久々の外国製品。名門と言われているinfinity社のReference 21。
これは比較的新し目の製品ですね。
infinityはずっとアメリカ製だと思っていたが、ラベルにはMADE IN デンマークの文字が。どうなんでしょう?
DENONが代理店を務めているので、それっぽい音なのか?
内部も非常に気になるところです。
ではさっそく検証していきましょう。

infinity Reference-21 2001年 約\50,000
メーカー解説:スピーカーの名門Infinityが生み出す、ハイクオリティサウンド。
ウーファ、ツィータともに、コーン部にアルミナ製の「C.M.M.D.」を採用。
高剛性、高速応答性、適度な内部損失を備えているとし、
「中低域ユニットのダンピング特性を改善し、高域ユニットの共振周波数を低減する」という。
方式 2ウェイ2スピーカー、防磁設計(EIAJ)
使用ユニット 13cm C.M.M.D.コーン型ウーハー×1
2.5cmC.M.M.D.ドーム型ツイーター×1
再生周波数帯域 60Hz〜22kHz
インピーダンス
出力音圧 88dB/W/m
クロスオーバー周波数 記載無し
外形寸法 幅180×高さ320×奥行260mm
重量 6.2kg
外装はシートで写真だと安っぽく見えるかもしれない。だが実物を見ると、中々どうしていい雰囲気。
隣にONKYO 102EXGがあるので比較になるだろうか、縦・横は似たようなサイズで、奥行きが少し短い。
奥行きが短いと言っても、102EXGは320mmと長いので、これも少し長めに分類されるかな。

さて動作は問題ないので、さっそくインプレに入ります。

ますば一言
「 柔らかい、やさしい音色だなァ〜 」

高域
メリハリある明瞭な音質だが、能率が若干低め。
変な癖、ピーキー音や、突き刺さるような刺激はほぼない。

中域
どちらかと言うとやや凹み気味で、フラットに近い印象。
一見音数の少ない、すっきりタイプに感じるが、
よーく聴くと、ツィーターから多くの音が感じられる。
ツィーターでウーファーの中域を被せ、抑え込んでいるようなフィーリングもある。
ツィーターの能率が若干低いので、ボーカルはほんのりとした厚みがある。
バイオリン・エレキギター・ラッパなどは、ひっ込んだ感じが強い。
響やつっぱり具合は少なく、ナチュラルで自然な音。
だから癖はほとんど感じられないが、定位や輪郭は若干甘めになる。

低域
フロントポートだが、それほどブーミー音は出ず、
伸びとキレ具合のバランスがいい。
すっきりした中域を生みだしているのは、ユニットの恩恵が強いのか?
量感はそこそこあるのに、歪み感が無いところなど、中々優秀である。

全体音
変な癖や、ピーキーな嫌味はまったくない、やさしい音色。
ウーファーから出る、うるさいと感じるような中域がけっこう削られており、
その分ツィーターで、中域の音像をカバーしている。
そのツィーターも、中域・全域をカーバーするのではなく、
高域のキメ細かさが感じられる、ギリギリのところで合わせられている。
この辺りが、外国製品の特徴と感じられる部分でもあり、
全体のバランスは、ウェルバランスと言えるような気がする。

よく外国製品で、
ウルトラクリアー とか クリスタルクリアー
なんて言われている音は、こういうタイプで、音数が少ない印象もあるが、
その分、分解能力や解像度は高く感じられる。

おおざっぱだが、日本のスピーカーはだいたい、コンデンサーが小さめなんですよ。
そのコンデンサーを大きく(普通)にしてやったような音色なんですね。
そんなところは、70年代のようなOLDタイプの音作りに似ていて、
基本に忠実、「 真面目 」に作られている、といった印象も強い。
日本製ばかり聴いてると、”なるほどね ”と思わせられる一面もある。

