●みなさんこんにちは。
ヴァリアスクラフトも立ち上げて早13年。レストアしてきたスピーカーは
ゆうに800台は越えてます。最近はかぶりが多いのでページUPをしてませんが、
今回は久々の新規、JBL L77の登場です!
L77は1968年に発売されており、もう半世紀経ってます。50年と聞けば歴史を感じ
ますが、音質はさすがJBL、アルニコの恩恵もあり洗練された音は古さを感じません。
ですが見た目はビンテージ感漂う雰囲気で、さすがに50年も経てばところどころくた
びれてます。そんなL77をヴァリアスクラフトの手でフルレストアし復活させます。
見た目はどうなるのか?肝心の音質は?それではどうぞご覧ください。
 U
●パッと見Wウーハー?と感じますが、実はこれパッシブラジエーター(ドロンコーン。以下ドロン)構成のスピーカーで、一つのユニットで、二つのコーンを駆動させるという仕組みです。セレッションのUL6やKEF104も有名です。ドロンは物によりけりですが、密閉型の高解像と低域の量感が同時に得られる優れたシステムなんです。
●まずはユニットを外していきます。左のウーハーはボルト&ナットで簡単に外れますが、右のLE20はご覧のようカバーを剥がさないと外せません。このカバー、4311のプレートと同じアルミなので、へたにやるとべこべこになり再利用できなくなる難しい素材です。
●ユニットが外れました。内部は容積が確保された構造で、シンプルに吸音材が設置されてます。他のJBLや4311と同じですね。ヨーロッパ系だと、ここに分厚いスポンジが挿入されており、ドロンの圧力を高めるような構造になってます。そんな風にするのもおもしろいかもしれませんね。
●内部に目をやると一際目立つネットワークBOXが角にありました。これは単品でも販売されていた、箱に収められたネットワークです。2本のプラスネジを外せば簡単に外れました。
●そのネットワークがこちら。型番はLX4-2。JBLは当時ユニットやネットワークを単品販売しており、様々な組み合わせを好みでチョイスできたようです。そんな単品ネットワークが搭載されてました。ケースはアルミ製。黒は塗装で銀は素地です。全体を黒で塗装し、文字部分を磨いてやれば綺麗になりそうです。
●こちらは外したユニット。左からLE10Aウーハー(25cm)、LE20ツィーター、そしてドロンというアルニコ構成。エッジはオレンジ色が特徴的なランサロイという物で、当時の純正です。手触りはゴムと布の中間的な質感。カチカチに固まる難点があり、軟化させる必要があります。固まった状態だと割れやすい、破れやすいので慎重におこないます。
●背面。JBLのアルニコが特徴的な形ですね。綺麗な状態です。2ウエイ構成のL77ですが、実はこのLE10Aは「 フルレンジ動作 」です。だから4311のウーハー同様、ほぼこのユニットの音がL77の音になる重要な役割を担ってます。こちらの10Aは再着磁されており、軽い動きでパワフルな音が飛び出してきました。
●パッシブラジエーター、ドロンはご覧のようマグネットが無い状態の物です(右)。コイル部分にMDF(木材)が取り付けられており、さらにウエイトを追加する事もできる構造になってました。重量の変化で低域の質感をコントロールする仕組みです。写真では見えにくいですが、ダンパーが多めにカットされてますね。JBLのダンパーは元々硬目なので、動きがスムーズになるようカットしたと考えられます。もしダンパーを交換する際は、同じようカットするのがベストでしょう。
●こちらはツィーターのLE20(右)。LE20は紙コーン独特な帯域の広さで、自然な音が特徴です。ですが現代物と比べると上の伸びが足りなく感じます。そこで今回、左のD220tiに換装することにしました。これはドライバー型ユニットでフラムはチタン。スペックは21KHzですが、チタンとホーンにより、体感上はもっと伸びてるように感じられます。この音なら、古いスピーカーの弱点である臨場感の拡大も狙えそうです。
●お次はキャビネット。
ご覧のよう、通常はこのように左右対称になってますが、片方をひっくり返せばシンメトリーにできます。ここは迷わずシンメトリーにしたいですね。
●ですが問題がありました。ひっくり返して使う場合、どうしても底面が上になるわけで、傷や打痕が多いと気になってしまいます。傷はある程度修復できますが、打痕は難しいものがあり、左右とも底に打痕が多いという理由から全塗装することにしました。写真の白い部分はパテの跡です。こんなに多いと天板としては厳しいですよね。70年代は木目が良いだけに残念ですが、お洒落でかっこよく仕上げます。
●塗装中。木目の上からの塗装は以外にやっかいで、綺麗に仕上げるには下地の調整が必須になります。下地無しで適当な上塗りをした場合、完成した時の質感がぜんぜん違ってきます。私の場合はさらに4層仕上げなので、実物は高級車のような深みがあります。色は暖かみのある、MKUグレーにしました。
●フロントも塗装します。その前にホーンを装着できるよう加工します。写真のホーンは市販されてる物で一番小さいやつです。プラスチックなので質感を上げる為、鉄に見えるよう加工・塗装していきます。時間があればホーン自体を自作したのですが、今回は市販品を使う事にしました。
●表面を軽く研磨し塗装して完成。
ストーン調塗装にしました。フロントも同じ色で処理、一体感のあるステルス仕様です。
●うまくできました。多くの方はサランネットを外しフロントが見える状態で使われてると思いますが、ステルス仕様だと見た目が気ならず、違和感無く音がすんなり入ってきます。
ページ2へ続く。

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