●今回はお初となる、JBL4401のご紹介です。 
プロ用と家庭用を分けるなど、とにかくラインナップの多いJBLですが、 

4401はプロ用の中でもかなり小さな作りで、J216PROと同じくらい、4312Mを少し大きくした程のサイズです。 
ただ小さいと言ってもアメリカンサイズなので、日本製に多く見られる中型機くらいでしょうか。 
発売は日本のオーディオ黄金期の1982年だけに、否応なく期待が高まります。 
さらに今回は、オンリーワン「 日本に一台しかない特別な4401 」を作って欲しいとのご依頼品です。 
そんなところでさっそくいってみましょう! 
見た目はオールドJBLの雰囲気たっぷりの4401。
あまり見慣れないユニットが装着されてます。
調べてみると、同年代に4411という一回り大きい3wayがありました。
他にも44シリーズはラインナップが豊富で把握しきれませんが、大きいホーンの4425はわりと見かけます。
こちらぼの4401はすでに別の方がメンテナンスしたという物でした。
●アッテネーターのつまみが長っ。ネットを外すとそのインパクトが目に付きます。サランネットを装着したままでも調整可能なよう、長い作りになってました。
●4301と並べてみました。
写真でもこれだけの差なので、実在はもっと差があるように感じます。
●さて、4401の純正エッジはウレタンで、すでに朽ちてるはずですが、これは交換品とすぐにわかります。
このエッジはシリコンなんたらの自作エッジのようで、布にシリコンシーラントを塗って作られた物のようです。素材感や動作は、メーカー製に多い布エッジではなくほぼゴムエッジの感覚です。シリコンを接着するにはシリコンを使うのがベストですが、大量に使われたシリコンは雑な印象に感じます。エッジは全体的に硬めで、指で押すと硬い所と柔らかい所のムラが激しい。手塗りなのでいたしかたないと思います。
最初に見た時からエッジは剥がそうと思っていたのですが、やたらベッタリ付けられているので、無理やり剥がすとコーンにダメージが出そうです。
とりあえずエッジの交換は保留とし、まずはムラを均等にできるか試してみましたが、シリコンは溶けにくく削るしかないので作業も容易ではありません。大変です。
そして作業していくと、別の問題も発生しました。

●とりあえずユニットを外します。
4401はツィーターの上にウーハーのフレームが重なっているので、先にウーハーを外さないとツィーターが外せないというよな構造です。おもしろいですね。
そしてウーファーを外してみると、吸音材は乱雑で、エッジのカスも飛び散ったままでした。ヤフオクで修理し売ってる物はこんなレベルが多いですが、掃除くらいはして欲しいものです。
●気を取り直して作業を進めるます。
まずは散乱したエッジの破片やゴミを一つ一つ取り除きました。吸音材も外していくとネットワークが現れました。
ぱっと見パーツが多く、なにやら深みのある音の出そうな構成でした。4313によく似た雰囲気です。


●続いてユニットに入ります。
まずはエッジの状態を確認したいので、裸の状態で音量を上げていくと、何やらビリビリしはじめました。
外して見た瞬間嫌な予感がしてたのですが、片側はマグネットが外れて接着した痕跡がありました。G17(ボンド)がベッタリと塗られており、ずれたからあわてて接着補強したのか?いずれにせよこのままでは安心して使う事はできません。
分解してみると、案の定センター(ヨーク)がずれてました。直すのは問題ないですが、他人がべたべたやったものをもう一度やり直すのは気分的には良くないです。
そしてもう一つやっかいなのが、コーンとエッジに使われている接着剤。和紙に油性の接着剤で布を貼り、それを剥がす事を想像すればわかりやすいかもしれませんが、綺麗に剥がすのは容易ではありません。
エッジの張替えをする業者は、別の人がやったものや、紙コーンに接着剤がべっとり付いたものは購入を避けるよう、私も同じ気持ちです。こういう物をやり直すのは容易ではありません。
●こちらはツィーター。
フレームはプラスチックで網は鉄。マグネットは標準サイズといったところ。JBLでよく使われているタイプです。
●マグネットには少し錆が出てますが、手付かずなのが逆に○です。
●網を外すと、ネジが錆でこんもりしていました。
内部のフレームも鉄なので、ネジの下周辺にも錆がでているはずです。ですがそれほど問題ではありません。

ドームはプラ状のベースにアルミが蒸着されたもので、JBLによくあるタイプです。
ちなみにツィーターのネジは全てがインチサイズなので、mmではなくインチサイズの六角が必要になります。
●ツィーターを保護する網カバーは、中が見え難いほど目が細かいものでした。けっこう柔らかめなので、強く押すとグにゅっといきます。
写真だと綺麗ですがけっこう汚れてました。
右がクリーニング後。
●ネットワークを外しました。
パーツ点数が多く、一見 18dB/oct かと思いましたがそうではなく、JBL独自のオリジナル構成でした。
大中小3つの四角いコイルは
サイズから大2.0、中1.0、小0.3mHくらいに見えますが、
実は大2.0、中1.0、小1.8でした(値は例です)。
小さくても容量の大きいコイルは細い線がこれでもかというほど巻かれています。ターミナルはJBLでよく見るプッシュタイプでした。
●さっそくフルチューンしました。
同じ値の物をてきとうに交換するのではなく、どの部品がどの役目かをきちんと把握し、ネットワークの気持ちになって交換しています(笑
電気の流れを把握すれば、独立配線にするなどの高効率化も容易にでき、出音が安定してフィーリングもよくなります。それらを全てしっかりおこなうことにより、ノーマルとの違いも明らかになり差がうまれます。
●今回は1級品としての差別化で、背面ターミナルの取り付け板をもしっかりと塗装処理します。
←セルリアンブルー

