●2015年も残すところあとわずか。
早いものですねー。あっという間の一年でした。
先日頃より、何年かぶりに体調が悪くなり歳のせいかな?
なんて思っていたら風邪でした。風邪ってこんなにつらいんですね。
みなさまもお体はご自愛ください。

 さて、今回はJBLの異端児?4312XPの登場です。
XPと言えばパソコンを連想しがちですが、PCのXPは2001年の発売、
この4312XPは1990年の発売なので関連性は無いようです。
それと431シリーズはほぼすべて同形ですが、このXPとSXだけやや違う作りになってます。
設計チームの違いなのか?、音色も違うのか?中を見ないと謎に包まれてますね。
そんなところで、さっそくメンテに入ります!
 U
●左が今回メンテナンスをおこなう4312XPで
右は4312Dで、どちらも程度はいいほうです。

こうして並べると、パッと見似てますが
●細かいところが違いますね。
●上から見ても
●正面でも、
XPはこの出っ張りデザイン?が目に付きます。
アッテネーターの機能は同じですが、少し回しづらいです。
●さてウーファーを外しました。

本体はMDFで出来ており、吸音材は綿
他の431より少なめです。
●その綿をめくってみると
ネットワークが出てきました。

ちょうどターミナルの裏側に配置されてます。
構成も4312Aとほぼ同じでした。
●内部をのぞきこむと
ん?ポートがやけに短いな(中央)
という事に気づきました。
MIDのバックキャビティはプラスチックで砲弾型でした。

←そしてこのブ厚いゴムバッフル
 こうして見ると只物でない雰囲気が味わえます。

吸音材は背面のみなので
箱を響かせる方向性のようです。
●本体、木目部分がMDFで
この黒い部分はゴムのような感じですが
一般的なゴムのような弾力はなく、かなり硬質です。
JBLではこれを
 「
リアクション・モールデッド・フォーム
と言ってるようです。

ちなみに傷や汚れを綺麗にするのが難しいです。
●MIDとツィーターの背面には、
5mm厚ほどのウレタンスポンジ?が貼ってあります。

JBLではこれを
 「
ネオプレーン・フォーム
と言ってます。

やや波打ってますが、これはユニットを閉めこむと
こうなるものですね。
補修しておきます。
●そしてこの硬質ゴムのようなフロントバッフル
 「リアクション・モールデッド・フォーム」
は横から見ると
なんと角度が付いてました。
●こう

微小な角度のせいもあり、
見た瞬間かなりの「
こだわり 」が感じられました。

別のチームが設計したのでしょうか?
●さて、XPといえば
垂れ垂れのダンプ材が難点です。
ユニットをよりスムーズに動かすのが目的だったのか
4312Aよりも
柔らかめのダンプ材が採用されてました。

そしてこの垂れが原因か?
次のモデルになる4312MKUでは、 U
 逆に垂れない   
U
カチカチに固まるダンプ材が採用されております。U
やはりJBLも垂れすぎだったと認識してたようです。
ダンプ材は難しいです。

そんなダンプ材を、一度を全部落とします。
●これはフレームの裏側
てかてかに光ってるのがダンプ材で
タレ落ちてる事が確認できます。

このダンプ材は指ですくい取るように取り除くか
ダンプ材が柔らかいようであれば、
ヨーグルトの紙スプーンなんかが役立ちます。

ただし完全には取れないので、素直にO/Hしたほうが
簡単で手間もかかりません。
●そんなフレームは
赤線のよう、深めの凹になっているので
ダンプ材が内部にタレ落ちることはありません。
ただし寝かせた状態が長いとタレ落ちる場合もありそうです。

一度元のダンプ材を取り除いた後、新たにダンプ材を塗るのですが、市販のダンプ材も垂れやすいので、私はオリジナルで調整したものを使い仕上げてます。
●内部は大丈夫ですが、表面には垂れ落ちまくり。
このようにネットに浸透し、くっついていました。
強力な粘着なので、ご覧のようガスケットのスポンジまで一緒に剥がれています。
無理やり剥がそうとするとユニットが破損する恐れがあるので注意が必要です。

何とか綺麗にならないものかとクリーニング・・・
そして
4時間ほどかかったでしょうか。
だいぶ綺麗にはなりましたが、とんでもなく大変でした。
こうなっていたら迷わず
張替えをおススメします。
もしかしたら瞬間冷却スプレーで固めれば落としやすくなったかもしれません。
ただものが無かったので試せませんでした。
このべたべたは他に付くと落ちないので要注意です。
●べとべとを落とすだけで精根尽きました(笑

ツィーターとウーファーのみO/Hをおこない
MIDはクリーニングとエッジの調整をおこないました。

さて、音質はのちほど書きますが、
この箱は写真でわかるよう吸音材が少なめで、
鳴らすタイプです。
私は好みじゃないので、新たに吸音材をたっぷり入れました。
ポートも延長すると、だいぶフィーリングが変わります。

内部を調整後ユニットを取り付け
祝!完成!

