●オーディオマニアなら誰でも知ってる Rogers LS3/5a !!!

後期型のバイワイヤ仕様のものや、KEFバージョンもありますが
やっぱ憧れるのはロジャースの初期型でしょう!と、かってに思ってます。
音質の違いはどれほどのものか気になります。

それにしても、30年程経っているとは思えないほど程度がいい。
ですがやはり機械物。新品とはいきませんが、それなりにオーバーホールしてみます。

*これは私の所有ではなく依頼品の為、所々にモザイクかけてますm(_ _)m
●まず左右のバランスなどをチェック。大きな傷はありませんが、エンクロージュアやターミナルがくすんでます。
●ユニットを外します。ウーハーは見てのとおりフロントバッフル内側よりネジ止めで固定されている。
なのでまず、バッフル全体を外します。ネジがとにかく硬い。小型電動ドライバー程度では外せないほど。
もちろん手動でも厳しく、すぐにねじ山をなめそうな感じです。高トルクのドリルドライバーを使い、強く押しながら一気にはずします。
●計8本。思っていたよりもサビの進行が少ないです。
●年代物、外国の空気が満喫できるのか?www
で、では・・・ 
ご開帳〜
ウぅ。プっ。
鼻を近づけて開けたせいもあるが、すっぱい香りが漂ってきました(>▽<;;www
●ケーブルを外します。スポンジをめくると端子が現れます。
ケーブルが長めなので作業性はいいが、ナットが硬いのでCRC等をかけてからあせらずに外します。
ボケぎみでわかりづらいですが、赤ターミナルが焼けて白ピンクだったので、塗装します。
●ずっしり重いエンクロージュア。内部ですが実にシンプル。
全体にピンクのスポンジが貼ってあります。
●そのスポンジをめくると・・・何か貼ってありました。(4面)
厚さ1cmほどのフェルトのような素材に、樹脂を浸透させ固めたようなものでしょうか。とにかくかちかちに硬いです。以前KEF104をオーバーホールした時も、こんなものが貼ってありましたが、もう少し柔らかかった気がします。バスレフと密閉での経年劣化の差でしょうか?
私が自作SPを作る時は、この樹脂のようなものはやりたいな思うほど魅力的な装置です。
●マニアにはおなじみ?T27 ツイーターです。若干癖のある音ですが、これじゃなきゃダメっ!て人もいるかもしれないと思うほど個性の塊です。周りのスポンジはゆるめなので、再接着します。
●ほんとに欲しい!これだけ欲しい!と思えるほど良い音が出る B110 ウーハー。
これは10cmですが20cmも良さそうですね。私の中でNo,1ユニットはビクターのSX-V1のアルニコウーハーが群を抜いていましたが、これの登場で順位が変わるかもしれません。・・・そこまではないかな。
でもぱっと聴いた時は甲乙つけられないほどです。セルシオとGT-R、コンフォートとスポーツカーの違いというか、SX-V1はまったりと色気がある。B110は解像度が高くキレがある、という感じかな。
●ナットは全てブルーアルマイト処理が施してありました。少し白サビが浮いてますが、想像してたより断然綺麗!これならユニットのダメージも少なそう。程度がいいと、ほんとに作業が楽です^^
右の黄色はHiVi のF5という13cmウーハー。13cmですがエッジの外周はほぼ同サイズでした。
F5もキレがあり悪くは無いのですが、聞き比べてしまうと、どぅしてもねぇ〜。
●でましたネットワークです! すごいですね〜
実はご開帳wの時、まず度肝を抜かされて目についたのがこのネットワークでした。
2wayでこのサイズに、これだけのネットワークが装着してある日本製ってなさそうです。
せっかくなのでDENONのE717にこのネットワークを付けたところ、ガラっと音質が変化しました。
私は自作SPを作るうえで、エンクロージュアは見た目重視。容量とか気にしません。
仕上げはネットワークでガッツリ決める!
てな感じなので、このネットワーク、おおいに参考になりました!これをいじる気は毛頭おきません。
肝心のチェックを忘れるくらい、見てるだけで時間が過ぎていきますw
コンデンサーの抜けはありませんでした。インピーダンスは15Ω。簡易測定ですが13Ωでした。
まぁ音質に影響が無い項目だと思いますが、職人魂が多いに感じられるしろものです。
●ナットがインチサイズなので、こんなのひっぱり出してきました。
これ知ってる人いるでしょうか?10年以上前に購入した「 メットリンチ 」という工具セットです。
深夜の通販TV。今はあたりまえのように放送されてますが、当初は12チャンだけでした。
今もそうですが、一度見るとつい色々と買ってしまうw 有名なのがモーターアップですかね。
これの特徴はナットの角ではなく、面でとらえる!だからなめる心配が無い!というものです。
昔、マフラーや触媒を交換する際に、これは本当に良く噛み、ショップの人が驚いてました。ちょうどスナップオンの営業マンがきていて、メットリンチを見ながら維持になって自社製品を熱弁してましたw
●さてエンクロージュアを仕上げていきます。
パッと見わかりづらいですが、触ってみると結構、表面が凸凹しています。
最初触った時、この凸凹をツルツルの平らにしてやりたい、と思いました。
●まず汚れを落とします。年月が経っているので、汚れ落としというより染み抜きです。底面でパッチテスト。
ゴム足を外し、テープ痕もはがします。結構色の違いがありました。
●全体を染み抜きします。
●3日ほど乾燥させてから軽くペーパーがけしました。
あまりやりすぎると目が消えそうで怖いので、ほどほどにします。
次はとのこで、軽く目止めします。
●塗って半乾きのとき、ゴシゴシこすります。これで自然なフラットになります。
●また何日か乾燥させたら、下地を塗装します。
まず木目を際立たせるために、濃い目の塗料で着色。
が・・・。・・・。逆効果だったたのか?木目が見えにくくなってしまった(〃゚д゚;A
白かベージュを塗れば良かった・・・と後悔しました。
この一発目が肝心なわけで、底面でテストすれば良かったと・・・完全に私のミスです。
もう一度塗料を落としてやり直すことにしました。
●さて・・・。ユニットの仕上げも架橋です。これはツイーターのカバー。一見サビのように見えますが、ボンドでした。まぎらわしい色です。気になるので黒くして目立たなくしました。
●ここはウーハーの穴。ネットを外すと目立つので、同色で仕上げます。
バッフルの極小傷、くすみがあったので再塗装。
各接点を磨きターミナルを装着、フロントバッフルを取り付け
●完成!
●塗装は何回もやり直して、仕上げのクリアーは2部艶くらい。
写真は直射日光で白っぽくなってるが実際はもっとましに見えます。
機能はバッチリ仕上がりました。

