D-200U
以前メンテをおこなったD-200は、これの前期モデルだが、特にツィーターが素晴しく、
今までメンテしたスピーカーの中でも、かなりの好印象が残ってる。
そんなD-200の改良型である、このD-200U。
どこをどう改良したのか?音に違いはあるのか?音は良くなっているのか?
そんなところにも照準を合わせながら、メンテナンスしていきたいと思う。

ONKYO D-200II Liverpool 1989年 \26,500(1台)
メーカー解説:
高剛性素材の長所を活かしつつ、高域共振などの問題点は、独自の共振分散テクニックで取り除く手法により、
中低域のダイナミックな躍動感の実現を図っています。
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・防磁設計(EIAJ)
使用ユニット 低域用:16cmコーン型 ・高域用:2.5cmドーム型
再生周波数帯域 38Hz〜45000Hz
インピーダンス
出力音圧 89dB/W/m
クロスオーバー周波数 2.4KHz
外形寸法 幅216×高さ352×奥行228mm
重量 6.8kg
左は前回メンテしたDENON SC-E232
正面から見るとほぼ同サイズ。奥行きはE232が少し長い。
ONKYOリバプールシリーズは、当時そうとう人気があったのか、現在でもかなり出回っている。
そしてかなりの確率でエッジがダメな物が多い。これも、多少硬化やヒビが見られる。
なのでまずはエッジを補修。
その後、じっくりエージングしてからのインプレになります。
まずは一言
「 ん-明瞭だが、ちょっと不自然ですね- 」

高域
明瞭で繊細、それでいて突き刺さるような刺激も少なく、これはこれで優秀に感じるが、
以前のD-200より劣るというか、何かが違います。

中域
ONKYOらしい明瞭な音。ボーカル周りはスッキリしており、多少の浮上感がある。
だが声が不自然。
こもってるわけではないが、鼻をつまんだような声だったり、何と言うか
電子音のような、違和感がある。
トランペットやバイオリンがかなり、つっぱってくる。

低域
その違和感は、こちら側(ウーファー)から出てるように思う。
量感はあるとは言えないが、前モデルよりは確実にUPしている。
ただその持ち上げ方が、箱の響き(箱鳴り)を利用した音が強く、
あいまいで、なんとも中途半端のように感じた。
DENONO E232も箱を積極的に利用した低域だが、自然な感じが伝わってくるし
量感はこれの倍はある。

全体音
中・高域が明瞭・鮮明で、ONKYOらしさが十分に感じられる、モニター調感覚の音色。
前モデルより、低域の量感が増えたのは一聴して解ったが、
それでも重心が高めで、バランスは悪く感じる。
バランス以外にもぅ一つ、中域に変な癖があり、特に男性ボーカルに違和感を感じた。
何か”無理して量感を増やそうといている ”という印象も強い。

前モデルもそうだったが、基本的にこのウーファーがダメ。
D-200の紹介で、エッジを2種類試してるでしょ。
実はあれ、私の作ったエッジが原因で低音出ない?と思ったのが本音なんです。
だからONKYOのこのタイプのスピーカー、なるべく状態の良い物を、探したというわけである。
色々と検証してみたが、エッジが問題ではなく、ユニットそのものに問題があるようです。

ただこれは私の感覚であり、DENONや他製品などと比較して、低域の量感は少なく感じます。
でもこれくらいで普通、はたまた結構でてるょ、という人も中にはいるでしょう。
そんなところも踏まえた上で読んで欲しいと思う。

80年後半〜90年代あたりのONKYO製品は、DENONと比較して低域が半分くらいに感じる。
80年代後半以前の製品、モニター500やM55は、立派で重厚な低音が出る。
80年代、設計者総入れ替えというような、何か革新的な事があったのか?
それくらい違う訳で、大型3wayに関しても、やはり他メーカーより低域が薄い気がする。
2000年〜解らないので、試してみたいですね。

そんな事より、ONKYO=低音出ない
という印象が、私の中ではあります。

よくボーカルのリアリティなんて書いておりますが、そのリアルは
ウーファーから出る中域部分の影響もあるわけで、M55やD-1Rなんかは、簡単にリアルを引き出す事ができたが
それ以降のモデルでは厳しい。
だから私的に、特に中域が薄い音は、あまり魅力を感じません。

