久々に手をつけたと言うか、つけられたと言うのか。
スピーカーメンテナンス&オーバーホールの始まりです。
今回は「 ONKYO D-500 Liverpool
高域の透明感がすばらしかったD-200。はたして、D-500の実力はいかに。

ONKYO D-500 Liverpool 1989年 1台 45000円
メーカー解説:アコースティック・ナチュラリティ(自然な音場表現)というコンセプトのもと、分解能やワイドレンジを強調するのでなく、自然な音づくりを目指したスピーカーシステム。
方式 2ウェイ2スピーカー・バスレフ方式・防磁タイプ・ブックシェルフ型
使用ユニット ・低域用:18cmピュア・クロスカーボンコーン型 ・高域用:2.5cm超硬度チタンドーム型
再生周波数帯域 35Hz〜45000Hz
インピーダンス
出力音圧 90dB/W/m
クロスオーバー周波数 2.5KHz
外形寸法 幅255×高さ449×奥行300mm(サランネット含む)
重量 11.5kg
まず目に付くのは、エッジが×。出力はOK。
写真じゃ解りずらいが、超傷だらけでしたTT ツキ板仕上げで、色合いもいいし、全体の雰囲気も◎
*ここから途中まで、1年数ヶ月前に撮影した写真です。
メーカー文句で、エンクロージュアに凝っている、と書いてある通り、内部は2、3種類の板が使われていました。
矢印部、両側面はMDFのような、目の細かい板でした。
吸音材は全体の7割くらい入ってます。
これはTWのネットワーク。ウーハーのネットワークはターミナルの裏に設置されており、独立タイプになってます。
ONKYO製品に多く見られる、こだわりですね。
小さい値のコンデンサーを数個並列でつなげる、ってのは
メーカー製に多いやり方でもあります。
TW。特徴はコルクシートが貼ってある事。
単発で聴いた印象ですが、D-200の時と比べ、あたりが弱くなっている、と言うか、キレが無い、ような感じでした。
ただ、あくまでも記憶の印象なので、2つ並べて聴いてみないと、なんとも言えませんが。
ウーハー。センターキャップが布製で柔らかい。マグネットは一般的サイズ。
カーボンのコーンはかっこいい!ですねー。
メーカー製ユニット、特にONKYOが採用しているユニットは能率が低いです。
その能率の低さを、抵抗で錯誤させ、補ってる感じがします。
ただ、能率の低いユニットは、音に奥行き感・深みがある。
なんと言うかラジカセのような軽い音ではなく、高級感を感じさせるような、静粛感のある音、とでも言うか。
そんなんで、多くのメーカーは能率の低いユニットを採用してるのかな?と思う事もあります。
さて、エッジを張替えます。まずユニットのフレームに接着されている、フロントカバーを外します。
マイナスドライバーを使い、てこの原理を応用。
カバーを外した後、エッジを軽くヒートガンで暖めます。
するとボンドが剥がれやすくなります。
ただし、あまりしつこくやるとコーンが変形する恐れがあるので、十分に注意します。素早い動きでササーっと。
外側は紙製のガスケット。なのでそれごと剥がします。 これで、一通り剥がし作業が終わり。
最後に、裏側に付いたエッジや ボンドカスを綺麗にして完了。
ここからが最近撮った写真になります。
ユニットにエッジを取り付け、裸のまま十分にテストします。
D-200もそうですが、ダンパーが柔らかいので、エッジを接着するさいは、ダンパーの沈み込みに注意が必要です。
ヘタすると、ストローク量が変わってしまいます。
次は外装の仕上げに入ります。
これ、フラッシュたいて撮った写真なので、容易に傷が見えると思いますが、こんな小傷がほぼ全面、あちらこちらにありました(^^;
これは側面で、深い傷。
ビニールシートタイプは、底を少し剥がして使ったり、パテを使ったりしますが、ツキ板の場合、補修ベースとしてこんな物↑を使います。
これはロウのように溶かして使い、混ぜる事もできるので、ある程度近い色合いが表現できます。
かなり近い色で補修しました。
ただ、正面(左)から見ると、なにか目立ちます。右は斜めから見た感じ。ほぼわからないように見えます。
角度により見え方が違うので、その辺が難しいところです。
撮影は蛍光灯下なので、自然光だと、もう少し目立ちにくくなります。
全ての傷を補修後、次は全体をステインで軽く着色します。
色味が濃い・薄いの中間色のメープル。
着色と言っても、全体の統一感を出す為で、色味はほとんど変わりません。
2日ほど乾燥させます。
左上の傷が少し目立ちますね。
写真だと左右の天板が、まったく違う色に見えますが、これも角度とフラッシュによるもので、実際は同じ色です。
最後に蜜蝋ワックス「 これ 」で仕上げます。
この蜜蝋ワックスも、塗って・乾かし・ふきあげ、を2回やるので、手間はかかります。
艶の出かたは3、4部艶くらい。ツキ板との相性はバツグンで、高級家具のような仕上がりです。
これで傷が無いと最高なんですがね。 右写真は自然光での撮影です。
底面。傷の補修はしていませんが、角に2mm厚のコルクを貼りました。
プラスチックはアーマオールで、 端子は磨いた後、ケイグで仕上げ
ユニットを取り付けて、完成!
じっくりエージングしたあと視聴します。とくにエッジを張り替えているので、エージングの前後で、かなり音が違います。

