●今回は新潟県にあるHasehiro Audio (ハセヒロオーディオ)からMM-161Sのご紹介です。 U
スピーカー業界でハセヒロと聞けば、重ねて作るバックロードホーンがすぐにピンとくるほど
メジャーな存在になりました。そんなバックロードホーンはラインナップも多く特性も気になる所です。
今回はハセヒロシリーズの最終章になるかと思いますので、どうぞご覧ください。
●←これ10年前に撮った(聴いた)もので、思わず懐かしいと思ってしまいました。
MDFの板を縦に組み合わせて構成されているスピーカーで、板の枚数を増やしていけば容量も変わってくるというアイデア物の一品です。
●私にとってはこれが初のバックロードホーンスピーカーだったので、胸をときめかせながら視聴したものです。ですが想像とは違う音が出てきたので、塗装したりカスタムしたりと、あれやこれやおこないました。
●それから時が経つ事10年、こちらは3年前に入手したMM-151Sを161Sにグレードアップしたものです。
141→板4枚8cm用、151→板5枚10cm用、161→板6枚12cm用という単純な構造です。
やろうと思えば板8枚でも10枚でもいけますが、S無しも含め見た目やサイズ的なバランスは161が一番良さげな気がします。
●バッフルを外すとこうなってます。
このスピーカーは10本のネジにより両サイドの側板で本体を挟みこむ構造です。だからネジをゆるめればバッフルも容易に交換できます。
△の吸音材はリプトンチューニングというメーカーから出たもので、紅茶のティーパックに似ていると話題になりましたね(笑) 効果のほどは?よくわかりませんでした(^^;
●さて、バッフルを交換できるので様々なユニットが取り付け可能です。
今回はFOSTEXで一番メジャーなバックロード専用10cmユニット”FE108EΣ ”と、8cm中では10年以上も長きにわたり販売されている脅威のベストセラー、DIY AUDIOの”SA/F80AMG ”を使います。
108EΣは今さらですが、実は初めて聴くので、どんな音色が出るのか楽しみです。
●インプレはのちほどにして、まずは箱のカスタムに入ります。この箱は両サイドからネジ止めで押さえ込むサンドイッチ構造ですが弱点も多々あり、まずは素材となるMDF、これは集成材のよう固められて作られた板なので限りなくフラットですが、水に弱いのが弱点です。湿気の多い部屋に長く置いておくと、反ったり膨らんだりと、どんどん変形していきます。その弱点は”接着&塗装 ”すれば克服できます。


●接着し塗装すると解像度が向上し、2割増しくらいで音が良くなる。メーカーでもそれを推奨してるほどです。ただ板を増やしたり減らしたりできないので軽い覚悟も必要ですが、これを組み直したのは結局1回のみだったので、気にせず接着しました。一応今後の事を考えてバッフルだけは容易に交換できるようカスタムしました。141、151、161、そしてもう一枚増やしたメーカーにはない171(仮)と音を比較していき、161と171(仮)のどちらにするか最後まで迷いましたが、161に決定しました。171(仮)の音も中々でしたが、ちょっと太っちょに見えるのが気になりました。16cmユニットを搭載するには良いかもしれません。
●説明が長くなりましたが(^^;
今回完全接着にあたり全体を塗装しました。
そしてこれが側面です!(笑
このスピーカーはバックロードホーンの中でも角の無いエクスポネンシャルと呼ばれる構造が特徴で、その痕跡が感じられるようこんな風にしてみました!いかがでしょう(笑 スピーカーにまったく興味が無い人でも、何だコレ!と見つめるはずです(笑
●遊び心満点ですが塗装はしっかりとこだわり、本体の白は108EΣのコーン色を参考に調合。ホーンロード(音道)の黒は108EΣのフレームの黒色に合わせ、90%ほどの鉄鋼黒にしました。
フレームにある銀縁も見立て、側面にメッキモールでも付けようと考えましたが保留にしました。
●こちらは80AMGの4発。
コーンにはマグネシウム合金が使われており、アルミのような質感だが傷が付きやすいのが難点です。密閉〜バスレフまで、どんな箱に入れても良く鳴ってくれる80AMGなので、バックロードに4発だといったいどんな音が飛び出してくるのか楽しみですね。
そしてユニットを取り付け
祝!完成!

前面に入れた三角スリット(ライン)が良い感じでアクセントになりました。塗装は内部までしっかりおこなってます。断面の塗装は塗っては削りを多めに繰り返すのでたいへんでした。塗膜を厚くしたので質感もたいへんよく、実物はとっても綺麗なんですよ。
●初めて見た人は確実に
何だコレ! 」と言うでしょう(笑笑笑
これがほんとの遊び心でしょうか(笑)
小さい子にも受けそうですね。
●なにかと話題がつきなさそうスタイルですが(笑
前面のスリットや角のRなどなど、細かいところまで丁寧に作りこみました。最初はアクリルも考えましたが、それはメーカーにあるモデルなのでやめました。
白壁バックに薄暗い部屋で見ると、音道だけ浮いて以外に幻想的に見えます。
●こちらは80AMGの4発。
こちらもなんだか愛嬌たっぷりのおもむきですね。
まるでディズニーのキャラクターに出てきそうな顔立ちです。
私はスピーカーを湿度の低い3階の角部を保管庫にしており、よく窓を開けたり除湿機をかけたりと、コレクターのよう管理にも気をつかっています。そんな部屋から今回MM-161を探し出してるとき、
●こんなものも一緒に出てきました。
●これは自作のウッドホーンで、唇のようぷりっとした姿から「 リップホーン 」と命名したものです。可愛いでしょ。Vifaのツィーターが装着されてます。
見た目の愛らしさには反し臨場感があり、広がる音が良く感じられる本格ホーンに仕上がってます。
●そしてこれも出てきました。これはパイオニアのエクスクルーシブという最高級スピーカーを縮小して製作したものです。写真じゃサイズも伝わりにくいですが、幅が20cmほどの脅威的な小ささです。色違いなどこのタイプを5台ほど製作しましたが、これが最後の1台で希少な箱なんです。木材店から購入したローズウッド(突き板)は市販品とは違い、とてもダイナミックな木目を演出しています。
●どんな音が出るのか楽しみですね♪
●さて、エージングもそこそそにさっそく音出しインプレに入ります。 U
最初は気になっていた80AMGの4発から U
まずは一言 U
すごい臨場感だ 」 U

