●今回は前回の4312Aに引き続き、第三世代の後期型、4312MKUの紹介です。
パッと見4312Aとどこが違うの?と感じるほどそっくりな見た目は U
MIDとウーファーが同じでツィーターのみ(035Ti→052Ti)が変わってます。 U
その程度の違いで音は変わるのか? U
パソコンのCPUでi5やi7なんて聞いた事あると思いますが、 U
iシリーズだけでも今や第四世代までいっており、一世代あたりでもさらに U
細かく分かれていて、超わかりずらく迷うほどです。 U
JBLの場合はそこまではいきませんが、迷う意味では同じかもしれませんね U
そんなところで、さっそくレストアを始めていきます! U
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●JBLおなじみのブルーバッフル
ですが何か違和感を感じます。
何だろ?
私的には、JBLらしさが感じられる初期型の柔らかいブルーというか、ほわーっとした淡い青の方が好みです。
そんな青に比べますと、若干ですが彩度(発色)が高いのと、照度(明るさ)が低い、といった違いでしょうか。 |
●ユニットを外しました。
やや新めということもあり、すんなり外れました。
内部は、パッと見黒い吸音材までブルーに塗られている、
けっこう厚塗りしてるな、という印象です。
内部は4312Aからの変更はありませんでした。
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●部品はほぼすべて同じですが、ターミナルや取り付け板が若干変わっていました。
板はネジ止めされてます。
ネジ式ターミナルの場合、そこまで補強する必要はなく、逆にプッシュ式ターミナルの方をネジ止めにして欲しかったくらいですね。
あとは
ボンドの塗り方・・・わかるでしょうか。 |
●MIDカバーも4312Aと同じもので、やや硬めの植木鉢という感じです。
フラッシュ撮影だと粗が出ますね。
塗装は手塗り?なのかな。
極端に厚く塗られてる部分と薄い部分が
すぐ目につきました・・・。
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●さて、箱は4312Aとほぼ変わらずですが、
←サランネットのフレームの形が変わってます。
雪だるま型はいいのだが、薄い部分の四箇所が
見事に折れてますね(^^;
これ、前オーナー様が普通の木工用ボンドで補修してあったので、一度解体しやり直してるところです。
日本の木工用ボンドは柔らかいので、こういう接着には向きません。
くっついてもブランブラン状態です。
よくこういう補修はみかけますが、板が反った状態のまま接着するなど、できれば何もしない(かけら捨てない)でほしいところです。
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●ユニットです。
こちらは30cmウーファー2213Hで、
JBLではおなじみのウーファーですね。
細かい部品は多少変更されてるようですが、
基本的な構造は80年後半から変わっていない
息の長い2213Hです。
こちら新めということもあり、錆や変形はまったくありませんでした。 |
●裏側、中央に圧抜けのようなホールが開けられており、スポンジでカバーされてます。
このスポンジ、何気に指をつっこむとボロボロになるので注意が必要です。
もしボロボロになった場合、カスがコイル部分(ヨーク)に入り込み、動きを妨げたり、音質劣化につながりかねません。
私はユニットを外したとき、一番最初にこのスポンジを補強ししてから作業に入ります(ボロボロにならないように)。
プラスチック・ナイロンなどの網にしてくれるといいんですがね。
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●エッジ
やや硬めと言ったところでしょうか。
それよりも、コーンのストロークが異様に少なく、動きに問題あるように感じました。
なので一度エッジの外側部分をはがし、ガスケットを調整し貼り直しました。
物が突き刺さったとかは別として、
オークションとかでコーンが割れてるのは、
なぜかMKUが多いと感じていたでしょうか。
実は今、私の所にMKUが3セットあるのですが、内2セットは片方のウーファーに小さいヒビが入ってます(TT)
原因はやはり・・・ |
●写真が少ないですが、すべてのレストアが完了しました。
ツィーターは分解・清掃
リード線のつけ方が雑なのでやり直し。
MIDはエッジの軟化、清掃、補強
ウーファーはエッジの軟化、貼り直し、清掃、
コーンを軽く塗装、などなど。
ネットワークと配線、接点はすべて点検・清掃・補強など
箱はクリーニング後
水研ぎ、OIL研ぎで仕上げました。
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●動作は完璧になったと思います。
ウーファーのストロークを増やすのが少し大変でした。
何もしてない(MKUの)ウーファーと比べ、音質、低域の出方に違いが出るほどでしたので、調整の効果はあったようです。
なぜMKUだけ?
こちらはわりと環境が良かったのか、錆はまったく出てなかったので、その分作業は楽でした。 |
●一番最初にパッと見た時の違和感
それがこれ
←JBLロゴの色です。
他はオレンジに白ですが、MKUだけはなぜかこの色。
渋すぎると言いますか、見慣れてないせいもありそうです。 |
●なので、とりあえず発色を良くしてみました。
ですが何かしっくりきません。 |
●そこでJBLを白に |
●ああこれだ
これがJBLですよね、いい感じです。
パッと見たときの違和感は、これのせいだったようです。
元のロゴは地味というか渋すぎなので、だいぶ印象が明るくなりました。
ただ悪く言うと、普通になってしまいましたが(^^;
最初にいつも使っているファイン用紙で作ったのですが、どうも発色が良すぎてマッチしなかったので、
「 普通のコピー用紙 」にしたらバッチリでした。
そんなあたりが細かいポイントです。
粘着の弱いシールタイプにしたので、簡単にはがせます。 |
●さて、こちらは同時進行していた4311A
アルニコで人気の高いグレーモデルです。
4311Aが欲しいというお客様からの問い合わせも多く、一応入荷しだいの借り予約とさせていただいてる、唯一の機種です。
だから積極的に入手するようにしはしているのですが、程度が悪い物が多いのも事実です。
←これ、すごく程度が良いので参考にどうぞ。
お待ちくださってるお客様には恐縮しっぱなしですが、
最善をつくしてますので、どうかお待ちくださいませm(_ _)m |
●JBLを立て続けに扱うようになり、このプレートをはがす作業も多くなりました。
そして最近、綺麗にはがす方法がみつけました!