インプレ
印象は一言でいうと、「 サッパリ 」 したコクの無い音。

メーカー文でTWをやわらかくしている、と書いてあるとおり、確かにキンキンはしていません。
ですが中域がさっぱりしてる分、高域のシャリシャリ感が若干目立つ。
低域も同じよう、中域が凹んでいるため、量感が多く感じられる。
ソースにもよるが、ドスドス加減はいい塩梅。伸びはあるがキレが悪い。
肝心の中域は、凹んでいるわりにはクリアーではない。かといって、こもってるわけでもない。
これがナチュラルと言われれば、ナチュラルなのかもしれません。

ONKYOはバランスに重点を置いている製品が多く、このD-500も中域の響き具合が「 超絶妙
絶妙すぎて解説も難しくなりますが、これでTWをもう少し下まで引っ張り、クリアーにすればリアルボイスになりそうです。

「 TWを下まで引っ張ってでる響き 」
「 ウーハーを上まで伸ばしてでる響き 」
「 エンクロージュアの響き 」
など々、響きには色々あるが、ユニットがもつ、癖のある嫌味な音を「 うまーく消している 」感じがします。
だからサッパリした印象に感じたのかもしれません。
背面のポートが大きめなので、中域もしゃしゃり出て、飛び出してくるかな? なんて予想がくつがえられるほど
うまくコントロールしているのが感じとれます。
やはりONKYOというメーカー色が強く、綺麗系の音ですが、良い意味でD-502Aとは真逆でした。

世のスピーカーは、なにかしらの響きを感じるもが多い中、このD-500は、珍しい存在であると言えます。
良い悪いは別として、絶妙なさじ加減で癖を消しているこのバランスは、中々出せるもんじゃないと思いますよ。

どちらかと言うと、邦楽向けのスピーカーですね。
最近のJ-POPは、ボーカルが出張ってくるものが多く、そんなソースは聞きやすくなります。
クラシック・オーケストラの楽器系も中々相性はいいです。
ただし、ピアノやエレキギターの単発パートなんかは、響きが少ないので、物足りなくも感じます。
で、この物足りない部分を引き出す方向で、「 改造 」する事にしました。

