●今回はJBL4311WX(1976年〜)のフルレストアとカスタムのご紹介です。

古いスピーカーを綺麗にしてくれる業者は多少ありますが、 
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なぜヴァリアスクラフトへのレストア依頼が途切れないのか? U
最近どんな汚れでも落とすスーパークリーニング店が増えてきましたが、 U
彼らは何百種類もの溶剤を配合し、日々研究に研究に重ねて結果を出しています。 U
それと同じで、ヴァリアスククラフトでは綺麗にするのではなく「
新品復活 」を目標としています。 U
そして
どうすれば新品のような状態へと復元できるのか? 日々研究を重ねております。 U
そんな結果によりご依頼数が増えている理由ですが、一番は古いスピーカに対しての情熱と U
ご依頼主様に喜んでいただけるよう、丹精を込めていることだと思っております。 U
もちちろんスピーカーですので、「
良い音 」が奏でられるようチューンや調整も念入りです。 U
今回は4セット以上同時進行したものを、まとめて掲載しるのでややこしいかもしれませんが、 U
他業者とは一味も二味も違うヴァリアスクラフトの「
新品復活レストア 」、どうぞご覧ください。 U

●4311WX
こちらの4311はとても程度が良く、10段階評価の8くらいでしょうか。貴重なお品です。
唯一ダメなところは下のプレートにウーハーのダンプ剤が付着していることです。
このダンプ剤は落とすと塗料まで剥げるので、クリーニングではなく再塗装の必要があります。
手間はかかりますが、再塗装するのでかなり綺麗になるメリットがあります。
●こちらは同じ4311WXですが、10段階評価で5と言ったところでしょうか。
下のプレートは問題なく手間もかかりませんが、ユニットのダメージは大きいです。
ですがユニットはオーバーホールするので、まったく問題ありません。
●それよりも木目の色ムラの方が問題です。
40年も経ってるスピーカーなので、色ムラや黒ずみはあたりまえのように多いですよね。
色ムラやコップ跡のような染みは、意外にも傷を修理するよりもやっかいで、綺麗にするにもそれなりの技術が必要です。でもまったく問題ありません。
●こちらはLE5-2、アルニコのスコーカーです。左の茶色は日焼けによる色抜けに加え、タンプ剤が飛び散った染みまであります。これはコーンの交換が必要なレベルですが、まったく問題ありません。ただし皺のあるLE5はまともな音が出ないので論外
右が修復後です。単純に黒で塗装しただけではこうはいきません。染みを目立たなくするには、写真の数倍黒くする必要があります。では
どうやったの?と気になりますよね。これがヴァリアスクラフトが研究を重ねてきた結果です。

真ん中は元々同じ黒紙ですが、違う溶剤で色抜いたものです。色を抜くと紙質が変化して強度が弱くなるという弱点があり、スピーカーとしては使い物になりません。だから強度を落とさずに染みを抜く、逆に紙質の強度を上げるなど、日々研究しています。上のLE5はその逆の手順をたどっています。

下はLE25・ツィーターのセンターキャップです。よく潰れているものを見かけますよね。
純正品ではないですが、サイズや質感は合格です。ですが「 色が黒い 」のが難点。これで交換するとキャップだけが黒くて変な違和感が出ます。そうならないよう、右は色を抜いている最中の物で、紙質の強度を落とさぬよう段階を踏まえておこないます。↓次のLE25・ツィーターキャップは色処理したキャップで交換したものです。
●こちらは2213アルニコウーハーです。
4312以前の物は日焼けや染みにより酷いものが多いですよね。それらは再塗装してカバーします。
ですが単純な塗装だと、いかにも塗りたくってます的で不自然なものが多いのも事実です。ヴァリアスクラフトでは純正塗料に近い物を、症状に合わせた色味で補正しています。そして
一番大事なのが下処理で、そこが良いできだと仕上がりがとても自然です。
だから4312Eなどの新しいウーハーを隣に置いても、まったく不自然さはありません。そして
コーンとエッジの境目部分、のりしろみたいに色が違いますよね。これはエッジに塗られたダンプ剤がコーンに染みこまないよう施されたものです。外国製品はこういうところが素晴らしい技術と気配りで感心します。ここも当時の新品のような質感を再現しています。
他のレストア品はこのあたりをよーく見てください。たぶんこのような再現方法はヴァリアスクラフトのみのはずです。
エッジには垂れないダンプ剤で再処理しています。
古い2213はダンパーなど経年劣化によりゆるすぎる(柔らかすぎる)場合が多く、音も悪くなるので強化して完璧に処理してます。

こちらはオーナー様よりお預かりしたコルク製のウーハーガスケットです。ただ見た瞬間、やけに細いなと感じました。
●仮置きしてみるとこんな感じで、かなり細いです。円の場合数ミリの違いでも大きさにだいぶ差が出ます。たぶんこれは社外エッジとセットの物で、そのエッジを使った場合はしっくりくるような感じでしょうか。
純正エッジには合わないようです。

