●重い腰を上げるような気分、とまではいきませんが、
購入後、サラッと音出しした後また箱にしまい放置。
そんなユニットが少しありますが、この’FE138ES-R ’もその一つ。
まァ箱が無いので、そんなもんかと思いますが、ちょっと放置しすぎかもしれませんね。
一発目の音出し時、クリアー質の音だったが、箱に入れるとどんな音がするのか?
FE208ES-R の小型版138の始まりです。
FOSTEX FE138ES-R 2008年 約\80,000(ペア) |
●メーカー解説: |
インピーダンス |
8Ω |
最低共振周波数 |
60Hz |
再生周波数帯域 |
fo〜30KHz |
出力音圧レベル |
91.5dB/w(1m) |
入力 |
75W(Mus) |
Mo |
5g |
Qo |
0.27 |
実効振動半径(a) |
5.12cm |
マグネット重量 |
1.490g |
総重量 |
2.860g |
バッフル開口寸法 |
φ125mm |
|
|
|
|
|
●箱から出した時’重い ’というのが第一印象。
特徴はやはり’見た目 ’で、とにかくかっこいい。
エッジ・コーン・キャップ、全て円ではなく折り目エッジが付けられている。
一発でFOSTEXと分かるこのデザイン、いいですね好みです。
だが・・・まずこのコーン。パッと見「 ん?汚れてる? 」と思うような薄汚れた感じの色味。
以前中国から家電を取り寄せたとき、内部が砂埃で汚れていた、なんて事を聞いた事があります。
それとエッジやゴムリングの接着剤が、はみ出ていたり・・・製作精度が悪い。
中心部・銀色が、純マグネシウム合金のセンターキャップ。
マグネシウムと名売ってるユニットは高価な物が多いが、アルミなら半値で販売できるのか? |
|
|
|
●左・アルニコ磁石でとにかく大きい。一般的なメーカー製フェライトの軽く倍はある重量感。
フレーム
見た目はしっかりしているし剛性もありそうだが、付け根や肉抜き部など、何か不安な感じが漂ってます。
ダンパー
これもまたすごい凝った形ですね!。ただ、あまり良い動きをするようには見えません。 |
|
|
|
●さて、もう一つのユニットを取り出したところ、スポンジ製の「 ガスケットが入ってませんでしたヾ(。`Д´。)ノ 」
購入後、片側しか確認しなかった私も私ですが
「 ありえないですね 」
購入店に電話すると「 すみません。限定品なので予備が無い 」「 ウーファー用のならあるのですが・・・ 」
との回答・・・。
めんどくさがらず確認はすぐにしましょうね。と自分に言い聞かせながら、とりあえず
ガスケット作りました。
軽いユニットならいざしらず、これだけの重量級になるとガスケットも偉大な存在です。 |
|
|
|
●さっそくインプレに入ります(長いです)
まず一言
「 はぁ〜ヽ( ´д`)ノ 何なんでしょうこの音は 」
音出しの前に色々と問題点があったので、その分よけいがっかりしたのかもしれません。
とりあえずしばらくエージングして再度インプレ。
とにかく異様なほど「 中域が凸 」。パリパリとつっぱった声質な上、女性ボーカルはザラザラ質。
さらにその上あたりがキーンという、高周波に似たような耳障りな音も出てくる・・・
頭痛がするほどでとても聴けたもんじゃありません。
高域は出てるようだが中域にじゃまされて繊細な音が感じ難い、というかよく聞こえない。
さらに最悪な低域。
ここも中域にじゃまされてるのだが、基本的に量感が無く完全に密閉的な音。
アンプでブーストさせても、ボッ-ボッ-ボッ-とモヤモヤした感じでキレもない。
「 エッジが固まってるスピーカーって、こういう音が出るんですよね 」
これエッジとダンパーがかなりの特殊形状ですが、バックロード専用ユニットって基本的に
コーンを動かないように設計するものなんですかね?
