●ヴァリアスクラフトが波動スピーカー作ってみた!!
という題材どおり、今回は話題?(遅すぎ?(^^;)の自作波動スピーカーのご紹介です。

スピーカーを作る時、響き(鳴き)や強度にこだわります。
それはビクター・SX-V1やケンウッド・LSF-777のような
剛性の高い、フロントバッフルに感銘したのが始まりでした。

今回の波動スピーカーはそれとはまったくの「 真逆 」、箱を「 鳴らす 」方向性のようで、
まさに”楽器 ”に近い作り方と言えるかもしれません。
そして実際のところ「
音はいいのか???
様々な疑問にかられながら制作を進め、どうにかこうにか完成しました。
さっそくご覧ください。
●まずは肝心の素材から。
こちらは大きなホームセンターなどで売ってる
ボイド管
呼ばれる紙筒。
トイレットペーパーの芯、それの大型版と思っていいでしょう。
写真の物は直径200mmで厚みが約9mm。
9mmあるので、子供が乗っても大丈夫な強度がある。
(私は乗ってません。べこっといきそうで(笑)

元は配線を通したり、コンクリートを流し込むような
工事関係の素材です。

塩ビ管に比べ、響き・エコー感が少ない
MDFに似たような性質でした。
●最初から難関の”切り ”にはいります。
垂直を出したいので機械で切りたいところだが、
中々そうもいかず、結局手切りとなりました。

側には10cm単位のガイドライン(青)があり、
いちいち線を引くような手間はかかりません。
そして材質は”紙 ”なので、ザックリ
わりと簡単に切れました。

写真は3本目くらい。
5、6本も切ってるとコツを掴んできます。
ちなみにこれは北海紙管というもので、他に神戸がありました。
神戸は表面がつるっとしているので、仕上がりが良さそうだと
感じましたが、線の印刷がずれていたので
こちらの北海をチョイスしました。
●次は切り口の凸凹を平らにならします。
これも直径が大きいので、
写真のような原始的な方法を取りました。

数があるとわりと大変。
やはり機械でスパッと切りたいところですね。
●切り口が綺麗になってきました。
トイレットペーパーと同じ、紙を何層にも重ねた構造なので、
油断するとボロボロになります。

そこでしっかりと固めました。
日本の木工用ボンドや、革用、紙用なんかは×
鉄、ガラス用などが○で、エポキシが◎
かちかちに硬くなる接着剤が必要です。
私はタイトボンドを使いました。
●表面を綺麗にならしていると
こんな事もちらほらと。
これ、つい引っ張ってはがしたくなるが、
そうすると余計ひどくなる(内部も同じ)。
だから丁寧な処理が必要になってきます。
●一番の問題はこの”段差
コンマ2mm程度だが、それでも表面が凸と
わかってしまうほどの凸具合。

オリジナルや自作品をよーく見てみると、
うっすら線が見えてました。
これはやっかい。
●とりあえずど真ん中に穴をあけ、ポート加工。
切り口を仕上げました。

ちなみに表面の凸を削ってみたが、
慎重にやらないとボロボロになり、手間もかかる。
何か対策を考えねばなりません。
●で、思考錯誤しながら側の完成。
ツキ板貼りです。
厚めのツキ板だと凸は目立たないが貼るのが大変。
薄目のツキ板だと簡単に貼れるが、凸が目立つ。
そこで凸を避け紙を貼り、できるだけフラットにしてから
ツキ板を貼りました。
これでもほんの少しだが凸がわかる
手間ほどの効果は薄かったようです。

壁紙とか革とか、そんな厚みがあり柔らい素材だと
いいかもしれません。
でもツキ板の質感が一番でしょう。
次はこのまま塗装に入ります。
●塗装が乾いたらターミナルを取り付けます。
市販されているものの中から、小さめをチョイスしました。
ほんとはデザイン性を考えると
埋め込みたい ”くらい。
●ケーブルはオーディオテクニカの三層構造
AT6S27 (デッドストック)をチョイス。
一つの箱に2(左右)つのユニットが同居するので、
絶縁特性の高いものを選んでみた。
ノイズなどにも効果ありそう。
グレードの良いケーブルです。
●本体が完成したら、バッフルを取り付けます。
右は200で左は150(実寸は198と148)。

性質を知る為、最初に仮組して鳴らしてみた。
すると
なんだこの変な音は!!

