●2017.11.17 今回はお初となるJBL L40A のご紹介です。
そして同じ民生用として人気の高いL26を比較していきたいと思います。 U |
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●左がL26で右がL40
まずはぱっと見、幅と高さが違うだけでだいぶ違うスピーカーに感じます。L40はL26や4311に比べると奥行きが少しスリム。ただそれでも2wayとしては大きいですけどね。主軸となるウーハーは共に25cmなので、どのあたりで差をつけてるのかも気になるところです。 |
●こちらはL40のツィーター033と、左は4312Aのツィーター035Ti。サイズが同じなので入れ替えもできそうですね。L40、033のドームはフェノール処理された硬質ドームとメーカーにあります。フェーノール処理とはよく解りませんが、薄いプラスチックで凹むとパキパキ言う素材でした。布のソフトドームと見た目は似てますがぜんぜん違う物。六角は全てインチサイズです。 |
●ネットワークを外します。上にネジが見えますがプレートの裏にもネジが隠れており、計4ヶ所のネジ留めです。民生用のネットワークは差別化のためかウーハーが6dB/octだったりスルーだったりが多いのですが、こちらはしっかり12dB/octで4301と似たような構成でした。4313に近いノリですかね。 |
●ターミナル。これも4313などで見られる少数タイプのロック式。良くできた構造です。
私の場合は頻繁にスピーカーを入れ替えてるので、バナナがあると楽ですが、このターミナルはあえて交換する理由がみつからないので、分解してしっかり磨いてやりました。噛みもばっちりです。 |
●でL40のウーハー・・・・・・。
「 えっ? 」
「 何っ?これ、フェライトなんですけど・・・ 」
てっきりアルニコだと思っていたので、フェライト(127H)が出てきた日には驚きました。そして動揺も隠せず、その後の写真すらぜんぜん撮れない心境でした。L50の所有者がウーハーだけ入れ替えたのか?なんて事も頭によぎりましたが、ネットでよくよく調べてみると、どうやらこれは
L40 ではなく L40A(エー)みたいです。
L40はアルニコ、L40Aはフェライトのみの違い。
普通AならアルニコのAでしょ。ネットワークしかりJBLは紛らわしい事だらけですね。外観からは区別がつかないほどです。この写真は完成後撮り忘れに気づきあわてて撮りました。メンテ前はかなり錆だらけでひどいものでした。
●こちらはL26のアルニコウーハー(127A)です。
L40はL26と比較したいと思っていたので、あえてL26の作業中にひっぱり出してきたわけですが、フェライトに驚いてしまい頭が一瞬真っ白に。正直がっかりしてしまいました。なので写真もぜんぜん撮れてません(^^; |
●気をとりなおして、エッジの張替えでのワンポイントアドバイスです。ユニットの中にはこのように、コーンの際部分にボンドの残りが見られます。これは初期型に多いのですが、びよ〜んと伸びる素材で中々取れません。指でちぎって取ったのが右側。コーンにダメージを与えず綺麗に取るのはけっこう大変です。もちろん紙コーンなので溶剤は使えません。 |
●そこでわりと簡単に取る方法は、まずは使い古しの紙やすりで軽くごしごしやります。すると右写真のようボンドが団子状に丸くなるので、それを指でつまんで取り除きます。コーンは動かぬよう指でしっかり固定し、折れないよう注意しながらおこないます。この方法がベストでしょうか。大変ですが、さすが初期型は丁寧に作られている事がよくわかります。 |
●裏側。このように残ったエッジのかすは写真のようにそぎ落としていきます。写真では角度が付いてますが、実際にはコーンと平行にカッターを移動させます。このとき少しでもカッターを立てるとコーンに刺さってしまい、切れる恐れもあるので注意が必要です。苦手な人はマイナスドライバーを使った方がいいでしょう。硬めのナイロンブラシでもいけそうです。溶剤は染みになるのでXです。 |
●自作エッジに張り替えました。JBLでは出難い”重低音 ”出すぞーとギリギリまで薄くて柔らかく作ったエッジです。市販のウレタンとはまったく違います。とくに127Hの方はぎりぎりにしました。いまだフェライトショックの余韻が残ってますが(^^; 気を取り直して比較することに。まずは写真の状態、裸のままで鳴らしてみます。するとフェライトの127Hが良い!中域、女性ボーカルが前に出るのでいい感じに聴こえます。 |
