ONKYO 3連発
今回は比較的新しく、現在でも新品購入できる、D-102FX。
最近のONKYOは、こんな白いユニットが目に付くが、以前より気になっていました。
しかもこれ、安い!
2万を切る値段(ペア・新品)で購入できるとあらば、それで気になる人も多いはず?
安かろう悪かろうにならねばいいが・・・
果たして、その実力はいかに!?
さっそく検証してみましょう。


ONKYO D-102FX 2004年 \294000
メーカー解説:WEB
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁設計(EIAJ)
使用ユニット 低域用:13cmコーン型 ・高域用:2.5cmドーム型
再生周波数帯域 50Hz〜35kHz
インピーダンス
出力音圧 84dB/W/m
クロスオーバー周波数 6.5KHz
外形寸法 幅167×高さ281×奥行244mm(サランネット、ターミナル突起部含む)
重量 3.9kg
いきなりだが、さっそく音出し、まずは一言
「 えっ?DENON?こもってるんですけど 」

いきなりこもった音で、音像は不鮮明。
どうも新しいせいか、鳴らし込みが足りなような感じがします。
なので一度エージングし、再度インプレに入りましょう。

エージング後の一言
「 うわー雑味多いなぁー。しかも酷い箱鳴り・・・ 」

高域
ソフトドームにありがちな、柔らかい音で癖はほとんどない。
能率が低いので感じ難く、とりわけ特徴的な面はないが、
ツィーター自体、悪くないような気もする。

中域
ほぼウーファーから出る音に支配されており、
つっぱり気味の凸、ただこの凸は、ウーファーの癖でしょうね。
凸の影響もあり、声はやや不自然。
それよりも、
ネットワークのせいだと思うが、とにかく雑味が多く、
癖の響と、箱の響きで、気持ち悪い変な音が、混じりあってる。
音は団子で、浮上感のかけらもなく、
いいところが一個もみあたらない。

低域
ユニットからの音は弱く、箱を鳴らしてる音。
どちらかと言うと、バックロード的な鳴り方。
量感はまァ普通だが、完全な箱鳴り音は、
全体が鈍くなる、音像がブレる、といった具合で好みじゃない。
だから前への押し出しも弱く、あきれる(悲しくなる)ほど。

全体音
まずこれ、箱が最悪。
見た目はいいんですよ、質感も中々いいし。
ただ持つと解るが超軽い。何これ?おもちゃ?というノリ。
音は安っぽく不鮮明。だめじゃんコレ、と出足から思った。
ツィーターの能率が低く、一瞬DENON?と思えたほど。
だがやはり、箱(ウーファー)が頂けません。
DENONのような、キレのあるメリハリ感もなく、
気持ち良さが伝わってこない。
背面の細長いポートの影響か?
低音の出難さを、箱でカバーする。
それはいいとして、ネットワークも問題あるような気がした。
この雑味感バリバリの音。何台も経験積まないと解り難いと思うが、
全体がぼけぼけになる悪い例。
中域の凸、私には癖(ピーク)に感じたが、その凸のおかげで、
レンジが多少広く感じる。そこが唯一の特徴だが・・・。

