昨年の7月に発売された SC-F107SG かなり新しいスピーカーです。
DENONだけでも、この辺りの機種が豊富にあり、どれがいいのか迷いそうですね。
ですのでまず、簡単な比較をご紹介したいと思います。
↑は全て1/12に縮小。大きさ比較のため、モニターも含めざっと並べてみました。
写真じゃスケール感が中々つかめないですよね。SC-M37とSC-A33SGは、かなりコンパクトと思われます。
他はどれも近いサイズという事が解ると思うが、この中ではF107とCX303が一番大きい(縦・横)。
大きいと言っても小型と中型の間くらい。デスクトップにもギリギリ置けそうなサイズである。
分類として、F107・F102・M37がコンポ用。
CX101とCX303がオーディオ全般。
A33とA55がAV用。
下にポイントを押さえた詳細を載せたが、A33とA55はオールジャンルに適した、クリアー質傾向と予想、
奥行きが浅いのも特徴ですね。
その他全部3K。こればっかりは聴いてみないと何とも言えませんね。
ウーファーも小さいというのが解ると思うが、F107は一昔前の20cmを凌駕するだけの重低音が出る。
低域に関して、このサイズでこれだけの重低音はDENONらしいというか、立派なものです。

SC-F107SG 2009 \ 5万 クロス3K WF14cm 寸法 W182×H296×D237mm
SC-F102SG 2006 \ 5万 クロス3K WF14cm 寸法 W164×H278×D272mm
SC-M37 2008 \3.8万 クロス3K WF12cm 寸法 W145×H233×D234mm
SC-CX101 2006 \7.4万 クロス3K WF12cm 寸法 W157×H257×D234mm
SC-CX303 2006 \13万 クロス3K WF13cm 寸法 W182×H296×D293mm
SC-A33SG 2008 \2.8万 クロス2K WF10cm 寸法 W148×H239×D143mm
SC-A55SG 2008 \ 5万 クロス2K WF13cm 寸法 W182×H270×D172mm
SC-E717R 1998 \ 5万 クロス3K WF12cmW 寸法 W154×H250×D256mm

さて、なんでこのF107が気になったかと言うと、
F10→F100→F102→F107というモデルチェンジの流れでもあるが、実はこれ、新品だけど展示品なんです。
去年10頃の購入だが、その時最安は3.5万くらい。で、これは2.8万だったので即買いしました。
その時F102が1.2万くらいと、驚くほど安かったので、同時に買おうかどうか迷ったほどです。
結局買わなかったが、今WEBで確認(価格.com)すると、販売店が1店で値段も普通に戻ってる。
そんな経過から、F107もあと2、3年でガクッと下がるかもしれません。今はもぅ2.6万で売ってるし(TT)
ただCX101、303はぜんぜん下がっていませんね。
CX303は、ついつい買いそびれてますが、そのうち購入しようと考えてます。
まァそんな経由で入手した訳だが、買ったらすぐにUPしろっ!って感じですよね(^^;
新品購入なんて何年ぶりだろうか。あたりまえですが新品は奇麗ですよね。ただこれはチョイ傷有りですが。
さっそくサラッと音出しすると、やばい音が出てきたので、じっくりエージングします。
PDA・システムエンハンサーというCDを使う訳だが、
内容はピンクやホワイトノイズやらが複数に重なっている音。
4時間ほどではあまり変わらず、結局12時間ほど鳴らし込み、ようやくこなれてきました。
新品は手ごわいですね。
右写真のように、向かい合わせでやると、多少効果か早まります。

DENON SC-F107SG 2009年 ¥50,000円(ペア)
メーカー解説:WEB
方式 ウェイ・2スピーカー・バスレフ型、防磁設計
使用ユニット 14cmコーン型ウーハー×1 ・2.5cmソフトドーム型ツイーター×1
再生周波数帯域 40Hz〜40kHz
インピーダンス
出力音圧 86dB/W/m
クロスオーバー周波数 3KHz
外形寸法 幅182×高さ296×奥行237mm
重量 5.2kg
エージング前、ファーストインプレッション

「 DENONらしいドスの利いた音ですね- 」

パッと聴いた時、真っ先に飛び込んできたのが低域。
ラウドネスのようなBASS・ブーストコントロールを”ONにしている? ”と錯覚させるほどの重低音が出る。
周波数特性が40Hz〜とは、伊達じゃありません。
ただし、重低音が好きな私ですが、いくらなんでもこれは出すぎですね。

高域
全体のバランスは悪くないが、顔をしかめたくなるくらい”
とにかく刺さる ”帯域がある。
上は結構伸びているようだ。

中域
ウーファーから出る音が優先されていて、厚みのあるこもった音。

全体音
一見 SC-E727 に似ていて、727のTW能率を上げたような音に感じた。
低域はいいとして、この高域。
頭痛がしそうなほど刺激的で刺さる音は、エージングでマイルドになるのか?

