| ●1984年とはオーディオ全盛時期ですかね? 私は小学生でしたが、とにかくいい時代だったと思われます。 この頃は何か「 AV 」の文字が多い気もします。 CDプレイヤーとかの影響もあるんですかね。
 これもそのAVですが、果たしてどんな音がでるのやら、さっそくメンテしたいと思います。
 
 
 
              
                
                  | VICTOR Zero-AV3 1984年 1台 29800円 |  
                  | ●メーカー解説:オーディオ・ビジュアルシステムとして、テレビの画面やビデオテープに悪影響を与えない身近なスピーカーとして開発されたスピーカーシステム。 エンクロージャーは位相特性をコントロールした左右対称のユニット配置としています。
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                  | 方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型・防磁タイプ |  
                  | 使用ユニット | 高域:1.5cmドーム型 中域: 7cmコーン型
 低域:23cmコーン型
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                  | 再生周波数帯域 | 45Hz〜20,000Hz |  
                  | インピーダンス | 6Ω |  
                  | 出力音圧 | 90dB/W/m |  
                  | クロスオーバー周波数 | 3.2KHz、7.6KHz |  
                  | 外形寸法 | 幅288×高さ478×奥行356mm |  
                  | 重量 | 9.5kg |  | 
          
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            | ●久々のビクター。これをやるにあたり、SX-500も引っ張り出そうとしましたが、大きいので止めました(笑 出力OK、エッジ×
 まずはエッジですね。これをやらないと音が聴けません。
 |  | ●ポート 何やら奥に向かって曲がってます。
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            | ●ユニットを外します。 周りはプラ製のカバー。 ユニットネジはナット付きで、何回外しても大丈夫。
 |  | ●ちなみに右のカバーは ONKYO D-1R の物。 若干サイズが違うが、デザインはかなり似ている。
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            | ●エンクロージュア内部 ポートの曲がりがよくわかりますよね。 ウーハーに向かって伸びてます。
 パッと見、雰囲気の良さそうなネットワークも見えました。
 |  | ●底部 吸音材は少ないが、何やら凝った突起物があります。
 定在波を打ち消すようにでも、考えられているのでしょうか。
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            | ●23nmウーハー。 コーンはグレーで、年代のわりには綺麗です。
 |  | ●マグネットサイズは普通。 防磁のマグネットとカバーが付いてるので、少し重い。
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            | ●エッジを剥がしたら(指で)掃除します。 |  | ●綺麗になりました。 | 
          
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            | ●元のエッジは外張りで、ここは取ると言うより、削るになってしまいます。 やりすぎるとコーンにダメージをあたえるので、軽く削る程度にします。 |  | ●コーン裏側。 何やらバランサー(おもり)が付いてます。 これはコーンを重くする事により癖を消す、いわゆる音に落ち着きが出るとか、重心が下がる傾向にあります。 貼ってある位置が少しあいまいでしたが。
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            | ●エッジの張替え終了。 さァ音出しに入ります。 | 
          
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            | ●今回は初心に帰り、がっつりエージングした後、改造する前にじっくり聴く事にしました。 
 ノーマル:インプレ
 まず飛び込んできたのはMID(真ん中の白いコーン)からの、ボーカルの声。
 3.2kHzでカットしてるかどうかは解りませんが、このMID、かなり艶があり出張ってきます。
 色といい時期もあってる? FOSTEX の BC10 に似てるかな?なんて思ってしまう。
 
 高域は柔らかく刺激が少ないので、とても聴きやすい。
 「 うまいっ 」と思うほど、上手にコントロールされてます。
 低域
 23cmとしては量感がぜんぜん無い。 ただしソースによっては「 超低音 」がたまに出る。
 伸びは少なく、フロントに空けられたポートを塞いでも、量感はたいして変わらない。中域が若干減ったかな?程度。
 前回長い事聴いていた、密閉のような特性。
 全体のバランスは TW:3 MID:4.5 WF:2.5 くらいに感じました。
 
