●今回はJBL L26の登場です。
L26と言えば発売は1972年と古いですが、当時から人気があり、今でも
数多く残っている機種です。だがウレタンエッジがボロボロになったり、
外観に傷や汚れが多いなど、劣化したものも多くみられます。そんなL26は
4311と変わらぬサイズ感なのに2way構成。ボーカルに有利な大型2wayです。
そのあたりに人気の秘密があったのかもしれません。L26と同じ2wayでは
4301がありますが、どちらもかなりの数をレストアしてきました。特にL26は
大箱でカスタム意欲も湧いてきます。
今回ご紹介する2台もフルカスタムです。もちろん最高の女性ボーカルを
生み出す為のフルチューンもおこたりません。ではご覧ください。
最後に音質動画もあります。
 U
●L26は年式により前期と後期があり、パーツや取り付け方法が若干違いますが、基本は全て同じです。こちらは中程度の品。
●ユニットには錆も多く見られます。丁寧に錆をとり再発しないよう錆止め塗装をします。
●ツィーター。内部はコイルやヨークに錆が付いてないかチェックし、しっかりクリーニング後、コイルに軽くOILを塗ります。紙コーンも修正し、キャップも交換しました。
●こちらはウーハーでエッジ交換後、エッジを押さえるスポンジが、ご覧のように穴があいており見栄えが悪いです。なので液体ゴムで穴を埋め、塗装で補修しだいぶ良くなりました。細かい所までしっかりやってます。
●L26は4311や4301と違いツキ板がチーク材です。これ木目が粗く凸凹も深いので、劣化すると汚く見えやすい。そこで全体を塗装します。
●表面を軽く削りました。凸凹が深いのでまだザラザラしています。フラットにしようと思いがっつり削ると、下地のパーチクルボードがでてきて、よけい大変な作業になるから注意が必要です。
●そこで目止めをする為にパテを塗ります。乾燥したら削り再度修正パテ盛り。丁寧にこなしていきます。全部で8面あるので想像以上に大変です。
●その後塗装して完成。こちらはフロントが黒のクラシックスタイル。4311のようなウォルナットを塗装するのと比べ、倍以上の作業量がかかります。L26を塗装するのはほんと大変。
●ユニットも完璧に仕上げ、ネットワークもフルチューン
●ネジ1本まで丁寧に仕上げたパーツを取り付けます。
●こちらはもう一台のL26で、塗装までは同じ工程です。全面JBLグレー。
●細かいところまで丁寧に仕上げております。
●ボーカルがより良くなるよう、音響レンズを製作しました。プラスチックに比べ響きが自然な木製です。黒に塗装しました。
●ユニットも完璧に仕上げました。ネットワークはもちろんフルチューンです。
●全てのパーツを取り付け
●レストア前のL26。これが
●こうなり祝!完成!
●サランネットもクラシカルタイプに張替え。
●かっこいい〜
私も好きなJBLクラシックタイプ。
●こちらは全面グレーのプロフェッショナルタイプ。サランネットは張替え。
●音響レンズ装着!
●かっこいい〜
いかにもプロが使ってるようなスタイル。まさにプロ仕様!
●JBLでは民生用とプロ用とのシリーズ分けをしていますが、こちらのL26は
民生用。ですが、プロ用の4301に近いネットワークが装着されてます。4301
との違いはウーハーの口径で、より大きなL26は中域が前にでるフィーリング
です。ただ4301同様最大の弱点があり、それは「
エッジの質 」です。
市販されているエッジの中には、耐久性を向上させる為に素材を硬くしてあり、
ダイヤトーンのカチカチエッジ同様、低音がスポイルされてしまう物が多くみられ
ます。一番ベストなのは柔らかさを調整できる自作エッジですが、市販のウレタ
ンの場合、何種類か購入して違いをみるしか方法はありません。
ウーハーエッジは音質の大部分を担うので、音質の為に、ここだけは絶対怠れな
い作業になります。そんな厳正したパーツに加え、オーバーホールされたユニット
とフルチューンされたネットワークにより、元とは比較にならないほど上質な音色を
奏でるようになります。アルニコウーハーの恩恵もあり、
特に女性ボーカルのリアリティは鳥肌ものの質感です。
ここに
 
新品復活された最高級L26の誕生です!

最後に。
 L26はキャビネットが大きいので、ホーンなどのドライバーを装着
するのも容易です。だからカスタムベースとしては最高の素材なんです。
それと完璧にレストアしてネットワークをフルチューンし調整してやると、
想像以上にリアルな声がでてくるので、J−POPメインの私にとっては
外せない機種でもあります。ちなみに L26よりも一回り小さいL16という
機種もあり、それは4301とサイズや構成が似てますが、ネットワークを
簡素化して音の差別をはかっています。種類が多くて混乱しますね。

L26をここまでカスタムするのは、たぶん日本ではわたし一人でしょう。
だからこそカスタムにも力が入ります。L26のカスタムはまだまだ構想が
あるので、これからも続けていきたいと思っております。あとは程度の良い
L26が無くならないでほしいと願うばかりです。

次回。まだ未定ですが、お楽しみにお待ちください♪

参考音質
撮影デジカメSONY:アンプ:FX-AUDIO:TWアッテネーター・-2
床直置、背面壁10cm、左右やや近目、エッジ交換後の調整や
エージングができていないので、まだパフォーマンスがぜんぜん
発揮されてない状態です。ただ音響レンズにより、通常のL26
では出せない定位を得られてます。
レストアしていない物とは別次元の音色、ご確認ください。
 


JBL L26 Decade(ディケイド) 1972年〜(以外に古い) 1台約¥75,000
メーカー解説:
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:3.6cmドーム型(LE25)
低域用:25.5cmコーン型 (125A アルニコ)
再生周波数帯域 45Hz〜15000Hz
インピーダンス
出力音圧 89dB/W/m
クロスオーバー周波数 2kHz
外形寸法 幅324×高さ610×奥行337mm 約L
重量 19kg(1台)

        ・・・    
   オーディオ13へ