左、ビクター「 SX-V1 」  右、ONKYO「 MONITOR 500 」
あとは後ろの JBL・4311 とか DENON・SC-E717R 、 ダイヤトーン・DS-200ZA なんかとも、聞き比べをします。
他のスピーカーと聞き比べをした結果、さらにD-500の性格がわかってきました。
D-500は第一印象どおりで、響きが一番少なく、中域が凹んでいました。
さて、方向性が決まってきたところで、ネットワークの改造にとりかかります。
右の写真は、ターミナルの裏に設置されている、ウーハーのネットワーク。まずはこれを加工します。
今回はスライドスイッチではなく、このトグルスイッチを使います。 しかし、スムーズに取り付けられるスペースがありません。
悩みます。
ターミナルカバーの上側、写真の位置に穴をあけ取り付けました。
右写真、スイッチ自体が回転しないよう、ワッシャーに爪が付いてます。その爪用穴が少し大きくなってしまったが、しっかり付きました。
ONKYOのプレートには穴をあけたくなかった。ターミナル、赤黒の真ん中だと、ターミナルが回しづらくなる。
そんなんで、この場所にしました。
で、次の問題はこの出っ張りです。
エンクロージュアを削って回避しました。
電動ドリル程度ならいいが、間違っても部屋の中で、トリマーをやるもんじゃありませんね(^^;
特別太いケーブルではないが、トグルスイッチにはしんどいです。
ケーブルの向きも水平にしないと、エンクロージュアにあたって、ターミナル自体の取り付けが困難になってしまいます。
ショート防止のため、熱収縮チューブやブチルテープをきちんと巻いてあります。
ノーマル
とりあえず、こんなんで試していきます。左のコイルに、配線割り込ませてるのわかります?
元々付いている、コイルやコンデンサーの数値が、ビタッと決まれば、有効活用するんですけどね。
中々うまい具合にはいきません。
最終的に、これで落ち着きました。
コイル、コンデンサー、抵抗を追加。
あとは様々なソースをしっくり聴いて、煮詰めていき、最後にエポキシで強力に接着して完成となります。
せっかくの改造なんで、独立配線にしました。
右写真、これはトロイダルに銀線を巻いたもの。いわゆるフィルターってやつです。以外に効果あるんですよ。
完成!!
今回はウーハーのみの切り替えとしました。ほんとはTWの能率を、少しだけ下げようと思ったのだが、
1、2Ω程度じゃ、ほとんど変わらない。かといって、変化を感じられるまで下げると、中域の癖が強くでる。
だからフィルターなんかも作って、試行錯誤してみたんですけどね。
元々刺激の強いTWではないため、このあたりは好みにより、アンプ側で煮詰めるのがベストだと思いました。
右の写真はD-500Uです。 メーカー製スピーカーとしては、風変わりで特徴のあるポートですよね。
D-500の音を聴き、Uを見たときピンときましたが、これはたぶん中域を凸らせてる方向だと思います。
バックロードは低音が出る!と思われがちですが、実際は中域もドバッとでるので、低域の量感UPだけは望めません。
さらに他の方のWEBページで、内部写真も見ましたが、吸音材がほとんど無い、10%くらいでしょうか。
吸音材が少ない=響きが少ない
出すぎた中域をエンクロージュアで微調整してる。そんなところが容易に想像できます。
ただ、やはり聴いていないので、なんとも言えませんが、私の経験上、最初に出たスピーカーのほうが音はいいです。
後継機種って、どうも万人向けのセッティング、音のこだわりというより、売れるために方向性を変えた感が強いんですよね。
Uを先に入手していればTも欲しくなりましたが、Uは今の所興味がわきません(笑
トグルスイッチ、黒いほうで改造した音。 赤いほうで、ノーマル音になります。
上の絵を初めて見る方に説明します。この絵は実際に音を聴いた、低・中・高音のバランスイメージであり、
バランスが◎=フラット ではありません。 フラット特性の音を、絵で表現するならば、中・高域が飛び出してる感じになります。

さて、改造した音の説明をはじめます。簡単に言うと、上の図のようなバランスで、中域を凸らせました。
Uの文句まがいの事を言っておきながら、申し訳ないのですが、人間の考える事は、似たようなもんだと思ってください(笑
このD-500、元々のバランスが絶妙で癖も少ない。だから中域を少々凸らせても、バランスは崩れにくい。
ノーマル音の響きが少ないので、改造後の音は響きが大きく感じますが、SX-V1なんかはもっと響いています。
同メーカーだけに音質が似ているMONITOR 500、特性がグッと近づきました。
さらに凹のものを凸らせてますので、大きな変化を感じとれます。

最大の特徴は、「 女性ボーカルの声 」を、さらに「 美しい歌声 」に聴こえるよう、ターゲットを絞りセッティングしたところです。
なので女性ボーカルものはもちろんですが、JAZZも相性が良く、ラッパやエレキギターあたりも、飛び出してきます。
倍音もよく出て、ピアノの音色も綺麗になりました。

ただし、中域を凸らせているので、ノーマルより少しだけ、低域の量感が感じにくくなります。
ソースにもよりますが、低域に物足りなさを感じる場合、アンプ調整でバランスが取れる範囲に、おさめました。
あまりにも中域が飛び出しすぎると、BASSをフルブーストさせてもダメだな、なんて場合もあるからです。

上の写真で「 パワーボーカル 」と書いたのは、「 リアルボーカル 」と方向性が違うからです。
リアリティだけをとるなら、微妙なところですが、ノーマルD-500のほうが近いかもしれません。
パワーボーカルよりも、「 色気のある、艶やかなボーカル 」と書いたほうが、解りやすいかもしれませんね。

私が改造するのはおもに中域特性で、ここはアンプでは調整できない、だから有意義な改造だと自負しています。
のちほど、中域特性の解りやすい図でも、作成してみようと思います。
今回初めて使ったトグルスイッチ。スピーカー切り替え器でもそうでしたが、何かがひっかかるんですよね。
気のせいだょ、と言われれば、そういうレベルなんですが・・・操作性はすごくいいです。
音はスライドスイッチのほうがいいのかな?変わらないと思うんですけどね。

最後に、このD-500改、私の好みに近い音となり、音質レベルも、高い位置にあるスピーカーになりました。
これだから改造は止められませんね^^

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