前回に引き続きONKYO製品。
D-200は割とメジャーだが、こちらレアなD-100で、下取り品です。
過去、下取りは何度か断ってきましたm(_ _)m
ただこのオーナー様は、私の作品が気になり、私よりスピーカーを購入して頂きました。
それが10年ぶり20年ぶり!だなんて、泣かせてくれるじゃないですか。とても光栄です^^
ネットも無くボロボロとおっしゃってたので、かなりやばいの想像してましたが(笑
思ってたより奇麗、ぜんぜん大丈夫ですよ!
さすがワンオーナー品は、扱われ方が違いますね。
失礼ながら、この話を耳にするまで、D-100と言う物があるのかさえ、分らないでおりました(^^;

D-200→100、数時や値段を見ると、グレードダウンしてるように思えますよね。
D-200の影に潜んだD-100。はたしてその実力はいかに?


ONKYO D-100 1989年 \22,000(1台)
メーカー解説:小型スピーカーの音の解析を徹底して行い、のびのびとした音を作り上げるノウハウを取得し、
小型スピーカーの宿命である低域再生能力や能率の不足を改善したスピーカーシステム。
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式防磁設計(EIAJ)
使用ユニット 低域用:14cmコーン型 ・高域用:2.5cmドーム型
再生周波数帯域 40Hz〜30000Hz
インピーダンス
出力音圧 90dB/W/m
クロスオーバー周波数 4KHz
外形寸法 幅196×高さ315×奥行221mm
重量 5kg
ご覧んのように、エッジが×。男らしいというか、無骨な外観はちょと新鮮。
エッジを張り替え、エージングした後のインプレに入ります。

まずは一言

「 えっ!?何これ、中々いいじゃない 」

高域
柔らかい音質の中にも、どこかメリハリがある。
そんな明瞭感は、たまに刺激的な音を出すが、その刺激はネットワークによるところ。
嫌味は無く、聴き疲れはほとんどしない。
この部分だけの印象、特に透明感はD-200に一歩譲るかな?と感じたが、
このニュートラルな感じは悪くない。

中域
ポートは絞り気味で、そこからの中域は少なめ。
ウーファーの中域が、7割ほど占めたフィーリングなので、
輪郭や定位は甘めだが、艶っぽさ・色気は中々見事。
声はかなり自然、変な癖はほとんどない。

低域
100Hz周辺がもう少し欲しい、と感じるが、
それ以下はけっこうきちんと出ており、低い音が容易に感じられる。
ブーミーな感じは皆無で、スピード感のあるキレも特徴的。
他の出る物に比べると、やや控え目にも感じるが、
ONKYO製品、特にD-200と比較すると、こちらかなり量感UPしており、
特に低い音はよく感じられた。
メーカーが「 小型スピーカーの宿命である低域再生能力不足を改善 」
どの小型と比較し、改善したのかは解らないが、
音は文章通りで、筋は通ってる。

全体音
モノラルで聴いた時、少し繋がりが悪いように感じた面もあるが、
ステレオだと、まったく気にならなくなった。
箱鳴りも響きも控えめ、だから全体は解像度が高く感じる。
もっとも特徴的なのが、
艶やかで、”色気 ”のあるボーカル。
まるで、クロスオーバー”
4KHzのお手本 ”のような音にも思えた。
変な癖がほとんど無く、とにかく自然なウェルバランスは素晴らしい!
古いツィーターは伸びやかさにかける物も多く、これもそんな感じはある。
それでもONKYOのツィーターは優秀な印象があり、キレのある明瞭な鮮度が伝わってくる。

前回のD-102EXGに引き続き、これもONKYOらしくない音というか、
何か外国製スピーカーや、ハイエンドモデルを聴いている感覚にさえ、陥る時もあります。

Dシリーズは沢山あると思うが、このD-100、200や500より、秀でた一面がある。
D-102EXGもその性格に驚いたが、これも中々のもんで、甲乙付けられないというのが本音。
はっきり言って中型ONKYO製品の中で、1、2を争う実力の持ち主では?
あくまでも私の感覚だが、ちょっとやられた、って感じですね。
非常に驚きました。

普段は最初に音を聴いて、第一印象、ここの文章を書き、
メンテやチューニングした後に、最後の文章を書く。
そんな流れで、この手のページ作りをしてる訳だが、エッジが×のスピーカーは音が出せないので、
最初に張り替え、ついでに全部メンテナンスをしてしまう。

