●JBLのスピーカーはざっくりプロ用(業務用)と民生用(家庭用)のシリーズがあり、
プロ用で有名な4311を、家庭用にデザイン変更したのが今回のL100である。
細かく分けるとL100も前期、中期、後期にわかれ、ユニットや内容(ネットワーク)が、
だいぶ変わってきます。今回ご紹介するL100は中期型で、4311とはデザインや
レイアウトは違ってるが、搭載されてるユニットはほぼ同じ。レイアウトの違いで音質
がどれだけ変わるのか?さっそく新品復活フルレストアを始めていきます。
●縦にレイアウトされたユニットは、いかにもJBLらしいデザイン。ぱっと見右上に配置されたポートが気になりました。
●さっそくユニットを外していきます。ウーハーはボルトでツィーターとスコーカーは木ネジ。4311と同じです。
●キャビネット内部。JBLはよく、吸音材に塗料がべったりのパターンが多いなか、70年代に作られた物としては、とても綺麗な状態です。吸音材自体も湿気なく良好です。
●ユニットの構成はこんな感じ。ウーハー123A−1(アルニコ)。スコーカーLE5−2(アルニコ)。ツィーターLE25。私の中で、雑に作られているイメージの123A−1です。
●続いてネットワークを外します。赤丸部のネジを4つ外すのだが、一ヶ所見当たりません。
●プレートに下に隠れていました。意図が見えない、なんともJBLらしい処理です。
プレートを慎重に外し、でてきたネジを外すと
●ネットワークを外せます。ネットワークベースが大きいので、部品が沢山付いてるのか?と期待しましたが
●シンプルでした。構成は4311と同じです。JBLはユニットの能力が高いだけに、逆にネットワークはシンプルのほうが実力を発揮できる。合っているということですね。
●そんなシンプルな構成だけに、パーツを厳選したり接点を完璧にするのが最も効果的なチューニング方法です。右の黒がジェンセン(デンマーク製)で左の白がムンドルフ(ドイツ製)。ムンドルフは値段が3倍近くします。
●そんなムンドルフと銀線ケーブルは、オーナー様のこだわりの品。この緑のケーブル、被服を剥いた写真を撮り忘れてしまったが、とても高品位な銀撚り線でした。4本がひとまとめになってます。ノイズに有利な感じですね。
●ネットワークの完成。ハンダも銀入りの高級品を使いました。ケーブルは4本が同じ色なので、間違わないよう片方ずつ仕上げました。すごく良い音でそうですね。
●キャビネット。フロントと背面の黒を塗装しました。深みを出す為に4度塗りしています。
●サランネットを止めるダボ。L100は枠が大きいのでダボも折れやすい。新品に交換しました。
●全てのパーツが完成。LE25だけ撮り忘れました(^^;
●さて、L100はスカルプチャード・カドレックスUというスポンジ製でかっこいいグリルが特徴的ですが、劣化で朽ちてしまい現存するものはありません。そこでオーナー様が似たようなスポンジを用意してくれました。
●けっこう目が粗く、高域も遮り難いスポンジでした。
●木枠に合わせて切って貼ります。カットは手動のホットカッターを使いましたw さっーと簡単に切れますが、定規をしっかりあてないと曲がってしまいます。
●サランネットの完成。シンプルだが、実際に見た感じは雰囲気でてていい感じです。
●丁寧に仕上げたキャビネットに、ターミナルを取り付け
●ネットワークを取り付け
●最後にユニットを取り付け
●祝!完成!

かっこいい〜

ビフォー→アフター
●木目もバッチリ。テカテカさせない、2部艶ほどのプレミアム仕上げ。実物はシックで、無垢のような雰囲気がでてます。
●グリルとの相性も良い感じです。
●ヴァリアスクラフトが誇る、ネジ1本まで磨き上げた、新品復活仕上げ!
●もちろんスピーカーは音がでてなんぼ。さらに良い音なら言う事なし
ということで、エージングもそこそこに
まずは一言
 「 アルニコのいい音でてますね〜 」

 4311とほぼ同じ内容や構成なので、出音のフィーリングも似ています。
ただポートが上にあるので、中域・ボーカルの声質はやや上方向から聞こえて
くるのが特徴的。それとケーブルの銀線が効いてるようで、ボーカルの輪郭が
シャープでリアリティがあり、さらさらした高域もよく伸びが感じられます。まさに
銀の音ですね。そんな中高域、ツィーターとスコーカーはなんの問題もありません。
ただウーハーの123A−1は、製造ラインが雑だったのか?私が過去に扱って
きた10セット程は、どれもコイルがタッチしたり、ダンパーがずれて傾いてるなどの
症状がでていました。もちろんそんなんですから、まともな音もでず低音も出難い。
だから123A−1と聞くと、思わずタメ息がでてしまいますが、ダンパーを調整し
エッジを貼りなおすことで、アルニコ本来のポテンシャルをいかんなく発揮してくれ
ます。銀線の新鮮な中高域に負けないくらいの低域もでるようになりました。
ウーハーの調整は難しくて大変ですが、その手間をしっかりかけられるか否かで、
音質が大きく変わってきます。それがレストアの本質でもあります。

最後に。
今回のL100は、いつも弄ってる4311とほぼ同じ構成なので、レストアや調整も
スムーズにおこなうことができました。オーナー様こだわりの部品により、スパイス
の効いた中高音も魅力的でした。4311ばかり見慣れてる私にとってL100は
新鮮であり、音質も言う事なしでした。これグレーもあったらかっこよさそうですね。

 今回レストアのご依頼をくださったオーナー様には心から感謝しております。
ありがとうございましたm(_ _)m
数少ない貴重なL100が、最高の復活を遂げた回になりました。レストア最高!

次回。
順を追ってUPする予定ですが、日本製もぼちぼち紹介したいですね。お楽しみに♪

JBL L100 Century 1971年〜74頃まで製造 1台約¥18,000円  
メーカー解説:モニター用として使用されていたJBLのプロ用スピーカーを一般用にデザインしたスピーカーシステム。
低域には30cmコーン型ウーファーである123Aを搭載。中域には13cmコーン型スコーカーのLE5、
高域には4cmコーン型トゥイーターであるLE25-1を搭載しています。
エンクロージャーにはバスレフ方式を採用、ロックマイター式接合部による堅固な設計となっています。
フロント・グリルにはJBLが新たに開発したスカルプチャード・カドレックスIIを採用しています。〜中略〜
方式 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:4cmコーン型(LE25)初期型はアルニコLE20
中域用:13cmコーン型 (LE5-2)
低域用:30cmコーン型 (123A-1)
再生周波数帯域 45Hz〜15000Hz
インピーダンス
出力音圧 91dB/W/m
クロスオーバー周波数 1.5kHz、6kHz
外形寸法 幅370×高さ600×奥行350mm 約L
重量 25kg(1台)


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