今回はメンテナンスのみで、
吸音材を追加したライトチューンになります。
●この木目は良くできたシートで
こうして写真で見ると、かなり小奇麗でいい雰囲気ですよね。

ただ実際に目にすると、本物の質感には及ばないのは残念ですが、シートとしては上出来です。
●さっそく肝心のインプレに入ります。
メンテ前のウーファーはムラがあり鈍いので、まずは完全動作するようメンテナンスしました。 
U
ユニットをO/Hしたのと吸音材を追加した意外、ネットワークはノーマルです。 U
まずは一言 U
 「
中域・声質が厚いなー 」 「 密閉に似た傾向もあるなー

 フロントバッフルのゴム?が効いてるのか? U
不要振動の少ない的確なフィーリングは、一瞬密閉のようにも感じました。 U
そしてこ慣れてくると、弾むような重い音がどんどん出てきます。 U
ユニットは4312Aと同じなのに、出方の違いで一瞬戸惑いを感じましたが、 U
ポートと吸音材の影響が大きい音色でした。 U

 ポートから出る中域はやや多めで厚い。 U
そこにツィーターの輪郭が加わり、DENON E757バリの浮上感さえ感じます。 U
これもフロントバッフルのゴムとスポンジの影響か?はわかりませんが、 U
多いけど雑味が無くすっきりしてる点は、優秀な声質に感じました。 U

総じて
これ「
ありだな

 簡単に言うと、431シリーズのポートと吸音材をとっぱらたような音質です。

★長所はまず音楽性が豊かになった。 U
431シリーズはわりと硬めで乾いた音だが、XPは中域の量が多くしっとりしています。 U
だからどんなソースでも聞きやすく、録音の悪いソースでも良く聞こえてしまう。 U

★短所はポートからやや箱の音がする、と言った感じでしょうか。 U
内部の写真でお分かりですが、ポートがかなり短く開放的な音がします。 U
この音は好みですが、私的には吸音材を多めに入れ箱鳴りを抑えました。 U

 不要振動で高解像度な一面と
 ポート開放で音楽性豊かな一面が合い交え、
 なんだか不思議な音色に感じました(^^;

もしこの音をJBLが狙って作ったとしたら、ある意味「
革新的 」と言えるかもしれません。

どちらかと言うと日本製の音でしょうか。 U
中域・声質はYAMAHA NS-10Mにも似ています。 U


最後に。
 最近のアメ車では言えば、2Lのエコブーストが大当たりしてますが、 U
たまに凄いのぶっこんでくるところは、まさに「
アメリカン 」でしょうか(笑 U
4312XPの不思議な音色は、ある意味「
当たり 」のようにも感じます。 U

 JBLが他の431と差別化をはかる為に、 U
あえて「
音楽性豊か 」になるようチューニングしたとも考えられますが、 U
その声質はしっとりと色気があり、日本人好みの音にも感じられました。 U

ただ他の431を聴いてる方にとっては、「
甘すぎる音 」に感じるかもしれませんが U
ポート調整でフィーリングがだいぶ変わります。 U

 私はこのXPが10Mのフィーリングに似てる事もあり、 U
他の431シリーズよりも「
モニターモニター 」してる音にも感じました。 U
かといって真はしっかりJBLサウンドを継承しているので、 U
スタジオ使いで最高なのでは? 」なんてイメージも湧いてきます。 U
J-POPが聴きやすい甘い音色は、どはまりしそうなほど魅力的でもありました。 U

 4312XP、私的には「
ザ・モニター 」といった感じのスピーカーでした。

ただ正直、もうXPのメンテはやりたくないかも(^^;

次回、タンノイ25cmの方も保留中なので、日本製を出す予定です。お楽しみに♪
JBL 4312XP 1990年 1台 126,000円
メーカー解説:4312シリーズの音質をさらにリファインするために、これまでのエンクロージャーに独自の素材を採用し、
          より鮮明 で高品位な音を実現したスピーカーシステム。

エンクロージャーは、まず前面に優れた制振効果をもつJBL独自の高密度素材「リアクション・モールデッド・フォーム」を積層し、エンクロージャー全体の不要振動をダンピングしています。

さらに、ステレオイメージに微妙な悪影響を与えていたバッフル表面での再生音の一次反射を減少させるために、ユニットの周囲に「ネオプレーン・フォーム」を採用しており、特に中高域での一次反射音による音質劣化を最小限にしています。 中略
方式 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型(035Ti)
中域用:13cmコーン型 (104H-3)
低域用:30cmコーン型 (2213H)
再生周波数帯域 45Hz〜20000Hz
インピーダンス
出力音圧 93dB/W/m
クロスオーバー周波数 1.1kHz、4.2kHz
外形寸法 幅362×高さ597×奥行300mm 約L
重量 20kg

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