●今回はかなり珍しいスピーカー、JBL 8340A のご紹介です。 U
この8340Aは主に、映画館やホールで使う事を前提に設計されたスピーカーです。 U
兄弟機種として弟に8320、兄が8350で、この8340Aは真ん中っ子の3兄弟。 U
真ん中と言っても、スペックや価格からすると兄に限りなく近い存在です。 U
そしてペアで約18万円もするスピーカーなんです。 U
こんなスピーカーを部屋に設置するとは、そうとう羨ましい設備を想像してしまいます。 U
そんなところで、さっそくはじめましょう。  U
●これは一般的な映画館(の規模だと思う)が、矢印に設置されてるのがこのスピーカーで、こんな使い方がされるスピーカーです。
●今回はエッジの張替え及びメンテナンスの依頼です。
初めて扱う機種ということもあるが、この形や大きさに一瞬戸惑ってしまいました。

となりにおいたのは16cmウーファー。
この大きさが伝わるでしょうか。
●ヒビノ株式会社の取り扱い製品のようです。
最初この裏にある穴を見て
 「 やけに小さいポートだなー 」
と感じたが、ポートでは無いようです。
でももしかしたら、補助的にポートして使う設計なのかもしれません。
●さっそくメンテナンスしていきます。
まずはネット(兼カバー)を外します。
本体の回りにグルッと配置されたネジは計16本。
長さが9cmもある長い木ネジなので、手回しだとけっこうきついです。
●ネジを全部外したあと、カバーごと本体をひっくり返します。
そして弁当箱のふたのよう、ぱかっとカバーを外します。
するとユニットのお目見えです。
写真じゃサイズ感が伝わりにくいですよね。
けっこうデカイです。
ポートもわりと大きめなものがWで。見た目では中域がどばっと出てきそうな感じですよね。

そしてウーファーのエッジ(ウレタン)が完全にいってます。
コーンは紙でギャザードタイプ。
一般的な音楽を鳴らされていなかったのか、ダンパーはわりとしっかりしており、コーンも自立した状態です。
●さっそくユニットのネジを外し、ウーファーを取り出します。
ちなみにこれが4台なので、電動が無いとかなりきついです。
●内部
年代が新しいせいか、中はかなり綺麗な状態でした。
ツィーターの1インチ(2.5cm)ホーンが見えますね。

その手前にある黒い棒が裏側にあったポートでジョイントしてあり、何か補強的に使っているようです。

そしてネットワークが見えますね。
部品的には一般的なものだが、セッティングがやや変わったものでした。
これがメーカーの言う
ISO2969映画用イコライザー
というものですかね。
はやく音出ししてみたいです。
●エッジを張り替えました。
ヒビノ株式会社のWEB上にあるカタログは数値が間違っており、実際の8340Aは10インチ(25cm)ウーファーです。
これはL40とかと同タイプのもので型式は123Hでした。

ボロボロに崩れたエッジはべたべたしており、紙コーンなので溶剤も使えず、ボンド落しが大変でした。
ユニットが綺麗になったらエッジを貼ります。
エッジは純正タイプを使用しました。
ダンパーがわりとしっかり自立してるので、張替え作業はスムーズにおこなえました。
●ネットワークとホーンドライバーを外し、クラック等をチェックしました。
ホーンドライバーはボンドも使用されており、外すのがやや大変です。
年代が新しいのとバスレフのおかげで、錆はまったくありませんでした。
全ての接続をブラッシュアップし、ユニットを取り付け
●祝!完成!

