●2019.1.28
 2019年   新年 あけまして おめでとうございます

長らく更新がとどこおっており、ファンの方にはご心配をおかけしましたm(_ _)m 

体調不良とうではなく、別の事にだいぶ時間を取られていました。 
その間すこしづつですが、レストアはこつこつ続けておりました。 
ご心配をおかけして申し訳ございません。 
ヴァリアスクラフトはまだまだ突き進みますので、 
これからもどうぞ、よろしくお願い致しますm(_ _)m 

さて、2019年新年1発目となるのがこちら、ビクターSX-V1A。V1は前期、中期、 
後期と3種類あり、こちらは中期のAです。日本製スピーカーチューンの受付は 
只今自粛しているのですが、V1シリーズのレストアや修理、チューンは続けており、 
約6、7年くらいの期間で、今回でちょうど「
50台目のメモリアル 」となりました。 
そんなV1シリーズを簡単に説明すると、 
初代のV1はややこもり気味ですが、ボーカルの美しい音色です。 
中期V1Aはウーハーがゴムエッジに変更され低音が倍増。だがさらにこもりも強くなる。 
後期のV1Xはウーハーそのものが改良されクリアー質に。全体もクリアーになったが薄い音に。 
どれがいいの?好みもあるので難しいですが、バランスが良いのはV1Xでしょうか。 

数多くレストアしてきてわかった事と言えば、キャビネットに固体差があることです。 
V1シリーズはキャビネットにマホガニーの無垢板を採用するという希少品でも有名ですが、 
マホガニーは完全な1枚物の無垢ではなく、小幅板を何枚も張り合わせて製作しています。 
なので接着剤などの問題もでるのか?まれに響きが強すぎる箱が存在します。それは特に 
中期型V1Aで多く、ウーハーがゴムエッジに変わった事も重なり、「 とてもこもりの強い音 」を 
発する場合があります。 
今回のV1Aもその固体で、オーナー様よりフルチューンをご依頼されました。 
過去、初代V1のフルチューンは何度もやってきましたが、V1Aの音色をガラッと変える 
本格フルチューンは始めてです。吉と出るのか凶と出るのか、さっそく始めたいと思います。 

●とても状態が良くピカピカのV1A。
大事に扱われてきたことが伺えます。
パッと見キャビネットの小傷は修復できるレベル、ウーハーのコーンにやや黄ばみが出ているのでしっかりクリーニングする、そんなところでしょうか。軽く音出しすると、確かにこもりの強い音でした。
●こちらは同時に作業していた初代V1。
背面ターミナルが折れてますね。V1にはよくあることですが、残念ながらもう純正部品が入手できません。私が在庫していた純正ターミナルも、当初はこんなにあって大丈夫か?というほどの数でしたが、あっという間になくなりました。どうしても純正で修理したいので、私のV1から移植することに。
キャビネットは落ち着きのある艶消しですね。これ軽く磨いてやるとほんのりした、とても美しい艶が出るんですよ。
●こちらはTEAC(ティアック)のS300NEOと並べたもの(右)。S300もフルチューンのご依頼です。
DENONのSC-E757とこちらのS300NEOのフルチューンには「 とても自信がある 」のですが、思ったより依頼が伸びず、まだ8台しかおこなっておりません。
(50台くらい依頼が来ると思ってましたが(^^;)
所有してる方自体が少ないのですかね。
すごく良い音にかわるのでこれからも続けていこうとは思ってます。
●さてV1Aに戻ります。
ネットワークを取り出すため、まずは分解する必要があります。
サランネットを留める凸を外し、そこに隠れているネジを外す。底に付いている足ネジを外す。背面キャップを外し、25cm以上のドライバーでネジを外す。というめんどうで神経の使う作業です。
ユニットの端子もゆるいので、ケーブルを外す時も慎重におこないます。
●その後、真鍮製のフロントバッフルからユニットを外します。ネットワークはターミナルの裏側にネジ止めされており、ターミナルも外さないと外れません。
チューンに入る前に、ユニットを完全な状態にする為にオーバーホールをおこないます。V1のスパイダーサスペンション(ダンパー)は、経年でずれがしょうじる場合があります。通常のダンパーのような遊びが0なので、微妙なずれでも音に影響してしまいます。逆にしっかり調整してやると、驚くほどストロークが回復し、低音がどんどん出るようになる。ツィーターは丁寧に分解し内部のOILを塗り直すと、高域がだいぶ伸びるようになります。
●ユニットのポテンシャルが完全に回復してからチューニングを開始します。ウーハー、ツィーター、どちらもアルニコなので、「 裸の場合 」これでもか、というくらい良い音がばんばんできてきます。やはりこもりの原因の大部分はキャビネットにあるようですね。
V1シリーズは元々6dB/octなのですが、せっかくのフルチューンなのでがっつり変更する事にします。まずは私が得意の18dBでセットしてみたのですが、ウーハーが良すぎるのか?全体音のマッチングが合わず、12dBで落ち着くことになりました。

