●今回は超有名なユニット、ダイヤトーン P-610 (以後610) の紹介です。
この610が発売されたのは、なんと1958年。半世紀以上も前になる。
50年代とはフィフティーズですね。
とにかくおそろしく古い時代に誕生し、それから90年代頃まで、30年間も発売され続けた
ロングセラー商品でもある。
他に類をみない、凄いユニットなんです。

 私の知人談によるとその昔、秋葉原で山積みにされていたようで、
1台¥3,000円くらいの価格は、とても安いという印象があったそうです。
そして音が良いという印象もあったそうです。

 私はオークションで、初めてユニットの存在を知りました。
2万とか3万で取引されてたのを見て、高価で貴重なユニットなのか?
なんて思っていたほどです。そしてようやく聴ける日がきました。
●こちらが P-610A。
ラベルに昭和42年と書かれているので、
厳密には2代目ですかね?
初代610・BTSなんて言われているものです。

←エッジがボロボロだったので張り替えました。
フレームは少し錆びが出ていたので、
所々を塗装処理して塗装しました。
ブラックで落ち着いた雰囲気です。

メンテした印象、まず感じたのはコーンが超柔らかい
湿度が高いと、ヘロヘロになりそうなほどで、
取り扱いには神経を使いました。
同時にダンパーも柔らかいので、センター出しが難しいです。
 元々のエッジは平面で、どのくらいの動きやストローク
量があったのかはわかりません。

自作エッジでは凸、ロールを付けてるので、
フルストロークしても問題ありません。
ただコーンが柔らかいので、何かの拍子に
センターが狂ってしまう!! なんて事があるかもしれない。
それだけ柔らかく、シビアな素材でした。

エッジはユニットにとって大事なパーツであり、
ストローク具合で、音質が左右されてしまいます。
自信のない方は業者任せのほうが無難でしょう。
●こちらはB。
610にはAとBがあり、
Aは16Ω、Bは8Ωという違いでした。
パーツ構成はほぼ同じですが、音質は微妙に違いました。

←こちら写真はBとDB(後期物)で共に8Ω。
資料ではDBの高域が伸びてるようだが、
実際の視聴では、差はほとんど感じませんでした。

DBは若干能率が高いのと、パワーが強いのか?
中域の押し出しが強く感じます。
四角い所、フレームの大きさが影響してるのかは
わかりませんが、マグネット自体の大きさは同じでした。

テストの際いちいちハンダ付けするのも面倒なので、
端子(オス)を装着。
これで少し楽になりました。
●さて、肝心の箱に入ります。
こちらは
FOSTEX BK25A というキットの箱で絶版品、
今では希少かもしれませんね。
フロントバッフルを新たに作り直しました。

密閉、バスレフ、Wバスレフと試した結果、
バスレフが一番素直で好みでした。
中域はあまり出したくないので、
ビクターに習いポート分割、いい塩梅を探りました。
デザインもいい感じです。
●色々とテストし、ポート長が決まったので
仕上げに入ります。
今回は塗装仕上げ。
乾燥後磨きをかけます。
内部吸音材(新品)をセットし
いよいよ最終、ユニットの取り付けに入ります。
●とその前に、ユニットが2ペアあるので
もう一つ箱を作ってみました。

610の箱って、なんだか大きい物ばかりですよね。
だから今風といいますか、
音質がそこなわない程度、できる限りコンパクにしました。

←写真は加工前のバッフル、●部をカットします。
すると両サイドの隙間は2mmとなり、限界もいいとこです。
バッフルを挟むようにサイドの板を取り付けます。
とにかくギリギリでした。

そして
●完成!! いかがでしょう。
まず一台目の箱、FOSTEX BK25A改だが、元はニスがべっとりだったので色々と苦労しました。
ツキ板貼る事も考えたが、多少木目が残ってたので、そのまま塗装、V1風・マホガニーで仕上げてみた。

そしてその下の箱は、パイン集成材のWバスレフ方式・17Lです。
できるだけコンパクトにしたかったのと、15Lは欲しいだろうと考え、
思考錯誤した結果、こんな形になりました。
 パイン集成材は軽くて柔らかいので、Wバスレフは強度も稼げる、一石二鳥の方式です。
加え側をパーチクルボードにしたので、より強度が増し、不要振動も抑えられてるはずです。
私的には、BK25Aのようなゆったり鳴る箱よりスピード感があり、いいように感じました。

そんなところですが、箱(BK25改)に入れてのレビューに入りたいとおもいます。
まずは一言
艶っぽい音、たしかにいい音だわ

最初に飛び出してきたのは押しの強い中域。
最近はリボン系やヨーロピアンテイストばかりだったので、
色気ある艶やかさは久々の感覚。妙に生々しく感じました。
能率が高めなのと、わりと中域がクリアなので、TVの音も聴きやすいです。

立派なのが高域。
年代を感じさせないほどキメ細かく、上品で柔らかい音色は、とても心地よいものです。

低域。
フルレンジの場合、量感でバランスが左右されるほど、大事なファクターが低域です。
今回の箱は25Lという、わりと大きめの箱なのと、フロントバスレフという事もあり、けっこう量感も出ました。
ポート分割が効いているのか?量感とキレ具合、ちょうどいい塩梅となりました。

総じて。
低中高、全てのバランスが整っている、とても優秀なフルレンジです。
当初(聴く前)は低域が足りないだろう、なんて予想だったので、
内部にもう1ユニット仕込もうか、という案も考えてました。
だが実際には、ぜんぜん足りており、量・質感共々、満足のいくものでした。
 楽器系・フルオーケストラを主に聴くのであれば、逆に高域を追加した方がいいくらいです。
P-610、年代を感じさせるほどの風防ですが、出てきた音は新鮮、本当に驚きました。
この音色、世界に誇れるJAPANサウンド と言っても、過言ではないでしょう。

最後に。
今でも高値取引が納得、十分理解できる結果となりました。
 ただ今回使ったユニットのよう、初期型は年月もかなり経っており、
ポテンシャルを引き出すには、それなりのメンテナンスも必要です。
箱は今風、良質な物を合わせてやりたいですね。

これでボーカルを堪能し、昔を思い懐かしむのもよさそうです。
P-610、後世まで大切の残してやりたい、そんな味わい深いスピーカーでした。

次回、また懲りずに自作ですが、最小サイズです。お楽しみに♪
DIATONE P-610 1958年〜 
メーカー解説:
方式 1ウェイ・1スピーカー・バスレフ&Wバスレフ方式
使用ユニット 全域:16cmコーン型
再生周波数帯域 45Hz〜18000Hz
インピーダンス 16Ω
出力音圧 94dB/W/m
クロスオーバー周波数
外形寸法 BK25A  幅280×高さ450×奥行295mm 約25L 重さ7.5kg
パイン集 幅180×高さ415×奥行360mm 約17L 重さ7kg
●スペックはザックリです。

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