●ヴァリアスクラフトにもようやく顔を出し始めたJBL。
アメリカを代表するメーカーであり、好きなメーカーの一つでもある。
好きと言っても実際の思いではあまりなく、5.1chのリアで使った216くらい。
その216もわずか数カ月でBOSEの201にうって変わる。音は216の方が良かったんですけどね。
部屋のインテリアをかっこ良くする為、ただのミーハーでBOSEに変えただけなんです。
そんな短い付き合いの216でしたが、久々に聴いてみるとずいぶん印象の違うものでした。

今回は216に加え213も同時進行、音質の違いに迫ります。
さっそくはじめていきましょう。
JBL J213PRO 1985年 \50,000円(ペア)
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:10cmコーン型
再生周波数帯域 70Hz〜20000Hz(推定)
インピーダンス
出力音圧 87dB/W/m 87という数値を見たが実際はもっと高い感じがする
クロスオーバー周波数 5KHz(推定)
外形寸法 幅210×高さ298×奥行200mm 約7L
重量 4.5kg
●もっとメジャーかと思っていただけに、あまり情報が無いのには少々驚きました。
そんなところでさっそく音出し
まずは一言、213
「 こもってるなー 」

続いて216の一言
「 キラキラつえー 」

*213に関してはエッジが少し硬いので、本来の音が出てない感じがします。

スピーカー(音質)を評価する上で基準、ニュートラルをどこで取るかは非常に難しい問題で評価の分かれ目でもある。
前回聴いてたスピーカーはダイヤトーンのDS-500。
密閉をバスレフに改造したもので、セッティングも私好みにしたものです。
その音質がここでの基準になるわけだが、213と216、ずいぶんと極端な結果でした。

まず213、高域・ツィーターが216と同じなだけにその音色もほぼ同じ。
とにかくこのツィーターはキラキラ感の強い刺激的な音色。
うるさく感じるほど刺さる音だが、それはセッティングによるところでもある。
長所はワイドレンジ。
正面の拡散板(透明の板)も効いてるようで、広がりが強く感じます。
 その刺激的な高域に対し、中域もけっこう凸で前に来る傾向。
低域は少し軽く感じるが、そこはエッジの問題もありそうです。
ちょっとバランスが中域よりで、一昔前のフルレンジのような音質でした。

続いて216、高域は213とほぼ同じだが、低域の量感があるのでバランスがいい。
フロントポートのスピーカーは背面ポートに比べ、中域が多く出るので高域が強めの傾向にあり、
この216もそうでした。
だから高域はちょっとうるさく感じるほどで、とにかくキラキラ感が目立つ音です。
213よりもツィーターが強めなので、そのぶん中域も凹み気味になっている。
中域に関してはいい塩梅でニュートラルに感じました。
箱も大きいので低域の量感も多く、ざっと言うとややドンシャリタイプでしょう。

このうるさく感じる音質はユニットがこなれてくる、鳴らし込んでいくとだいぶ柔らかくなってくる場合もあるが、
外国製によくみられるネットワークのセッティングでもあります。
213と216、今のところ真逆とも言える傾向だが、まずはしっかりしたメンテナンスが必要ですね。
213のポート周波数が80Hzに比べ、216は60Hz、そのあたりがチューニングのポイントにもなりそうです。
そんなところで、ぼちぼちはじめていきましょう。
●右が213で左が216.
216が2周りほど大きい。
●ユニットを外します。
●このツィーターはこうなってるものが多いが
これが一番酷いもの。
●ネジを外しただけでひび割れがおこりました。
ネジ頭のサイズがあってなくワッシャ―がないため、
くさびのような効果でひび割れがおこる。

