●みんさんこんにちは^^
2016年の一発目は遅ればせながらわりとレア?な存在「
JBL 4313WX(アルニコ) 」紹介します。 U
4313とは聞き慣れないナンバーですが、1979年〜81年に発売された U
黒いアルニコの4313WXと、青のフェライト4313Bの2機種のみでした。 U
調べていくと 4315 という機種もあり、数字では後継ですが年代が逆行しておりサイズも一回り大きいものです。 U
今から10年ほど前に発売された 4318 が、見た目にも後継機かもしれません。 U
ややこしくなりそうですが、私はこの4313を見た瞬間 U
何か独特の雰囲気と言いますか、不思議な存在を感じました。 U

そんな4313WX(以下4313)ですが、ウーファーが×なのでまずは張替え、 U
その後再セットし→ 視聴→ またバラバラにして→ O/H(オーバーホール)→ チューニングという U
初物ならではの時間のかかる内容となりそうです。 U

 そんなところですが、2016年もどうぞよろしくお願いします!
 
●左の青が4301Bで
右の黒が今回紹介する「
4313WX 」です。

正面から見ると、高さと幅が大きいですね。
ほぼ4311と同サイズといったところです。
●が、真上からみるとこんなに薄い!奥行き25cm
小型スピーカーでも奥行きの平均はだいたい20cm前後。

4313は高さ580で幅が360と4311と同等サイズなのに
奥行きが250なので U
ずいぶん薄いスピーカーに感じます。

1979年発売当時は想像出来なかったと思う薄型TV。 
その液晶TV台にピッタリの奥行きです。 U
なんとも実用的ですね。 U
ただ薄さゆえの低音不足も想像できますが、 U
果たしてどんな音色が出るのでしょう。 U
●さっそく分解といきたいところですが、
ご覧のようエッジが×なので、まずはエッジを張替えます。
●ナット式のネジを外しユニットを持ち上げると
おお!アルニコです。 U
これは LE111A という型番で、 U
ランサーなどでおなじみ LE10A の後継機でしょうか。
外装は錆もなくとても良い状態です。 U
●そしてウーファーを外したとき気になったのが

←ちらっと見えたネットワーク・・・

 なにやら只ならぬ雰囲気です。

吸音材も綺麗ですね。
良い状態で保管されてようです。
●数日後、注文したエッジが届きました。
選べるほど種類がなかったので U
精度の良さそうな純正タイプのウレタンを購入。
耐久性を上げるべく U
油性の液体ゴムでコーティングしました。

ユニットはパッキンを外し、ボンドを綺麗に落とします。

←黒いフレームの内側、銀色の凹部分がエッジの外周になるわけだが、
写真でわかるようクリアランスに余裕がありません。
精度の良いエッジを選ばないと、あとあと大変になりそうです。

●フレームはALLアルミ製。
近くで見るとヘアラインもしっかり出ており U
高級感抜群です。

←コーンは紙で、スコーカーLE5に代表される素材が使われてます。
有名な LE8T はこの上から
JBLではおなじみ、白の制動材が塗られていますが
●この111Aは裏側に塗られていました。
やや重みのせいか、ダンパーが若干沈んでます。 U
エッジを張り替える前にダンパー調整が必要になりそうです。

あとはすこし見えずらいがリード線の上と左横に
なにやら文字が書かれていました。 U
外国製によくある”洒落の落書き ”ではないようです(笑
★エッジを注文し届くまでに時間があるので、ダンパーを外して調整作業に入ります。
そしてようやく届いたエッジを張り、はやる気持ちを抑えながら1日寝かしての音出し

まずは一言
 「 な、何だこれ、深いな 」
 「 ちゃんと3wayしてるぞ 」

まずは低域
箱が薄く量感の少ないイメージとは違い、意外とたっぷりした低域が出てきました。 U
L26の123Aと同サイズで同アルニコだが、キレや質感のキャラクターがだいぶ違うように感じます。 U
どちらかと言えば LE8T と似たようなフィーリングかもしれません。 U

次に高域
ドーム部が潰れているうえ、見慣れない外見の066。 U
正直なんだか安っぽいツィーターだな、なんて印象でしたが出てきた音は別物でびっくり。 U
定番のLE25よりも柔らかく、カタログの18kHz以上に伸びが感じられ透明感もある。 U
216についてるような廉価版ツィーターとはあきらかな違いどころか、035Tiや052Tiよりも格上の音色に感じました。 U

そして一番驚いたのがMID・スコーカーで、これがまさに 4313の音色を決定付ける と言っても過言ではないでしょう。 U
音色自体は馴染みあるLE5ですが、ネットワークで入念に調整されてる感じ U
それはまるで
  「 ボーカルを聴くためのスピーカー 」、と言えそうなフィーリングです。

 まだメンテナンスしてない、エッジの硬いLE5なので出音も硬めですが、 U
フルポテンシャルのLE5を装着したらどんな音色に変わるやら、末恐ろしくもめちゃくちゃ楽しみです。 U
一聴してわかるこの音の凄さはネットワークに秘密がありそうです。 U
4311や4312ではどのユニットも主張させずに一つにまとめられた音作りの傾向ですが、 U
4313はあえて分離させる、ヨーロピアン3wayに近いフィーリングです。 U

 いや〜、どんな音色か想像もつかなかっただけに驚きました。 U
JBLにもこんなスピーカーがあったのかと奥深さを見せ付けられた感じです。 U
まだ何か秘策があるかもしれない4313、さらに掘り下げて検証していきましょう。 U
●レベルの高い音色に酔いしれる前に、
さらなるレベルアップをはかります。

