●今回はイギリスの老舗タンノイから、小型コンパクトな20cm同軸型
Lomond(ローモンド) SY25のご紹介です。個人的にタンノイは一人
では持てないくらいの大型なイメージがありますが、このくらい小型
だと使いやすいサイズですね。小型とはいえばっちり決まった
ネットワークに同軸ユニットの組み合わせでは、しっかりタンノイの
音を継承しています。ではさっそくレストアしていきましょう。 |
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●写真だとサイズ感がつかめないほど小型のSY25ですが、ゴールドフレームの同軸ユニットは、一目でタンノイとわかる趣です。 |
●さっそくユニットを外します。ネジはボルト&ナットなので、イギリス製品に多い「空回り」には十分気をつけながらネジを回していきます。 |
●ユニットが外れました。内部もヨーロッパ製品の特徴が出てる全周吸音スポンジ巻き。ポートの出口には布が貼られており、排出が何割減かわかりませんが、ごみの進入は防いでくれそうです。 |
●内部をのぞくと、これまたイギリス製品の特徴である、しっかりと作りこまれたネットワークが出てきました。写真でもわかるよう部品点数が多いので、接触不良のリスクも高いです。 |
●こちらはユニット、中心部にあるツィーターホーンのUPです。同軸とは同じ軸上に2つのユニットが重なったもので、ウーハーのセンターキャップ部分にツィーターが組み込まれた構造です。矢印部、ホーンの外装とウーハーのコイルとのクリアランスが狭くてぎりぎりです。これウーハーコーンやエッジが少しでも歪むと接触するレベルです。
●背面、マグネットの中心部にツィーターユニットの端子が出ています。こんな位置なので、うっかりポンと置くこともできませんw 端子も周りのフレームも白錆が出てるので、しっかり磨いてコーティングします。 |
●音質に異常が無かったので、分解はせず磨きのみおこないました。左、最後にゴムエッジに復活剤を塗ったものです。これでユニットの完了。フレームが綺麗だったのでそのままですが、錆が出ている物は再塗装もおこないます。 |
●こちらはネットワーク、コンデンサー(ジャンセン)とターミナルを交換しました。ハンダ付けを全てやり直し、接点を磨いて完了です。接点部が露出しないよう、グルーで保護します。 |
●最後にキャビネットの仕上げに入ります。イギリス製品はアメリカ製と違い、薄めのツキ板が使われています。だから傷を消そうとサンディングすると、うっかり下地が出てくるので、傷の処理は慎重におこないます。深い傷は削るのではなく埋めで補修したほうがいいでしょう。 |
●下地を整えたら、OIL(自家製、蜜蝋、えごま等)を塗って乾燥→磨きを2、3度繰り返します。 |
●最後に磨いて完成。高級な木材に見えるほど良い艶加減、3部艶くらいで仕上げております。 |
●左が純正ターミナルで右が交換後。純正でもバナナが使えるので交換しなくてもいいですが、その場合でも接点は徹底的に磨いて保護するのがベストです。
そしてユニットを取り付け |
●祝 完成!
フロント部分に木目の良いツキ板をあてがうところなどはイギリス人の粋でしょうかw |
●背面 |
●純正サランネット |
●木目にゴールドフレームなので良い雰囲気です。 |
●元々程度の良い固体だったので、外装を綺麗に磨き直しただけでもD
新品同様に復活してくれました。D
エージングもそこそこにさっそく音出しD
まずは一言D
「 バランスの良い音だなー 」
どろどろした低音やコーコー響く箱鳴りも無く、低中高全ての音がD
一つにまとまった、とてもバランスの良いフィーリングです。D
同軸の場合、点音源でボーカルの声などがズバッと決まる特徴がD
ありますが、逆に臨場感、音の広がりが弱めなのが弱点です。D
ただSY25の場合、ホーンが効いているのか?こじんまりとしたD
印象はそれほどなく、普通の2wayと同等の広がり具合でした。D
イギリス製品最大の特徴は「 ネットワーク 」であり、18db/octD
で構成された音は日本製に多い6db/octの音とはまったく違い、D
ものすごい深みを演出してくれてます。料理で言うコクでしょうか。D
音数が多いのにまったく聴き疲しれしないフィーリングは、このD
構成によるところが大きいと思われます。なので、初心者の方がD
TEACの同軸と聞き比べた場合、タンノイは音が良いな〜D
と思うのかもしれませんね。
最後に。D
ヨーロッパ製品のネットワークにはいつも脱帽するばかりで、煮詰D
まれたセッティングは何回見ても勉強になるほどです。ただし経年D
劣化による接触不良も多いので、きちんとメンテすれば素晴らしいD
音質がよみがえります。D
高級スピーカーとして王道を走るタンノイ。ラインナップも多いのでD
色々と聴いてみたいものですね。D
次回。日本製の勇、ダイヤトーンの登場です。お楽しみに♪
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