●ユニットをオーバーホールすると、特に低音ががんがん出るようになり、こもりもさらに強く矛盾してしまいます。こもりを出さないようにするには、ダイヤトーンのようにウーハーを動かさない(^^;
ただそれでは全体音も薄っぺらい音になってしまいます。手っ取り早くこもりを解消するには、背面にあるWポートを片方、ないし両方スポンジなどで埋める。V1シリーズは密閉の方が良いのでは?と思えるくらいバランスも整います。あとは箱の内部に吸音材をたっぷりつめる!これが私的に好みの音に変わる最善の方法なのですが、それをやるとネジ留めが困難になるので、吸音材の位置や量も考えてやる必要があります。V1はチューンし難いスピーカーなんです。

●箱にセットしてからのセッティングもそう。一般的スピーカーの場合ウーハーを外せば済みますが、V1シリーズは分解するのも大変です。以前最初におこなったV1のチューンでは、7回もやり直しとなり大変な作業でした。V1Aはウーハーがゴムエッジで微調整が多くなるだろうと予想し、最初からネットワークを外出しにして調整していきました。大変な作業です。

最後に完成したネットワークを箱に取り付けます。写真には撮ってませんが、チューンの内容はさらに高次元なものになってます。
●そして逆の手順で組み上げていき

 祝!完成!

ぴかぴかでかっこいいですね!
キャビネットはとても良い状態だったのですが、バッフルやターミナルも共に磨き直して、さらにぴかぴかになりました。ウーハーの黄ばみもだいぶ綺麗になったと思います。
●高級感ありますね〜

スピーカーは室内置きですから、ガラスコートではやりすぎなので、だいぶ前よりポリマーに変更してます。それにより深みが増しました。汚れも付きにくくなってます。
●V1シリーズは今でも華のある、オーラの出てるスピーカーですね。
●さて、肝心の音質です。 
極端に書けば、内部に吸音材をぎゅうぎゅうに詰めて密閉にすれば、だいぶ 
こもりも解消されます。ただそれでもまだソースによってはこもりがでて、完璧 
な音ではありません。そこでネットワークチューンをするのですが、ネットワーク 
チューンの狙いは「
ボーカルを浮かす+メリハリ 」 「 臨場感の拡大 」で、それ 
らの音は逆にネットワークをチューンしない限り出せない音です。 
だからこそ最高の音を求めるのであればネットワークチューンが必要になり、 
セッティングが決まれば「
びっくりするくらい良い音 」が出るようになります。 

V1Aの場合固体差も大きく、箱鳴りも大小あります。こもりを解消し最高の音に 
するには、ユニット、箱、ネットワークと、全てに手を入れてやる必要があります。 
そこまでやったからこそ、初めて 

 「
日本一音の良いV1A 」がここに誕生しました!と言えるようになります。

最後に。 
通常チューンのご依頼は、このスピーカー気に入っているけど、もっと良い音にしたい! 
という理由が多いのですが、今回のV1Aは、こんなダメ音をなんとかしたい、という理由 
なので、正直このチューンした音が100%正解かどうか、オーナー様に気に入って 
いただけるとうかは50/50と言ったところです。 
どちらかと言うと、B&Wに近いフィーリングになりました。 
V1シリーズはユニットが優秀なだけに、箱はアメリカ製のようにもっと適当でもいいのかも 
しれませんね。そして日本製に多いこのコンパクトサイズで、さらに低音を出す方向性という 
設計自体にも無理があると思うのですが、チューンする事でヨーロッパ製にも負けない音に 
変わります。ただ一つ「 慣れ 」という問題もありまして、ここ数年JBLメインにレストアして 
きたので、私の耳はJBL耳になってしまいました。だからビクターでもDENONでもTEAC 
でも、どの日本製を聴いてもこもりが強く感じます。日本製だけを聴いてればこもりは気にな 
りません。だからフルチューンしてるという理由もあり、それだけ日本製と外国製では味が違 
います。私もV1を所有(すでにフルチューンですが)してるので、これからも活躍してもらいます! 

次回。 
 JBL 4311の新・オールアルニコ バージョンをお届けします! 
 かっこよくできました!お楽しみに♪ 

VICTOR SX-V1A 1997年頃 ¥158,000円(ペア)  
メーカー解説:SX-V1の改良型にあたるスピーカーシステム。

 低域には14.5cmウーファー。クルトミューラー社製コーンを採用、内磁型アルニコ。また、新形状のスパイダーサスペンション。
高域には2.5cmソフトドーム型トゥイーター。シルクソフトドームを採用、厚さ2.5mmの真鍮ベースプレースを介してバッフルと一体化。アルニコ磁気回路、ショートホーン型の採用。
ネットワーク部にはフィルムコンデンサーと空芯コイルを。
バッフルボードには真鍮ダイキャストボードを採用しており、音像の一元化を達成しています。
キャビネットには響きが美しいマホガニーを無垢のまま使用しており、いったん組み上げた後に新開発の樹脂含浸を施すことで、無垢材特有の経年変化を解決しています。
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式
使用ユニット 高域用:2.5cmドーム型 ・低域用:14.5cmコーン型
再生周波数帯域 55Hz〜30000Hz
インピーダンス
出力音圧 87dB/W/m
クロスオーバー周波数 4kHz
外形寸法 幅200×高さ343×奥行263mm 約L
重量 8.3kg(1台)

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