まずはユニットのO/Hから。

正面から見ると「 これはもしかしてアルニコ・・・ 」
なんていう期待にかられてしまいますが、 U
ふぅ〜馴染み深いLE5でした(^^;

私はJBLユニットを見るとき、ある物が付いていると
やった!と少しうれしくなります。U
それは←の
ピン 
このピン付きユニットはセンターを出す必要が無いので、
格段に分解しやすく、そして組み立てやすいという利点があります。
全部これだったらいいのにと毎回思うほどいい構造です。
●写真左、LE5のエッジはダイヤのそれよりも頑固で
柔らかくするにもコツがいり手間もかかります。U 
左のアップで、右のテカテカは処理前 
左が処理後です。 U
未処理エッジはツルツルテカテカなので、見ればすぐに分かります。
 LE25もそうですがLE5も概観が綺麗であっても U
内部ギャップ部など、意外と白錆が出てる事が多いです。
錆をペーパーで取り除いたあと、再発防止の為にコーティングします。さらに組み立てた後もマグネット周辺など錆の出やすい部分を U
←のようしっかりコーティングしてます。
乾いたら半透明になります。
●そしてお初となるツィーター、型番は066

ドームがべっこりいってますね。 U
実物を見て、触れてみるまで解りませんが、
このドームはわりと固い素材でできており、 U
外から引っ張り上げる(修復する)のは困難のようです。
それとドーム部分の銀色は塗装で、 U
へたにいじるとボロボロと剥がれてきます。
●このツィーターは中付けなので、片腕を箱の中につっこみツィーターを抑えながら、もう片腕でネジを外すという、やっかいな取り付け方法でした 

そして外れた瞬間、ずっしりした重みが伝わりました。
まずはこの重さにやられ(心が)ますね(笑

←外装はオールアルミ製
単品で見ると高級ツィーターの雰囲気です。
●慎重にばらしていきます。
インチ六角が必要でした。

←想像以上に綺麗でしたが、ヨーク部に白錆が出ていたので磨いてコーティングしました。
●ドーム部
ベースとなるアルミプレートの上にドーム素材を形成、
その後上からコーティングしたような素材です。

←左の茶色、硬そうな質感が感じられるでしょうか。
裏側から凹みをそっと戻しましたが U
右写真のよう、周りにポコポコと跡が残ってしまいます。
これはソフトドームでも同じ症状が出ますね。 U

直すには矯正が必要なので、まずは道具を用意します。
●ドームと同じ型を作り、裏表で圧着しながら矯正していきます。
パキパキいうような固い素材なのでやや跡が残りましたが、
だいぶ綺麗に修復できました。 U
これ直すのが難しいので、自信の無い方はいじらないほうが無難です。 U
●フレーム内部やマグネットも全てコーティングしてるので多少の絶縁性はありますが、念には念を入れ U
リード線周りを絶縁処理します。

←そして一番大変なのがこれ、ヘアライン入りに外装

ポツポツした黒い点々が見えると思いますが、それはすべて錆です。
これを落とすのに、がーっとペーパーかげすれば簡単ですが、同時にヘアラインが消えてしまいます。 U
だからまずは目立つ黒ずみ部分を、線にそってカッターで少しづつ削り落とします。
 U
●その後酸を付け歯ブラシで磨きます。
それを綺麗になるまで繰り返します。

マスクとゴム手袋が必需品です。

そして完全ではないにしろ
だいぶ綺麗になりました。
●よく乾燥させたあと、
全てのパーツを組み立てて完成です。

←完璧ではありませんが、かなり綺麗になりました。
ヘアラインも残してます。

こういう銀色って、写真だとぜんぜんわからないですよね。
写真では綺麗でも実物は錆だらけ、なんていうのがほとんどです。 
もし錆が酷いようであれば、ヘアラインが消えることを覚悟で磨いたほうが、仕上がりは綺麗になります。 U
機械を使うので簡単ですしね。 U

手作業での苦労がわかっていただければ幸いです(笑
●さてさて、ユニットを全部外した箱
残ってる部品も全部外していきます。
 U
●ツィーターの穴からチラッと見えた抵抗。
どんだけネットワークがでかいのやら。 U

ちなみにユニットもネットワークも
ALLナット式ネジでした。 U
何か特別な意欲すら感じられる作りです。
 U
●ウーファーの穴からのぞくと
スコーカー用バックキャビティが鎮座しています。 U

このバックキャビティとネットワークが邪魔して、ツィーターを取り出すのが困難になってます。 U

もしドームが綺麗な凸の場合、外す時 U
←この内部を移動させ、逆に凹ましてしまう可能性もあるので注意が必要です。 U
先にネットワークを外したほうがいいかもしれません。
 U
●↑でチラッと見えたネットワーク
基盤はなんと U
←こんなサイズでした(赤色部分) U

いったいどんなネットワークが出てくるのやら
●ネットワークを外すにはアッテネーターも外す必要があるので、まずはプレートを外します。 U
このプレートはアルミ製で、少し力を入れるとすぐしわしわになってしまう難しい素材です。 U
だから剥がすのもコツが必要です。 U
正直あまりやりたくない作業でもあります。 U

←慎重に剥がしていくとネジが4つ出てきました。
このネジを外すとアッテネーターが外れます。 U


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