 80AMGは10年以上前から販売されており、今でもコイズミ無線等で U
おススメ商品とし扱われているベストセラーユニットです。 U
長きに渡り販売され続けているのはバランスの良さにあり、8cmの中では U
低域の量感も多く高域もよく伸びる、中域・ボーカルの質感もちょうどいい U
塩梅で、どんな箱に入れてもよく鳴ってくれるという点も優れてます。 U

そんな80AMGは私も好きでよく使ってますが、今回のようダブルで U
バックロードホーンという組み合わせは初めてです。そしていきなり U
無難でいい音が出てきた時には、どう表現していいのか悩むほどでした。 U
ダブルの4発にしたことで低域寄りの比重になるかと思っていたところ、 U
むしろ逆に透明感が増し、朝一番の清清しい空気を吸ってるようなフィーリングでした。 U
女性ボーカルの声質も無難に良く、4311A(アルニコ)のリアルな声質に負けないくらいの U
スケール感を奏でてくれました。しいて上げるならツィーターを追加すれば完璧ですが U
このままでも十分レベルの高い音が聴けます。 U


そしてお次は満を持していよいよ登場108EΣ U
まずは一言 U
力強い中域だなー 」 U

 初めての視聴、第一印象はやはり中域・女性ボーカルの声質でした。 U
妙にリアルで生々しく、分厚い声を聴いてしまうと他の声が聴けなくなりそう。 U
それほどインパクトの強い女性ボーカルでした。ピアノやギターもリアルです。 U
視聴が小音量ということもあり、バランスはやはり中域凸のフィーリングですが、 U
高域も低域もそれほど悪くはありません。FOSTEX指定等の大箱ならもう少し低域が U
望めるかもしれません。ただ161Sはどんな振動でも微動だにしないほど頑丈な作り U
なので、それが高解像度、リアルな音作りを演出してるようにも思えます。 U

・108EΣはクッキリした明瞭な輪郭で、エッジが立ったデジタルアンプような音。 U
メーカーにあてはめるならONKYO。女性ボーカルを鳴らせば素晴らしい力を発揮します。 U

・80AMGは108EΣとは対象的に柔らかく、どんなソースでも合う真空管アンプのような音。 U
メーカーにあてはめるならダイヤトーンやDENON。クラシックからJ-POPまで優しくて聞きやすい。 U

108を聴いた後に80AMGを聴くと声が引っ込んで聞きにくく、逆だと声がうるさく聞える。 U
それほど両極端な感じは昔の人のような言い方をすれば”足して2で割ればいい ” U
そんな感じです(笑 ただその領域までもっていくのが難しいのがオーディオなんですけどね。 U


最後に。 U
 今まで聴いたFOSTEX製品の中では、108EΣが一番無難で良い音に感じました。 U
高域のシャリシャリがうるさい帯域が凹んでいるので、全体が柔らかく聞えるのも特徴的でした。 U
80AMGと同じよう、そのあたりが売れ続けてる秘訣なんでしょうね。 U
ハセヒロのエクスポネンシャルホーンはスピード感があり、音の遅延や U
違和感はまったく感じません。141ではバックロードらしさはいまいちでしたが、 U
151→161にしたことでだいぶ”らしさ ”が感じられるようになりました。 U
接着と塗装によりフィーリングアップも確認できました。 U
トールボーイのよう置き場所に限定されないサイズでバックロードフィーリングが感じ U
られる161は中々良い箱だと思いました。それがここまで仕上げた理由でもあります。 U

 今回はバックロード箱という事もあり、108EΣと80AMGは対象的でしたが U
どちらも甲乙つけがたいほど魅力ある音色を奏でてくれた結果となりました。 U
しばらくは108EΣの女性ボーカルにはまりそうです。 U
無限の可能性を秘めたフルレンジ達でした。 U

 10年前のMM-141Sの記事は「 こちら 」です。

次回、間に合えばご依頼品の4311カスタム、もしくは U
   まだ取り上げていないJBL製品あたりで。お楽しみに♪ U

FOSTEX FE108EΣ スペック  1個¥17,064円
メーカー解説:高性能ラウンドフレーム採用。
          高剛性/低歪みHP振動板を採用した最新バックロードホーン専用10cmフルレンジ。
再生周波数帯域 77Hz〜23000Hz
インピーダンス
出力音圧 90dB/W/m
Qo/mo 0.3/2.7g
入力 24W
バッフル開口径 100φmm〜102φmm
重量 1.2kg

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