 簡単に言うと、ズバリこれは、「 センタースピーカー 」ですね。
 5.1のフロントではなくセンター専用のスピーカーで、ちょっと迫力が増したっ、て感じ。
 AVが赤で塗っている事や、メーカーの解説で入念に漏洩磁束を抑えている、という事からも、これは
 TVに横付けし、TV(映画など)の音を聴く。 そこに焦点を合わせた音作りが、おおいに感じるほど
 TVの音は違和感なく、バツグンに聴きやすい。
 
 普通に音楽を聴く場合、迫力に欠けると言うか、威圧感がまったくありません。
 まるで3L程度の小型スピーカーを聴いてるような軽い音で、このサイズの意味がまったく無いと思う。
 ただし中域、ボーカルの声質は非常に艶やかで、私好みの音です。
 
 当時はこんなスピーカーをTVの横に、ビタッと横付けするのが、かっこよかったんですかね。
 薄型TVが定着しつつある今の時代、このスピーカーをTVに横付け、センタースピーカーとして使う人はいなそうですが、
 フロントとしても迫力にかける。 そんな中途半端なスピーカーでした。 だから消えていくんですかね。
 
 これは是が非でも、改造するしかありません! 私が蘇らせてやります(笑
 まずはバランスですが、最大の問題は低域です。
 たまに 超低音 が出るので、ユニットの能力は問題なさそう。
 先のM55あたりの中型より一回り大きい。大型3way(高さ60cmクラス)より一回り小さい、中途半端サイズのエンクロージュア。
 23cmウーハーの存在意義が出せるよう、そんなところを冒頭におきながら、改造してみます。
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            | ●ますはユニットを外していきます。 これはMID。 ウーハーと同じようにカバーは別ネジで、本体はナット付きで装着してありました。
 フルレンジっぽい外観で、単発で聴くとやはりTWよりの音ですが、ボーカルの声質がやけに凸る。
 1KHzで切ろうが5KHzで切ろうが、とにかく声が出張っり、まるで70年代ダイヤトーンのTWに、非常に似ています。
 どんなスピーカーにこれを装着しても、TWではなくMIDと言える、そんな貴重な音がでます。
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            | ●大きいマグネットが装着されており、想像以上に重いです。 |  | ● | 
          
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            | ●これはTW。 これもカバー?と思いきや、フレーム一体型でした。残念(笑 てか、めちゃくちゃ小さくて軽い。MIDとギャップありすぎ、まるでおもちゃのようです。
 箱に開けられている穴は、倍近い大きさ。 何か仕様変更、コスト削減?でもあったのでしょうか。
 小さいだけあり、安っぽい音ですが、非常に柔らかく聴きやすい。
 ネットワークを通した場合、STW(スーパーツィーター)のような出方でした。
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            | ●背面ターミナルを外すと |  | ●ネットワークが出てきました。 | 
          
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            | ●これを見ると設計・製作者の意図がわかる気もする、ネットワーク。 これはすばらしい! まるで「 お手本 」のような構成です。
 まず目に飛び込んできたのが、赤枠STW部。 これは18dB/ocで、逆相でつながってます。
 全てのコイル値はわかりませんが、
 MID(TW)は12dB/oct。 コイルはたぶん0.5mHくらい。 3KHzカットだとコンデンサーは8uFくらいだが、
 これは2個並列で約6uF。 TWのコンデンサーは少し小さめの値、というのがメーカー製に多い。
 右下のコイル、これはウーハー用で6dB/oc。
 MID用コイルと同等サイズで、巻きが少しすくない程度。 2KHzカットくらい。
 
 それぞれを6、12、18dB/ocにし、バランスを取りつつも、ユニットの特徴を引き出してやる、そんなやり方に感じました。
 下↓の三角、パッと聴くとMIDから声が出ているように感じるが、単発聴きすると、TW・MID・WFとポート、全てのバランスの上、
 中域(ボーカル)が成り立っている事がわかりました。
 これは数字だけの設計じゃなく、そうとうヒヤリングを繰り返し完成させたんだな、そんな音に感じます。
 
 私は今、STWを作っていますが、18dB/ocが一番しっくりします。 だからこれを見たとき、共感できるところが大いにありました。
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            | ●中・高域は特徴があるが、柔らかく気持ちの良い音。 そんな音は、ネットワークでうまくコントロールされていた。
 |  | ●問題のウーハー。 スルーで聴いてもコイルをかませてあるような音。 実際にコイルは付いているが、音に関しては意味が無いほどであった。 | 
          