大げさに書くと、段ボールやペットボトルのような、
鳴きの酷い音に感じました。
低域には有利そうだが、
スピーカーとしてのレベルには達してない・・・
●そこで”VCC ”の登場です!!
結果は一目瞭然、
このためにあるような構造となりました。
ただバッフル面が狭いので、施工は大変です。

VCCとは?
セメントを使い振動を制御させる装置。

【振動】  
vibration
【制御】  
control
【セメント】
cement

元々はバッフル面の強度を上げたい事から始まる。
ビクターSX-V1、ケンウッドLSF-777からヒントを得ました。
●そして今回最大の特徴がこれ
魂柱 ”(こんちゅう・材質はスプルース)

凄い名前ですよね、魂の柱。
魂柱は
弦楽器の中に装着されており、
振動をまんべんなく伝える装置で、
音の為には、なくてはならない存在なんです。

このスピーカーはまさに”楽器 ”を模した構造。
そこで振動をまんべんなく伝える為、魂柱を思いつきました。
ボディを硬くするのは簡単だが
せっかくのボイド管、主旨が変ってしまいます。

魂柱の太さや場所を変えながら最終セッティング。
かなり時間がかかりましたが、職人魂に火が着きました!!
●最後は付属パーツの仕上げです。
こちらは台・ベース。
●こんな感じで組み合わせます。
こちらのサイト様を参考にさせて頂きました。
図面の書き方がプロですね。
●小さいターミナルをチョイスした理由がこれ。
この隙間に収めたかったんです。
●これは壁や天井に吊るし
●こんな感じで使用します。

普通に作ったら1kgにも満たない(ユニット別)
VCCで約3kgほどに。
オリジナルはおもりでも入れてるのかな?

そしてようやく
●完成!!!

先に少し書きましたが、単純な構造はそのまま単純な音質となり
きちんと制御された音は出ませんでした。
素人には通用するかもしれないが、マニアにはまったく通用しないでしょう。

そこで「 VCCや魂柱 」といった構造を加え、入念にセッティングを繰り返す。
すると解像度がグンっと上がり、繊細で味わい深い音質へと変貌しました。

波動スピーカーはそのデザインに大きな特徴があり、
ヨシ9だったか?と同じよう、音を聴いてみたい衝動にかられます。
ただし値段が高いので、自作する人が多いようです。
 作る人が増えれば増えるほど、知名度もどんどん上がりますね。
私はそこに一味加え、さらなる高みへと目指してるんです。

 今回は
ヴァリアスクラフトが波動スピーカー作ってみた!! という題材の元に始まりました。
最初は簡単に作れそうと感じていたが、細かい仕上げに入ってみると、めんどうな事が多々ありました。
そして制作にあたり、塩ビ管と紙筒どっちがいい?なんて事も考えてました。
仕上げだけを考えるなら塩ビ管ですが、音質では紙筒のほうが有利な気がします。
 結局のところ、どんなスピーカーでも、いい音・気持ちいい音を出すのが役目であり、自作する優位性ですね。


最後に。
昔は能書きばかりが先行してましたが、経験を積めば積むほどシンプルに。
シンプルイズベストかもしれません。

そうそう、このスピーカーには名前がありません。
反射、反響、音場、ワイドレンジスピーカー、
はたまた太鼓、丸太、寸胴などなど。
とりあえず馴染みやすそうな、太鼓スピーカー(仮)としておきます(いい案あれば御鞭撻を!!)。
今回もまた、スキル・経験値が上がった結果となりました。
次回は未定ですが、お楽しみにお待ちください♪

太鼓スピーカー(仮) 2013年
メーカー解説:
方式 1ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 8cm〜12cmのフルレンジ
再生周波数帯域
インピーダンス
出力音圧
クロスオーバー周波数
外形寸法 400幅×200高さ×奥行mm 
重量 約3kg(箱のみ)

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