DENON このシリーズ、ウーファー2個構成の物の中で、もっとも最小サイズがこのV707
EではなくVなのは、AVのVなのかは?わかりません。
これを手にした事のある人は、まず重さに驚くでしょう。私も驚きました。
1台が1.5万円。販売価格は7〜8×くらい? とにかく最も、コストパフォーマンスに優れたスピーカーと言えます。
このシリーズ、外れが無いので、メンテナンスも楽です。さっそくとりかかりましょう。


DENON SC-V707 1998年頃 2台 約30000円
メーカー解説:
方式 2ウェイ・3スピーカー・P.P.D.D.方式・防磁設計(EIAJ)
使用ユニット 12cmコーン型ウーハー×2 ・2.5cmソフトドーム形ツィーター×1
再生周波数帯域 50Hz〜35kHz
インピーダンス
出力音圧 89dB/W/m
クロスオーバー周波数 カタログ記載無し WF 3KHz(6dB/oct) TW 9KHz(6dB/oct)
外形寸法 幅154×高さ250×奥行202mm
重量 4.9kg
このスピーカー、私の自作スピーカー部品取り用として、寝かせておいた物です。
かなり前の記憶で、ブラック鏡面かと思っていたが、なめし革風・艶消し黒でした。だがこの黒、じっくり見ると以外に良いです。
FOSTEXの83Eと並べてみると、いかに小さいかが、お解りになれると思います。
次はE717Rと並べてみました。 幅と高さは同じ、奥行きが5cm短い。
このサイズ、PC用SPにちょうどいいですね。 717Rは、もぅ7年くらいPC用SPとして頑張ってくれてます。
E717だと奥行きがあるので、CRTモニターの時は良かったが、液晶に変えてから、設置に手こずりました。
音質はTVに合わせ、クリアー質に改造してありますが、このV707はどんな音が出るのか?(ほぼ同じだと思うが(笑
さっそくインプレに入ります。
まずは一言
あれ?「 低音あまりでませんね-
この手のスピーカーを、誤解してる人もいるかと思いますが、E717も含め、もの凄い重低音は出ません。
凄い!と思えるのはE727〜です。
ただし、低音出ない小型スピーカーは、ブーストさせても、ポコポコいうだけの物が多いなか、
このスピーカーは、余裕ある、ゆとりの音を鳴らしてくれます。ラウドネスなんか使うと、低いうねりが、歪み無く出る。
全体音は、中域が凹みのクリアー質で、オールジャンル向け。
E717と比べると、若干中域に厚みが足りない、と感じるが、箱のせいかもしれませんね。
低域はメンテナンスしてエージングすれば、だいぶ出るようになるでしょう。
それにしてもこのスピーカー、大音量にしても歪まないところは、とても優秀です。
さっそくユニットを外します。中にもぅ一個のWFが見えますね。
ポートは吸音材で、ふさがれ気味でした(写真は指でどかした後です)。
ウーファー。フレームにエア抜き用の、穴があいてます。
この辺りのユニットは、ほぼこれですかね?
私が、よく確認しなかったようです(^^;
ツィーター。マグネットは少し大き目。
もう少し前のシリーズは、デンマーク製が多いようでしたが、これは中国製ですかね? ただ、中々良いTWです。
背面ターミナルを外します。
開けた瞬間、少しギョッとしました(笑
あまりにも距離が近かったので(笑
ここまでコンパクトにする理由は?
背面板を外します。
このシリーズ、ターミナルは接着したほうがいいと思う。
矢印部、下2つのネジですが、フレームに少しかぶってるので、回しにくい。閉める時も緩まぬよう、注意が必要です。
鉄の補強プレートです。これけっこう、効いてるんでしょうね。 ネットワークはこの位置です。
さすがにターミナルには、付けられませんよね。
配線はこのように、並列で接続されてます。
以前、シリアルとい文字、16Ωユニットで逆相に繋いである事から、勝手に直列接続だと、勘違いしておりました(^^;
直列なら青点線ですよねm(_ _)m
バラして気づきましたが、解りやすいメーカー説明がありました。 これ(P.P.D.D.方式)
裸でテストします。 この接続で、真上から聴いてみると、ボーカルが赤丸あたりから聞こえてきます。
なぜかは解りませんが、このスピーカー、中域が凹んでいるので、逆に繋いだほうが、少し凸になり良いです。
ネットワーク→前ユニット→後ろユニットではなく、ネットワーク→後ろユニット→前ユニットです。
これは手軽なチューニングですね。
このように接続すると、ボーカルは中央から聞こえます。
この繋ぎ方で箱にセットすると、中域がさらに凸になります。 ただし全体が軽い音に変わり、低域も聞こえにくくなります。
このシリーズ持ってる人は、試してみてはいかがでしょうか。
ラジペンなどを使えば、前ユニットだけで大丈夫ですが、少し難しいので、めんどうですが両方外した方が無難です。
さて、前後のユニットを、逆に接続しただけでは、微妙な差で不満です。
なのでコンデンサーを追加、ウーファーを 3K 6dB/oct から、