左のエッジはダンプ剤を落とした後で、右は
垂れないダンプ剤 」を処理したものです。
●このコルク製ガスケットは、見栄えが良くなるよう加工して取り付けました。だいぶ違和感は無くなったと思いますが、けっこう大変でした。
写真ではお見せできませんが、柔らかすぎるダンパーを新品のよう復活させる処理も施してあります。
経験上アルニコの4311は必須項目です。
4311Bからは形状と厚みが若干変わり硬めにできてます。4312MK2でまた変わり、さらに硬めになりましたが、4312D〜はまた形状が変わり柔らかくなりました。年代により手法も変えております。
●こちらはフレーム。左はエッジから垂れたダンプ剤が付着し、それを取り除いたあと磨いたものです。
右は再塗装したもの。
垂れたダンプ剤はよく見る光景ですよね。
フレームはここだけではなく、全体を処理・塗装しています。内部の錆処理やコーティングはもちろん、LE5では特に酷い銀ぶちフレームも綺麗に再処理しています。
●こちらはネットワークで、右はフルチューンしたものです。
コンデンサーやケーブル、アッテネーターを単純に交換するだけではなく、接続部分を剥き直して再度圧着後、振動に耐えられるようブチルゴムやグルーを使いしっかり固めます。部品も大事ですが、それ以上に接点部分の密着や、しっかり固定することが音質に明暗を分けてきます。
●こちらは木目の下処理が終わり、前後を再塗装したものです。
いつも書いてますが、JBLは背面の端子板が薄くて弱いのが弱点です。
ここはしっかり再接着し、隙間が無いよう埋めていきます。木ネジ併用なのでおもいっきりたたいても外れません。
●フロントは顔なので入念に処理します。
特に艶の具合で雰囲気ががらっと変わるので、木目部と同様に、「
美しさを一番 」に考え仕上げています。
●こちらは完成間際の木目で乾燥中のものです。
真ん中あたり、洋服の袖しわといいますか、葉っぱのような模様がわかりますでしょうか。
40年も経ったJBLは塗料の劣化による黒ずみで、このような微妙な模様の加減がつきにくくなっております。そして機械によるサンダー処理した場合も同様、微妙な木目の風合いまで削っています。
ヴァリアスクラフトでは、深い傷以外には機械は使わず、手作業でこつこつ仕上げてます。だからどんな微妙な木目でも綺麗に再現する事ができます。
写真の精度が悪いのですが、実物はもっと立体的でリアルです。この質感は隣に未処理の物を並べると一目瞭然で、その違いに驚くはずです。
多種の木材で自作箱を作ってきた、実績あるヴァリアスクラフトだからできる技でもあり、この美しい木目は一度実際に見て欲しいくらいです。
綺麗にするだけなら突き板を貼るという手段もありますが、一般的に市販されている突き板は0.3mm程度の厚みしかなく、当時のJBLが使っている厚板のウォールナットとは雰囲気がまったく違います。4312Aから徐々に品質が落ち込み、現在の機種では木目が無いほどです。この厚い突き板は特殊木材の専門業者で取り扱いがありますが高額です。だからは私は地道にこつこつ補修してます。
●ユニット、キャビネットと終わり、ここからはカスタムに入ります。
右のターミナル、大きいですよね!最初に見たとき
「 なんだこの大きさは! 」と驚いたものです(笑
あまりにも大きいので、一般的な物(左)と並べてみました。手のひらより大きいくらいです。
●そして大きいだけではなく、しっかり作りこまれていました。特にターミナル同士を繋ぐ短絡板が厚くて驚きました。この厚みならケーブルに変える必要はまったくないです。音も良さそうですね。
●取り付けに入ります。
まずは背面板を外し、取り付けサイズを確認します。
この手のカバーは横から見ると斜めになっており、下と頂上でサイズが違います。だから表面に定規をあてて計測しても「あれ?入らないな」なんて事もあるので、サイズ確認には注意が必要です。
●次に箱をカットします。4311の背面板は21mm厚としっかりしたものですが、パーチクルボードなので加工は容易です。ただ写真のよう、元穴の位置がセンターよりズレているので、センターに合わせるとプレートとの位置関係で見た目が悪くなります。その辺はアメリカ製なので、細かい補正が必要です。
●ターミナルが収まるサイズにカットしましたが、元穴の幅が大きいので、このままだと真ん中のネジ留めができません。隙間はぎりぎり大丈夫なのでこのままでも装着できますが、このターミナルはとても重くヘビーなので、ネジの4点留めでは不安が残ります。
●そこで切り出した赤丸部分の木材を使い、隙間を補正していきます。
●薄く切り出して角にRを付け調整していきます。
ごらんのようピッタリできました。
切り出した木材を使えば厚みが同じなのでスマートに仕上がります。過去さんざん特殊な自作箱を作ってきたので、この手の事はおてのものです。
●切り出したパーツを接着、隙間を完全に埋め、整えて完成です。
これで6点ネジ留めが可能となり、より安心できますよね。


 
NEXT ↓ 続く
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