DS-700、ページ2 U
●さて、こちらはサランネットで
一度ばらして洗った(かなり念入りに)ものです。

ですが何か、うす汚れた感じ見えてしまいます。
 ( 実物はさらに )
オーナー様もそれを感じていたようで、
ネットの張替えの御依頼も受けました。
●まずはパーツを外します。

綺麗ですねー。
この棒(アルミ?)もフレームと同じ色で統一されてます。
●フレームをひっくり返すとネジがありました。
これかなり小さいネジなので、ネジ山を潰さぬよう気をつけて回します。

取り付ける時は逆に、棒のネジ山を潰さぬよう注意が必要です。
●計4個のネジを外すと飾り棒が外れました。
けっこう奥行きのある棒で、フレームに深くくい込んでます。
●棒を外したら次はプレートを外します。
ぜんぜん外れないなーなんて思っていたら、しっかり接着されてました。
ピンを折らないよう慎重な作業が必要です。

このプレートはプラスチックではなく金属製。
小さいのに重厚感のある作りです。
すごいこだわりですね。
●最後は接着された布を丁寧に剥がしていき
ようやくネットが外れました。
フレームに開けられたダクト部分が変色してるのと、装着した時その空間が黒く見えるということが重なり、パッと見ひどい汚れに見えるネットでした。
●さて、張替え作業にうつります。
オーナー様のご希望は黒かダークブルーということなので
さっそく手持ちの紺を合わせてみました。

右は純正のベージューで左はJBL純正風の紺。
この紺はJBLにドンピシャの色目ですが、
DS-700に合わせてみると何かしっくりきません。

原因は”
”です。

DS-700はほんのりとした高級感あるタイプで、JBLのフラット感とは雰囲気が異なります。
●そこで何種類か生地を購入。
ようやく合うものにたどり着きました(右)。

今回DS-700本体は艶を増した仕上げにしたので、ネットが艶消しだとしっくりきません。
そこで光沢ある紺を探しました。

生地は厚すぎず薄すぎず、模様・目がはっきりしたもの。
テカリすぎない、ほんのりとした光沢のある濃紺。
この条件で見つけるのに1ヶ月ほどかかりましたが、
ようやくベストマッチするものを入手できました。

生地は写真と実物では「
まったく質感が違います
そんなこともあり、何度も購入するはめになりました。
←あまりかっこよく見えませんよね。
●でも実物はとてもかっこいいです。
そんな生地ですが、さっそく貼っていきます。
ここで軽い問題と言いますか、
これ「
貼るのが難しい

自作物も含め、けっこうな数のネットを作ったり張り替えたりしてきましたが、これかなり難しい作業です。

原因は棒部分の深みある溝で、この溝分のクリアランスが必要になってくるのと、生地にはラインがあるので、全体を均等に貼らないとラインが崩れる、綺麗に見えないのが原因です。ほんと難しい作業でした。
●いつもの倍以上の時間がかかりましたが、なんとか無事に張替え完了しました。
●かっこよさが伝わるでしょうか。
ダークブルーとブラウン色の組み合わせがうまくマッチしました。
これ実物だと高級感が出ていて、かっこいいんですよ。
オーナー様にも喜んでいただけました。
●最後にユニットを取り付け
●祝!完成!

今回のレストア内容は、
ウーファーエッジの軟化、クリーニング。
ツィーターの分解・清掃。
箱の傷補修、磨きx3、半艶仕上げ。
ネットの張替え
といったところです。

ネットワークチューンの希望もありましたが、コンデンサーやケーブルなど問題なく、出音も癖がなくバランスも良好。
ということで、いじる必要性はないと判断させていただきました。
昔はなんでもかんでも良い部品に変えたい!なんて気持ちが強かったですが、今は逆にオリジナルを尊重したチューニング傾向へと、心変わりしてるようです。
●外装の傷もほぼ消えました。
すごく高級感あります。
●ライトをあてると反射するので、昼間の自然光で撮ってみました。
ですが露出が足りないようでざらざらしてますよね(^^;
写真だと実物の高級感が伝えられなくて残念です。
●さて、エッジをやったのでやや多めにエージングしてからの音出し
まずは一言
 「
なんだこれ、めちゃくちゃ解像度たけ〜
 「
ボーカルもリアルでめちゃくちゃいい!
 「
まとまりのある美音、繊細かつ上品

