●今回は以前取り扱ったことのある2機種、TEAC S300PRO と ONKYO D100 のご紹介です。
(以前の記事はこちら )
TEAC・300シリーズの中では、一番バランスのいいPRO。
対してONKYO D100は、値段に相応しくないほどの高音質の持ち主。
どちらも共通するのが、その武骨な面構え。
今回はそんなスピーカーのブラッシュアップに加え、いかにも”モニター ”と言われるような
クールな仕上げを目指します。
どう変化するのか!? さっそくはじめましょう。
●上がTEAC S300PROで下がONKYO D100
D100はエッジが×なので、まずはエッジの張り替えから
はじめます。
D100のツィーターは一般的なソフトドームだが、
”なのが特徴的でインパクトがある。
その白に合わせ、エッジもし・・
●こちらTEAC S300PRO。
今回は豪勢な つき板仕上げにします。
まずは表面処理。
ここをきちんとやらないと
あとあと仕上がりにひびいてくる。
●つき板はチェリーの柾目。
背面以外すべて貼りました。
貼ったあとは角のギザギザを処理したり
表面も軽くペーパーがけします。
一台仕上げるのにだいた1時間半〜2時間くらい。

Rや面が多い物は大変ですね。
●丁寧に処理したあと 塗装します。
今回は黒。
塗りつぶしではなく、できるだけ木目を引きだせるよう
注意しながらおこないました。
炭黒(ややシルバーグレー黒)にしようかと悩みましたがが、
男の黒っていうテーマで真っ黒にしました。
●塗装が乾いたらペーパーがけ。
写真じゃわかりずらいと思うが、左右で色味が違います。
塗装は2度塗りだが、右は真っ黒。
左はペーパーがけした後で、白い粉が木目に入り込み
木目がより きわだった感じに見えます。
黒で木目がクッキリした板って売ってますよね。
そんな感じ。
ただしこのまま最終仕上げのクリアーをかけてしまうと
白っぽい木目も消えてしまいます。
このような木目をクッキリ残したいなら
とのこなどを塗ればいいでしょう。小麦粉でもいいかもしれません。
ただし綺麗に仕上げるのは難しくなりそうです。
今回はブラックエディション、武骨でクールな黒を目指しているので
木目をあまり目立たせないような仕上げ方をします。
●こちらはネットワーク、ケーブルのみの交換。
良いコンデンサーがついてます。
細部もきちんと仕上げました。

●ネットワークで、ツィーターの能率を調整をするかしないか
ものすごく迷ってました。
色々と試した結果、能率調整はしないで、
ツィーター部にスポンジを貼る事に。
スポンジの中央部分、穴の大きさにより
高域特性もずいぶん変化するので、
ちょうどいい塩梅をみつけるのには苦労しました。

これで質のいい、
上品な音色が堪能できるようになります。
●箱の仕上げが終わったあと、ネットワークを取り付けます。
箱は補強と吸音材を追加し 調整しました。
ツィーターのスポンジに加え、
このあたりの微調整にも、こだわりがあります。
●さてここからは”ONKYO D100 ”になります。
まずはユニットを外し、ボロボロのエッジを綺麗にします。
●そのあとエッジをはります。
これはコーン側を貼り終えた写真。

今回は初めて”白エッジ ”に挑戦しました!!!
白エッジにする為には、
白い生地と白いダンプ剤(液体ゴム)が必要です。
作り方は黒いものと同じだが、私なりのこだわりがあります。
生地に液体ゴムを塗っていくと、普通はテカテカになりますが、
いかに艶を抑えて、かつ発色のいい白にするかが
最大のポイントであり、難しいところでもありました。

で何度かテストし、完成したのがこれです。
写真だとわかりずらいが、品のある具合に落ち着いたと思います。
これを応用すれば、様々な色も作れそうですね。
●さてこちらはツィーター。
このD100は元々白いソフトドームなのだが、
汚れが付着して黄ばんでるものがほとんどです。
まずはその黄ばみを、できるだけ綺麗にします。
一番手っとい早い方法は漂泊だが、
あまり強すぎると ドームを痛めてしまいます。
慎重に作業を進めていくのだが、Tシャツの黄ばみ同様
なかなか真っ白にはなってくれません。
そこで今回は、エッジと同じ液ゴムを塗ってみました。
かな薄めたので 中々白くはならないが、
だいぶ綺麗になりました。
けっこう神経使う作業です。
●こちらはネットワーク(ノーマル)。
最近の機種はシンプルなネットワークが多いですが
この時代はとても凝ったもので、よく考えて作られている。
そんなこだわりが音に深みを与えてます。
●ツィーターのコンデンサーとケーブルを交換。
300PROとは逆に、こちらはツィーターの能率を少し
上げたいくらい。
ただし微妙な加減なので、
しばらく聴いた後 また調整することにしました。

