●7種のユニット聴き比べ、パート2
●ウッドコーンで一世風靡したパークオーディオは、今でも人気が高く、根強いファンも多い日本のメーカーである。
ウッドコーンはビクターが最初(だと思う)で、初めて実物を見た時は感動したものです。
こちらはさらに金属製フェイズプラグで武装しており、美しさが数段増している。一目惚れした私は、以前大量予約した(痛い思い)経緯もある(笑

 音の特徴は高域にあり、金属製フェイズプラグの恩恵なのかは解らないが、F80より澄みきた音がグングン伸びてくる。
私的な短所になるが、一番量感の感じやすい低域がやや薄く、荒々しさや迫力にかける。
だから全体が高域寄りの比重で、明るすぎ、クリアー質すぎるという一面もある。
 そんなユニットをボイド管に装着してみると、スキャンスピーク同様厚みが一段増し、フィーリングがグンっと良くなった。
タイトな低域は不満ではないが、F80やM4N、HiWaveのドスドスした重低音を聴いてしまうと、いささか物足りなさも感じてくる。
いずれにせよ、気品漂う音質はパークオーディオの特徴であり、やはりクラシックなどの繊細な音楽に向いていると感じました。
ちなみに、意外に思うかもしれないが、音のフィーリングはHiViとよく似ている。
●お次は、うほっ!! 懐かしっ!? FOSTEX FE87E 8cmフルレンジの登場です。
 久々の視聴となるFOSTEXは、ある意味楽しみな存在でもある。そして意気込みながらさっそくの音出し・・・
・・・・やっぱラジカセだった(笑
う〜ん、やはり低域がダメ。他のユニットと比較してる事もあり、中域が凸すぎる傾向は全体がこもって聞こえる。
ただしリアリティは無いが安らぎはある。
じっくり聴いてみると意外にボーカルが聴きとりやすいので、BGMにはいいかもしれない。センタースピーカーでもいけそう。
総じて。
 ボイド管は低域が誇張されるので、FOSTEXは良い塩梅になるのでは?と予想していたが、見事に覆さた結果でした。
FOSTEXはボイド管より、木箱の方がいいんじゃないかな。
それと私のボイド管は剛性を上げており、響きが出難い方向での制作です。だからマッチングが悪かったのかもしれません。
もっとラフに・適当に、補強とか何にもしないで組み上げた方が、このユニットには合うかもしれない。
 83Enや103Enはもっとクリアー質で厚みもあるので、相性はもっとよくなるでしょう。
いずれにせよ、古いラジオをかけたような、そんな懐かしい気分に浸れました。
●最後はこちら、Markaudio Alpair7v3 10cmフルレンジ

そこそこ値の張るユニットだけに、
とても楽しみな存在であるAlpair7
下のクラス、 CHR-70V3 との聴き比べは、
別の機会にやりたいと思う。

さっそく箱をあけると、ただならぬ雰囲気を醸し出してきた。
コーンの色も落ちつきがあり渋い。
上にあるのはカバーで、装着するしないはどちらでもいい。
網付きカバーなら尚良かったが。
●いきなりだが手にした瞬間
マグネットがずれていて超焦った(矢印)。

メーカー製のウーファーなんかでたまーに見かける光景だが、
こうなってると分解・オーバーホールするしかない。

そしてマグネットがずれるとコイルに噛んでしまい、
コーンが動かなくなる。
だからこのユニットも、
思わずコーンを押し確認してしまった(笑
●実は外れる構造でした。
粋なはからいですね。
●構造をまじまじ見てみると、とても丁寧な作り込に感心する。
端子は専用品で、構造も凝っている。
一つ残念なのがフレーム。アルミではなく樹脂でした。
ただ写真でも解るよう、強度を稼ぐような作りで厚みもある。
心配するほどの事ではないでしょう。
もしかしたら樹脂の素材にも、拘りがあるのかもしれません。
 このオーラは写真では伝わり難いが、
音出しがとても楽しみである。
●本体はこちら。
オーナー様のご要望、光沢仕上げ。
クリアーは5、6回ほど、やや厚めに重ね塗り。
一般的には鏡面に入りそうだが、甘いところも沢山ある。
それとボイド管の表面は意外なほど凸凹が強く、
鏡面にするには別の加工が必要になる。
 塩ビ管なら簡単にできそうですがね。
ボイド管は一筋縄じゃいかない事がわかりました。