このファイバー系白いコーンは新鮮で、どんな音がするのか興味があったが、
全体音では、良い所がまったく見えない。

前回の2台が良い印象だっただけに、よけいそう感じたかもしれない。
悪い印象のあるONKYOに、戻ってしまったと言うか・・・
たぶん原因はネットワークにあると思うが、背面ポートも微妙ですね。
とにかく、検証してみましょう。
ユニットを外します。ネジは+。
これ初物。端子が中々外れないよォー、とよくよく見てみると、簡素なロック構造が付いてました(汗
矢印部を押して、爪の突起を解除する。
その凸が少々長めで、押さない限り外れません。ぶった切ろうと思ったくらいですから(笑
箱内部はシンプルで、所々にスポンジが貼ってある。箱で鳴らすタイプという事が、お解りになるでしょう。
細長いのは背面ポート。
ネットワークは、コンデンサー1個のみでした。
ダイヤトーンDS-200Zと、ほぼ同じ構成だが、ユニットと箱がまるっきり違います。
そんな箱だが、Fバッフルは15mm、背面がなんと9mm。たぶん側面と上下も9mmでしょう。
小口径密閉で、吸音材がぎっしり詰まってる、なんてノリならまだしも、この構成で9mmはどうかと思う。
メーカー文に、箱の美しい響きと強調されてますが、まさかこれが狙いじゃないですよね?
ターミナルを外しました。矢印はTWに繋がるコンデンサー。
この白いコーン。写真でも感じたが、実際見てもかっこいいですよ。
マグネットはやや大きめ。これもEXG同様、エッジまでカバーするようなフレーム。
多少癖はありますが、スルーで鳴らしてるだけあって、中々いいですよこれ(裸の場合)。
ツィーター。外した時一瞬、えっ!?と思えた形。バックキャビティと言っていいのか解らないが、
そのプラ部は、マグネットにしっかり接着されている。内部はたぶん、スポンジでしょう。
印象だが、EXGよりはいい感じに思えた。
このドームがD-100のような白だったら、もっとインパクトが付いたかもしれませんね。
さて、出方を探ります。
で、結局ネットワークを一から作る。基本的な構成-12dB/oct、クロス約3Kでまとめてみた。
左は仮止め、右は配線まで。
こうするまで、20通りくらい試してます。
ちなみにターミナルのネジ、よほど振動が伝わるのか、緩んでました。
最終調整。右写真、ノーマルとネットワーク入り、モノラルでテスト、聴、き比べします。
この段階で、ネットワーク以外、箱の補強や吸音材などを、考えていきます。
がっつり補強して、ネットワークの完成!ケーブルは変えてません(特に意味はない)。
エッジはゴムで問題無いが、今後の為と、ダンピングの強化を兼ねて、補強します。
右はコーンに、ブチルゴムを4ヶ所貼りました。鳴き止め効果を狙ってます。
TWはクリーニングのみ。 小傷を補修後、3部艶仕上げ。
パッと見、突き板っぽくはないんだけど、質感はいい方です。
ターミナルの取り付け。
以前、もう外す事は無いだろうと、ターミナルカバーと背面板の隙間を、埋めた事があります。
そんな時に限って外すはめになり、苦労した経験から、そこは手をつけづ(笑
その代り吸音材を入れます。気持ち的には全面・たっぷり入れたいが、そうすると量感が無くなるので、
最終的に、背面と底で納ました。 ユニットを取り付け
完成!!!
同じ価格帯の中で、これだけ上質な質感は他に無いでしょう!?と感じるくらいの良さはある。
他のスピーカーもそうだが、ユニットのフレーム、ここがどうしても安っぽく見えてしまう。
艶有りか艶消し、極端にした方がいいと思うのだが。
これ聴いて溜め息、じゃーLTD(リミテッド仕様)を買おう!・・・やっぱLTDはいいなァー
口コミでLTDは良いと広まる。LTDを売る為の捨て駒作戦か?
たぶんLTDの方が、利率がいいと思うので、私なりに逆の立場で考えた結果が上記。

結論として、ユニットと見た目の質感は良い。だがやはり、箱とネットワークが問題。
これ3万で、原価どれくらいか解らないが、板厚9mm(たぶんF以外も)はないよねェ〜。
わざわざ9mmのMDF使うなら、他に安い板がありますよね。
作業効率やその他問題が色々あるかと思うが、コストのかけ処が違う気がしてなりません。
私は、褒めるだけが取り柄の評論家じゃありませんから、こういうのはズバッと言っといた方がいいでしょう。
言われて初めて解る事もありますしね。
日本TOPメーカーの誇りとして、変な妥協はしないで欲しい、そう願います。

