●今回は marantz LS333 という激レアスピーカーの登場です。
パッと見まず目を引くのがその形、”
平面振動板 ”でしょう。
「 なんだこれ!? 」
と思わずつぶやきそうな、そんなスタイルです。
メーカーもレアなマランツ。
みなさんはマランツと聞けば、何を想像しますか?
アンプ?CDプレイヤー?などは想像の範疇だと思うが、マランツと聞いてスピーカー!
とは、中々連想しにくいですよね。
そんな珍しいスピーカーに加え、さらに希少な平面振動板。
いったいどんな音が出るのやら!?
よくよく見ていくと、細かいところまで凝っており精度も良い。
見れば見るほどかっこよく見えてくるから不思議なものだ。

そこでnetで調べてみると、ちらほらと強度不足という文字が目についた。
確かに平面は円錐(コーン型)に比べ、強度がなさそう。
強度がないとビビってしまい、まともな音にすらならない。
そんな強度不足を補うため、素材にはアルミが採用されている。
アルミの厚さや重さなど、バランスを取るのが難しそうだが、どんな構造なのか興味津々!?
そんなところで、さっそくレビューにはいります。
marantz LS333 1980年代・前半頃 \60,000円くらい(ペア)
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・密閉方式・防磁設計
使用ユニット 高域用:2.5cm平面振動板  ・低域用:16cm平面振動板
再生周波数帯域 55Hz〜30000Hzくらい
インピーダンス
出力音圧 88dB/W/mくらい
クロスオーバー周波数 3KHz
外形寸法 幅220×高さ360×奥行230mm 約12L
重量 5kg
●まずは一言
「 な、なんだこれ。すごくいいんだけど 」

このての特殊形状は見た目倒しが多く、期待するだけ無駄なことが多いのだが、
これはうってかわり、とにかく「 超自然・超ナチュラル 」で聴きやすい音だった。
 TVの音もすこぶるいい!!
全体のバランスはやや中低域より、高域の伸びが欠けるものの
やわらかい音質は、聴いてて心地よくなる。
中域はやや凹み気味、ツィーターががんばってる感じの音。
低域はやや箱鳴り気味だが、厚みがあり軽くない。
所々あいまいな点も感じられるが、全て総じて密閉の良さが出ており、
全体が一皮むけたような、そんな解像度の高い音も堪能できた。

最大の特徴はやはり中域、”癖が無い・ナチュラル・自然
そんな言葉があてはまるほどのスピーカーでした。

直前に聴いていたのがONKYOのモニター500だったのだが、これと比べると
金属臭さが感じられてきた。
そんなこともあったので、このLS333にはマジ驚きました。

短所は甘めなところや、低域の箱鳴りだが、
自然で聴きやすい音色なので、あえて手を加えようとは思わなかった。
もちろんレスポンスUPは計りたいところだが、
微妙なさじ加減、絶妙なセッティングが必要になりそうな予感がします。
とりあえず、”平面振動板”の秘密を、紐解いていきましょう。

●パッと見わかる
その独特なデザイン。
新鮮だが、それほど高級感はない。
何かが足りない気がします。
●まずはユニットを外します。
だがネジが見当たらない・・・
これはもしや、SX-V1のような一体成型か!?
●四つ角にはこんなものが付いており
どうやらネジのよう。
わりとゆる目だったので
指で回せたが、何個は硬かったので
●こんなの作りました。
●するとこのように外せます。
たぶんメーカーでは、
専用工具、もしくは何かの代用品が
あったのでしょうね。
●ネジを外してみると、
側はなんとカバーでした(^^;
セオリーと言えばセオリーかもしれません。
ただしアルミでできており、
わりとしっかりしたものです。

そんなカバーを外すと、ユニットの全貌が見えました。
ネジは全て+
そして全てナット付きというこだわり。
精度は高い。
●ネジは簡単に外せました。
ナット付きは取り付け取り外しが安定してるのだが、
空回りするという
超デンジャラスな一面もあるから注意も必要です。

さて内部だが、これといった特徴も補強もない
普通の箱。
吸音材はチクチクするグラスール。
密閉としては少なめで、30〜40%といったところ。
●その吸音材をずらすと、ネットワークが見えました。
パッと目を引いたのがコイル!!
思わずRogers LS3/5a が頭をよぎる。
メーカー・設計者のこだわりなんでしょうね。
●さてさてユニット
こちらはツィーター。
フレームはプラだが、マグネットは意外に大きく
重量感もある。
●振動板はご覧のよう平面
素材はアルミ。
エッジは布製で、ストロークは一般的。
●で裏がこれ。
見たい見たい!!の衝動にかられ、
まっさきに分解しました(笑

裏側にはハニカムされたアルミが
貼られているようです。
まんま平面ですね。

そして気になる、単品での音質だが、
ミッドレンジまでとはいかないが、普通のツィーターよりは
中・低域がかなり厚い。
1インチとか2インチとかのフルレンジ、
そんな傾向の音色でした。
●こちらはウーファー。
フレームは一般的なスチール製だが、
これもツィーター同様、マグネットがでかい!!

そのマグネット中央、小さめだが穴があいている。
これはコーンまで貫通しており、
たまに見られる構造です。
空気抜きというのか、レスポンスがよくなりそうな
構造だが、どれも低音の量感が
多めだったような気がする。
低音に有利な構造かもしれません。
●そして問題のコーン。
写真じゃちょっと見ずらいと思うが、解りますか?

すごい凝ってる!!

ボイスコイルがぐ〜んと伸ばされ、
その先に振動板が、ぺたっと貼られている。

まんま平面です!!

振動板裏側には、強度を確保する為の補強が見られる。
とにかく初めて見る構造で
とても新鮮です!!
ただし音質は、癖のないナチュラルな音。
平面の長所は、よくわかりませんでした。

●興奮冷めやらぬまま、
ネットワークのチューニングに入ります。
まずは取り外す。
表面に見えるネジ3個を外せば、
簡単に外れると思っていたら・・・
これ、がっちがちに接着されてた(^^;
●あーだこーだやりながら
なんとか取り外しました。
ほぼ壊すような勢いです(笑

セオリー通りの12dB/oct
コンデンサーは、やや大きめの容量です。
●裏はこんな感じ。
引き剥がした感、わかるでしょ。

なかなか外れなかったので、
そのまま部品交換しようか、
なんて思ったほどでした。
●コンデンサーを変えようか悩んだが
微妙な容量なので、
とりあえずケーブル変えて様子をみることに。
これだけでも
中域の輪郭がシャープになり、
ちょうどいい塩梅になるかもしれません。

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