●今回はボイド管の特性をを知るべく、7種類のユニットを搭載し、聴き比べしてみた。
相性の良いユニットはどれなのか!? まずは前半戦、さっそくご覧ください。
●トップバッターはHiVi M4N 10cmフルレンジ↑
ほんとうは8cmのB3Nがよかったが全て装着済みだったので、遊んでいたM4Nを搭載してみた。
・ユニットの特徴。
 マイルドで聴きやすい性質はB3Nとよく似ており、全体はクリアー質のモニター調。
長所は10cmだけあり、8cmより一歩低い音が出る。
 ボイド管は低音が響きすぎる、ブーミー(箱鳴り)傾向の性質だが、M4Nのタイトな低域は質も良く、バランスはわりといい。
ソースによっては、まるでスーパーウーファーを鳴らしてるような、そんなドキッとするような重低音がたまに飛び出してくる。
短所は高域に若干の癖がある。 高い声の女性ボーカルなどでは、たまに気になることがある。
中高域をやや多めに出すセッティング、ポートを開放気味にすると癖も低減し、よりマイルドになる。
総じて。
 全体はパークオーディオによく似たモニター質。ボーカルよりもJAZZや楽器系との相性がいい。
繊細な高域を聴きたいならTWを追加したいところだが、このスピーカーでそういう要素は求めない方がいいだろう。
意外と5.1のスーパーウーファーとして使えるかもしれないという、不思議な魅力のあるM4Nでした。
●続いてはメジャーな8cmフルレンジ↑、DIY AUDIO SA/F80AMG の登場
消えていくユニットが数多くある中、外車のように息の長いF80は未だ健在、人気のあるユニットです。
そんなF80だが、発売以来マイナーチェンジが何度かおこなわれており、すこしずつドンシャリ傾向へと変っていった。
 今回搭載するのは希少な初期型で、現行のドンシャリ・凹み型より全体がマイルド、フラットを意識した特性になる。
1、2Lほどの小型箱なら現行型が合うが、それ以外、特に大きめの箱なんかでは、非常にいいフィーリングで鳴ってくれる。
そして搭載するボイド管だが、他のものは全てφ200で、このF80を搭載するのはφ150タイプ。
φ200よりもφ150の方が明瞭感をそこなわず、フィーリングがとても良かった。
フロントポートは中央ポートより指向性が良くなるが、φ150では細かい作業となり制作も一番難しかった。
総じて。
 高域も良く伸びており、上から下までのバランスがいいF80は、箱のハードルを下げてくれる優秀なユニットです。
中域・ボーカルも聴きやすく、どんなジャンルでも無理なく鳴らす事ができるスピーカーでしょう。
●3番手はこちら↑、HiWave HiBM65C20F と長くて覚えづらい名前の9cmフルレンジ。
特徴はなんとも珍しい”平面振動板 ”
 最初は円錐コーンに蓋をしたような簡易的な物だと思っていたが、全て平面振動板に合わせられた構造だったので感心した。
音の特徴。 長所は中高域、癖の無いフラット感、かつクリアーで繊細な声質は特筆できるものがある。
短所は中低域で、男性ボーカルの下あたりに癖があり、ボーボーとボンつくような音、鳴きが多めに出る。
エージングや吸音材でだいぶ解消されるが、それなりのセッティングが必要なユニットである。

 搭載したボイド管は中央ポート。大きめに開けられた穴は、調整が容易というメリットがあるので、こちらを採用した。
最初はやはり鳴きが大きく嫌みな音が出ていたが、根強く調整しバランスを整えると、見違えるほど激変しました。
ソースによっては「 こんな音入ってるんだ 」なんて思わせるような質感で、高級ユニットを凌駕するほどのポテンシャルの持ち主。
あなどれないユニットでもある。
総じて。 
 全体はクリアー質のモニター調。
平面振動板の恩恵かどうかは解らないが、中高域の解像度が高く、繊細な音が入ってるJAZZやクラシックなどと相性がいい。
鳴らせば鳴らすほどどんどん良くなっていきそうな勢いがある。
しばらく聴いてると、なぜかケンウッドの”LSF-777 ”を思いだしてきた、そんなフィーリングでもありました。
●4thはこちら↑ なんだか懐かしいStereo誌の付録、ScanSpeak 10cmフルレンジです。
このユニットはデンマークの高級ブランドで、車載型でもメジャーなスキャンスピーク。
 音の特徴はヨーロピアントーンの色が濃く、やや凸系のモニター調。YAMAHAの10Mを少し明るくしたような、そんな感じでもある。
バランスは悪くないのだが、上記の3つと比べると中域がやや凸で、低域も弱めである。
だが低域の出やすいボイド管ということもあり、全体のバランスはいい感じに整ってきた。
 ボイド管は普通の2chに比べ、ユニットがあさっての方向へ向いている。だから直接音も少なく、中高域がマイルドになる。
そんな特性は、ボーカルの声が聞こえづらいという、短所を生み出た。
だが中域凸傾向のスキャンは、ボーカルの声が一番聞きとりやすいユニットでした。
総じて。
 一番自然な音、言い方を変えると、あたりさわりのない普通の音がこのスキャンスピーク。
他のユニットは時折”うわっ ”と思えるような重低音が飛び出してくるので、これは少し物足りなくも感じた。
ただこの手の音質は誰にでも馴染め、一般受けしそうな音でもある。
 4種の中では臨場感もあり、ボーカルやBGMに適している。センタースピーカーとしても使えそうだ。
同じヨーロピアントーンの Vifa TC9FD-18-08 も、このスキャンと似たようなフィーリングです。

まとめ
 今回のボイド管による比較視聴、いつもとだいぶ違うのが置き場所・セッティングで、頭〜50cmほど上に設置しました。
ユニットの向きは両方とも壁側になるので、ユニットからの直接音はなく、反射音を聴くようなスタイル。
 で最初の印象は、「 声ききずらいなー 」「音はあそこから出てるのかー 」てな感じでした。
もっと部屋を包み込むような臨場感を期待していたのだが、ふわっとした音は感じられなかった。
設置場所を工夫する必要がありそうです。
 音の広がり方は、フロントポートでも中央ポートでも、そんなに変りませんでした。
小箱より鳴きが多めのボイド管では、全体的に低域よりの比重になる。加えて直接音が少ない(無い)ので、
中高域がマイルドになりすぎる、ボーカルが聴きづらい時も、しばしありました。
その点ではフロントポートの方がやや有利で、輪郭がくっきりした明瞭な声質になりました。

 とりあえずそんなところだが、次回は後半戦、人気のあるパークオーディオや、最近お気に入りのマークオーディオ、
そして想像を超えてくれるのか!!!! FOSTEX !!!! の登場です。お楽しみに♪

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