●ONKYO D-V3EX
2004年頃の発売だろうか?単品スピーカーではなく、コンポセットのようなスピーカー。
下に写真があるのだが、このスピーカー、ONKYO製品の中では、ある特徴があるのがおわかりでしょうか。
ONKYO通なら、すぐに解るかもしれませんね。

”・・・・・そう、バスレフ用・ポートが背面なんです ”

この手のONKYO製スピーカーは、そのほとんどが前面ポートであり、最近の機種に関してもそうです。
だからONKYOで背面ポートは、けっこう珍しいかもしれません。
 ONKYOの音は簡単に言うと、中域の凸傾向が強い。それは前面ポートから出る音の影響もあります。
背面ポートの場合、ポートから出る中域が直接音じゃないため、中域の凸が多少マイルドになる。
そんな音は好みでもあり、これは背面ポートだからこそ、意図的に選びました。
 
 一緒に写っているモニター500も、のちほど登場させるD-S7GXというスピーカーも、どちらもまた背面ポートなんです。
ONKYOのほとんどは前面ポートだが、こういう背面ポート、きっと時期的な流れもあるんでしょうね。
さてさて、コンポスピーカーは、どれほどのポテンシャルを秘めいているのか!?
 さっそく、検証に入りたいと思います。
ONKYO D-V3EX 2004年頃? 単品での販売はたぶんない
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:2.5cmソフトドーム ・低域用:12cmバイオクロスコーン
再生周波数帯域 55Hz〜35000Hz
インピーダンス
出力音圧 84dB/W/m
クロスオーバー周波数 3.5KHz
外形寸法 幅147×高さ253×奥行240mm 約6L
重量 kg
●まずは一言
「 おっ!いいじゃんこれ 」想像以上の音が飛び出してきた。

中域凸傾向が多少あるものの、雑身がなくスッキリしている点は、かなりポイントが高い。
高域は可もなく不可もない普通の音だが、低域の量感は、まァ出てる方じゃないですかね。
ただ音量を上げていくと、ポコポコしてくるのがいだだけないが、ぎりぎりセーフといった感じでしょうか。
 音質とは別に最初に感じた事だが、このD-V3EX、異様なほど”重量が軽い ”んです。
サイズからは想像できない、ヘビー級に重いスピーカーも驚くが、逆にここまで軽いのも、また驚きました。
これは非常に残念です。
小音量なら問題無いが、音量を上げていくと変な音に変わってしまう。
音が割れるとか、箱がビリビリといってる訳ではないのだが、なんか変な音なんです。
そこが、このスピーカーの最大の弱点でしょう。
音質は2ランク上のポテンシャルを秘めている。そんな実力があるのに、実にもったいない。

 このスピーカー、ちょっといじってやると格段に良くなる、そんな気配がプンプン漂ってきますね。
やる気にさせる音質の要は、やはりこのスッキリした中域、厳密には中域周りにあります。
ここに関してはぜんぜん安っぽくなく、逆にレベルが高いくらいです。
あとはもう少し低い音が出て、ドンシャリ傾向に近づくといい感じなんですけどね。
とりあえず内部検証にいってみましょう。
●ユニットは全て+ネジ。
ドライバーで簡単に外せます。
●吸音材は無く、片側側面にペラペラのフェルトが貼ってあった。
ONKYOの特徴でもある、内部反射を拡散させるような措置。
これは空中にスポンジを配置するなど
凝った一面が見られるやり方で、このスピーカーも
ポートの先端にちょこんと、スポンジが貼られてました。
「 うわ〜ありえね〜 」
と思わず言ってしまいそうなネットワーク。

このスピーカーの価格は解らない。
低価格であるのは確かだろうが、コンポ用で
ここまで基本に忠実なネットワークが付いてるのって
そうそう無いんじゃないですかね。

これがこのスピーカー最大の特徴であり、
音の質を向上させている部分でもあります。

どんなに高級なユニットを使おうと、
ネットワークのあるなしじゃ、質がかなり変わってきますからね。
●ツィーター。

コンポ用だから安い、なんて思われてもしかたなさそうですが、
ONKYOの最高峰、D-412EXなんかも、
基本(ベース)は同じだと思いますよ。
だからコンポ用といえど、あなどれません。

