●今回は前回紹介したパイオニアPE-101フルレンジに続き
JBLのフルレンジ「
LE8T 」を使用したスピーカーのご紹介です。
このスピーカーはSausui(山水)から発売されていたもので、箱は山水がプロデュース、
ユニットはJBL製という、メーカーが手がけた自作スピーカーのようなノリのものです。
  ●まずは箱を寝かしユニットを外します。
ユニットのエッジは先に張り替えました。
●ネジは+ボルト&爪付きナット
まれにだが錆びが酷く空回りする場合もあるので注意も必要。
ケーブルはベルデン?
たぶん以前の持ち主が交換したのでしょう。

箱だが、これ「 すごく頑丈に作ってある 」
特に中央部に入れられた補強材は、大黒柱のような雰囲気さえ漂います。
そして異様に重い。
昔の日本製は音質うんぬんではなく、とにかくコダワリが随所に感じられる一品で、さすがと思えるほどの作りです。
●ユニット
以前フェライトのLE8T-H
を紹介しましたが、
こちらはアルニコのLE8T。フレームが凄く頑丈そう
というのが第一印象。見れば見るほどPE-101はそっくり。

フェライトの方は新しかったせいか?ダンパーも硬くしっかりした印象があるのだが、こちらのダンパーはそれに比べややヘロヘロ感がある。
個体差にもよるのだが、とりあえず他の物と比較しながら補強することに。
写真を載せてませんが、ダンパーを外すとネジがあり、それを外すとマグネットが外れます。
ヨークは接着なので掃除も大変ですが、綺麗にして組み直すと音色もよみがえります。
●特徴的なアルミフレーム
これに付いた黒ずみは、汚れではなく酸化なので、綺麗にするの少し手間とコツがいる。
ヘアラインを潰さぬよう注意しながら磨きました。
元の黒ずんだものは写真に写り難いのですが、やっと比較写真が撮れました。かなり綺麗になったと思います。
●アルミフレームがうっすら黒ずんでいるのが解るでしょうか。実際にはもっと汚く見えます。
オークションで綺麗だなと思っていたら、実際はまっ黒だった。なんてことも、白やシルバー系ではありがちですね。
キャップもそう、うす〜い線傷が付いてるのに申告無しです。
凸凹の酷いキャップは交換になるわけだが、その交換がまた難しく、厳密に言うとデビーボンド(黒い部分)を綺麗に塗るのが難しい。デビーボンドが綺麗に仕上がれば、見た目も格段に良くなる。塗り方の裏技があります。
●こちらのアルミフレームは磨き後。
新品のように見える雰囲気は、実際見てもかなり綺麗です。
全部仕上げたら最後にエッジの張替え。
LE8Tのウレタンエッジはヤフオクで売っており、何種類かあって安いものは目が少し粗く柔らか目。
値段の高いものや、高密度エッジなんて言われてるものはそれよりもキメが細かく、若干硬くなる。たまに

Q:どちらがいいのですか?なんて質問がくるが

A:ダンパーの硬さによって使い分けるのがベストです。ダンパーがヘロヘロなら硬めのエッジで、ダンパーがしっかりしていれば柔らかいエッジがいいでしょう。
エッジ無しの状態でコーンを動かしてみて、ぜんぜん力を入れなくても押せるようなら柔らかいダンパーになる。


ダンパーも硬くエッジも硬いと、そのまんまカチカチの出音になってしまい、こなれるのに相当時間がかかります。
一番はダンパーの硬さに合わせてエッジの硬さも調整するのがベストだが、慣れてないと中々できませんよね。
値段が高い=良い とは限りませんので、それぞれに合ったものを見出してチョイスする必要があります。
その辺りのフィーリングは難しいので、自信のない方はプロに依頼したほうが無難でしょう。




●さて、ユニットにそうとう時間がかかり、ようやく箱に入ります。
まずは背面のざらざらが気になったので
●さっそく塗装しました。
色はグレー(深い意味はありません)


箱の素材はパーチクルボードで水に弱く、塗装することにより湿気に強くなり、耐久性も上がります。
ただし変形したものを上から塗っても無意味です。

ターミナルはワンタッチ式のやつが付いていたので交換します。
●ひっくり返しフロントバッフルも再塗装。
どの箱もポート(塩ビ)は塗ってなかったので中まで塗ります。
このバッフルもパーチクルボードになり、まれに変形したものや凸凹の目立つ物もある。
だが削り易いので気にする必要はありません。
表面を綺麗に均したあと塗装します。
自作スピーカー、特に積層物なんかに比べると、パーチクルボードは加工が楽で簡単です。
●で今回の目玉、JBL青。
ブルーバッフルにしてみた。
ウォールナット+青の組み合わせは、見ただけでJBL!と伝わる雰囲気ですね。
色の配合は4301BWXを参考にしました。
しっくりとしたいい雰囲気の仕上がりです。

