●●DENON SC-E727 \60,000(2台1組、1997年頃) ●2ウェイ・3スピーカー・P.P.D.D.方式・防磁設計 ●使用ユニット 低域用:14.5cmコーン型×2 高域用:2.5cmドーム型 ●周波数特性 33Hz〜45kHz ●平均出力音圧レベル 88dB/W/m ●入力インピーダンス 6Ω ●最大入力 100W(EIAJ) プッシュプル・デュアルドライバーという方式のE727 このスピーカーを初めて聴いた時、サイズらしからぬ低音の出かたに、えらい驚いたものです。 このスピーカーは、オーナーさまより、オーバーホールを依頼されたもの。 1年ぶりくらいの試聴かな?依然とは少し印象が違い、しっかり高域が出ています。 何か、よほど鳴らしこみされている感じが、ひしひしと伝わってきました。可愛がられているんでしょう。 どんな機械でもそうですが、よく使われているもののほうが、調子いいですよね。 |
||||
●さっそくバラします。 | ||||
●ウーハーとツイーター。ブチルゴムで見え難いが、デンマーク製かな?(シールの色で) キャンセリングマグネットはついていませんが、約1cm位で、背中合わせに2個付いてますので 一応、防磁作用になります。 ツイーターもそうですが、この後2000年〜の黄色いコーンシリーズより、90年代のほうがぜんぜん良く感じます。 2000年〜はカタログ値で、上が90KHzとか書いてありますが、肌で感じられなきゃ、まったく意味が無いんですよね。 |
||||
●ユニット外すとよく、こういうスポンジがブランとしますよね。 これ、ちょっとうざいんでw 写真のような、のりでチョンと張り付けておきます。 エンクロージュア内部。背面はパーチクルボードですが、それ以外はMDF。極端に重いわけでは無いが かなりガッシリした作りになってます。 ウーハー内部・側面には、鉄のプレートで補強もしてあります。 |
||||
●なつかしいネットワーク。以前はそんなに詳しくなく、あまり気にならなかったが、 これウーハーが6dB/octでした。 どおりで・・・252や737と比べると、中域が引っ込んだ感じが、今わかった気がしますw 端子を外し、洗剤革命で浸けておきます。 間違ってもキッチンハイターなどに浸けるのは止めましょう! きったない端子とか見ると、浸けたくなるんですけどねw 金メッキが剥がれてしまいます。 |
||||
●洗剤革命がなくなってきたので、GTなるものを買ってみました。 GTはその名のとおり、車向けに開発されていて、違いは洗浄後に保護被膜が付くのと、アルミに使えるそうです。 自分で洗車して、ビッカビカに磨きたいんですけどね、中々場所が無いので、いつもスタンドにつっこんでます。 これ小さい(300g)のに高いですよね。タイヤ風の蓋はシャレテますがw |
||||
●ターミナルはしっかりケイグで磨き、保護被膜を付けてから取り付けます。 次は、ネットワークをチューニングします。 |
||||
●とりあえずコンデンサーを追加、ウーハーの6dB/oct を12dB/oct してみます。 ↑は割り込ませた場所のUP。 そぅそぅ、書き忘れていましたが、このE727、元はクロス3Kです。 |
||||
●で、こんなジャンパーを作り、スイッチ代わりにしてみます。このジャンパーの仕方 知らない人がみたら「 ナニコレ 」って思いますよね、きっとw ちなみに素材は、5Nの銅単線です。 |
||||
●が、・・・やっぱジャンパーは止めます。 いつもどおり、このスイッチに変更。 ただ、人様のスピーカーなので、極力穴などを開けたくありません。どこに付けようか悩みます。 私はネットワークの改造をおこなうとき、かならず「 元の音 」も聴けるようにします。 なのでスイッチをよく使うんですけどね。 ツイーターに可変アッテネーターとか付けるより、ガラっと音色が変わるから、おもしろいですょ。 |
||||
●上の配線は太すぎで、うまく配置できませんでした。 で、細いものに変えます。これは4Nの銀メッキ・単線。中々ピュアーな音が出る素材です。 |
||||
