今回もコンポ用?スピーカーです。
かなり前(Win95の頃)に、パソコン用スピーカーとして使っていたのがF10という、これの前バージョンモデル。
そのF10は他メーカーに比べ、いい音だなぁ-、なんて感じで、適当に使っていました。
防磁ではないので、モニターから30cm以上あけるなど、使い勝手は悪い。
そんな、いい音という印象が残っていたF10ですが、3〜4年前に、このF100を見つけ、購入にいたりました。
単純に記憶の印象しかないF10ですが、このF100はどんな音が出るのか?
ずっと寝かしっぱなしだったので、音が出るかさえ不安です(笑。

DENON SC-F100 2000年頃? 
メーカー解説:軽量で強靭なグラスファイバーコーンウーハーを採用
方式 2ウェイ・2スピーカーバスレフ型、防磁設計
使用ユニット 14cmグラスファイバーコーン×1 ・2.5cmソフトドームツイータ×1
再生周波数帯域 余裕の45Hz〜20kHz たぶんこれくらい
インピーダンス
出力音圧 88dB/W/m
クロスオーバー周波数 WF 4KHzカット(12dB/oct) ・TW 9KHzカット(6dB/oct)
外形寸法 W183×H328×D240mm
重量 4.8kg 1台
エッジはゴムで、弾力はあるので大丈夫かと思うが、このままインプレに入ります。
まずは一言
何だ?このドスのきいた低音は 」次に「 超こもってるんですけど
これは久々の鳴らしで、完全な音が出ていない、という事もあるが、
とにかく低音がすごい!腹に響く!
ボーボーと出るような鳴り方ではなく、下のほう、超低音域が、ドン、ドン、と鳴る。これは気持ちいい。
16cm以下では、ビクターSX-V1が、最強低音で、そういう低音が出る。

低域の度合を文章で表現するのが難しいが、
例えばSC-E727も重低音が出る、だが、こう全体的に低音出るなァ-、という感じで、
腹に響くというのは、もっともっと低い音というか、30cmクラスが出すような音。
聞こえる低音というより、感じる低音、という具合で、中型スピーカーでは、中々感じられない音である。
そんな、本物の重低音が出るSX-V1はお気に入りですが、これもかなり、肉薄するような音が出てきました。
これは驚きです。
TEACのS-500Rも、すごい低音がでるが、感じる低音ではこのF100のほうが一枚上手。
ただしこのF100、バランスは最悪と言える音で、こもってるとしか、言いようがない。
普通の方はたぶん、低音出るなァ-で終わってしまい、絞って聴くか使わなくなるのが、容易に想像できる。
ですが、私はちょっと電気走りましたね(笑 (好みの女性に出会った時のような(笑