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ユニットは中々いいんですよ。それが、フルチューンへと進んだ要因だが、
私が感じた悪い所は、ほぼ克服できたと思う。
たった4個(ネットワーク)の部品を追加しただけだが、組み合わせの深さで音質は激変、
 それが「 ネットワークマジック 」である。

ネットワークは、基本に忠実な構成でまとめてみた。
箱鳴りが酷いんで、吸音材はもちろんだが、その前に、
ユニットから出る” ”を、徹底的に取り除いてみた。
その他、各パーツの不要振動を、極力抑えた。
これらにより、歪み感の少ない、高解像度を体感できるようになった。

自賛で悪いが、中・高域に関しては、ハイエンドモデルに匹敵する実力でしょう。
外国製品で、ウルトラクリアーとか言われるような、分解能力が高く感じられる音です。
だから”
リアリティ ”と”解像度 ”は、ノーマルの比ではありません。

ポテンシャルの高いユニットという事が、幸いしたのか?
ユニット強化も相まり、特に今回は、低域の質・量感、ともに著しく変化しました。
ただし、やはり箱鳴りは終始、気になる所でもあります。

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ネットワーク初心者の方へ、簡単なおさらいをしときますね。
ネットワークとは、基本的に音をカットしたり、能率を変える事。
2wayの場合、8割は”中域の変化 ”で、高域・低域はほぼ変わりません。
聞こえ方は若干変わります。
低域を強調したい場合、低い帯域でカットすると、それは望めますが、
中抜け、いわゆる繋がりの悪い音になってしまいます。
ですので、低域・高域の変化を決定づけるには、”能率 ”の調整になります。
高域を弱くすれば、低域が強くなる、と言った具合。
能率は抵抗だけで、できるので、比較的簡単ですが、奥は深いです。
特にバランス取りは、好みが入るので難しい。
例えば抵抗を使わなくても、コンデンサーを小さい物と交換すると(TW)、
能率を変えたと同じような効果があり、微細なニュアンスを表現できるようになります。
ユニットの能力はもちろんですが、特に低域の場合、
箱の容量や形、吸音材などにも左右されます。
もし極端な変化を望むなら、アンプの、TREBLE・BASSで調整するのが良いでしょう。
ただしほとんどのアンプで、ある程度調整できますが、
中域は、イコライザーが無い限り、変化させる事はできません。

だからこそ、「
中域のセッティングが重要 」なわけなんです。

私の場合、基本的にアンプ調整には頼らず、ソースダイレクトのようなポジションを好みます。
だからスピーカー自体、徹底的に煮詰める必要があるんですね。
お解りになったでしょうか。
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このD-102FX、低域の出方はクラシック向けである。
最近はクラシック、特にオーケストラをよく聴くようになり、多少だが何か掴めてきた感がある。
そんな事も相まり、
今回は志向を変え、「 オーケストラを気持ち良く聴ける 」ようにセッティングしてみた。
私の中でだが、このサイズでここまでクラシックを鳴らせるスピーカー、
値段も含めると、そうないでしょう。クラシックマニアには、ぜひ試して頂きたい。
ボーカル物は色気ではなく、リアル・クリアー質なので、JAZZボーカルやロックはわりと合う。

最後に。
D-102EXGのいい塩梅。2000年はミレニアムって事で、どこも気合入ってたのかな?
その年の限定モデルとかあるじゃないですか。
1999年と2000年は、そんなの色々と買いすぎた経験があります。
売れる時は作り手も気合入るが、売れないとヤル気も落ちますよね。
そんな所は時代の風潮か?でもやっぱ値段(定価)ですかね(笑

いずれにせよこの102FX、チューニングは必須。
特に、人の耳でセッティングしたものは、期待を裏切りません。

OLDファンの方、おまたせしました!次回は70年代、2連発で紹介します。お楽しみに^^


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