2.5K 12dB/oct に変更しました。
矢印部、ちょうどいい窪みです。
これでもぅ一歩、中域が凸になり、低域の量感も少し増えます。
外装。片側がこんな状態でした。 これはビニールシートなので、こうなってると、もぅお手上げです。
多少なら戻りますが、それでも隙間を塗装するなどして、ごまかすしかありません。
戻す場合、ヒートガンだと熱すぎで逆に縮みますから、ドライヤーで軽〜くやったほうがいいでしょう。
私もやってみましたが、完全には直らないので、一気に剥しがしました!
剥して解りましたが、中々上質なシートです。 厚みがあるし切れにくいから、剥しやすい。
前回、最後の文でふれましたが、高級スピーカーのオーラが出るよう、変身させてみたいと思います。
剥したあと、平らにならしマスキングします。 次に下地調整用の塗装をします。
プラサフ(サーフェーサー)がなくなったので、塗料(黄色)で塗装しました。
ラッカー系でしたら、下地に使っても問題ありません。
下地を整えたら、鉛筆で下書きします。
どのスピーカーもシートを剥した場合、本体にボンドが染み込んでいて、削るのが容易ではありません。
カンナを使うと楽ですが、確実に削りすぎで変形します。 だから闇雲に剥すのは止めましょう。
これの場合、剥すしかなかったですが、塗装する場合はシートを剥さず、シートの上から施工したほうが、
だんぜん楽で、仕上がりも良くなります。 
下書きのラインに合わせ、突き板を貼りました。
このラインだが、突き板の厚み分凹になってます。 塗装だけじゃ、こうはできないでしょ。
これだけでも高級感が出ると思うが、問題がありまして。
左写真・左上の角。ラインが複雑で、突き板にヒビが入るため、貼れません(TT) 後はただのRで大丈夫。
素材がMDFだからこそ、複雑なラインも可能なわけですが、突き板には厳しいようです。
なので写真のようにカットしました。シートなら温めて貼れそうですね。
塗装します。左は薄いメープルで1回塗った後、ペーパーをあてた状態。
右は塗料を少し濃くし、それを3回繰り返します。
この色は微妙な色味(濃くもなく薄くもなく・若干薄め)ですが、私的に高級感があり、最近好んでこの色にしています。
突き板はチェリーの柾目。木目が目立ちにくいナチュラルな感じですが、どぎつい物より柔らかい感じで、
強調しすぎず、インテリアに溶け込みます。質感はシートとは、比べ物になりませんよね。
塗料が乾いたら、さらにマスキングし、塗装します。
マスキングを剥がします。緊張の瞬間ですね。 サイドのマスキングだけを剥がし、クリアーで仕上げます。
光沢にしようとも考えたが、中央部の質感との兼ね合いで、半艶にしました。正直、楽ですしね。
軽くペーパーをあてた後、蜜蝋WAXで仕上げます。
底はコルクシートを貼ります。
サランネット。このシリーズは、ストッキングのような薄い生地でスケスケ(笑  品の無いような気がします。
破れやスレなんかも多いので
上貼りしました。普通の生地ですが、何か落ち着いた気がします。高級感のあるパイル地あたりだと、なおいいんですけどね。
これでもだいぶマシになりました。
上貼りなので、グルーで接着。何もないかと思いますが、剥がすのが簡単です。
ターミナル。真白にくすんでいたので、洗剤革命に三日間漬け込みました。
その後ケイグで磨きましたが、くすみは完全に取れません。まァだいぶ奇麗になったので、良しとしましょう。
コンパウンドやピカールを使えば、楽にくすみも取れますが、金メッキも剥れやすいので注意が必要です。
まず内部ユニットを取り付けます。 ユニットはクリーニング後、エッジに液体ゴムを薄く塗り、その後浸透材で保護します。
これで一年はほったらかしでも、大丈夫でしょう。 ただし、直射日光は厳禁です。
背面を取り付け
前面を取り付け
完成! いかがでしょう?
高級感という意味で、ぶっちゃけ、70点くらいかな。
私の中での問題は、上の角が貼れなかった事。そのラインに合わせ、突き板を手前に留めました。
ここが残念でくやしいです。
そこが貼れれば、サイドウッドのような厚みが出て、90点はいける!と思ってます。
今思えば、シートにしてもよかったかもしれません。ただそれだと、質感が出ないので、難しいところでもありますよね。
完全な自作なら、問題ないが・・・次、がんばります!
小型の自作台ですが、サイズがほぼ同じでした。
シートでは出せない、光加減での表情の変化。味があります。
バイワイヤリング。通常接続はだいたいTW側ですが、たすき掛けすると、若干厚みが出ます。
エージングをしっかりおこない、インプレに入ります。
基本的に、大きくは変えていないので、質感はそのまま、↑上図のように、凹んで硬めの中域を、少しやわらかくしました。
最初は見た目のイメージとは合わない、軽い音でしたが、中・低域の厚みを増やし、重い音にしたので、
見た目に負けない音が、出るようになりました。
ボーカルは少し厚くなりましたが、明瞭な輪郭は保てるようセッティングしました。