外装は徹底的にクリーニング、ネットも洗剤とスチームで完全クリーニングしました。
やはり綺麗なものはいいですね。
●横から見るとこんな感じ。
こんな形なので、作業や置き場所も工夫がいります。
●本体は設置しやすいよう軽い樹脂でできてます。
一般的な音楽をガンガン鳴らすタイプではなさそうですが、やはりビビリが心配です。
もし不要振動を感じたら、ダンプして補強するつもりです。
●でさっそく音出し、の前に、この素材や構造とエッジ張替えということもあり
軽くエージングしてからのレビューになります。 U
まずは一言 U
 「 わりとクリアー質で一般的な音だな

シアター用で専用ネットワークを完備してるということもあり、 U
もっとモリモリの中域が飛び出してくるかと思いきや、 U
出てきた音はいたって普通。 U
普通と書くと誤解されそうだが、JBLとしてはかなり綿密な中域で、 U
クロスオーバーでしっかり切ってある事もあり、雑身の少ない「 すっきりした中域 」でした。 U

たとえば4301や4311とは声質の傾向が違い、女性の声がクリアでしっかり聞こえてきます。 U
このあたりが、ISO2969映画用イコライザーの実力なんでしょうか。 U
全体のバランスも良く、当たり障りの刺激や癖もないので、 U
ごく普通に音楽を聴くことができました。 U
そして肝心の低域だが、これがびっくりするくらい「 キレっキレの音 」 U
ノリは密閉のような感じで、まさにノーブーミーといった具合です。 U
ただ軽い音ではなく、低い音もしっかり聞こえるので物足りなさありません。 U
ただもの凄く キレっキレ なのが気になります。 U

最後に。
大きさはあるけど奥行きが薄く形も斜めといった変り種。 U
本体が樹脂ということもあり、ボン付くような音が出るのかと思いきや、 U
フィーリングはまったくの真逆で「 キレっキレ 」の低域でした。 U
なので余計な補強等は必要なさそうです。 U

 部屋を映画館風にするのは、たぶんオーディオ好きの方なら憧れますよね。 U
私も昔はまった口で、 U
スピーカーはダイヤトーンのDS-30Cというトールタイプを奮発して4台入れ、 U
 (ほんとうは VS-900F が欲しかったが予算が倍になるので断念) U
さらにBOSEの301を2台とスーパーウーファーで7.1ch仕様に。 U
AVアンプやDVDプレイヤーも、「 THX 」に特化した物を買い揃えたものです。 U
それら揃えた機材は U
 「 スターウォーズを凄い音で見たい! 」 U
ただそれだけの気持ちで揃えたものでした。 U
なので音楽を聴くとまったくのダメダメが気になるほどでした。 U
コンサートライブものがなんとか聴ける(見れる)というレベルでしょうか。 U
 各メーカーのカタログを揃え、どのアンプにしようか? U
なんて悩んでいる時が、一番楽しかったかもしれません。 U

 今回8340A、壁に設置して鳴らしても普通に音楽を聴けるレベルのものでした。 U
こんなスピーカーを見てると、なんかまた色々揃えたくなってきますね。 U
TVはほぼ見ない生活で、映画(レンタルDVD)も最近はぜんぜん見てませんが、 U
何か心に火がつきそうです。 U
でもその前に、肝心の「 部屋を何とかしなきゃ 」なりませんね(笑 U

そうそう、この3兄弟、クロス値がそれぞれ異なり、
8350は1.4kHz、この8340Aは2.2kHZ、8320は3.0kHz と
数字から見ても明らかにキャラクターが変わりそうですね。
一番声が戸出してるのは1.4kの8350かな。
これだけ違うと、購入時は悩みの種になりそうです。

今回の8340A
 JBLの違った一面が見えた、そんなスピーカーでもありました。

次回、自分の中で予定していた順番が思うようにいかないので未定ですが、 
 レアなスピーカーがどんどん出てきますのでお楽しみに♪ U
 
JBL 8340A 2000年頃〜 1台約¥90,000円(受注発注)
メーカー解説:
■ 最新のデジタルフォーマットの再生に適した高出力のサラウンド・システム。
■ ISO2969映画用イコライザーを内蔵。
■ 軽量な樹脂製キャビネットにより設置作業が容易。 THXシアターシステム認定機種
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:2.5cmホーン型 ・低域用:25cmコーン型
再生周波数帯域 45Hz〜18000Hz
インピーダンス
出力音圧 96dB/W/m
クロスオーバー周波数 2.2KHz
外形寸法 幅457×高さ453×奥行260mm 約L
重量 8.6kg


   ・・・