●↑ここに付けました。 下がノーマルで、上に切り替えると、音色が変わります。 こっちのコンデンサーはツイーター側に割り込ませたもの。正相ですが、12dB/oct が18dB/oct に変わります。 |
||||
●改ネットワークの完成! 簡単に言うと、クロス3K(ノーマル)と、4Kに切り替えできます。 元のウーハーは6dB/oct で、約2.5Kから、なだらかに切ってます。なのでけっこう上まで伸びてるんですよね。 ウーハーの上を、ちょっとだけカットし、ツイーターを4Kに引き上げました。 私は重なりが多いと、そこに雑身を感じてしまいます。で、こういうやり方で、重なりを少なくしました。 重なった音や、ツイーターを下まで伸ばすと、エコーのような響きや、濁りがでます。 それが少ないと、まず定位がビシッと決まり、ボーカルに奥行きがでます。それが臨場感の向上にもつながります。 今、オーバーホールしているロジャースもそうですが、高級スピーカーなどは、24dB/oct でズバッと切って、 ギリギリで繋げているものが多いのでは?と感じます。 それらの音は、濁りのない透明感のある、ピュアサウンド。 そんな音が、一般的な日本製スピーカーでは出せない音を、表現しているものと感じます。 ついでに。ちょっとだけツイーターの能率を上げたい!って感じてるひとに。 白いコンデンサーの隣りに抵抗(10Ω)見えるでしょ。それを外して、5〜6Ωの抵抗に代える。 もしくは、10〜12Ωの抵抗を「 並列 」に割り込ませる。 これで、もっと中・高域が明瞭になりますよ。 |
||||
●配線はポートから出してます。線は細いし、この程度なら音に影響は出ないでしょう。 | ||||
●さて、チューニングも終わり、エンクロージュアの仕上げにはいります。 とにかく磨く・磨く・磨く・・・疲れました(^^; |
||||
●底に付いているゴム。薄っぺらいんで、コルクに変えます。 コルクですが、けっこうグリップがよく、滑りません。 |
||||
●ユニットは、マグネットやダンパー、音圧をひととおりチェックしたあと、クリーニングします。 このユニット、カバーがプラスチック、エッジはゴム、コーンもプラ素材。なのでアーマオールで一気に仕上げられます。 アーマオールは、ゴム・プラ・革などもにも使え、保護効果もあるので、けっこう重宝します。 一般的スピーカーは、室内での使用がほとんど、車のように外で使うわけではないので、保護効果も長持ちします。 大事な事は、右写真のように、アーマオールで拭いた後、必ず水拭きします。 水拭きにより、ムラもなくなるし、変に出過ぎる艶もおさえられます。 |
||||
●ユニットを取り付け、完成! じっくりエージングします。 過去に727を扱ってますが、今は着眼点も違い、経験値もかなりあがってます。 以前は低音すげーなー、位の印象だったのですが・・・w インプレ 低音の量感はバッチリで、迫力ある気持ちいい音がでます。 クロス3Kですが、ウーハーがけっこう上まで出ているので、中域・ボーカルが薄く凹みぎみ。 ツイーターも下まで引っ張っているので、重なった付加帯域も多く、定位が少しあまい。 ツイーターの能率を抑えてあるので、その分、中・低域は明瞭になりますが、 少し、ふんずまったようにも、感じられます。 これで、ツイーターの能率を高くしすぎると、よく言うドンシャリなんですけどね。 能率が低いぶん、10K以上の音も弱く、ほんとに45Kまで伸びてるのか?と思ってしまいますが、 総合的にどちらかというと、モニター系スピーカーに近いサウンド。 J-POPもいけますが、ロックは迫力サウンドで、ブイブイくる感じです。 以外にクラシック系も、相性がいいです。 ボーカルをしっとり聞かせるのは苦手で、艶っぽい色気のあるボーカルが好みなら、252がオススメです。 トータルバランスがもっともよく、特に楽器系に強いのは535です。 そんな感じなので、私がおこなったネットワークチューニングは、 ↑図でわかるように、中域・ボーカルを前に出す方向で仕上げてみました。 最後に。 ロージャース LS3/5a のネットワークを見て、驚きましたが、 やっぱスピーカー、最後に突き詰めるとこは、ネットワークですよねー、と、つくづく感じますした。 これからもネットワークチューンを、ガッツリやっていこうと思ってます。 |