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            | ●とにかく低域をなんとかしなければ、トータルで気持ちいい良い音にはなりません。 大苦戦してます。
 ネットワークで調整はしてるものの、これはエンクロージュアの問題でした。
 元のポート、fob(共振周波数)は約30Hz。 30cmクラスならわかるけど、ちょっと低すぎますよね。
 で、約60〜100Hzで調整すると、すごいボーボー音が出た。
 この音聴いてピンときた! これは私が自作した「 WV-00 」にそっくりな音です。
 そして同時に、あきらめました・・・(^^;
 
 カットの場所によっては、すごい量感の低域が出るが、同時につっぱり中域も飛び出してきます。
 ・ネットワークで、小さめのコイルを使い上まで引っ張っている。
 ・中域が出にくいような特性の、ポートになっている。
 そんな事が、低音出ない理由で、TWとMIDの能率を下げても低域の量感は変わらなく、逆にバランスが悪く感じました。
 
 根本的な問題はエンクロージュアにあり、背面に直径3cmをダブルであけようとも考えました。
 私のWV-00もつっぱり中域で、背面にポートを作った事により、だいぶ回避できました。
 ですがこれ、理想の音にするのに莫大な時間がかかりそうです。 WV-00もかなり苦労しました。
 なので、悲しいですがあきらめる事にしました。
 
 右の写真は SA/F80AMG を入れてみました。
 ウーハーをパッシブ動作で、ゆとりある約33Lの箱。 これのほうが、低音気持ちいいんですけど(^^;
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            | ●私の性格上、納得いかない物を嫁には出せません。 でも大きいから、じゃまだし・・・。
 極端ですが、中域のみの音が聴きたい! って人にはいいかもしれません。
 センタースピーカーとして使うなら、超おススメですよー。 ってそんな勇者はいないか(笑
 でもそれなら、小型密閉フルレンジを、おススメしそう。 だからこのサイズが一番の問題なんですよね。
 このサイズなら、小型スピーカーでは出せない、迫力ある圧倒的な空気感が欲しいですよね。
 ダメでした。 ごめんAV3。
 最後に。
 パーツ点数も多く、細部までこだわりのある作り、そんな所はさすがビクター!と素直に感じます。
 特徴のあるMIDのユニットは中々だし、構成の良いネットワークなど、
 バラ売りもできそうだが、これらを生かし、別の形で「 復活させてやる! 」という決意でいっぱいです。
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            | ●09.08.08 本当は、このZero-AV3のMID(スコーカー)を最大にいかしたスピーカー、 写真のような感じで、ウーハーは別のものを背面に付ける。
 そんなコンパクトで、超ボーカルスピーカーを作る! なんて思ってたんですけどね。 やる事多すぎてやめました。
 とりあえず場所を取るので、バランスが取れるような、小改造をしました。
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            | ●まずはポートを外します。 ヒートガンで温めながら取るわけだが、中々かんたんには取れません。 | 
          
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            | ●ポートを外したあと。 ここは塗装します。 |  | ●全部はがし | 
          
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            | ●全面に突板を貼りました。 これ結構ゆがんでて貼りずらくシワになる。 縦横のゆがみならいいが、円形のゆがみは厳しいですね。
 3回塗装後、仕上げはつや消しクリアー。
 前回仕上げにニスを使ったが、今回ははスプレー。 マスキングが少し面倒だが、
 もゥ、早いし綺麗に仕上がるし、10倍は楽ですね。 ダメです、つや消しクリアーニスは。
 あとは、ポートを外した事で内部が見えるため、その辺りを黒で塗装しました。
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            |  |  |  | 
          
            | ●全体を蜜蝋WAXで仕上げ、底にコルクを貼ります。 |  | ●ユニットをクリーニング。 | 
          
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            | ●ここもクリーニング。 今回はノーマルです。 |  | ●これくらの吸音材を入れました。 | 
          