●そしてフロントバッフルは青に。ベースは4301Bの青です。



 サーフィンをこよなく愛するオーナー様より
フロントバッフルは青で、全体を枯れた感じの
風味にして欲しいとの要望がありました。
そこで今回は、晴れ渡る青空の下
   透き通るような綺麗な海を想像し

 「 セルリアンブルー 」をほんの少しだけ混ぜ、
                海の雰囲気を再現しました。

気持ちなので色目はほぼ変えてません。
そしていつもは細目の表面処理ですが
  今回は若干荒い中目にし

 「 海面の波打つ感じ 」を表現してみました。


 最後に全体をコートし箱の完成です。
TVの劇的ビフォーアフターと同じよう、オーナー様の身になり考えながら製作いたしました。
ただ勝手に想像を膨らませているので、気に入って頂けるかは最後まで不安です。
●そして全パーツが完成しました。

箱の小傷や角の潰れなどすべて補修しました。
やや剥がれやすいツキ板も補修しております。
●ユニットのオーバーホール
ウーファーエッジは交換せず、できる限り均等になるよう調整しました。
今の所ビビリやざらつきは無くなりました。
コーンは写真でみるより黄ばんでましたので、クリーニング後軽く塗装しました。

ツィーターは錆以外問題ありませんでした。
●最後にユニットを取り付け
●これが
●このように
●背面はこのようになり
●いかがでしょう。白いコーンはブルーバッフルに映えますね! 
たぶん実物を見た人のほとんどは純正だと思うはずです。 
最初は背面も青にしようかと悩みましたが、黒にしてメリハリを付けました。 


ではフルレストア、フルチューンした4401をさっそく音出し
まずは一言 
 「
想像以上に深いな

 最初に鳴らしたときはエッジが固く低音出ず、それどころか聴き疲れする音 
(たぶんビビリが原因)でしたが、今は激変するほど生まれ変わりました。 

 パンチがありつつさらさらと伸びていく高域は、あきらかに廉価版とは違うフィーリング。 
中域・女性ボーカルはJBLにありがちなクリアー質ですが、嫌みな癖の無い聞きやすい音色。 
17cmウーハーは4301の20cmに比べたった3cmの違いですが、あきらかに量感が少なすぎでした。 
そのウーハーからしっかりした低域が出るようエッジとダンパーを調整すると、男性ボーカルやTVの 
声もかなり自然になりました。全体のバランスも良く、鳴らせば鳴らすほどレベルアップしていくのが 
実感できます。4301の濃厚な低音も素敵ですが、4401のさわやかな低域フィールもまた素敵で、 
長時間の使用でもまったく聴き疲れしない心地良いフィーリングです。 

総じて。
ネットワークの構成による深みや、質感の良いツィーターは4313によく似たフィーリング 
ですが、フルチューンによりその音色は、2ランク上の上級機種のようにかわり、耳を疑 
うほどサイズ越えた臨場感を奏でてくれようになりました
。大成功です。 

最後に。
 今回の4401フルチューン、フルレストア、フルカスタムはいかがでしたか。最初は 
色々と問題もありましたが、完成したこの音色を聴けばすべての苦労が吹っ飛びました。 
この音色は日本製の何かに似てる気がしますが、その何かが浮かんできません。 
古いONKYOかな? 
同サイズの4312MやJ216PROと比べると格段に差がつきました。 
このサイズの中では間違いなくTOPクラスの音質でしょう。 
なにわともあれ 
 最後まで心を込めてのオンリーワンフルカスタム 

  特別な存在、「
最強の4401 」がここに誕生しました。

あとはオーナー様に気に入ってもらえるよう願うばかりです。 
ご依頼いただきまして、まことにありがとうございましたm(_ _)m 

次回、フルカスタム待ちのスーパー4301Bに手をつけヤフオクに出品したいところですが、 
  まだまだ予約品がいっぱいなので、お待たせしないよう、ご依頼品を仕上げてます。 
  次も間があくかもしれませんが、どうぞ楽しみにお待ちくださいませ♪ 

JBL 4401 1982年 ¥124,000円(ペア)
メーカー解説: JBLのプロ用技術を凝縮して開発されたコンパクトモニタースピーカー。

 低域には17cmウーファーを搭載。
リニアリティを高めたロングボイスコイルやランサプラス塗布によって質量がコントロールされ、
小型ながら低音再生能力を高めています。
 高域には軽量フェノールにアルミ蒸着された硬質ダイアフラムを用いたドーム型トゥイーターを採用。
エンクロージャーにはバスレフ方式を採用しています。
また、グリルクロスを装着した状態でレベルコントロールできるデザインとなっています。〜中略〜
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型(034)
低域用:17cmコーン型 (115H)
再生周波数帯域 70Hz〜18000Hz
インピーダンス
出力音圧 88dB/W/m
クロスオーバー周波数 2.5KHz
外形寸法 幅238×高さ375×奥行203mm 約L
重量 8kg

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