一般的なユニットが1cm程度動くとすれば、指押しでも半分くらいしか動きません。
低域が出ないのは、「 ストローク量が少なすぎ 」が、ほぼ原因だと感じました。
月日が経つ事3ヶ月、あるていどエージングし再度テストしてみました。
箱はDENONで約13L。この箱は今まで色々なユニットをテストしてきた物です。
まず気になった事がフロントポートで、
’40Hz〜120Hz ’をテストした結果、音が「 まったく変わりません 」
ポートに手を触れても空気がまったく出てきません。
これはまさにエッジの固まったスピーカーと同じ症状、そのものです。
密閉にするとちょっと量感へったかな?という微妙な程度。
そして、とにかく「 振動がひどい 」
あまりにも振動が酷いので、円形のバッフルを作りネジ留めしたほどです。
相当パワーが出てる証なのか?
ユニットから出る振動が箱全体に伝わり、ボイスタッチまではいきませんが似た症状です。
この振動は強力マグネットから伝わるパワーを、ストローク量が制限されたコーンとダンパーでは
制御しきれず、余った力が波のようフレームへと逃げている感じです。
しつこいようだが、エッジが固まったスピーカーも振動をエッジで吸収できず、フレームへ直に
伝わるため同様の症状が出ます。
だから低域は低域ではなく、箱鳴り低音です。
これが「 バックロード専用ユニット 」の特徴なのでしょうか?
キレのないボーボー音は歯止めがきかず、普通には聞けたもんじゃない事が予想されます。
バックロードマニアの方がこれを読めば、「そのバスレフ箱じゃダメだろ!」なんて言われそうですが、
良い音の出るユニットというものは、どんな箱に入れてもそこそこ良く鳴ります。
今まで経験してきたJBLとビクターの’アルニコ ’ユニットは、ほんとうに素晴しい音で、
ボーカルの色気なんかは、うっとりするくら音に包まれます。
そんな音を聴いてきたので、アルニコはいい音!という先入観があり、アルニコだから
大丈夫だろうという思い込みが、余裕で放置する原因でもありました。
低音が出ない、中域が耳障り、高域が???という暴れん坊のような結果でした。
8万円なのに
本当に残念です。
見た目が超かっこ良くて、そのデザインに負けないようかっこいい箱を作ろう!
と’気合十分 ’だっただけに、よけい脱力感が大きくなりました。
たの方もこのユニットは試行錯誤してるようで、3wayのMIDに良い、なんて言われてる
方もおりました。でもせっかくのフルレンジがもったいない気もします。
-----------------------------------------------------------
そこで!、このままでは悔しいので、私のできる範囲で特殊な事を試してみました。
@ネットワーク(補正回路)を作る。
これは説明書に載っていた周波数特性を見て(買う前に見ればよかった)
2K〜5Kと、10Kのピークを抑え込んだものです。
気の遠くなる作業で、12時間ぶっつづけ40通りほど、何度も何度もテストして作りました。
これは私的に「 大当たり 」かな。
中域・ボーカルの嫌味な部分が凹んだ事により、声のザラザラが減少しました。
中域がマイルドに滑らかになったので、繊細な高域もより感じられるようになりました。
FOSTEXらしいつっぱた中域は少なくなりましたが。
ただしソースによっては、「 まだまだうるさい 」と感じたので、さらに’高域補正 ’を加えました。
この手のユニットを購入する方は、’音にシビア ’なので、高域補正は
極端には変えず、さらさら感を残したマイルドな落ち方に抑えました。
これで女性ボーカルがだいぶ聴きやすくなりました。
次に低域
A内部にSA/F80AMG仕込む。
DENONばりに内部にF80を仕込んでみました。
F80AMGは小口径で重低音は出ませんが、その量感は他のユニットに合わせやすく、
スーパーウーハーよりもバランスの取りやすいフィーリングです。
ですが内部に8cmを仕込んだ程度では、中域の凸には勝てませんでした。
低域に関して出した結論は
「 FE138ES-R + 20cmウーファー + 密閉箱 」
