●今回で2回目の登場となる TEAC S-500R
以前の記事は2009年の10月だから、約2年振りの登場。

ヴァリアスクラフトにしてみれば2年とは長いようで短い、あっという間の時間です。
ですがこの500Rに関して、チューニングは成功、クリアー質傾向という大雑把な部分しか覚えておらず
どんな音色だったかは忘れていました。
そんな感じですが、さっそくインプレにはいりましょう。
●とその前に、これ同軸2wayでちょこんと出っ張っているものが
ツィーター。
その裏側部分にはウレタンスポンジが貼られているのだが、
これが振動でボロボロと朽ちてくる。
なのでまずはこのスポンジを補修(補強)し、
2、3日後の音出しとなりました。

まずは一言
「 え!?こんなにシャリシャリうるさかった? 」

以前は確か、背面ポートが吸音材で塞がれており、
それで低音が出ないように感じたが、
今回背面ポートは無事のようだが・・・
なぜ低音出ない?それとも、
このスピーカーはもともとそういうものなのか?
 とにかくシャリシャリが強いので、ボーカルの
さ行が耳触りに聴こえてしまう。


ここのところダイヤトーンばかり聴いており、
それに慣れてしまったのも原因のひとつかもしれません。
ダイヤのDS500やA7は、この500Rとは傾向が真逆、
500Rはとにかくクリアーが強い。
だからこのシャリシャリが、
よけい耳触りに感じたのかもしれません。

セッティングは大変なこの500Rは
ホトホト参る存在ですが、実は低音出ない原因は別にあり
結果から言うと”エッジが硬かった ”んです。
そんなところですが、
さっそくはじめたいと思います。
●まずはネットワークを改造します。

この500Rは、ツィーターは12dB/octカットで
2個のウーファーはスルーになっている。
まずはウーファーをハイカット。
その音色にツィーターを合わせていきます。

ウーファーが2個あるので3通り、上のウファーをカット
下のウーファーをカット、両方のウーファーをカット、
そこにツィーターの音色をクロスさせ、いい塩梅を探します。

で←が完成。
コンデンサーの交換。コイルと抵抗を追加。
ケーブルはSC-E757(品質がいい)のものを使いました。
だがここで完成ではありません。
最終的に能率合わせがあり、それが一番大変です。
●セッティングもようやく佳境に入ったので、
ここらでユニットをオーバーホールします。

エッジは布だが、このユニットは個体差があり、
ものによっては柔らかかったり硬かったりと、
その差が激しいユニットです。
 硬めのエッジは軟化させる必要があるわけだが、
これはエッジの表面(外側)凸部分にダンプ剤が塗ってあるので
軟化作業がえらく大変。

しこしこやりだいぶエッジが柔らかくなりました。
コーンのレスポンスが良くなると、見違えたかのような
音色を奏でてくれます。
ツィーターは組み直したので音が伸び、さらにシャリシャリが
強くなったが、同時に低音も出るようになったのと、
コンデンサーを交換したので、耳触りな音が
だいぶマイルドになりました。これで安心して聴いてられます。
●そして今回の目玉、” VCC ”で決めたいと思う。

VCCとは、振動・制御・コントロールの略なんです。

これは何もしてない状態で、赤丸部分は底になり
ボルトが見えてます。
●そのボルトが見えなくなるくらい、セメントを流し込みます。
そしてもう一つのこだわりがその流し方。
スピーカーの重心はそのほとんどが前より、
8:2、7:3、よくても6:4くらいです。

そこで重心が真ん中にくるよう
セメントを傾斜させ硬める。

これで重心が真ん中にくるので、とにかく安定する。
何気なく台に置く時、前よりを気にしなくて
すむようになります。
そういう配慮が、物作りでは大事たと思ってますが、
音質が結果として表れてくれるはずです。
●セメントがしっかり固まったら、内部を仕上げます。
まずは新たに吸音材をセット、
その後ネットワークを取り付けます。
●最後にユニットを取り付け
●完成!!! 
この木目(タスマン・メープル)はとても味があるので、今回は 鏡面 に仕上げました。
自分で言うのもなんだが、元のものとは雲泥の差で、高級オーラが漂うほどになりました。

肝心の音質は、以前の記事を読み返すと、TWのクロスを 4KHz から 3KHZに下げたと書いてありますが
今回はほぼ4KHzのまま、厳密に言うと3.8KHzくらいに留めました。
でも確かに悩みどころなので、前回のチューニングは間違ってないでしょう。
今回はこの500Rの特徴をそのまま活かし、ポテンシャルが発揮できる極みチューンとしました。

この500R、簡単に言うと中域が凹み気味でドンシャリタイプ。日本の音というよりは外国の音。
ロジャースなどのイギリス系モニター調に近い音色です。
高域、とくに上のほう10KHz以上が少し跳ね上がってる感じで、
8cmフルレンジ SA/F80AMGのようなキラキラした高域に、少し似た傾向でもあります。
 悪く言うとシャリシャリが少し強いが、チューニングでだいぶ改善し、嫌みには感じません。
逆に良くなり、スーパーツィーターを搭載してるような伸びやかさ!とも言えそうです。
そして意外とワイド感があるのには、驚かされました。

ユニットのせいなのか、タンノイの代理店のせいなのかはわかりませんが、日本のスピーカーにはない音
珍しいタイプですので、あるいみ貴重なスピーカーかもしれません。
TEAC自体レアだと思うが、この500Rはさらにレアですね。
 
さらに今回はVCCで武装したので、中・低域のブレ・濁りがなくなり、解像度がかなり良くなってます。
このサイズでこの音質は、かなり立派なほうでしょう。

ソースはオールジャンルタイプ。
どちらかというと室内楽やクラシック・オーケストラ向けだが、ボーカルも十分にいけます。
とくにJAZZボーカルのような音数の少ないソースの場合、
やばいくらのリアリティ 」があり、ぞくぞく感を体験できるスピーカーです。

最後に。
しばらくダイヤトーンを聴いていたので、そのギャップ・真逆傾向にはドギマギしたが
チューニングとメンテナンスにより、かなりハイグレードな音質になったので安心しました。
 イギリス系モニターを使っている方は沢山いると思うが、ひょっとしたら、こちらのほうがいいかもしれません(笑

セッティングに関しても、とにかく最後の最後まで2dB落とすか3dB落とすか
微妙な局面が多く、とてもシビアなスピーカーでした。
 前回(2年前)チューニングした500Rは、タンノイ好きの方の所へ嫁ぎ、喜んでもらいました。
今回の500Rも、さらに喜んでもらいたいものです。
とにかく、見ためにも音質にも、味わい深いスピーカーでした。


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