ユニットもこの青に馴染むよう、スペシャル色で仕上げます。
●前と後ろが終わったら外周の仕上げに入ります。
木目の場合、
下地研磨→研ぎ出し→OIL研ぎ→塗り→研ぐ
のような工程になる。
ノーメンテの箱は艶消しだが、高級感を出す為に2、3部艶に仕上げてます。
写真だとムラの加減がわかり難く綺麗に見えるのだが、逆に艶出しは反射して写りが悪くなります。
これはけっこう綺麗に撮れましたが、それでも実際に見た方が綺麗なんですよ。
●最大の特徴でもある格子状グリルネットに入ります。
山水がコダワッて作っただけあり、非常に良くできたネットです。だが若干難点もある。
一つ目は裏のネット。
触ってると周りがほつれてくるので、防止処理が必要になる。
二つ目は格子のソリ。やや凸状に反っている。
これは構造上なのか、ネジ止めされていたせいなのかは不明だが、完全なフラットにするのは厳しそうです。
私の所にこの箱が5セットあるのだが、全部同じように凸変形してました。ただやばいほどではないので、それほど神経質になる必要はなさそうです。
最初の掃除から大変だった格子ネットでした。
●この格子、元々はネジ止めですが、マジックテープに変えました。
これで簡単に取り外せ、2つの雰囲気を味わえます。
●ターミナルは透明キャップ付きに変更、高級感を演出しました。

気になったのが背面のプレート。
このプレートだが私の元には3種類ありました。
逆輸入?平行物?
もっとあるのかもしれません。

写真のプレートは英語表記で、日本語表記のものは、若干だが箱の作りが丁寧に感じられました。
年代か?生産国の違いあたりなのかはわかりません。
●ターミナル交換に伴いケーブルも変更。
外波や振動に強いシールドものにしました。
全面に貼られている吸音材も整えて調整します。
●ブルーバッフルに似合うよう、エッジの色調を変えました。
ネジもシルバーにしたかったのだが、ピッチが合わなかったので磨いた純正ネジを使うことに。
オーバーホールしたユニットを取り付け
●祝!完成!

実物、めっちゃかっこいいです。
●黒もシックに仕上げました。
●まるで純正のようなたたずまいです。
ブルーバッフルが無かったのが不思議なくらい
しっくりはまったと思います。
●さて、音質は割愛しますが、フルメンテナンスされたスピーカーは無メンテとは違い
本来のポテンシャルを十二分に発揮してくれます。
 スピーカーは「
LE8Tに始まりLE8Tに終わる
という名言をどなたが言ったのかは解りませんが、
 それに値するだけの音色、未だに色褪せない音色が堪能できました。

箱の大きさはJBL4311とまったく同じ。
 一般的にやや大きめなスピーカーになるが、設置できるスペースがあるのなら
  ぜひ聴いていただきたいスピーカーの一つです。

最後に。
今回のフルレストアも成功しました。
古いスピーカーが綺麗になるのは、とっても素敵なことですね。
 フルレンジ最高峰モデルと言えるスピーカー、Sansui SP-LE8Tでした。

次回、以前取り上げたスピーカーですが、今回のようキラッとモデルチェンジさせてみます。お楽しみに♪

SANSUI SP-LE8T 1972年〜 1台 \5〜70,000円
メーカー解説:ロングセラーとなったJBLのフルレンジユニットであるLE8Tを用いたスピーカーシステム。
エンクロージャーはサンスイが独自に作成したものを使用しており、木工技術を結集した組格子グリルのデザインとなっている。
材質は硬質ホモゲンと檜組格子グリル。
方式 1ウェイ・1スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 全帯域用:20cmフルレンジコーン型(LE8T)
再生周波数帯域 40Hz〜20000Hz
インピーダンス
出力音圧 89dB/W/m
クロスオーバー周波数 KHz
外形寸法 幅358×高さ596×奥行300mm 約L
重量 18.3kg


他では買えない効くサプリが豊富

 


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