●前回に引き続きONKYO製品。 
            D-200は割とメジャーだが、こちらレアなD-100で、下取り品です。 
            過去、下取りは何度か断ってきましたm(_ _)m 
            ただこのオーナー様は、私の作品が気になり、私よりスピーカーを購入して頂きました。 
            それが10年ぶり20年ぶり!だなんて、泣かせてくれるじゃないですか。とても光栄です^^ 
            ネットも無くボロボロとおっしゃってたので、かなりやばいの想像してましたが(笑 
            思ってたより奇麗、ぜんぜん大丈夫ですよ! 
            さすがワンオーナー品は、扱われ方が違いますね。 
            失礼ながら、この話を耳にするまで、D-100と言う物があるのかさえ、分らないでおりました(^^; 
             
            D-200→100、数時や値段を見ると、グレードダウンしてるように思えますよね。 
            D-200の影に潜んだD-100。はたしてその実力はいかに? 
             
            
            
              
                
                  | ONKYO D-100 1989年 \22,000(1台) | 
                 
                
                  ●メーカー解説:小型スピーカーの音の解析を徹底して行い、のびのびとした音を作り上げるノウハウを取得し、 
                  小型スピーカーの宿命である低域再生能力や能率の不足を改善したスピーカーシステム。 | 
                 
                
                  | 方式 | 
                  2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式防磁設計(EIAJ) | 
                 
                
                  | 使用ユニット | 
                  低域用:14cmコーン型 ・高域用:2.5cmドーム型 | 
                 
                
                  | 再生周波数帯域 | 
                  40Hz〜30000Hz | 
                 
                
                  | インピーダンス | 
                  6Ω | 
                 
                
                  | 出力音圧 | 
                  90dB/W/m | 
                 
                
                  | クロスオーバー周波数 | 
                  4KHz | 
                 
                
                  | 外形寸法 | 
                  幅196×高さ315×奥行221mm | 
                 
                
                  | 重量 | 
                  5kg | 
                 
              
             
            
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            ●ご覧んのように、エッジが×。男らしいというか、無骨な外観はちょと新鮮。 
            エッジを張り替え、エージングした後のインプレに入ります。 
             
            まずは一言 
             
            「 えっ!?何これ、中々いいじゃない 」 
             
            高域 
            柔らかい音質の中にも、どこかメリハリがある。 
            そんな明瞭感は、たまに刺激的な音を出すが、その刺激はネットワークによるところ。 
            嫌味は無く、聴き疲れはほとんどしない。 
            この部分だけの印象、特に透明感はD-200に一歩譲るかな?と感じたが、 
            このニュートラルな感じは悪くない。 
             
            中域 
            ポートは絞り気味で、そこからの中域は少なめ。 
            ウーファーの中域が、7割ほど占めたフィーリングなので、 
            輪郭や定位は甘めだが、艶っぽさ・色気は中々見事。 
            声はかなり自然、変な癖はほとんどない。 
             
            低域 
            100Hz周辺がもう少し欲しい、と感じるが、 
            それ以下はけっこうきちんと出ており、低い音が容易に感じられる。 
            ブーミーな感じは皆無で、スピード感のあるキレも特徴的。 
            他の出る物に比べると、やや控え目にも感じるが、 
            ONKYO製品、特にD-200と比較すると、こちらかなり量感UPしており、 
            特に低い音はよく感じられた。 
            メーカーが「 小型スピーカーの宿命である低域再生能力不足を改善 」 
            どの小型と比較し、改善したのかは解らないが、 
            音は文章通りで、筋は通ってる。 
             
            全体音 
            モノラルで聴いた時、少し繋がりが悪いように感じた面もあるが、 
            ステレオだと、まったく気にならなくなった。 
            箱鳴りも響きも控えめ、だから全体は解像度が高く感じる。 
            もっとも特徴的なのが、 
            艶やかで、”色気 ”のあるボーカル。 
            まるで、クロスオーバー”4KHzのお手本 ”のような音にも思えた。 
            変な癖がほとんど無く、とにかく自然なウェルバランスは素晴らしい! 
            古いツィーターは伸びやかさにかける物も多く、これもそんな感じはある。 
            それでもONKYOのツィーターは優秀な印象があり、キレのある明瞭な鮮度が伝わってくる。 
             
