●今回は私の扱いが少ない大型」3way SONY SS-G333ES の紹介です。
1988年は、まさにゴッキュッパ戦争と言われていた時代。
一番の売れ筋である大型3wayを、各メーカーがこぞって発売し、熾烈な争いをしていました。
 ここの良し悪しで、メーカーの印象付けがなされてしまうほど、影響がおおきかったものです。
だからメーカーも必死、利益度外視のスピーカーが、続々と誕生していきました。
 そんな時代のスピーカーだが、実際は?中身はどうなのか? さっそく検証してみましょう。
SONY SS-G333ES 1988年 \60,000円(1台)
メーカー解説:
方式 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型 ・中域用:12cmバランスドライブ型 ・低域用:31cmコーン型
再生周波数帯域 30Hz〜25000Hz
インピーダンス
出力音圧 91dB/W/m
クロスオーバー周波数 500Hz、4KHz
外形寸法 幅400×高さ695×奥行350mm 約L
重量 32kg
●パッと見他のメーカーより、
一回り大きい感じがします。

ウーファーも気持ち大きめですが、
箱もワイド化されているので、
全体のバランスは整ってます。

フロントバッフルに付けられた角度が、
妙にいろっぽい。
●ユニットを外しました。
大きいからたいへんです。

内部は所々補強がしてあり、
吸音材はわりと少なめでした。

しっかりした箱だが、なんと言えばいいのか
何かが足りない、
ダイヤやONKYOとは、一味違う雰囲気です。

MID部は箱型に覆われてるので、
ウーファーから内部を覗き込むと
●出ました!!ネットワーク。
これ、金かけてますねー。

部品点数もさることながら
ウーファー以外はフィルムコンデンサーを使うなど、
確かに黄金期の意地のようなものが感じられます。
●これはMIDの箱。
3wayの場合、ウーファーの背圧により
他のユニットが影響しないよう、
だいたいはこんな感じで仕切られてます。

MIDの箱は、木、紙、発砲スチロールなど、
様々な素材が使われている。
それらはコストを考えてのチョイスだろうが、
ペラペラでがっかりするような物が多いんです。
だがこれは違ってました。
スピーカーと同じ板・厚みのもを使い、
隅々まできちんと仕上げられている。
販売価格を考えれば、とても素晴らしいもので、
言うことありません。
BOXが四角ではなく三角(背面)なのが特徴的でした。

●ツィーター。
白いドームはピンポン球のような感じ。
硬そうなイメージだが、
以外にも音は柔らかいものでした。
ふれーむはとにかく頑丈で、
しっかりできてます。
●これはMID(スコーカ―)
エッジがゴムでボロボロだったので張り替えました。
最大の特徴は中央の穴。
コーンの背圧を逃がすための設計である。
しっかし、穴が大きい。
センターキャップが凹んでも、簡単に直せそうです。

穴のあるなしは経験上ですが、
低域が多め、太くて自然な音質が特徴ですね。

剛性はもちろんマグネットもでかい。
すごいね。
SONYのユニットいいかも。
●そしてウーファー。
これもゴムエッジだったので張り替えました。
31cmウーファー。
28cmとかより、一回り大きく感じます。
●すごい作り。
大音量(大きな振動)でもビクともしなそう。
これもマグネットに穴が開けられてます。
MIDもそうだが、穴にはフェルトが巻いてある。
細かい配慮も素敵ですね。

全てのユニットはアルミダイキャストで、
とにかくコストがかかってそうなユニットです。
コーンはカーボン調?だが、わりと薄目なので軽そう。
レスポンスが良さそうです。
音質で一番いいデキはMID。
自然な厚みある声質でした。

そしてユニットを取り付け
●完成!! 外装はローズウッドか?濃いめで渋い。
レコードプレイヤーなんかにありそうですね。

さて、さっそくレビューにはいります。
エッジを貼り替え後エージング無しでの音出し
まずは一言
「 バランスいいな 」

大型3wayの場合、どこかが斗出してる場合が多いのだが、
この333は上から下まで平均的な出具合、
まっさきにバランスの良さが感じられるほどでした。

高域は柔らかく嫌みがない。リボン的音質。
中域は少し凸傾向だが、人の声はMIDに集約されてるので、
とても自然でききとりやすい。
低域はタイトでキレのいい音。
絞り気味のポートからは、いまだブーミー音は出てないが、
時折見せる野太い超低域には、ハッとさせられることも
しばしばあった。
さすがオーバー30cmクラス。
20cmでは味わいにくい、濃厚な音質です。
これからがさらに本調子になるでしょう。

総じて。
さすがに30cmクラスのウーファーになると、
音の出方もずいぶん変ってきますね。
この333ESは、ブーミー音が出過ぎないので、
酔わずに長時間聴いていられます。
 たまに「 こんな音入ってたんだ 」なんて言葉を目に
しますが、この大きさだからこそでしょう。
 いつもの2wayと比べると、片側で4倍ほど面積が大きい。
目の前で聴いてることもあるが、音が直で体に伝わり、
包みこまれるような臨場感が味わえました。
そこが大型3way、最大の魅力でしょうね。

最後に。
今回のポイントはやはり中域、前回のONKYO D-55F同様
MIDはネットワークを通さず、単品エージングおこないました。
 その効果は大きく、ボーカルはより自然で
生々しい存在になるほどです。
2wayでも3wayでも、やはり中域がポイントですね。

 あまり慣れていない大型3wayですが、スピーカーの魅力たっぷり
どっぷりはまりそうな予感がするほどです。
環境が変る予定なので、これからは大型をバンバン
やっていきたいと思ってます。

今回の333ES、普段はあまり聴かないクラシックが
なぜか聴きたくなってくる。
そんな魅惑的な存在であり、
SONYの本気を感じたスピーカーでした。

さて次回も大型3way!ただし自作品で、
初の大型作品になります。お楽しみに♪


 


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