D100はほんと いい音(好み)なので、
もっとグレード上げてやってもいいくらいです。
●この箱は ハンマートーン調の塗装がほどこしてあり、
重厚な雰囲気や、重みを出したかったと思われる。
表面が微妙に凸凹してるので、そこに汚れが
染みついてしまうのが最大の難点。
通常はクリーナーで2〜3回拭けば綺麗になるのだが、
これはその倍以上拭かないと綺麗になりませんでした。
とにかく徹底的に汚れを落とすのが大事な作業になり、
仕上がりに差がでてきます。
●ユニットを取り付け、完成!!! いかがでしょう。
まず300PROだが、品のある3部艶で仕上げました。
リアルウッドの黒って、パッと思いつくのはYAMAHAのテンモ二だが、それ以外ほとんどみかけませんよね。
昔のスピーカーはけっこう黒が多いのだが、そのほとんどは残念ながらビニールシートです。
写真や遠目では確認しずらいが、実際目にすると その質感は一目瞭然なんです。
だから今回のような黒、以外に欲しい人が多いかもしれませんね。

次にD100、こちらはとにかく徹底的に汚れを落としてから仕上げました。
一番のポイントは白エッジ。ツィーターの白とマッチし、いい見栄えになったと思います。
ツィーターのドームはなんだか茶色に見えますが、黒ネットのせいなのか?けっこう白いんですけどね。

音質はどちらもクリアー質のモニター調で、かなりいい線いってます。
とくにD100だが、ONKYOのD200や500、D102〜202シリーズなどなど、
そのあたりのスピーカー全部ひっくるめて、私的にはこのD100が 凄くいい音に感じます。
なんというか ポイントはやはり低域で、軽くもなくブーミー過ぎない、ちょうどいい塩梅がとても気にいってます。
OLD製のONKYOと言えば、高域が綺麗という印象があり、このD100もその一つ。
そんな高域と低域の組み合わせに加え、癖の少ない中域もあいまり、
ハイレベルなバランス音を演じてくれます。
たぶんマニアの方でも、納得のいく音質じゃないですかね。
特にハイエンドなアンプなんかと組み合わせれば、どんな音色が出るのやら想像もつきません。

S300もD100に似た傾向で、とてもバランス感のあるサウンド奏でます。
箱が小さい分低域は弱めだが、その分中高域が洗練されており、より定位感を感じる事ができます。
中域に厚みもあるので、自然な声質も楽しめます。

 それに加え今回は、一般的な木目調ではなく
男の黒 ” というテーマのもと、ブラックエディションで決めてみました。
なんでも鑑定団に出てきそうな、しぶ〜い黒茶碗とか楽茶碗とかあるじゃないですか
千利休愛用なんて言われてる品、そんな重厚な雰囲気が出せればな、なんて思いで仕上げてました。
けっこういい出来に仕上がったと思います。
こういうのが一台あるだけで、部屋の雰囲気も渋くなるから不思議ですよね。

最後に。
 黒と言えばまず、ピアノブラック(鏡面仕上げ)が頭に浮かびます。
ピアノブラックは高級感があり すごくかっこいいのだが、実際部屋に置いてみると、
どこか違和感が出てしまうというか、何か浮いてるような気もします。
 高級なモデルルームのような部屋には、よだれが出るほどかっこよく見えますが、
私の家のような普通すぎる部屋の場合 ミスマッチといいますか、どこかしっくりこないんです。
そこで今回のような黒に仕上げた訳ですが、和室でも洋室でも どんな部屋でもすんなり馴染んでくれそうです。
 家具を置くような感覚として、最初からインテリアの一部として溶け込むような、
そんな洒落たスピーカーを、今後も作っていきたいものです。
 次回、今ちょっと整理中なので未定ですm(_ _)m 何が出てくるかは楽しみにしていてください♪


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