これがFE138ES-Rを最大に生かせた結果で、ようやく私好みの音になりました。
実は抜群に低域の良い密閉スピーカーがありまして、そこにFE138ES-Rを足してみた、
ただそれだけ抜群のフィーリングへと変化しました。
もちろんネットワークもある程度はセッティングが必要です。
その密閉スピーカーに138ES-Rを足した音がバランスがいいので、一つの箱に
自作しようとも考えましたが、自分では使わないので止めました。
Bで、とっとと売ろう。
とことんやりつくした結果、Bが無難かもしれません(^^;
このユニットで好みの音を作るのは「 無理 」という結論にいたりました。
まァバスレフや密閉ではこのような結論だが、肝心のバックロードは聴いてないので、
全てたわごとだと思ってください。
ただここまで癖のある音が出るのでは、どんな箱に入れても特性は変わらないと思うのですが。
|
|
|
|
●これが補正回路(フィルター)の部品です。
配線は6Nだったか、2mmの銅単線を使いました。空芯コイルは自分で作りました。
より特性にマッチするよう、コイルの微妙な値は巻き数を減らしたりして作ってます。
右はベースとなるMDF箱の接着。 |
|
|
|
●で、こんな感じで |
|
●突き板を貼り塗装 |
|
●細かいパーツを取り付け、完成!!!
本当はここに、完成した箱の写真がバーンっと載る予定でしたが。図面も完成してたんですけどね。
この装置だが
スピーカーケーブルの+配線を下のターミナル(赤)へ、上のターミナル(黒)から→スピーカーの+端子へ。
ようは+に割り込ませるだけの簡単な物です。
ターミナルの赤黒セットなので紛らわしいですが。
@はスルー(銅単線)
Aは中域減衰
Bは中域減衰+高域減衰
となるわけですが、この形、一応スピーカー背面などに’ネジ留め ’できるよう考慮しました。
ですので耳を付け2.5mmの穴を四つ開けてあります。内部は防振処理を施しました。
概観もできるだけ質感が高くなるよう拘ってみました。
これがこのユニットに対する私の「 意地 」だと思ってくだされば幸いです(笑
たぶんこのような品は売ってないでしょうし、作る人もいなそうですね。音は激変します。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
●全ての材料費は7000円くらい。部品のグレードを上げると、軽く倍以上かかりそうです。 |
|
●これは周波数特性 |
|
●この回路を割り込ませると、だいたいだがこんな感じになる。 |
|
●だいたいのイメージですが、詳しく測定してみたいですね。
私が、ネットワークの’ネ ’の字も知らない何年か前、フォステクスに電話で質問した事があります。
その時電話に出たおじさんは、無知な私に’とても親切 ’で丁寧に説明してくれました。
30分くらい話してたと思うのですが、ほんとに人のいい方でフォステクスが好きになりました。
オーディオショーなんかあると真っ先にフォステクスに行ったもんです。
このユニットを使い、すごいかっこいい(デザイン)スピーカーを作って’フォステクスに送りたい ’
くらいの気持ちだったんですけどね。今回は本当に、残念な結果で終わりました。
最後に。
ガスケットが無い、と出足からやられましたが、精度もいいようには感じられず、
値段を考えると非常に残念な事が多すぎました。
古くからのフォステクスFANをターゲットにしてるのかどうかは解りませんが、
期待に胸を膨らませながら、やっとの思いで箱を作ったのに・・・となる前に
購入前にショップなどでじっくりと視聴したほうがいいかと思います。
もし私が先に視聴していれば買わなかった気もします。
ただ私はこの’見た目 ’が好きなので、それだけで衝動買いはしてたでしょう。
FOSTEXのこの手のウーファーって、もしかしたら全部同じなのかな?
世の中厳しい状況が続いておりますが、見た目以上の何かを見せて欲しかったものです。
FOSTEXさん、私のような人間を黙らせるくらいのユニットを作ってください!
|
|
●説明書 |