それもあるがこれ、元々の素材、
プラスチックの配合が悪いのか?
粉々になりやすい性質がある。
品質が悪いんでしょう。
日本製ではありえませんね。
●こんな感じで成形、補修します。
●固まったら形を整えます。
●ネジ穴部はワッシャ―を入れ強化させました。
●塗装して完成。
先に向かって薄くなってるので
そこ盛ってやり強化させました。
これで気を使う必要がなくなりましたね。
●こんな感じ。
やや盛りすぎかな。
●さて、外装の補修に入ります。
写真のよう、元は黒ではなくグレー。
奥にある黒い箱は216。
比べるとよく解りますよね。
このグレー、汚れを落としてもなんか汚く見える。
●だからおもいきって塗装しました。
箱の素材はパーチクルボード。
湿気のせいか?角がよれてるものもありました。
MDFならもっと大丈夫なんですけどね。
パーチは水に弱すぎ。
●そうそう、肝心なチューニングの一つのポート。
元は約80Hzだが写真のようにし
65Hzほどに変更。
これで中域の凸がやや減ります。
●エンブレムを磨き直しました。
鉄製のエンブレム(銀色)に黒い部分が塗装でした。
216はプラ製のフレームだが213は木製でした。
気軽に洗えませんね。

213と216、ほんとに同じ年代なのか?
213は10年くらい古いと感じるほど差がありました。
グレーという色と個体差のせいかもしれません。

●背面のワンタッチターミナルは213、216共に同じ。
ネジ留めではなく押し込んであるだけ。
裏側よりグル―で固定されてます。

これもヘタに外す、ヘタに力を入れるとバラバラになります。
(内部も粉々に。一個やってしまいました)
●気を取り直しチューニングの完成。
ケーブルとコンデンサーを交換しました。
もとはしょぼい部品なので、かなりの効果が見込めそう。
●ユニット。
ウーファーはエッジを柔らかくしました。
たぶん213は全部硬いんじゃないですかね。

ツィーター。
振動板の周りにあるネジはダミーで+の模様です。
●裏はこんな感じ。
ツィーターは回して外すワンタッチタイプ。
ボンド留めされている。
これもへんに力をいれるとフレームが粉々になりそうなので
すごく神経使いました。
●ネットワークを装着。
●ユニットを取り付け
●完成!!! いかがでしょう。
クリアーで3部艶仕上げ。黒で塗り直したのでかなり綺麗です。
今回写真枚数が多くなったので、このページは213の紹介で次のページに216を載せてます。

まずはウーファーのエッジが硬かったので軟化作業から入りました。
ストロークもきちんとするようになり、量感が30%ほど増しました。
それにより中域の凸も目立たなくなり、だいぶ落ち着いた音質へと変わりました。
エッジをやり直したユニットは新品と同じような動作なので、最初にセッティングがばっちり決まっても、
あれれ?なんて具合で、あとからやり直す事もよくあります。
じゅうぶんな鳴らし込みも必要なので、けっこう面倒なんですよ。

やや中域が凸気味でフルレンジっぽい柔らかい音、ボーカル向けの音質の213。
最後写真、違うウーファーのものはコントロール1のウーファー。
同サイズ・同フレームだったので換装してみた。
 これがまたオリジナルとはガラッと変わる真逆傾向。ドンシャリタイプになりました。
ウーファーの違いだけでここまで変るのも驚きだが、これはこれでネットワークの再セッティングが必要。
何度かやり直しバランスを整えました。
 かなり216近づいた音、今時のハイファイ音って感じ。オリジナルよりいいかもしれません。
ソースもボーカルものより、クラシック・楽器系が得意なキャラクターになりました。

最後に。
80年代アメリカ製はとにかく壊れる。
そんなイメージがあるのだが、今回の213はそのまんまの印象でした(笑。
簡単に言うと大雑把な作り。
もっとマッチョでもよかったが、人間味の違いが大きく影響してるのかもしれません。
 JBLはこの辺りの年代ではなく、もう少し古い製品に人気が集中してるのかもしれませんね。
日本製とはもちろん、ヨーロッパ製品とも味の違うJBL。これがアメリカの味なのかもしれません。
213は216のように たま数が多くありません。
これは音質うんぬんではなく、ある意味 コレクターズアイテムかもしれません。

さて 続いては216、下の→で移動します。


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