●続いては箱の補修に取り掛かります。
こちらはL26で突き板はオーク。初期型のせいか、かなりダイナミックな模様ですね。補修には似た色の突き板を使い、最後に木目を書いて仕上げていきます。 |
●下処理が終わったところ。L26やL16に見られるこの突き板は、米松のようダイナミックな木目が特徴ですが、凸凹が強めで品が無いように感じます。それとJBLでは2枚3枚と縦に張り合わせてますが、その合わせ目が目立ってしまいかっこよくありません。そこでやや多めにサンディングし、凸凹や継ぎ目をフラットにしていきます。 |
●こちはサンディング後に一度濡らしてチェックしているところです。想像より多めのサンディングのほうが、のちのち綺麗に仕上がります。ここで問題なければOILで仕上げます。今回のL26は初期型ですが、左の1枚だけ色目の薄い突き板で残念ですが、最高の状態に仕上げていきます。 |
●こちらはL40です。注意!最初に言っておきますが、L40の突き板はかなり薄く、絶対に「 サンディングNG 」です。傷がある場合は手作業でおこなってください。それでも傷を完全に消すことはできず、簡単に下地が出てしまいます。いきなり下地が出てきたときにはビビリました(^^; 4311の突き板に比べると3分の1くらいでしょうか。他にもL40は随所にかなりのコストダウンが見られました。残念ですがそれもメーカーの意向なのでしょう。 |
●なんとか仕上げました。
サンディングできないのでプレミアムと同じ施工、手作業で塗装を落とす方法で進めていきました。フェライトでがっかりしてる上、さらに外装に手間がかかり、踏んだり蹴ったりです(^^;
他のメーカーや日本製にも言える事ですが、80年代から90年代にかけてのコストダウンは差がひどく感じます。 |
●こちらはL26。フロントバッフルと背面を再塗装。
純正と同じ色目、模様付けで仕上げました。 |
●こちらはL40
L40(アルニコ)と
L40A(フェライト)の区別が外観からは難しいので、
4301黒(アルニコ)
4301B青(フェライト)
に習いブルーバッフルにしてみた。フェライトだからと言うより、バッフル面が広くて青が似合いそうだったからというのもあります。 |
●背面はオリジナルと同じ黒で塗装しました。
JBLはネットワークやネームなど、ほんとややこしい、勘違いしやすいものが多い。L40AではなくL40Bにしてほしいものです(笑 |
●さてこちらはサランネット。一見綺麗に見えても、数十年の汚れがびっしりついており、洗濯すると水が一瞬で泥水になるほどです。だから何回も念入りに洗いたいのですが、激しい洗濯だと色落ちもするので、あまりごしごし洗えません。特に濃い目の黒などは炭色になってしまいます。じゃあ逆に染色すればと思い昔やってみましたが、通常の染め方では染まらない素材でした。 |
●かなり綺麗になりましたが、フレームの跡は色焼けのようで跡は消えませんでした。同じ素材が入手できればいつでも張り替えるんですけどね。JBLの生地は染色できません(ポリエステル?)が、どうしても!というなら染めQでスプレーするのが、見た目には復活できます。以前ダイヤトーンの特殊生地(ナイロン?)をやりました。今回色付けはしませんが、綺麗になったので良しとしましょう。 |
●最後はネットワーク。こちらはL26の背面板で、穴をあけトグルスイッチを取り付けました。 L26は横置き設定でターミナルが縦なので、スイッチの稼動も上下にしました。スイッチはON-ONの6Pです。 |
●スイッチ下でオリジナル音、上でプレフェッショナルのチューニング音に切り替わります。久々の切り替え式ですね。今回のL26もプロ用チューン。私は何度も聴いており必要ないですが、L26を初めて所有する方にとってはオリジナル音も聴けたほうがいいと思い取り付けました。色々なソースを聞き比べてみてください。 |
●最後にユニットを取り付け |
●最後までL40が気になります。どうしてもL40とL40Aは、外観からの判断がつきません。そこでじっくり観察していくと、丸印の中央にうっすらと”A ”の押し印がありました。ぱっと見△にも汚れにも見える程度なので最初は気にもしませんでしたが、たぶんこれがAとAじゃない40の区別だと思われます。 |