DS-200Zの改良型DS-200ZA
メーカーがスペシャルチェーンとうたっている、このZA。
どこをどぅチューニングしたのか?チューナーとしては非常に気になる所であります。
もちろん、最も重要な音質はどの程度違うのか?
その辺りを重点的に、さっそく紐解きたいと思います。

DIATONE DS-200ZA 1994年 \60,000(ペア)
メーカー解説:音楽のすべてに艶がある。深みがある。2ウェイのスペシャルチェーンとして完成されたDS-200ZA型。
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁タイプ(EIAJ)
使用ユニット 低音用:16cmコーン型 ・高音用:2.5cmドーム型
再生周波数帯域 45Hz〜32000Hz
インピーダンス
出力音圧 90dB/W/m
クロスオーバー周波数 5KHz
外形寸法 幅218×高さ355×奥行220mm(ネット有りで240mm)
重量 7kg
左がZ、右がZA。一見して分かるのは箱の高さの違い、幅は約1cmと微妙に大きい。
その他奥行きやユニットは、同じ物が使われてるように見える。
よく観察すると多少の違いがみられます。
まずは箱、角処理の仕方。
ダイヤトーンには、当時人気のあったDS-251というスピーカーがあります。
その後251は改良され251MKUになった訳ですが、このZA、それとは逆の手順で、箱のデザインが変更されている。
その他、近づいて見るとFバッフル模様の違い。ZAはより革風に見えるよう、目が粗くなってる(どちらもシート)。
あとはウーファーの2重センターキャップ。奥の小さいキャップに塗装が施してあり、艶が出ている。
ダイヤトーンは、そのほとんどが布エッジを採用している。
ZもZXもそうだが、由いつ異色にも見えるゴムエッジを採用してるのが、このZA。
ゴムといこともあり、これはヒビ割れがひどく使い物にならない状態でした。
ユニットを外します。箱内部、Zとの違いは吸音材の量が若干足されている。
ポート径はZと同じだが、長さが延長されており、Zの
70Hzより、かなり違いの出る40Hzに変更されている。
16cmウーファーとして、40Hzは低すぎるように思えるが、それなりに低い音も感じられます。
メーカーのユニットに対する、自信の表れかもしれませんね。
ネットワークは、電解コンデンサーと抵抗が各一個で、スピーカーを鳴らす上での最低量の部品構成。
シンプルだから良い悪いではなく、重要なのは、最終的に音色です。
抵抗は22Ωで、並列に取り付けられている。
並列に一個という取り付け方は、そうとうヒヤリングしないと出ない数字でしょうね。
試行錯誤しているさまを、想像してしまいます。
ウーファー。基本的な部品はZと同じ。
奥のセンターキャップ、艶が出てるのがお解りでしょうか。
音質を変えるものではなく、耐久性や見た目の差別化をはかったように感じます。
ツィーター。Zとまったく同じ。以前このフレームをアルミと紹介しましたが”樹脂製 ”でしたm(_ _)m
見た目や質感もさる事ながら、重量もかなりあるので、勘違いしたようです(^^;
このツィーターだが、音質は非常に優秀で、リボンツィーターのような爽やかな音色も奏でます。
私的にONKYO D-200と甲乙つけがたく、単発で隣に置き、聴き比べしてみたいものですね。
さて、音質チェックの前にエッジを貼り替えます。
元々がゴムエッジなので、ダンパーはかなりこなれてました。
光の反射に見えていたが、一部汚れがありました。右写真のようなノリでクリーニングします。
凹んだキャップを修整する際も、同じようナイロンキャップを剥がしておこないます。
パッと見気づきにくいが、こうして見るとかなり汚れてますね。
周りのフェルトを剥がすと、ネジがありバラす事ができます。。
今では貴重?な”レアメタル ” これはカッパー色で、非常に奇麗。
各メーカー、様々に工夫してる部分でもありますよね。
さて、今回は”極み(きわみ) ”と題しましてチューニングする事にします。
チューニングと言っても、コンデンサーの交換のみですが、こういう部品一個だからこそ、逆に重要な点がある。
とくに
実測値は、何度も計測し入念におこないます。
左がノーマル、右がチューン後。 今回ケーブルは”銀より線 ”を追加した。
もぅだいぶ前になってしまうが、一時ケーブルに嵌っており、高額な値段のケーブルを分解、
部材や作り込みを調べたものです。
そんな中、高級電源やRCAインタコに見られた”ノイズ減衰方式
ノイズのような高周波は、銅よりも銀にのりやすく、それを螺旋にする事で、消滅しやすくした措置です。
他には、マイナス側を接続しないとか、分岐点を持たせ、そこに高周波フィルターを配備するなど、
様々な物を見てきました。
そんな物は、実際耳での聴き分けは、残念ながら厳しい状況の物がほとんどでしたが、
長時間聴いた時、「 聴き疲れしない・気持ちいい 」など”
体感的に良い ”だろうとの理念は感じられます。
そんなノリで、このようなチューニングをしてみました。
矢印部、メーカーっぽい仕上げでしょ。足を階段状にしました。
コンデンサーはJentzen Audio・フィルムコンデンサー。
このコンデンサー、コストパフォーマンスが非常に良く、好んで使ってます。