            前回のD-102EXGに引き続き、これもONKYOらしくない音というか、 
            何か外国製スピーカーや、ハイエンドモデルを聴いている感覚にさえ、陥る時もあります。 
             
            Dシリーズは沢山あると思うが、このD-100、200や500より、秀でた一面がある。 
            D-102EXGもその性格に驚いたが、これも中々のもんで、甲乙付けられないというのが本音。 
            はっきり言って中型ONKYO製品の中で、1、2を争う実力の持ち主では? 
            あくまでも私の感覚だが、ちょっとやられた、って感じですね。 
            非常に驚きました。 
             
            普段は最初に音を聴いて、第一印象、ここの文章を書き、 
            メンテやチューニングした後に、最後の文章を書く。 
            そんな流れで、この手のページ作りをしてる訳だが、エッジが×のスピーカーは音が出せないので、 
            最初に張り替え、ついでに全部メンテナンスをしてしまう。 
             
            だからここの文章は、メンテ後の感想になるわけで、 
            きちんとメンテしたスピーカーは、一皮剥けたような良音になる、とも言わせて欲しい。 
             
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            | ●ユニットを外します。ネジは六角。 | 
          
          
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            ●箱に補強は無いが、割としっかりしている。 
            内側一周と、ネットワーク部にフェルト。ポート周波数は、少し低めの45Hz。 | 
          
          
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            ●ネットワーク。 
            TW 約4Kカット-12dB/oct ・WF 約3.5K カット-18dB/oct 
            コンデンサーと抵抗は直列、コイルは並列(TW)というような、基本に忠実な構成。 
            例えば並列のコイルにコンデンサーが割り込んでいる。そのような構成の場合、、 
複雑や基本に忠実ではない、などと表現している。 | 
          
          
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            ●エッジ張り替え後のウーファー。 見た目的に、いたって普通のプラ製コーン。 
            ロジャースLS3/5a なんかもこんなノリだが、普通でシンプルが逆に、良音を生みだしてる秘訣かもしれません。 | 
          
          
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            | ●マグネットはやや小さめ。フレームも極普通のプレスもの。 | 
          
          
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            | ●ツィーター。やはり80年代製品だけあり、マグネットは大きめですね。 | 
          
          
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            ●このドーム型振動板だが、最初パッと見、プラなどの樹脂かと思っていたが、実はソフトドームでした。 
            白なんで、入念にクリーニングします。 
            なんかカッコイイですよ、この白。YAMAHAあたりも、ソフトドームで白ってありました? | 
          
          
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            ●古い製品なので、チェックを兼ねて分解・清掃します。右は音出しテスト。 
            何通りかネットワークを変更してみた。ツィーターの刺激を、少しだけ和らげようかな? 
            とも思ったが、これはこれの”味 ”であり、このままオリジナルをキープする事にした。 | 
          
          
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            ●今回は同社、D-102EXGと同時メンテ中だったので、ユニットを入れ替えて比較してみた。 
            まず右の写真・ウーファー。 
            102EXGはユニット自体、低域の量感があり、加え非常に艶っぽい音が特徴的。 
            この艶やかさは、非常に私好み。 
            対してD-100、比べてしまったせいもあるが、低域の量感はやや落ちる。 
            だが相手が艶艶なだけに、乾き気味のフラットな音に感じてしまう。それだけ癖が無いって事ですね。 
            D-100よりもっと乾いた、響きの少ないユニットもあります。 
            だからD-100は、その辺りの加減がいい塩梅、ウェルバランスと言えるでしょう。 | 
          