このV707、何がいいかって、E717もそうですが、バランスが非常に良いです。
とくにこのツィーター、DENONらしからぬ伸びの良さで、ワイドレンジを十分に感じられる。
90年代の中では、1、2を争うほど、良いツィーターだと思いますよ。
中古購入ではこれよりも、上位機種に目がいきがちかと思いますが、
はっきり言って、これと717のほうが、断然いいですし、お勧めできます。
小型で設置場所も困らない、PCで使うなら、パーフェクトじゃないですかね。
 
純粋に音楽を楽しむ場合、V707は低域の量感が少し控え目なので、きちんとしたメンテナンスや改造をしたほうが、
さらに立体感を表現できるようになります。
音に余裕があるので、アンプやイコライザーの調整でも、十分に対応できます。

全体的にクリアー質なので、ソースを選びませんが、どちらかと言うと、楽器系に向いてる思います。
さらなるネットワークチューンが必要になりますが、リアルボーカルする事も、できそうです。

最後に。
DENON・90年代製品はコストパフォーマンスに優れ、わりと良い製品が多いです。
そんな中、E232を除き、ほぼ網羅(視聴)してきましたが、明瞭で全体のバランスが最もいいのが
SC-E535 」です。
次いで、E717とV707、だいぶ離れますがE727といった所でしょうか。
あとは、だいたい、こもってます(笑
ただし、押しの強い低域、厚みがあり飛ぶ出してくる中域は、ボーカル物が最高で、柔らかく聞き疲れしない。
DENONはそんな傾向が多いですが、私は好みの音です。
だから気になり、ここまではまったのかも、しれません。
一つのメーカーを数多くやってると、流れが見えてくるもので、それはそれで楽しい事でもあります。
最近というかここのところ、修理・メンテナンスというよりは、チューニング系に走っていますが、
このままのノリで、2000年〜現行機種に入りたいと思います。
とその前に↓
SC-E757が残ってました。
鏡面具合がいいですね-。V707を隣に置いてみましたが、どう見えますか?光あたりすぎ?(笑
一番右はV101(密閉)で、757ミニ風にした物です。鏡面具合は負けてませんよ。

上を見ればキリが無いですが、世間一般的に10万円〜30万円(小〜中型2way)くらいの価格帯が、「 高級品
」だと私は思ってます。
そんな中に入るE757ですが、はたしてどんな音がでるのやら。 次回をお楽しみに。

      ・・・        ・・・・・