剥がし専用の器具を自作したので、だいたいは綺麗に剥がせそうです。
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●さて、写真だと綺麗に見える色合いですが、
間近でよく見ると、うすら汚れていたり傷があったりします。
そこで私の場合は再塗装(全塗)するのですが、まずは塗装の前に傷を直します。
←こちらのようなウッドパテ。
けっこう使いやすいのですが、わりと柔らかいので角の補修には向いてません。 |
●そこで私は、タイとボンドどMDFの削りかすでパテを作り、それを使ってます。
これの良いところはエポキシなみに固くなるところで、補修箇所により粘度も自由なところです。
角をせっかく補修したのに、いつの間にか削れていた?
なんて事にならないですみます。 |
●下地を整えて完成。
あまりエッジを立てすぎると刺ささります(^^:
自作箱とかを作るとき、角のエッジをあまりにも鋭くすると、いつのまにか手を切っていた、なんて事があるほど危険です。
だから怪我のないよう、ほのかに丸くしてます。
ウォールナットの場合は、この後にツキ板貼って直します。
4311Aのグレー、やっぱかっこいいですね。 |
●すこし脱線しましたが
最後の仕上げ、ユニットを取り付け |
●祝!完成!
1枚目の写真に比べると
何か自然になったと思いませんか。 |
●JBLロゴの色が違うだけで、
想像以上に効果がありました。 |
●ブルーバッフルもかっこいいですね。 |
●久々のウォールナット
丁寧に丁寧に、人肌をなでるよう、
時間をかけ、キメを整えてやりました。
綺麗になりましたね。
ムラが無い分、作業も楽でした。 |
●こちらは
4312MKUと
4312Mの合成写真です。
こうして見るとMは良くできており、
パッと見区別がつかないほどです。
Mはもう少し音が良くなるといいんですけどね。
作りに関してはさすがメーカーというだけあり、
意欲が十分に感じられました。
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●ということでMKUのレストア、いかがでしたか。
不自然さと言いますか、私の脱力感と言いますか、何か感じられたでしょうか。 U
実はMKUをレストアしていて、他の機種とはあきらかに違うのが U
「 作りが雑 」なところでした。
塗装からボンドなどなど、箱は見ただけで「 雑な作りだな 」と感じられたほどです。 U
そしてユニットの組み立ても雑。 U
ウーファーはストローク量が不自然、微妙な動きだったので貼り直して調整しました。 U
すると動きが良くなり、音も弾むような低音が出るようになりました。 U
これ、工場でちゃんとチェックしてるんですかね。 U
たぶん中国生産だと思うが、2000年式あたりは、たぶん他の機種もやばそうです。 U
私の所には、まだ未チェックの4312XPがあり、たぶんやばそうな感じです。 U
JBLの方が読んだら怒るかな(^^; U
最後に。
最初に音出ししたとき、「なんだこの変な音は」と、正直ページ作りさえ躊躇しそうなほどでしたが U
エッジを調整し貼り直したら、だいぶまともになったので安心しました。 U
だからMKUは、ウーファーコーンのストロークが少なかったり、エッジが固かったりで、 U
普通に鳴らしてるだけなのに、いつのまにかヒビが入ってた、なんて事が起こるんでしょう。 U
4311に比べると、まったく別物と言えるほどでした。 U
ただ私のように何台も仕入れて聞き比べる、なんてことは普通しませんから、 U
MKUを買っても、それが普通だと思ってしまうんでしょうね。 U
昔私が初めて買ったダイヤトーンも、きっとそんな感じだったと思います。 U
今のところノーメンテでいけそうなのが4312Dくらいですかね。 U
XPもやばそうで不安だらけです(笑 U
肝心の音質は割愛させて頂きますが、世代によって大きく違うツィーター、 U
完全な好みですが、今の所「 4312Aの035Ti 」が一番良いかな? U
ただ根本的にアメリカンですから、同じ物でも、固体により違ってくるので難しいです。 U
見た目が良く、レスポンも良くなった 4312MKU でした。 U
この色が欲しい人も多いと思いますが、やはり動作はよく確認したほうがいいと思います。 U
次回、次はダイヤトーン、次はダイヤトーンと何回書いたことか(^^;スミマセン U
実は「 フルチューン 」の真っ最中なんです。早く紹介できるといいのですが、お楽しみに♪ U
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JBL 4312MKU(WX) 2000年 |
●メーカー解説:4312の改良型にあたる3ウェイスピーカーシステム。
低域には低歪にドライブするSFG、30cmホワイトコーン・ウーファー2213H。
中域には12.5cm径のコーンミッドレンジドライバー104H-3。
高域にはJBL独自のダイヤモンド構造エッジで一体成型した
2.5cmリプレス・ピュアチタンドームトゥイーター052Ti。
エンクロージャーは、WXがブルーバッフルと木目の美しいウォールナット突板仕上げ、
GYグレーペイント仕上げとなっています。(中略) |
方式 |
3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式 |
使用ユニット |
高域用:2.5cmドーム型(052Ti) 中域用:13cmコーン型 (104H-3) 低域用:30cmコーン型 (2213H) |
再生周波数帯域 |
45Hz〜22000Hz |
インピーダンス |
6Ω |
出力音圧 |
93dB/W/m |
クロスオーバー周波数 |
2kHz、5kHz |
外形寸法 |
幅362×高さ597×奥行298mm 約L |
重量 |
20kg(1台) |
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