さて、ツィーター単発で入念に聴き比べした結果だが、
中域・ボーカル部分は、輪郭がシャープな、電解コンデンサーに分があります。
高域〜超高域は、やはりフィルムの特徴か、角のとれた柔らかい上品な音質で、Jentzenに分がありました。
音質は最終的に、”トータルバランス ”で聴くものですから、フィルムとか、高級だから良いという訳ではありません。
好みになってしまいますが、このZA、コイルを足すなら電解を勧めるが、単発の場合フィルムがいいでしょう。

ウーファー側は元のスルーのままです。TWをフィルムにすると、中域・ボーカルの輪郭が若干甘くなる。
その部分は、上まで伸びるウーファーで補っている。
だから、合えて足す必要性はないが、
最終まで、コイルを付けようかどうか悩んだほどです。
角の小さな傷を補修。
比較的、傷も少ない箱です。全体の汚れは一見解りずらく、私は下地が白ボケするまで、徹底クリーニングしています。
左写真(右が白ボケ)はその比較で、徹底して汚れを落とすと、木目に深みが出てきます。
右写真は、WAXを塗り、乾かしている状態。
Zよりも風格のある木目で、中々良いシートです。
ネットワークと、ユニットを取り付け
完成!!!
写真のざらつき(光量不足?ISO高すぎ?)は、悩みのタネですね。
よくよく観察すると、ダイヤトーンって同色系の色味で統合するなど、他メーカーよりかなりシャレてますよね。
ダンパーがこなれていたので、エッジは内張りにしました。
コーンの外側、ボンドの厚い所が線になって見えるが、これ中々剥がれません。
結構落としたんですけどね。コーンを割ってしまう恐れもあるので、ほどほどにしました。
背面ターミナル、Zはプラスチックだが、これは金属。
高級感に一役買ってるが、精度も中々良い。
極太ケーブルでも、楽に入るほど径が大きいので、配線の入れ替えも楽です。
バランスイメージはZと比較してみました。
中域が若干甘く、これはコンデンサーが3.0μFと2.2μF(実測)の違いによるもの。
ZAは低域の下の方が、若干伸びている。これは、箱の容量とポートの違いですね。

高域
とにかくこのツィーターは優秀で、フィルムコンデンサーも相まり、非常に爽やかな音質。

中域
基本的にクリアー質で、ボーカルの輪郭はシャープ。
だが、フロントポートとウーファーがスルーという事が相まり、やや飛び出す音も交わってきて、
ナチュラルな音質へと、変化している。
ネットワークの特製上、変な癖はほぼ無し。

低域
Zと同様、それほど重低音が出るというものでは無いが、バランスは良く、
タイトでキレのある音は、聴いてて気持ちいい。
フロントポートなので、伸びてくる音も少し感じられる。
Zとの違いはポートによる所がほとんどで、若干だが、より低い音が感じやすくなっている。
この低域、DENONより乗換る場合、不満を感じるかもしれないが、ONKYOより乗り換える場合、
素晴しい、と感じるのではないかと思う。
ちょうどDENONとONKYOの中間的存在ですね。

全体音
Z同様、フルレンジ+α的な音で、多くの音が出ているが、自作派には馴染みやすいナチュラルな傾向。
非常に優秀な”自作スピーカー ”というノリではないでしょうか。

普通ウーファーをスルーにすると、何かしらの嫌味な癖や、薄く味気の無い中域に陥りやすいが、
そこはこのユニットが、素晴らしいポテンシャルの持ち主で、バランスよく補われてます。
ツィータードームが金属なのもしかり、ボロンよりは硬い傾向だが、
ネットワークが6dB/octという事が前提の場合、硬目の方がバランスが取れます。

Zと比較すると、小さいコンデンサーで中・高域が甘くなっている。
低いポート周波数で、より低い音が出る。
という事から、ユニットは全く同じだが、全体が落ち着いた音色に変化しています。
一聴して比べると「 おっ!良くなったじゃん! 」と感じるのではないでしょうか。
私もそぅ感じました。
ただ、どちらかと言うと、好みはZ。
違いは極わずかだが、中域の差ですね。
次回UPするZ「 極み 」チューニングバージョンを聴いてしまったから、かもしれません。

ソースは基本的に選ばず、オールジャンルで使え、TVの質感も問題なし。
ZAはPOP・JAZZ系6:4クラシック。
Zは5:5といったところですかね。

最後に。
メーカーの解説文「 音楽のすべてに艶がある。深みがある。 」
それはウーファーから出る中域の”
”とポートから出る低域の”深み ”であり、
まさに文章そのもの、大いに納得できます。
オーディオは、訳の解らない御託とも取れる説明が、乱立してる感もありますが、
ダイヤトーンはストレートで解りやすく、音もそれに伴ってます。
だから聴いてて「
気持いい 」のかもしれませんね。
箱・ユニットの各部品・エッジ・ネットなどなど、全て同系色で作り上げるなど、
非常にお洒落、中々できる事ではないですよね。
おしいメーカーを無くしました。完全に消えた訳ではありませんが、
ピュア方向ではなく、ONKYOを見習って、PC分野に力を注げば良かったのではないか・・・
ダイヤトーンは中域に特徴がある物も多く、そんな印象で敬遠されてる方もいるかと思いますが、
200Zや200ZAは、そんな印象をひっくり返すほどの実力の持ち主。
一台は所有したい、そんな味わい深いスピーカーです。


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