なので速効エージング〜セカンドインプレッション

エージング中ですら、高域の刺さる音やド迫力な重低音が響いてきて、いささか不安もあった。
高域の刺さる音は、エージングによりだいぶ改善されたが、まだ3割は残ってる感じがする。
中域
主にウーファーよりの音に支配されていた中域だが、ウーファーの上が出るようになったので、
”こもり ”から、だいぶクリアー質に変わる。
低域
だいぶストロークするようになったのか、中々どうして”ズバッ ”とキレてきます。
全体音
簡単に言うと「 ドンシャリ 」タイプです。
中域・ボーカルに艶をあたえるほど力強いウーファーだが、その音に負けじとツィーターもがんばってる。
中域はツィーターの支配力が6割強ほどなので、凹み気味のクリアー質になる。
なんとも”濃い味 ”の音色に感じるが、いただけないのが、がんばりすぎてるツィーター。
体で感じる超高域ではなく、たぶん5K〜10KHzあたりにピークがあり、うるさいを通り越して頭痛がしそうなほど具合悪い。
私の経験上ネオジウムTWは、柔らかい音が多かったんですけどね。

音を良くするというより、まずはこの
をマイルドにしないと、とても聴けたもんじゃありません。
そこで、
このF107、比較的新しく、今後購入する人もいると思うので、
今回は、「 超簡単 0円チューニング! 」と題しまして、改造術を解り易く解説しながら紹介したいと思います。
まずは各部の紹介。
パッと見高級感のあるターミナルだが、バナナは使えないので不便かもしれません。
と思っていたが、赤黒のキャップが外せバナナOKでした(^^;
ケーブルがユニットにハンダ付けされてるので、先にここを外す必要があります。
ユニットは六角レンチで外します。
箱の素材はMDF。内部はシンプルだが補強が二ヶ所。
吸音材はDENONがよく使っている綿で、上・下・サイド(片側)とコの字型に挿入されている。
響を抑えるよう綿は厚めだが、サイド一面だけ響かせる、そこがこだわりで”みそ ”のようにも感じた。
ポート周波数は約55Hz
この2本の棒、下(右)はウーファーの支えになっており、ウーファーに貼られたブチルゴムが
しっかりと密着してました。
この棒、補強はもちろんだが箱の響きを抑制する効果もあり、さらにウーファーに密着させる事で、
低域の解像度もUPするという、中々の優れもの。
強力なユニットや重低音の出るユニットには、かなり効果的な措置で、
私も以前、F100で同じようなチューニングを施しました。
右写真、ビニールシートをきちんと折り返してるわけだが、雑な一面も見られました。
ウーファー。メーカーの写真だとかっこよく見えるが、こうして見ると普通ですね。
エッジは一般的なゴム。厚くも薄くもなく普通な感じ。
微妙にカーブがかった特徴的なコーン。普通のコーンの上にもぅ一枚貼られた2重構造。
強度の問題か?いっその事”平面にしちゃったらどうでしょうか
フレームの厚みはあるがプラスチックで残念。マグネット、防磁にしては小さいですね。
底に貼られたブチルだが、他への接着防止の為、紙が貼られてます。
私のしている事と同じで、ちょっとした事ですが大いに共感がもてます。
ツィーター。こうして見る限り、極普通です。
ウーファーもそうだが、プラフレームの表面がざらざらのサメ肌状態。
うっかりティッシュで拭きとるとボロボロになり、白い点々が付いてよけい汚く見えてしまう。
べたべたと触る物ではないが、掃除する時もあるので、こういうところは改善して欲しいですね。
小っさ。まァネオジウムならこんなもんですが、実物は軽くおもちのように感じます。
ネットワーク。おっ!中々いいですよ、コストもかけてますね。
一番上TWの黒黄コンデンサー。メーカー名は記載されていないが、Daytonっぽいですね。
WF側には、一般的なケミコン(2個)だが、なんとも色鮮やかなブルメタ(欲しい!)。
ターミナル裏に2段で配置されてるので、構成をうまくお見せできないが、詳細は
TW 約??Kカット・・・クロス3Kだから3.5Kってとこでしょうか。
WF 約1.5Kカット。ともに12dB/oct
ぶっちゃけよく解りません。
TWは写真で解るように、約6μFのコンデンサーに、0.165mHとかなり小さいコイルの組み合わせ。
WFはコイルが2個あるので、18dB/octかと思ったが、一個は逆相に並列、まるで抵抗のようなノリで付けられてます。
ここまで数奇なネットワークは、開発者に聞いてみないと解らないが、
80年代のネットワークを髣髴させるものがあります。
テスト風景。嫌味な音の出所を探ります。
☆ ここから手順解説に入ります STEP1 ☆
さあ!始めましょう。
まずは背面ターミナルを外します。+ネジで簡単に外れます。
ターミナルを前に引き出し、写真矢印のケーブルを外します。