このサイズで、こんな低音の出方って、ほんと中々無いですから。
低音出ないスピーカーを、出るようにするのは大変だが、逆は楽勝だろ-と、かってに思い込みながら、
作業を開始しました。
目指すは、ハイエンドな音です。ちょっと燃えてきました(笑
ここ何ヶ月間か、同軸とフルレンジばかり聴いていたので、久々の2way、何かこう、懐かしいような安堵感にも包まれました。
さっそくバラします。 まずはユニットを外しますが、これ、カバーがユニットと同ネジでした。
ネジは六角で、カバーはプラスチック。
ツィーターなんか、フレームむき出しです。写真では見ずらいと思うが、そのフレーム周りがスキマだらけ、
カバーで圧抜けを防いでいる構造で、コストダウンというか、安さを感じます。
ユニットの裏側。TWのマグネットサイズは普通だが、WFは少し小さいかな。
大きなマグネットは強力で、すごい低音が出るようなイメージありますが、逆です。
一概に全てそう、とは言えないが、大きいマグネットは、中・高域までしっかり出るものが多く、その分低域が感じにくい。
小さいマグネットは、中・高域が出ないので、低音のみ、より多く感じる、といった具合です。
ただ、マグネットが小さいと、モア〜〜としてるというか、解像度が低い音なんですけどね。
箱の容量は約8L。ポートは背面で周波数は約60Hz。
吸音材は、背面が全部かくれるような感じに、配置してある。
箱の材質はMDF。 この腹に響く低音は、心地良いもので、響きの少ないMDFも影響していると思います。
MDFは、癖の少ないナチュラルな音なので、私は当初より、好んで使っておりました。
背面、ターミナルを外します。 ネットワークはターミナルに直付けでした。
ネットワークの裏と表。 ターミナルに直付けされているネットワークは、多いですが、
基盤が垂直に付いてる、というのは珍しいですね。
ウーファーは 4KHzカットで12dB/oct。 ツィーターは 9KHzカットで6dB/oct。
このあたりのスピーカーは、この手の構成が多く、カタログにクロスオーバー値を記載できない、理由の一つだとも思う。
ウーファー側、DENONとしては珍しい 12dB/oct
この 12dB/oct が、低い音を出す、一つの要素にもなってます。
基盤なので、ジャンパーしテストします。 ジャンパーは最終的に6本入れました。
ウーファーは6Ω、TWは5Ω、いつも通気軽にテストを始めたわけだが、ここで問題が。
このTW、能率が悪すぎというか、ぜんぜん音が出ていません┐(-。ー;)┌
刺激がまったく無いというか、10K以上の音が、ダラ下がりのように感じます。
参りました。
バランスを取るには、ウーファーの能率を下げるしか方法がなく、
そのウーファーも、スルーにしたほうが、全体音で、より中・高域を感じる事ができる。
ただそれだと、低域の腹に響く迫力が無くなり、中域は薄くなって雑味も出る。
一番良い方法はTWの交換、もしくはスーパーツィーターを付ける事ですね。 どうしよう?
とりあえず、ガッツガツにエージングしてシバいてます。
その間に、箱の作業に取りかかる事にしました。
矢印部、たまに見る光景だが、シートが縮み、ずれてます。箱が膨張してる場合もあるが、これは縮です。
目立たないよう、塗装で補修します。ついでに、MDFの切断面をすべて塗装。精神的にいいですよね。
MDFに、ウレタンスポンジを巻きつけた物が、右写真です。
この、海苔巻のような物体は
ここに取り付けます。補強もしました。
左矢印の補強は元々の物で、何か余った材を、適当に貼っとけ、みたいな感じです。
その補強板の位置が適当なので、海苔巻は写真のように設置しました。
この海苔巻ですが、ウーファーの固有振動を軽減させ、解像度を上げるのが目的です。
だからきちんと取り付けないとダメなわけで、右写真のように、ユニットが少し浮くくらいに合わせます。
そのユニットですが、さらに解像度を上げる為、マグネットを追加しました。
手持ちで手頃なサイズが2個あります。
大きいほうが強力で、解像度も上がりますが、コーンのストローク量が減るので、低域も減ります。
ですので、小さい方を取り付けました。 少し低域は減りますが、中・高域が明瞭になります。
もう少し、小さいマグネットの方が、よりいいかもしれません。
このウーファーだから物凄い低音が出る、という訳ではなく、箱とかポートとか、すべての要素が重なり、
このスピーカーは、すごい低音が出る、といった感じです。
次はネットワークの改造。 まずはターミナルに穴をあけ、トグルスイッチを取り付けました。
穴は、いったん2mmの小さな穴をあけてから、6mmの穴をあけます。 裏にコンデンサーはありません(笑
ケーブルはモンスターを使います。 太いでしょ。鉛筆級ですね。
古いケーブルで薄汚れていますが、最近のモンスター(単線混じり)には無い、低損失でパワフルなストレートサウンドが出ます。
これは、私が自分の自作用に取っておいた物で、今では中々手に入りません。
残りすくないので、少し惜しみながらも使いました。 右は完成したネットワーク。
ほんとうはTW側に、純銀の単線が良いのですが、その金額をかけるなら、STWでも取り付けた方が、いいとも思う。
ケーブルが太いので、ブチルを巻いたあと、収縮チューブできっちり処理します。
何かの拍子で、ハンダごと持っていかれそうな雰囲気があるので、グルーをがっつり使い、固定しました。
その他、コイルとコンデンサーを追加。
裏側には、抵抗とトグルスイッチを取り付け、ハンダも銀ハンダで盛り直しました。
箱の仕上げです。目立つ傷はほとんど無く、奇麗です。
この箱、元々艶消しで、表面に何か塗ってあるというか、クリアーの吹き方が雑のようなノリで、ざらざらしています。
艶有りクリアーを吹こうかな?とも考えましたが、とりあえず液体WAXを塗り、艶を出してみました(右写真)。
底にコルクシートを貼ります。 最終的に、半艶仕上げにしました。 ほどよく高級感が出た、と思うのですが。
バナナも太いケーブルもOK。 磨いてクリーニングしたターミナルを、箱に取り付けます。
吸音材は背面に接着してあり、ケーブルも太いので、取り回しが少し大変でした。
ウーファーはエッジを軽く補強。TWはクリーニングのみ。箱に取り付けます。
TWの隙間には、ウレタンスポンジを巻き付け、対処します。
TWの裏側を覆ってしまうと、背面ポートから高域が抜けてくれないので、このようにしました。
カバーにはスポンジテープを貼り、気密性を高めます。 そのカバーを取り付け
完成!!!
今回はネットワークだけではなく、ずべてバランスよく手を加えた、フルチューンです。
カバーの色ですが、黒に塗装も考えたが、この微妙な鉄褐色も悪くないので、このままにしました。
ネットに穴もなく、全体的に小奇麗な感じ。
トグルスイッチですが、ウーファーの能率を変えるもので、
上でノーマル、下で約2dBほど落ちる、という仕様にしました。 夜、小音量で聴く場合は、ノーマルでもいいでしょう。
インプレの前に、貴方のスピーカーはモノラル(1個)で聴いた時、どの辺からボーカルが聞こえますか?
これは片側のスピーカーだけを鳴らし、正面で聴いた時、どの位置からボーカル(女性)が聞こえるかを、表した図です。
私はだいたい@でセッティングしてますが、TWを下まで引っ張った、リアル系サウンドの場合、Aの感じになります。
中域の重心が低いとBになり、これはあまり無いと思うのですが、SX-V1はBよりになります。
ハイエンドと呼ばれるスピーカーは、私の経験上Bに近いものが多かったのですが、
ここでの上下は、あまり重要ではありません。
私の中で重要視してるのがこちらで、ボーカルが浮いて聞こえる、という特徴です。
これが一概に良いとは限りませんが、高級スピーカー・ハイエンドな音は、このような特徴があります。
ボーカルを浮かせるのは、TWとWFのバランスに加え、絶妙なカットが必要。
どんなスピーカーでも、ネットワーク次第で出せるようになりますが、ヒヤリングと経験が必要になってきます。
中域が凸で、飛び出してくるような、つっぱりボーカルではありません。 つっぱりと浮くは、別物です。