パッと鳴らして真っ先に耳に飛び込んできたのが中域「
ボーカルの声 」 U
ダイヤトーンの特徴でもあるリアルな声質のボーカルに加え U
さらさらとした繊細で心地いい高域がのっかり、 U
なんともいえぬ「
シルクのようなメロディ 」が流れてきた。 U

そして密閉の恩恵か?奥行きが感じられるほどの分解能力=高解像度 U
が十二分に伝わるほどで、さらにもう一つの特徴が「
ワイドな臨場感 」 U

まるで大型3wayでも聴いてるかの如く、軽やかにふわっと「
音のシャワー 」が U
部屋中に広がっていく。 U
癖がなく眠くなるほど心地いい。 U
これWウーファーの2wayに見えるが、フィーリングは3wayよりの傾向です。 U
この綿密になセッティングには、やはりメーカーの凄さが感じられるほどでもありました。 U

以前にもありましたが「 ちょっと褒めすぎだろ 」なんて言われそうですね(^^; 

前回のKEF103(密閉)と比べて、低域の深さは一歩及びませんが、 U
DS-700でも物足りなさはありません。 U
逆にこの中・高域の解像度の高さが目に付き、 U
録音の良い女性ボーカルを、とっかえひっかえやりたくなるほどでした。 U
ダイヤの密閉ウーファーは、そのほとんどが固まっていて動かない状態です。 U
そんなユニットは新品に近い動作のものも多く U
今後の鳴らし方しだいで、どんどん化けていくスピーカーです。 U
そんなところも含めたのが、良くも悪くもダイヤトーンサウンドの証でしょう。 U


最後に U
最初に音出ししたときは、「
何だコレ、やばすぎるだろ 」(裸ユニットのうな音) U
なんて思うほどでしたが、完成後はまったくの別物に変わりました。 U
実は片方の内部配線が+-逆に接続されており、変な音は位相が原因でした(^^;  U
単純な問題で良かった良かった。 U
完全復活した音色をみなさんに聞かせられないのが残念です。 U

今回DS-700は外装もスペシャル高級仕立て。 U
自分で言うのもなんですが、かなりパーフェクトなデキになったと思います。 U

密閉の場合は設置の仕方やアンプなど、何かとセッティングの難しいスピーカーですが、 U
こういうのを使いこなしてこそ、真のオーディオマニアなのかもしれませんね。 U

古き良き時代のダイヤトーンサウンド

ダイヤトーンDS-700。 U
個人的にはDS-500より好みで、間違いなく日本の技術が誇るスピーカーでもあり、 U
後世に残してやりたい、そんな印象深いスピーカーでした。 U


PS,最近はおかげさまで依頼が多く、オーナー様に喜んでもらえてる日々が続いてます。 U
時間がかかるのでかなりお待たせしてるのは恐縮ですが、一台一台丁寧な作業をしております。 U
そんな感じなので、ホームページやオークションも中々進みませんが、 U
ヴァリアスクラフトでしか出せない音 」を目指しがんばっております。 U
次回はJBLカスタムパーツを紹介する予定です。お楽しみに♪ U

DIATONE DS-700 1989年 (2台1組 \138,000)   DS-500 (2台1組 \92,000)
メーカー解説:スタガード・マルチ・ドライブ方式を採用したヒストリーシリーズのスピーカーシステム。
DS-700では通常の2ウェイに加えて低域補強用ウーファーを設けたスタガード・マルチ・ドライブ方式を採用しており、 U
豊かな低域再生を可能にしています。 U
この方式ではウーファーを中低域用と低域用の2つに分け、さらにそれぞれ専用のネットワーク回路を構成することで U
ツィーターとのつながりをスムーズにしています。 U
ツィーターはLCP振動板をダイヤトーン独自のDUD構造で、ハイスピード再生を実現しています。 U
 ネットワークは素材厳選、コイルは無酸素銅線。結線は圧着ワイヤリング。 U
さらに独立給電方式で各ユニットの干渉を排除、混変調も排除しています。 U
 エンクロージャーは6面全てがマホガニーの本格突き板仕上げ。 U
内部構造には分散共振型を採用、振動による影響を排除しています。 U
方式 2ウェイ・3スピーカー・密閉方式
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:16cmコーン型×2
再生周波数帯域 40Hz〜30000Hz
インピーダンス
出力音圧 89dB/W/m
クロスオーバー周波数 KHz
外形寸法 幅216×高さ370×奥行320mm 約L
重量 15kg(1台)


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