LE25U、V〜LE26)
低域用:25.5cmコーン型(125A アルニコ)
再生周波数帯域 45Hz〜15000Hz
インピーダンス
出力音圧 89dB/W/m
クロスオーバー周波数 2KHz
外形寸法 幅324×高さ610×奥行337mm 約L
重量 19kg


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