          
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            ●今度はツィーターの比較。ご覧のように箱は同じ、ネットワークはD-100のもの。 
            より繊細に音を感じ取れるよう、ウーファーは写真のように外して視聴します。 
            言うまでもありませんね。D-100の圧勝。D-100を100点とするなら、102EXGは70点ってとこ。 
            同じソフトドームという事もあり、上の伸び具合やレンジ感はすごく似ている。 
            決定的に違うのは中域・ボーカルの声質。 
            D-100は明瞭、輪郭がはっきりしているので、団子になっておらず解像度が高く感じます。 
            マグネットの差かな?と思う所もあるが、やはりOLD製品はいいですね。こんな比較だと、より分かりやすいです。 
            102EXGはウーファーとの距離を近づける為、フレームがカットされてるでしょ。 
            これが丸だったら、D-100は可哀そうだが、ぶっちゃけ交換してたかもしれません。 
             
            ウーファーは見た目だけでは判断できず、難しい所もあるが、 
            ツィーターは、金属は硬い音、ソフトドームは柔らかい音、と言う所に準ずるものがあり、 
            マグネットはでかい(強力)ほど良い、という結果でした。 
            個々のユニット音の影響はもちろんあるが、最終的には全体のバランスであり、 
            ユニット・箱・ネットワーク、全ての”バランス ”が整ったものが、”良い音 ”への音像を作り上げるのではないでしょうか。 
            常々バランスは大事だと、実感しております。 | 
          
          
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            ●箱の小傷は軽く補修。この表面、何て言えばいいのだろう?よくあるビニールクロスだが、わりと肌理細かい感じ。 
            ユニットを取り付け | 
          
          
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            ●完成!!!100の文字に合わせ、横置きに置いてみた。なんかモニターチックですね。 
            こうすると、なんかかっこよく見えると思いませんか? 
            ブラックの中に、ビビットな白と赤が一点。 
            それが際立ち、全体の暗い印象から洗練されたイメージへと、変化している。 
            台も壮観なイメージに一役買ってるかな、 
            この台、だいぶ前に作ったものだが、縦にしたり横にしたり、3本の棒部分のみ使ったりなど、 
            サイズの応用がかなり効き、かなり大活躍。我ながら感心しております(^^; 
            写真だとかなり奇麗に見えるが、実際は所々塗装がはげはげ。ぼちぼち再塗装してやらねば、と考えている。 | 
          
          
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            ●前回のD-102EXG同様、今回もチューニングはせず、メンテナンスのみ。 
            何とも楽でいい。 
            いじる必要が無いものは、変な癖が無かったり、バランスが整っているスピーカーでもある、という事。 
            そんなスピーカーが、もっと増えて欲しいものです。 
            この感想は、まるっきり私の感覚になりますが、いじらないのは稀な上、D-100は更にレアですよね。 
             
            ソースだが基本的に、ボーカル物との相性が良い。JAZZも○ 
            中域はやや厚みがあるが、自然だからTVはもちろん、クラシックもそつなくこなします。 
             
            最後に。 
            ちょっといいスピーカーが欲しいなァ。 
            そんな時は、まず値段(定価)の高い物に目がいきがち、 
            安い物や最下グレードは、見向きもしない。 
             
            一般的に、そんな傾向があるかと思うが、 
            ぶっちゃけ私も、このD-100を所有するまでは、見向きもしないスピーカーでした。 
            だが聴いてびっくり、そのギャップに驚きを隠せません。 
             
            ”音は値段じゃありませんね ” 
             
            このD-100、見たくれを高級なスピーカーへ大変身させようかな?と思ったくらいですから。 
            当たる時は続くもんですね。 
            ONKYO製品、見直さなければ・・・と思えるほどのスピーカーでした。 
             
            話は変わるが、 
            最近は以前よりも増し、チューニングや制作依頼が多い。制作は丁重にお断りしてますが、 
            チューニング依頼も、お断りしようと思っております。 
            それだけ目の前にスピーカーが並んでいるもので(汗 自分の時間が取れにくくなってきました。 
            時間が取れるようになれば、順次依頼は受けつけようと思っております。 
            その時は、よろしくお願いしますm(_ _)m 
             
            2台ある大型のうち、一台は終わったばかり。 
            だが流れ的に、もう一台あるONKYOを先に紹介しようかな、と思っています。 
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