 私がよく言う雑味とは重なった音で、2wayの場合、中域が重なる訳ですが、この重なりが多かったり、バランスが悪いと、
濁りのあるあいまいな音になる、それを雑味と表現しています。

例えば、目の前に双子がいて、その方が同時に喋ると、何か違和感を感じますよね。
もっと極端な例ですが、
右にクリアーでリアル系サウンドのスピーカー、左に分厚い中域のスピーカーを置き、ステレオで聴いてみると、
ボーカルがハモって聞こえます(笑
ツィーターから出る高い声、ウーファーから出る低い声は、同じ人の声ですが、
それをうまく調整すると、濁りの無い、奇麗な声が聞こえる。
私はそんな音が好きで、ハイエンド的な音でもある、と言えます。

全域で素直な音が特徴のフルレンジ。
ボーカルが凸だったり凹だったりと、ユニットに音色があり、それを生かすも殺すも箱しだい、という感じのスピーカー。
そんなフルレンジのボーカルは、ほとんど雑味はありません。
ですがボーカルを浮かすような、調整はできません。
2wayや3wayの有意性は、ワイドレンジと思われがちですが、私はこの中域に感じています。
音を言葉で表現するのは難しいので、こんな絵を描いてみました。
経験した音のイメージですから、参考程度に思ってください。
さて、だいぶ横道にそれましたが、こだわりの中域について、解ってもらえたかと思います(笑
ではインプレに入ります。
まずは一言
まさにこれはw(゚o゚*)w「 ハイエンド 」な音だっ・・・と言いたいところですが、正直微妙です。