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            | ●ウーハー裏は結構こった作りなんで、側面と上部に吸音材を入れます。 |  | ●ユニットを取り付け | 
          
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            | ●これが |  | ●こうなり完成! | 
          
            |  |  |  | 
          
            | ●エンブレムは弱まった粘着でそのまま貼ったので、はがすのも簡単です。 一見YAMAHA?の雰囲気を感じた(笑
 周りのブラックは、うっすら木目が見えます。 こんな感じの外製ありましたよね?
 ユニットのフレームを、ALL半艶ブッラクにして渋くしようかな?なんても思ってたんですけどね。
 コーンが白いので止めました。
 あと問題点だが、ユニット装着してから1日後、突板のシワが増えていました(^^;
 なんでしょね。 前回のつや消しクリアーニスから、貼り物・塗装が調子悪い。
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            |  | 
          
            | ●さて、改造した箇所はエンクロージャーのみで、ポートを外し、吸音材で調整しました。 元の共振周波数は約30Hz。 ポートを外し約50Hzになります。
 ポートより中域が出る為、スコーカーとウーハーのつながりバランスがだいぶ良くなる。
 体感できる低域も、だいぶ出るようになった。
 私的にはもう少し上、70〜80Hzくらいがいいなァ〜、なんて思ってたですけどね。
 
 まず高域は柔らかく聞きやすい。 18dB/octなので分離した、TWとしての意思表示がハッキリした音。
 
 中域、どんなにバスをブーストさせようとも、浮いて聞こえるくらい、全体音のなかで一番主調してくる。
 少し突っ張り感は残るが、とにかくボーカルの輪郭が「 ウルトラシャープ 」
 このシャープな音は、このユニットの特徴です。
 これはクロスは3Kで、TWを下まで引っ張ったリアル系サウンドとは若干違うが、
 特徴あるスコーカーの恩恵で、いわゆる「 超リアルボーカル 」系、上質なモニターサウンドとも言える。
 他の3Kスピーカーと比べると、中域の厚みが少なく感じるが、
 それはウーハーによるもので、ウーハーのクロスを2Kから、なだらかに落としてる事からも、うかがえる。
 ウーハーを700Hz〜1Kあたりでカットすると、中域の厚みも増します。
 ただしこのシャープな輪郭は、簡単に出せる音じゃないですけどね。
 
 低域、以前は超低音はでるものの、小型スピーカーにスーパーウーハーを付けたような、
 つながりが悪く感じる音だった。
 共振周波数を上に持ってきたことで、だいぶバランスが改善されました。
 エンクロジャーが、元々共振を抑えた作りだが、さらに吸音材を追加し、徹底して箱鳴りを抑える。
 これにより、ボーボー音は少なく、ズバッとキレる、解像度の高い低域になりました。
 上まで引っ張っているので、バスを最大、トレブルを最小にしても、それほどこもらない音で、それが
 中域のシャープさに拍車をかけているわけだが、迫力に少しかける。
 20cmらしい音がだいぶよみがえったと思うが、この鋭いキレは、ユニットの特徴ですね。
 JBLのウーハーにも似ています。
 
 今回ネットワークはいじりませんでした。
 スコーカーの能率を若干下げる、 スコーカーのON-OFF、 ウーハースルー、
 なんて改造も頭をよぎってましたが、このスピーカーの「 味 」を壊したくなかったので、止めました。
 
 とにかく、このウルトラシャープが最大の特徴で、超小音量にしても、8cmが目じゃないくらい、
 ボーカルがハッキリ聞こえます。
 やはりボーカルものやJAZZが、リアルで相性がいいと思う。
 ラッパ、バイオリン、フルート?あたりは主調しすぎかもしれません。
 キレのある超低音が出るので、バスを少し上げてやると、オーケストラも中々でした。
 
 最後に。
 高域はONKYO、中域はダイヤトーンに似ているが、低域はやはり、俺はビクターだっ!が、
 かもしでてるサウンドです。 ビクターは昔からこのコーンのサウンドに、こだわっているのですかね?
 いずれにせよ、中途半端に思えるサイズのスピーカーだが、しっかりした3wayサウンドの持ち主になりました。
 
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