だからここの文章は、メンテ後の感想になるわけで、
きちんとメンテしたスピーカーは、一皮剥けたような良音になる、とも言わせて欲しい。

ユニットを外します。ネジは六角。
箱に補強は無いが、割としっかりしている。
内側一周と、ネットワーク部にフェルト。ポート周波数は、少し低めの45Hz。
ネットワーク。
TW 約4Kカット-12dB/oct ・WF 約3.5K カット-18dB/oct
コンデンサーと抵抗は直列、コイルは並列(TW)というような、基本に忠実な構成。
例えば並列のコイルにコンデンサーが割り込んでいる。そのような構成の場合、、
複雑や基本に忠実ではない、などと表現している。
エッジ張り替え後のウーファー。 見た目的に、いたって普通のプラ製コーン。
ロジャースLS3/5a なんかもこんなノリだが、普通でシンプルが逆に、良音を生みだしてる秘訣かもしれません。
マグネットはやや小さめ。フレームも極普通のプレスもの。
ツィーター。やはり80年代製品だけあり、マグネットは大きめですね。
このドーム型振動板だが、最初パッと見、プラなどの樹脂かと思っていたが、実はソフトドームでした。
白なんで、入念にクリーニングします。
なんかカッコイイですよ、この白。YAMAHAあたりも、ソフトドームで白ってありました?
古い製品なので、チェックを兼ねて分解・清掃します。右は音出しテスト。
何通りかネットワークを変更してみた。ツィーターの刺激を、少しだけ和らげようかな?
とも思ったが、これはこれの” ”であり、このままオリジナルをキープする事にした。
今回は同社、D-102EXGと同時メンテ中だったので、ユニットを入れ替えて比較してみた。
まず右の写真・ウーファー。
102EXGはユニット自体、低域の量感があり、加え非常に艶っぽい音が特徴的。
この艶やかさは、非常に私好み。
対してD-100、比べてしまったせいもあるが、低域の量感はやや落ちる。
だが相手が艶艶なだけに、乾き気味のフラットな音に感じてしまう。それだけ癖が無いって事ですね。
D-100よりもっと乾いた、響きの少ないユニットもあります。
だからD-100は、その辺りの加減がいい塩梅、ウェルバランスと言えるでしょう。
今度はツィーターの比較。ご覧のように箱は同じ、ネットワークはD-100のもの。
より繊細に音を感じ取れるよう、ウーファーは写真のように外して視聴します。
言うまでもありませんね。D-100の圧勝。D-100を100点とするなら、102EXGは70点ってとこ。
同じソフトドームという事もあり、上の伸び具合やレンジ感はすごく似ている。
決定的に違うのは中域・ボーカルの声質。
D-100は明瞭、輪郭がはっきりしているので、団子になっておらず解像度が高く感じます。
マグネットの差かな?と思う所もあるが、やはりOLD製品はいいですね。こんな比較だと、より分かりやすいです。
102EXGはウーファーとの距離を近づける為、フレームがカットされてるでしょ。
これが丸だったら、D-100は可哀そうだが、ぶっちゃけ交換してたかもしれません。

ウーファーは見た目だけでは判断できず、難しい所もあるが、
ツィーターは、金属は硬い音、ソフトドームは柔らかい音、と言う所に準ずるものがあり、
マグネットはでかい(強力)ほど良い、という結果でした。
個々のユニット音の影響はもちろんあるが、最終的には全体のバランスであり、
ユニット・箱・ネットワーク、全ての”
バランス ”が整ったものが、”良い音 ”への音像を作り上げるのではないでしょうか。
常々バランスは大事だと、実感しております。
箱の小傷は軽く補修。この表面、何て言えばいいのだろう?よくあるビニールクロスだが、わりと肌理細かい感じ。
ユニットを取り付け
完成!!!100の文字に合わせ、横置きに置いてみた。なんかモニターチックですね。
こうすると、なんかかっこよく見えると思いませんか?
ブラックの中に、ビビットな白と赤が一点。
それが際立ち、全体の暗い印象から洗練されたイメージへと、変化している。
台も壮観なイメージに一役買ってるかな、
この台、だいぶ前に作ったものだが、縦にしたり横にしたり、3本の棒部分のみ使ったりなど、
サイズの応用がかなり効き、かなり大活躍。我ながら感心しております(^^;
写真だとかなり奇麗に見えるが、実際は所々塗装がはげはげ。ぼちぼち再塗装してやらねば、と考えている。
前回のD-102EXG同様、今回もチューニングはせず、メンテナンスのみ。
何とも楽でいい。
いじる必要が無いものは、変な癖が無かったり、バランスが整っているスピーカーでもある、という事。
そんなスピーカーが、もっと増えて欲しいものです。
この感想は、まるっきり私の感覚になりますが、いじらないのは稀な上、D-100は更にレアですよね。

ソースだが基本的に、ボーカル物との相性が良い。JAZZも○
中域はやや厚みがあるが、自然だからTVはもちろん、クラシックもそつなくこなします。

最後に。
ちょっといいスピーカーが欲しいなァ。
そんな時は、まず値段(定価)の高い物に目がいきがち、
安い物や最下グレードは、見向きもしない。

一般的に、そんな傾向があるかと思うが、
ぶっちゃけ私も、このD-100を所有するまでは、見向きもしないスピーカーでした。
だが聴いてびっくり、そのギャップに驚きを隠せません。

音は値段じゃありませんね

このD-100、見たくれを高級なスピーカーへ大変身させようかな?と思ったくらいですから。
当たる時は続くもんですね。
ONKYO製品、見直さなければ・・・と思えるほどのスピーカーでした。

話は変わるが、
最近は以前よりも増し、チューニングや制作依頼が多い。制作は丁重にお断りしてますが、
チューニング依頼も、お断りしようと思っております。
それだけ目の前にスピーカーが並んでいるもので(汗 自分の時間が取れにくくなってきました。
時間が取れるようになれば、順次依頼は受けつけようと思っております。
その時は、よろしくお願いしますm(_ _)m

2台ある大型のうち、一台は終わったばかり。
だが流れ的に、もう一台あるONKYOを先に紹介しようかな、と思っています。

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