この端子が硬いので、あせらず少しづつ左右に揺らしながら外してください。ラジオペンチを使うと外しやすいですよ。
ようやく外れましたか?次は右のコイルに手をかけます。
一番端のこの部分、これを外します。由いつ必要な道具は”ハンダごて
裏側基盤のハンダを温めながら、ラジペンなどで引き抜きます。
抜いた先端部分は、このように折り返し、グルーで固めておきます。
グルーじゃなく、ビニールテープなどで巻いたりしてもOK。
特別基盤や金属に触れる場所ではないので、まァ折り返したまま、でも大丈夫です。
”ハンダごて ”を持ってない! 大丈夫、できますよ。
思い切ってカットしちゃってください。
元に戻す ”事を考えると、ハンダごてを使ったほうがベストです。
次にこのケーブル。これも外します。
外したら”赤と黒を逆に ”接続し直してください。
これは、ハンダごての無い方用の説明になります。
別に配線10cm程度を用意(スピーカーケーブルで構いません)
赤線を上部細い方のターミナルに巻きつけます。
黒線は、写真のように抵抗に割り込ませます。
配線は”しっかりとねじり ”確実に装着してください。
最後はビニールテープなどを巻いて覆ってやります。
あとはこのターミナルをスピーカーに戻し、チューニングの完成!
どうですか?簡単でしょ。
どうせここまでやるのなら・・・さらにステップアップしてみましょう!
☆ STEP2 ☆
簡単チューニング・STEP2に入ります。
最初に説明した通り、ケーブルはユニットにハンダ付けされております。まずはそのケーブルを裂きます(+-)
左が裂いた写真。 次に、元のケーブルより10cmほど長めにカットしたケーブルを用意。
そのケーブルをハンダ付け(右写真)します。
追加したケーブルは、元のケーブルを軸とし、巻いていきます(写真参考)
元のターミナルにハンダ付けする訳ですが、ハンダがのり易いよう、写真のように軽く削っておきます。
削ったターミナルに、先にハンダををのせておくと、取り付けやすくなりますよ。
先端をこのように、熱収縮チューブ(4mm〜6mm)で処理してやると、パーフェクトです。右が完成!
どうですか?簡単でしょ。
ケーブル交換したくらいじゃ「 違いなんて解らないよ 」「 ブラインドテストやってみろ 」
そんな声も聞こえてきそうですが”確かに ”その通りかもしれません。
ただ私のおこなってるトータルチューニングでは、”確実に音が変わります
ケーブルは低損失、いわゆるフィーリングです。
たまに「
どんなケーブルが良いですか? 」などの質問を受けますが、
まずメーカーや値段には拘らないでください。
私がお勧めするケーブルの理想は”
できるだけ太め ”で、2本ねじったものを片側に使う。
質には少しこだわり、”
OFC ”にしてください。
2mmのOFC、メートル3、400円くらいでしょうか、それの倍になります。
もっとお安く上げたいなら、0.75mmや1.25mmでも構いません。
ポイントはOFCで、必ず「 ねじって 」お使いになってください。
電動ドリルなんかがあると、奇麗にベルデンばりにねじれます。
そのベルデンは、鈴メッキコーティングがされており、耐久性は良いと思うのですが、少しバランスに違和感を感じます。
低域から高域まで抜けが良く、低損失でストレスフリーと言ったら「 2mm×2 OFC 」という答えになります。
もちろんそれ以上、4mm×2なんかでもいいですが、2mm×2で十分です。
ケーブルに何万もかける必要はありません。
一度試されてみてはいかがでしょうか。
さて、せっかくバラしたのでクリーニング&保護してやります。
特にゴムエッジ、アーマオールのようなゴム浸透剤で構いませんので、軽く拭いてやります。
新車購入時にガラスコーティングなんかすると、持ちがぜんぜん違いますよね。それと同じです。
端子は確実に接続してください。サイズ違いで色分けされてるので大丈夫ですよね。
ターミナルをネジ留め
完成!!!
このF107、Fバッフルがお弁当の蓋のような段差が付いてる。写真じゃ分かりづらいと思うが、少しマイナスな面に感じた。
パッと見かっこいいし、落ち着いた雰囲気の木目は中々品が良く、シートという事をできるだけ感じさせない手段として
完全な艶消し 」になっております。そのおかげで、多少安っぽさを回避している。
ただ、完全な艶消しが裏目に出て、白く反射して木目が見ずらい(見えない)という症状が時折あります。
なので私は、床用の艶出しワックスを使い「 塗っては水ぶき 」という工程を何度か繰り返し
3部艶 ”程度に仕上げてみました。
これで反射による白っぽさも軽減され、品格も出てきます。
このバランスイメージ、ノーマルと先ほどおこなった簡単チューニングの違いです。