さて、気になるインプレですが。
まずなんと言っても魅力的なのが
ボーカル(中域)。
質は古い16cmフルレンジや、ラジカセ的ともいえる傾向ですが、
とにかく輪郭が「
ウルトラシャープ 」ボーカルが浮いて聞こえるくらいです。
私の狭い作業部屋で、ラフなセッティングでも定位がビシッと決まります。
ソースによっては、飛び出す感じで臨場感もバツグン。
聞き難いエコー気味のボーカルでも、歌詞がはっきり聞こえます。
ヨーロピアンスピーカーはもっと引っ込んだ傾向が多いですが、こいつはなかなかです。
高域の伸びは普通で柔らかめ。シャリシャリ感はありません。
低域は密閉という事もあり、重低音は出ませんが、とにかく深い。
なんと言うか、密閉にありがちな軽い音とは違い、重くて奥行きがある。
ズンドコ鳴りませんが、物足りなさはまったくありません。
サイズを考えると、十分満足です。
これをバスレフにしたら想像以上の低音が出るのかが気になるほどです。
表現が難しいが、とにかく雑身が無く、一音一音各楽器がはっきり聞こえる
高分解能力、高解像度スピーカーといった感じでしょうか。
豪腕なパワーアンプとかで鳴らせば、さらにすごい音がでそう。
まさに、これぞ本物のモニタースピカーと言えるではないでしょうか。
ぶっちゃけ、これを聞いてしまうと、JBLやテンモニのモニター感がぶっ飛びそうですw

最後に。
車のエンジンオーバーホール。バラして清掃、また組み直す。
強化パーツを付けなくても、それだけで十分な力が出せるようになります。
全ての機械物で言える事ですが、
スピーカーは、よく鳴らしてやる事が大事ではないでしょうか。

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