前モデルと比較すると重心が多少さがり、バランスも改善された感が伺えます。
だが前モデルは、これ以上に、高域のすばらしさを体感する事ができます。

この200U、何か”もったいない ”というか、疑問や違和感を感じてしまう。
それを解決し、納得できるかどうか分らないが、とりあえずやれる事ををやってみましょう。

ユニットを外します。ネジは六角。
開けた瞬間”がっかり ”させられるほどの内容で、写真のようにスポンジが少々。
定在波を抑えるという意味で、斜めに貼られたスポンジは、ONKYOお決まりのパータン。
それはいいのだが、このペラペラのスポンジで効果があるのか?と思いながら触ったら取れました(笑
前モデルの変更点、見て分かるように吸音材がほとんど無く、積極的に箱を利用し、響かせて低域を稼ぐという内容。
加えて、背面ポートの周波数が、50Hzから→60Hzに変更されている。
このような変更で若干量感が増えます。
カーボンが特徴的なウーファー。写真のように、エッジが割れており、全体もやや硬め。
マグネットはちょっと小さめ。エッジが無いと、ヘタリのように沈み込んでしまうほど、柔らかいダンパー。
だから逆に、エッジを硬めにしてるんですかね?
メーカー文:振動板には従来より15%軽量化したピュアクロスカーボンを採用し、さらに独自の共振解消構造により高域特性を改善しています。
独自の共振解消構造というのは、どの部分か解らないが、白い塗料じゃないですよね?
15%軽量化ってのは良いと思うのですが、バランスウェイト?を付けるなら意味が無いのでは?
疑問があると必ず矛盾した点も見えてきます。
ツィーター。見た目は前モデルとほとんど変わらず、若干振動板(センターキャップ)が大きくなった。
その振動板の素材が、全モデルは超硬度チタン。
これはそのチタンより硬度が5.6倍にUPした、プラズマカーボナイトなるもの。
このツィーターは、リボンツィーターのような、さわやかで繊細な音が出ます。
一般製品レベルでは、かなり優秀なユニットだと思う。
だが何かが違うんですよね。
前モデルのツィーターは、もっと透明感があり、張りつめた緊張感のようなものが伝わってきた。
ひょっとしたらユニットの問題ではなく、ネットワークの問題かもしれません。
そのネットワークも比較してみました。
基本的な構成は変わっていませ。若干だが、コストダウンしか感じが見受けられます。
詳細は
TWが約  3K カット 12dB/oct
WFが約 1.8K カット 18dB/oct コンデンサー容量は半分
私の好み、中域を自然な音にするなら、全体のクロスを引き上げればいい。
悩みましたが、このままにしときましょう。
こんなのを見ると、改良してるなぁーなんて思いますが、実は苦肉の策かもしれません。
購入時ヒビがあるとは書いてあったが、実際は欠けていました。写真の取り方で見えにくい(見えない)って事、ありますよね。
穴は小さいので、こんなの使い、補修します。
これはよくケーブルの絶縁に使いますが、かなり伸びて、薄くする事もできます。
右は、少し伸ばして形を整える。
それを薄めに塗ったスーパーXで接着。その後全体に、液ゴムを塗ります。
表からも、薄めた液ゴムを塗り完了。だいぶしなやかさが復活しました。
このスピーカー、何がいいかって、めっちゃ奇麗です。
あんまりテカテカにすると、品がないので、半艶程度にとどめておきます。
底にはコルクを貼ります。両サイドに1mmほどの段があるので、コルクはそこに合わせ、カットしました。
古いスピーカー、よくこんな紙が貼ってありますが、これ真白。
さてここからが、チューニングメニューになります。
まずはポートを外します。
前モデル50Hz→これ60Hz→外すと70Hzに変わる。
斜めのスポンジは、右写真のように貼ります。
TW後、ポートを塞がないよう、グラスウールをたっぷり詰めます。
下、ネットワークに被せるように少々。矢印部、理由はありませんが、壁のようにしてみました。
高級感の漂うプレートです。 ユニットを装着し
完成!!! 箱が奇麗だと楽ですね。
この写真見て気付いたが、ネジが外れてます。
内部・吸音材調整を、まだまだやる予定だったのでしょう。撮影は、HPにUPする2週間〜一か月前ほどです。
コンポのスピーカーというイメージが強いが、シックな色合いは、落ち着いた大人の雰囲気を醸し出してます。
さてチューニング後のセカンドインプレッションだが、
暴れ具合が減ったというか、前モデルのような、落ち着きを取り戻しました。
高域の繊細な音も、歪みなく聞こえてきます。
吸音材は1/3程度なので、低域の量感は変わりません。
逆にダンピングが良くなったのか?キレが良くなりました。
ポートの影響は、聴き比べをしなければ解らないレベルだが、
ボーカルは自然に近づきました。

この程度のチューニングですので、根本的な傾向は変わりません。
私的には、ネットワークをいじり、もっと2”自然な音 ”にしたい、という気持ちもありましたが、
これはこれでONKYOの” ”だと思うので、いいんじゃないでしょうか。

以前何度か大阪に遊びに行った事があります。
行く前は、TVで見るお笑い芸人のような町?大雑把で活気のある雰囲気。そんなイメージがありました。
だが実際はイメージと異なり、とても繊細な人間味を感じました。
一番の目的である、食べ歩きもかなりしてきた訳ですが、
私のような関東の人間からすれば、予想通り”うす味 ”は否めません。
でも何件も回っているうちに、だいぶ慣れてきたのか、”繊細 ”な味わいを感じる事ができました。
食に対する”こだわり ”は凄いものがあり、お好み焼きは、作り始めから”気合 ”が感じられるほどでした。
外はカリッと中はふんわり、そんなたこ焼きも、おいしかった印象が残ってます。
結局神戸も含め、一か月ほど滞在してました。

今思うと、そんな背景が、ONKYOのスピーカーに表れているのかもしれません。

さてソースだが、比較的オールジャンルタイプ。
高域の繊細な音が、十分に感じられるので、
クラシックやJAZZの楽器系、やわらかいソースなどが合うように思います。
POPはたまに癖のある音が顔をだしますが、
突き刺さるような音ではなく、長時間でも、聴き疲れするような事はなかったです。

最後に。
ONKYOを聴いてると、DENONと足して2で割れば”ちょうどいい ”と、毎回感じてしまいます。
高域にいいものをもってるこの200U、
これからONKYOの新型も、どんどん視聴していく予定でおりますが、
そんな所を失わないで欲しい、と願っております。


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