●一目惚れというか、音が気に入った場合、何て言うのだろう・・・
厳密に言うと、音質は好みじゃなかったが、傾向というか出方というか、この同軸ユニットに多大なる魅力を感じました。
定位が良い=リアリティがある=そこにいる?感が強い
そんな特徴を持ったユニットに
今回の500シリーズは+ウファーが追加されたモデル。
果たして、どんな音が飛び出してくるのやら、さっそくメンテナンスにとりかかりたいと思います。
TEAC S-500R 1991年 2台1組台 45000円 |
●メーカー解説:同軸型スピーカーと低域用ウーファーユニットを搭載したコンパクトサイズのスピーカーシステム。 |
方式 |
2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型・防磁型 |
使用ユニット |
13cm同軸2ウェイ |
再生周波数帯域 |
60Hz〜20kHz |
インピーダンス |
6Ω |
出力音圧 |
86.5dB/W/m |
クロスオーバー周波数 |
4KHz |
外形寸法 |
幅190×高さ320×奥行303mm 約11.6L |
重量 |
6.8kg |
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●まずは致命的なユニットの修理。 これはTW裏のスポンジが部分的に朽ちたもの。
このまま音出しすれば、全崩壊は時間の問題。 ウレタンスポンジを貼り、液体ゴムを薄く染み込ませました。
音にはさほど影響ない、と思っていたが、けっこう高域を吸っていました。
このRユニット、裸テストでは感じられなかったが、自作箱で聴いた時、若干TWがクリアー質でした。
コンデンサーでコンマ5くらいの違いで、聴き比べないと解らない、微妙な差なんですけどね。 |
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●ユニットの修理が終わったところで、音出し、エージングしてインプレにはいります。
まずは一言
Wウーファーなのに「 ん?これ密閉?思ったより低音でないなァ- 」という感じ。
スペック表に、再生周波数帯域が60Hz〜と書いてありますが、ある意味正直です。
全体的にこもった音だが、2個のウーファーがスルーなので中域は少しクリアー。Rユニットの影響もあると思う。
だがこの中域、2個ともスルーの影響か、音が団子状態。
濁りがあるというか雑味があるというか、表現が難しいが、とにかくピントがずれていて定位が悪く、薄っぺらい音。
TWは硬質な音だが、ウーファーがスルーの影響で、柔らかくマイルドになっている。
Wウーファーだと、ついつい低域に期待してしまうが、残念な音でした。
まずはこの中・低域をなんとかしないと、いけませんね。次にバランスと低位。
ということで、メンテ&改造にはいります。 |
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●その前に、参考までに載せてみました。
右はS-500で、箱のサイズがだいぶ違い小さい。ですがS-500のほうが低音が強く、そのぶん更にこもっている。
こもりは強いが、バランスが良いS-500のほうが、気持のいい音でした。
とにかくこのこもり、2個(1ペア)ある2wayスピーカーのTWを、1個外して聴いてみてください。そんな音です。 |
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●ついで自作箱(左、S-500と同等の7L)と。同じユニットなので質感はにているが、出方はまったくの別物。 |
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●さて、本題に戻ります。まずはバラし。ちなみに下のウーファーを、パッシブ動作させたところ
定位・バランスはだいぶ良くなったが、弱い低域がさらに弱くなる。
違いは若干だが低域に関しては、2個という意味はあるんですね。 |
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●ユニットを外しました。吸音材でポートが塞がっていたようです。 ポートは箱に穴をあけただけのもの。
これのせいか?と期待して吸音材をずらしてみましたが、低域はそれほど変わりませんでした(・_・?) |
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●ネットワーク。300Rと同じ構成で、TWは12dB/oct、ウーファーはスルー。
右は改造後のネットワーク。
自作箱でこのユニットを、さんざんいじってきたおかげか、どういう傾向に持っていくか、すぐに頭をよぎりました。
パーツ構成は簡素だが、ここに私が時間をかけた集大成が詰まってます。 |
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●箱の仕上げに入ります。まずは傷・欠けの補修。 |
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●傷・欠けの補修後、蜜蝋WAXで仕上げ。底にはコルクシートを貼ります。 |
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●クリーニングしたターミナルを取り付けます。 背面(黒)は再塗装しました。
次に吸音材を入れます。写真では解り難いと思うが、ダブルバスレフ的効果が出るよう、吸音材はホッチキスで留めました。
吸音材は量でもそうだが、設置場所でもだいぶ傾向が変わります。 |
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●ユニットもクリーニング。全接点を磨いた後、取り付け。 |
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●完成! 前回まで立て続けに自作系だったので、メーカー製はえらく簡単に感じました。
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●↑の図ですが、中域が微妙なので、こんな感じに描いてみました。
さらにエージングしてインプレにはいります。
まずは一言
「 おォ〜、この低音、この低音だよ 」
バスレフでありがちな伸びは少なめで、密閉のような傾向だが、
超低音までしっかり聞こえるほどの量感、キレのあるとにかく気持いい低域になりました。
ポートの共振周波数は約65Hz。ポートは箱に穴をあけただけで、長さ約2cm。
ポートの短さが中域の癖をだいぶ消してるようで、よけいな響きを出さない、メリハリのある音がでます。
まさにこの傾向は私が自作した作品と同じで、3つある穴を塞いだり開いたり、ポートの長さを1cm刻みで視聴したりと、
苦労して得た結果が、軽く出てしまいました。
この低音、KEF104を髣髴させるものがあります。
中域は、TWのクロスを 4KHz から 3KHZに下げ、ウーファーもカットした事により、だいぶ雑味が消え、ボーカルの輪郭がシャープになりました。
厚くもなく薄くもない、絶妙というか微妙なバランスは、ONKYO製に似た傾向です。
高域は、中・低域を下げた事により、硬さが増してきました。
元は柔らかくマイルドと言っても、重なった音にかき消され、そう感じるだけでしたが、
このくらいメリハリがあったほうが、ボーカルの低位が良くなります。
低域がだいぶ改善され、全体がウェルバランスになりました。
最初は箱の周りでぼやけていたボーカルだが、このチューニングにより、同軸ユニットからボーカルが聞こえるようになりました。
定位もだいぶ良くなり、同軸ユニットの存在意義、点音源が感じられます。
私の自作品は低域はほぼ同等だが、中域の輪郭はさらにシャープでリアリティがあります。
ウーファーの、数の違い傾向でもあります。
点音源だけをとるなら、一番は300系ですね。 ただバランスがイマイチです。
このS-500、DENONのようにウーファーを内部か背面に設置したほうが、きっと素晴らしい音のスピーカーになりそうな気がします。
オールジャンルいけそうですが、どちらかというと、クラシック、J-POP、ロック向きかもしれません。
最後に。
Wウーファーの場合、とにかくバランスを取るのが難しいです。
今回は、このユニットの特製を熟知していたせいか、同軸とWウーファーの存在意義が十分に発揮できる結果となりました。
私にとって、同軸ユニットは未体験ゾーンでもありましたが、何か凄いポテンシャルを秘めたユニット、
そんな風に思えてなりません。
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