適度な厚みがあり、輪郭がシャープな中域。
適度な量感でほどよく伸び、キレがいい解像度の高い低域。
は、ほぼパーフェクトですが
高域、特に上の方伸びが少なくて「キランッ」としたものが少ない。
ただ、5日間ほどシバいたので、だいぶ伸びるようになり、最初よりはかなりマシになった、といったところ。

・箱はMDFで、ニュートラルな響き。
・背面ポートで、中域の癖が出にくい。
・ウーファーは逆ドームで、中域の癖が少ない。
そんな要素が絡まって、中域の癖(つっぱり)は少なく、
ほどよい厚みで、色気のある中域(ボーカル)に仕上がりました。

最大の特徴は、低域です。
元々ボーボー低音ではなかったが、少しあまく、ボケ気味の音でしたので、
マグネット・ケーブル・振動などをチューニングした事により、だいぶ改善され、解像度が上がりました。
中・低域はSX-V1の音色に、できるだけ近づくようなセッティングをしたので、中々の音です。

ネットワークは、
ウーファー 4K
3K(12dB/oct)に変更
ツィーター 9K
4K18dB/oct)に変更
ツィーターから余計な中域が出ないよう、18dB/octで「
ズバッと 」カットしました。
ウーファーの能率を下げたほうで、バランスはだいぶとれてます。

POPでもJAZZでも、すべてのボーカルものは得意中の得意
最近のJ-POPはシャリシャリ感が強いので、そんなのは優しくなり、ちょうどいいです。
クラシックもだいぶ聴いてみました。
上がキラキラしてるようなソースはダメですが、重厚な低域のあるソースは、よく分解してくれてます。

高級な音、という意味では80点。
スーパーツィーターを付ければ、余裕で90点以上付けられるでしょう。
このスピーカー、STWを付けるだけの価値は、十分にあります。

コンポセットを買うなら別だが、この手のスピーカーを購入するのは、
パソコン用で使いたいとか、音が出ればいい、手頃な安い中古(3〜5千円)が欲しい。
なんて思ってる人が、ほとんどだと思う。
だが、だいたい失敗するでしょ。なんだこの音は、って感じで。
安さには、安いだけの理由があり、メーカーも上位クラスとの差別化を図らなければなりません。
値段の高い、高級スピーカーを使ってる人なんかは、見向きもしないでしょうね。
だからこそ、改造します。
いい音悪い音は別にして、これだけ変わるんだ-、というところに目を向けてください。(想像で(笑

DENONは安いスピーカーでも、コストがかかっていると言うか、素体に良い物を持っている。
このスピーカーは、予想だにしなほどの、低音が出たからこそ、やる気もでてきました。
限界はありますが、元がダメだな-と思えば、ここまでの改造はしないでしょう。
見た目は別で、経験上、だいたい箱をいじりたくなるが、この箱はとても素直、いじる必要は無いほどです。

参考までに、このスピーカー、改造に使った部品点数は、約 22点。
同じように改造すると、けっこういい値段いきそうですが、1万円やそこらで、10万円以上の音が出せる、
そんな音を目指すなら、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
今回はかなり成功した、と言える改造になりました。

最後に。
高級品や人気メーカーには、それなりの
オーラがありますよね。
音なんかどうでもいい!俺はこのメーカーが好きなんだ!という人もいるかもしれません。
腐ってもベンツ、というか、ドイツ車に初めて乗った時「 なんだこのボディ剛性は! 」と感じた人も多いかと思います。
スーパーな車に乗って、対向車からの「 目線が痛い 」なんて経験した人もいるでしょう。
いい雰囲気や、ドキドキ感も大事なわけで、
そんなオーラが出せるようなスピーカーを、作れるようになりたいもんです。
次回、いい雰囲気がかもし出せるかどうか、楽しみにしていて下さい。


      ・・・        ・・・・・