当初アメリカ製だと思っていたので、押しの強い大味と予想していたところ、
そういう音とは真逆、繊細で奇麗系な音色であった。
フルレンジ好きには、少し物足りない音に感じるかもしれない。
そんなところで内部を紐解いてみよう。
ユニットを外します。
ところが、よくよく見るとこのネジ、特殊な星型(^^;
俗に言うヘックスローブなるもので、工具が無く一時中断してました。
もうかなり前だが、携帯電話が普及し始めた頃、こんなドライバーを使い分解、
ボディを白(無かった)に塗装した経験がある。それと同じものだろうか?
いずれにせよ、一個あると何かと便利、とは言えない工具である(笑
ツィーター。白いコーンはプラスチックのような樹脂。
箱を動かしてると、思わずペッコッとやりそうになるので注意が必要。
ゴムキャップを外すとネジが出て、前面のカバーが外せる。
マグネットが異様に小さいと思ったら、ネオジウムが採用されていた。
箱の内部。
いや〜実にシンプル。
だがいかにも外国製品!といえる特徴が所々に見られる。
背面・ターミナルを外すとネットワークが顔を出す。ネジはもちろん星型。
これといった特徴はないが、シンプルな構成。
情報の記載が無く、内容を特定しがたいが、
TWは8Ωの場合、約1.5Kカット、6Ωの場合2.2Kカット。
WFは8Ωの場合、約2.2Kカット、共に12dB/oct。
いずれにせよ、かなり被り気味のセッティングである。
背面はパーチクルボードだが、他はMDF。
たぶんすべて18mmの板厚で剛性があり、箱鳴り・響は少なめ。
左写真、約20mmほど、かなり厚めのスポンジが、背一面に貼られている。
右写真、名称をど忘れしたが、斜めに削られてある。
この辺りを見ただけで、基本に忠実な作りである事が感じ取れる。
自作派は見習いたいところですね。
ウーファー。アルミ?に見えるが、アルミナ製のCMMDと呼ばれるコーンらしい。まぎらわしい(笑
音は金属系なので、やはりアルミでしょうか?
マグネットは少し大き目。フレームが細かく分散しており凝っている。
これMADE IN フランス ですよ!
フランスと言えば、フランスパンとシトロエンしか浮かばないが、なんとも珍しい?のではないでしょうか。
エッジは若干厚めのゴム。矢印部のヒビ。けっこう広範囲に入っているが、なぜ?こんなところに。
コーンの接着面なので、今のところ動作に問題はない。
よく観察してみると、エッジが右写真のように、リブのような補強が施されてあった。
これはエッジの振動を制御する効果があり、これのせいで、力が接着面にかっかたのかもしれません。
このリブだが、音にも繁栄されており、ブーミーな音を軽減してるものとも思われる。
そんなところはまるで、70年代ダイヤトーンのウーファーに通づるものでもある。
一応エッジ全面を補強。コーンにはブチルゴムを少し追加した。
ちなみにこの分散型フレームのせいで、筆が入りにくく塗りずらかった。
箱の仕上げに入ります。
こういう白木タイプは汚れが目立ちやすい。だから徹底的にクリーニング、蜜蝋WAXで3部艶ほどの仕上げにした。
傷がまったくない箱だっただけに、品格も出てきました。底にはコルクシートを貼ります。

こういう白木って自作ならよく見かけるが、日本製スピーカーではあまり見かけませんよね。
最初はどうかな?なんて思っていたが、以外にもインテリアにスッーと溶け込みました。
実はうちで使ってる3段のカラーBOX。それがこの色と同じだったので、違和感を感じなかったのかもしれません。
このようなナチュラル系家具、使っている方は多いようにも感じるので、
”馴染ませる ”という意味では、バッチリかもしれません。
ターミナルはクリーニング。
一見普通に見えるが、金メッキが厚めで精度も中々、よくできている。
ユニットを取り付け
完成!!!
フロントのシルバー。プラだけど、アルミ風な質感も少しある。
コーンと同系色という所が、なんともお洒落。
ブラックだったらガラリと雰囲気が変わるんでしょうね。
そうそう、ポートの周波数は約63KHz。無難なせんですね。
今回はチューニングと言うよりは、メンテナンスのみと言える内容かもしれません。
低域に関しては、若干だが重く深い音になりました。

このReference21、他のスピーカーと聴き比べをしたところ、
響きが少ない ”と言うのが第一印象でもあり、特徴的な面。
箱の響きは写真でわかるとおりで、加えユニットからでる響きも抑えられている。
特に箱は18mmの影響か?歪み感の無さは、優秀に感じるほどである。

使用する木材が薄くなればなるほど、響きは強くなる。
ただし薄い板のみでも、吸音材をギュウギュウに詰め込めば、響きを抑える事もできる。
そこは背面のみ付けられた分厚いスポンジ。
それらの内部構成が、上手に機能してると言うか、いい塩梅。
だから全体音がスッキリしており、解像度も高く感じられる。
ユニットや箱の特徴を十分に理解し、熟知している人が作り上げたスピーカー。
この絶妙なさじ加減・セッティングは、 そんな風に思えるほどです。

結論として、なんとも基本に忠実と言うか「 真面目さ 」が、ひしひしと伝わってくるスピーカーでした。
一聴で日本製とは違うな、というニュアンスなので、
外国製品を試した事がない人でも、雰囲気は味わえるでしょう。

ソースだが、リアル系中域・ナチュラルな響きなので、
どちらかと言うと、クラシックに向いている。
特にライブ録音や、ホール感が強すぎると言ったソースには、
実力を十分に発揮できる事でしょう。

最後に。
箱の材料やネットワークの構成しかり、何か日本の「 70年代スピーカー 」を髣髴させるものがり、
音色もまた、そこに通づるものがる。
生真面目ながらビシッと筋を通す。
そんな時代の考え方を、そのまま現代に蘇らせたのが、このinfinityのスタイル。
日本のスピリッツを外国が受け継いでくれた、と言ったところでしょうか。

いやァ〜、こういうのメンテナンスすると、勉強させられますね。
作りは簡素だが、脳の奥深くへ何かの刺激が与えられた(意味不明)
そんな感情が湧いてくるスピーカーでした。
次回、この流れで外製に入りたいと思います。お楽しみに^^

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