そしてこの後磨きをかけ、ユニットを取り付け
●完成!! 私が写り込んでるのが気になるが、光沢物は綺麗に写りませんね。 
で、さっそくの音出し、まずは一言
「 フルレンジとは思えない(らしくない)くらい分解能が高い。いい音だ。 」

 CHR-70と同じ10cmフルレンジだが、 価格が倍ほどの高級版にあたる Alpair7
CHR-70は柔らかくて繊細、どこまでも伸びるような高域が特徴的だが、Alpair7はそれに加え、「 分解能がとても高い 」
簡単に言うと、中域・ボーカルの声質が浮いて聞こえるようなメリハリがある。
まるで2wayを聴いているような錯覚にとらわれるほどです。
 ボーカルが薄くあっさりしてるのはフルレンジ全般に言える事だが、このAlpair7はそこにメリハリがある。
バスドラと低い声の男性の区別、高い声の女性とバイオリン、ラッパの区別などなど、しっかり聴きとれるほど輪郭が明瞭。
そして低域の押し出しも強く馬力のある音。 簡単には崩れない、そんな余裕すら感じ取れるほどでした。

 分解能や解像度が高く感じられるのは、ボイド管にも理由があり、こちらは他よりも30%ほど強度上げて制作しました。
重量もボイド管としてはありえない8kg(本体のみ)と超ヘビー級。そして不要振動もバチっと抑えられている。
馬力のあるAlpair7を使うという事を前提で設計した箱なので、非力なユニットではうまく鳴らないかもしれません。
 とにかく、フルレンジのTOPクラスに入る実力者、完璧にエージングされたものを木箱に入れて聴いてみたいものです。


最後に。
 久しぶりにおこなった聴き比べレビュー、いかがでしたか。
私の耳はF80に浸食されてますが、マークオーディオの鳴りっぷりには脱帽しました。
 他には、癖が強めだがセッティングさえ決まれば中々いい、HiWave・平面振動板ユニットもわりとお気に入りでした。
子供から大人まで一般受けしそうなのがスキャンスピーク。
癖の無い聞きやすい音色は、適当にどこに置いてもそこそこ鳴ってくれる、そんな安心感がありました。
HiViとPARCは少しマニア向けかな。 モニター調の気質は楽器系音楽に向いてます。

 F80の低域をさらに良くし、PARCの高域をさらに良くしたのがマークオーディオ・Alpair7。
CHR70のリボンTW的な鳴り方も捨てがたいが、まだまだ底知れぬポテンシャルを持ってそうなAlpair7は、
他のユニットより一歩抜きでた存在でした。 2wayと比較・対決させてみたいものです。

 そしてボイド管だが、部屋を包み込むような臨場感は、見ため(構造)ほどはなく、2way(D-S9GX)の方が優れた結果でした。
ただしセッティングが重要な要素になるので、2wayの方がいいというのは、一概に言えることではありません。
そしてアンプによっても、傾向がガラリと変わりました。
 私はデジタルアンプを3種類持っており、いずれも透きとおるような綺麗な中高域が特徴です。
だが低域がダメ、 まるでBASSをフルブーストさせたようフィーリングには、違和感を覚えるほどです。
アナログは使用期間も長く馴染みがあり、かつラインストレートのようなセレクトで聴いてるので、
デジタルのボワボワした低域が、よけい気になったのかもしれません。
 今回のボイド管、ユニットの特徴もそれぞれ色濃く出てきたが、アンプによっても左右されやすいスピーカーでした。
それともう少し臨場感がでればいいのにな、そんな結果でもありました。
もしフルレンジで突き詰めていくのなら、果てはBOSE・901のような形になるのかもしれません。
スピーカーのあるべき姿が、また一歩見えてきた、そんな結果となりました。


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