●今回は超久々のメーカー製、フルメンテナンス&チューニングのご紹介です。
久々のメンテがオールドJBLだから実質1ヶ月半くらい、骨の折れる作業となりました。
  ●で、こちらが完成品。
4301は今までに14、5台やってますが、
左のBWX(ブルー)は自分の物も含めて2台目。
4301BWXのウーファー116Hは、116Aと比べ決定的な
問題点がある。
今回の116Hも、その症状がはっきり表れてました。
そんなところがメンテのポイントです。

それと今回は、専用台(ベース)も作ってみました。
それでは全てを公開した内容をご覧ください。
●まずはユニットを外します。
ここで一つ、ウーファーボルト&爪ツキナットが使われているため
まれにナットが空回りすることがあります。

手回しでネジが硬いからといって
ドライバーをぐいぐい押しながら回すと
ナットが緩み空回りの原因にもなる。
電動工具を使えば、多少リスク回避につながります。
●さて、いきなりだが
最初に述べた116H、ウーファーの問題点
それがこれ「 ダンパー 」です。


これはほぼニュートラル(水平)状態。
(手で調整しています)
●これはニュートラルより少し上げた状態。
●そしてこれは少し押した状態。
見た目でわかりやすいよう写真に撮ってますが、
116Hはこれに近い状態がほとんどです。

116H(フェライト)は、116A(アルニコ)にくらべ
若干ダンパーが柔らかいようです。
それはAの方がパワフルに振動(ストローク)するためで、
それに合わせるために柔らかくしたように思いますが
真相はわかりません。
2台触りながらフルブーストさせるとよくわかります。

Aの硬さが標準なのか、Hの柔らかさが標準なのかは
わかりませんが、動作的問題は致命傷ですね。
●ダンパーを新品に交換するのが一番ですが、
それだとコストもだいぶかかってくるので
今回は矯正補強をおこないました。

全てをバラすついでに、さびを完全に取り除き
さびが発生しにくいよう、
がっつり
錆び止めコーティングをおこないます。
●ダンパーの矯正には時間がかかるので
その間箱の補修に入ります。

まずはなんと言ってもここ。
背面のターミナルカバー

←軽く押した状態でもご覧のとおり。
●問題点は2つ。
接着が弱いのと
写真のようピン止めが2ヶ所のみということ。

もう30年40年も経ってるスピーカーなので
接着はしょうがないとしても
ピン止めが残念。
● ピン止め自体はそれほど問題ではないが、
矢印のよう2ヶ所だけというのが問題であり
ピン止めされてない方が開いてしまう。

これがきちんと四つ角に四箇所止まっていれば
もう少し耐久性が上がったでしょう。
●問題点2、ターミナルプレート
現存するものはほとんどがグラグラしてるわけだが
その理由の一つがこれ。
背面板は21mmが使われているにもかかわらず
このプレートはなんと2.5mmです。

←ありえないでしょ。

自作箱を作る人ならわかると思うが、
背面板は振動をコントロールする大事な部分でもある。
それはFOSTEXがいつも念入りに言ってることでもあります。

8cmや10cm程度の小口径ならいざしれず
20cmウーファー使った箱でこれは考えられません。
ちなみにJBLは4312の後期型や2000年以降の作品には
変更や対策がおこなわれてます。
●なんともアメリカらしいと言えばいいのか
JBLがコストをかけない事は有名な話でもある。

で、このプレートを補強します。
今回は写真の板に交換。
●左は交換する板。
普通の12mmだが、並べるとやけに厚く見えますね。
それだけオリジナルが貧弱なんです。
●新たなプレートを接着しネジ止め。
これで補強はもちろん、大音量でもビビリません。
こういうのはいくら周波数特性取ってもダメで、
やはり人間の手、目、耳を使ったほうが完璧です。

4301やオールドJBLのメンテナンスをしてる方は沢山いるが
 「 ここを補強してるのかどうかは 」わかりません。

とにかくメンテするなら絶対やるべき項目で
全体の解像度が上がります。
吸音材取ってフルブーストさせれば一目瞭然です。
●さてネットワークに入ります。
コイルはもちろん、コンデンサーが抜けるということは
よほど何か起きない限りありえません。
ただ年代物で古い製品なので
左右で数値が違っているなんて事はよくあります。
 今回はコイルも含め一個一個測定し
問題ないのでオリジナルのまま使います。

アッテネーターはあまりやりすぎると
硬いグリスを使ってもゆるゆると回ってしまうようになる。
なので私はほどほどにしてます。
しっかりガリを取り除くか、
動作を尊重(回し具合)するかは悩みどころです。
●こちらはケーブル。
この年代ではワイヤーと言う方もいると思うが
しっかりしたワイヤーが使われている。
ただしそこは年代物、もしくはアメリカン
写真のような状態が多く見られます。
●元々圧着なのでハンダは使いたくありません。
そこで今回は
先端を長めに取り出し
ぐるぐる巻きにしてしっかり圧着
●最後にグルーでしっかり密閉して完成。
できるだけ空気に触れないよう
気を使いながら作業しました。
これで劣化もしにくくなります。
 ●そしてターミナルも交換。
こちらもハンダを使わない圧着式ターミナルを採用しました。



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