元はドンシャリで、高域・低域が強く、高域に突き刺さるような
がありましたが、
改造後はだいぶ改善されてます。
詳細は、まずコイルを外した事により、ツィーターが12dB/octから→6dB/octになります。
6dB/octにすると、ツイーターの下部分(中域)が、なだらかなカーブを描いて落ちていきます。
なので12dB/octの急激にカットされたものよりも、多くの音が出るようになり、
刺激的で刺さる音が”よりマイルドに聞こえるようにる ”というわけです。
ツィーターからの情報量が増えたので、ボーカルが若干凸になり聞きやすく、
出すぎる低域も少し緩和、バランスも良くなります。
低域は付属のスポンジで、背面ポートを塞ぐ事もできます。
塞いだからといってバランスが整うわけではありませんが、低域過多と感じる方には有効な手段。
中・高域がより鮮明になるので、これは完全な好みですね。

私はよく6dB/octを→12や18dB/octに変えるチューニングをします。
これはボーカル周りにある”雑見な付加帯域 ”を削り、ボーカルをすっきり”浮上 ”させる手段ですが、
このF107の場合、
元々の中域は「 TW6.5:WF3.5 」くらいの比率で、最初から多少雑味が出ています。
だから6dB/octにしても、その雑味はほとんど変わらない、といった具合になります。
とくにこのツィーターは癖が強いものなので、最良の改造と言えるでしょう。
私がフルチューンするのなら、まず”コイル ”を変えようと思ったくらいですから。

ソースはやはりボーカル物、J-POPに合わせセッティングされている感が強いですね。
中域が比較的マイルドなので、クラシックとの相性もいい方だと感じました。
特に低域の鋭いキレは、クラシックには有効な音だと思います。
クラシック・楽器系の音を良く聴く方や、
元のフィーリングを維持したい、って方は、コンデンサーを”
3.3μF ”に変えるといいでしょう。

最後に。
このF107、このサイズでこれだけ質の高い低域は立派な物であり、迫力満点の音を望む方はいいと思います。
ただし聴いてみると解ると思うが、ノーマルの場合刺さる高域はいただけなく、
3万前後の値段を考えても、はっきり「 買いっ! 」とは言い切れません。
CX101はどのくらいの違いがあるかは、解りませんが
CX303は、確実にこの高域、ツイーターが違うと予想できます。
低域に関してはDENON全般、たぶん似たような傾向だと思われます。
まずは値段の安い”SC-F102SG ”あたりを購入し、試してみるのもいいかもしれません。

今回のチューニング、だいぶマイルドな傾向に落ち着き、たぶん”SC-CX303 ”にグッと近いづいた音色でしょう。
メーカー保障は受けられなくなると思いますが、スピーカーですので
”過大入力 ”に気をつければ、そうそう壊れるような代物ではありません。
簡単な改造ですので、ぜひ一度トライしてみてはいかがでしょうか。愛着も湧きますよ。
今の日本オーディオを代表するDENON。
こんな御時世にもかかわらず”これだけの質感なら十分満足できる ”
そんなスピーカーでした。

      ・・・        ・・・・・