分解・清掃しました。
●ウーハー。
私的に言わせてもらうと、ONKYOはここがダメなんですよ。
このウーハー音自体も、癖が強すぎなんです。

ただその辺はメーカー色ってもんもあるでしょうし、
個性や設計者の好みも出てるでしょうから、
一概に全部が悪いとは言えません。
ただ最近のONKYOは、
ユニットに金かけてる感じがしますよね。
そのぶんのしわ寄せがきてるのも事実なんですけどね。


ゴムエッジは今のところ問題ないが、裏側より補強しました。
ONKYOのゴムエッジって、硬いですよね。
これが割れる原因でもありますが、
これもメーカーの意思だと思うので、しかたない。
良いところを伸ばしてやりましょう。
●さてさて、
私があみ出した措置、
名付けて”
VCCシステム

これは単純に
【振動】  vibration
【制御】  control
【セメント】 cement

から一文字づつ取って、名付けたものです。
簡単に説明すると、木箱の一部をセメントで固めた措置。
一番最初は「 これ 」からきており
それが発展して「 こう 」なりました。

それをメーカー製にもほどこしたというわけ。
ユニットから出る振動は箱に伝わり、それが不要振動となり
音に悪影響を及ぼしてます。
木箱ではなく段ボール箱だと解りやすく、音が変なのはもちろん
振動でスピーカー自体が、どっかへ行ってしまいそうな勢いです。

そんな”不要振動 ”をできるだけ防ごうというのが
このVCCシステムなんです。
ちょっとかっこつけすぎの説明ですかね。
まァ音に良いと思う事はなんでもやる主義なので。

とにかく、内部を塗装するとか、補強するとか色々やりましたが、
これはかなり効果的で、解像度が飛躍的に良くなります。
内部補強も、やり方によっては効果的ですが、
いかんせんバランスを取るのが難しい。
そのぶんこれは、そのあたりがマイルドなんですね。
 ただし弱点もあるので、やりっぱなしではダメなんです。
追々説明していきますが、
今のところいい事づくめの措置と言えるでしょう。
ユニットを取り付け
●完成!!!
 チューニングもいい感じに決まったので、外装も鏡面タイプにしてみました。
白木はインテリアに馴染みやすく、いい雰囲気もってます。
 ネットワークのチューニングだが、中域・ボーカルの声を、より明確に聴きとりやすい、
浮上感が感じられるようなセッティングにしてみました。
オールジャンルでも使える方向だが、どちらかと言うとボーカル向けの味付け。
小型ならではの良さを引き出してみた、そんな感じですかね。

 このD-V3EX、音を聴いた事のある人はたぶん「 なんかいいな 」なんて感じたと思いますよ、きっと。
それは根っこがしっかりしてるからです。
だからチューニングにより、2ランク上の音質になった事は間違いないでしょう。
この音聴いてコンポ用とか、安っぽいとか思う人は、少ないと思います。
 今回は、当初描いていた理想の音質に、だいぶ近づくことができました。
最初からダメだなんて感じた音なら、わざわざ手の込んだチューニングはしない、それが本音ですかね。
とにかく、112より遥にいいこのチューニングV3EXですが、重さはようやく普通になりました(笑

最後に。
 見たことも無い目新しいスピーカーを選ぶ時って、背面にあるターミナルも重要だと思いません?
私の場合、スピーカーは写真で見る事がほとんどなんですが、背面見てワンタッチ式ターミナルだと、
つい「 がっかり 」してしまう。そんな事もしばしばありました。
 今まではワンタッチ式を見ただけで、そのスピーカーには興味すらわきませんでしたが、
このD-V3EXは、それを見事なまでに、くつがえしてくれました。
ワンタッチ式の偏見も薄れそうだが、それよりもONKYOコンポ用、実は手を加えられていない(凝ってない)分、
素直な特性なのかもしれません。
チューニングを目いっぱいしたくなる、そんな価値のあるスピーカーでした。
 次回、この手のものがどんどん続きます。お楽しみに♪

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