●みなさんこんにちは。 U
 JBLの中で最もスマートで使いやすい、そして良い音が出る機種と言えば、U
そう、それは”4301 ”ですね。4311はリアルを追求したモニタータイプですが、U
4301はモニター調をマイルドにし、ジャンルに幅を持たせた特徴があります。U
そんな使いやすい4301ですが、発売からすでに40年も経っており、性能のU
劣化は否めません。なのでいつもユニットのオーバーホール、特にツィーターのU
LE25は入念におこなっておりますが、今回はそのLE25(フェライト)を、アルニコU
のLE20に換装しようという計画。そう、今回はついに完成した「
至高の4301U
製作のご紹介です。最高峰のスピーカーをどうぞご覧ください。U
 U
●右が4301Bで左の黒い方は民生用のL19というスピーカーです。当時のJBLはモニター系に人気が集中したようで、現在民生用の出球は少なく、激レアと言える機種さえ存在します。そんな民生用Lシリーズですが、中にはびっくりするような音を奏でてくれるスピーカーもありました。L19、L26、L36、L40など、また別の機会にレストア風景をご紹介します。
●今回至高の4301を製作するにあたり、一番の肝となるツィーター「 LE20 」の換装です。
カバー付のLE20を、いかにスマートに、そして純正風に装着できるか否かで、完成度も大きくかわってきます。
写真左は純正のLE25(フェライト)で、右が今回使うアルニコのLE20です。
●LE20には大きく分けると2種類あり、左の黄色ラベルが初期型〜中期型ので、右の白ラベルが後期型になります。目視での部品の変化はありませんが、平均すると後期型の方が1、2Ω大き場合が多いです。
黄色と白では、物により製造年が10年以上と離れている場合があり、劣化の度合いも変わってきます。オールドJBLの場合、「
程度=音質 」に関わる事も多いので、できるだけ程度の良い物を選ぶといいでしょう。左右で2Ω以上の差があると、本体にセットした音も×で調整が必要になります。
●保管されていた環境により大きく変わるのが程度ですが、LE20はだいたい4Ωから5Ωくらいです。Ωが大きいからと言って安心はできません。抵抗値が出ていても、高域が伸びてない音なんてものもざらにあります。JBL、特にツィーターの場合、物によって「 まったく音が違い 」当たり外れが大きいです。もし抵抗値が3Ω以下ならコイルが損傷しており、コイルを交換しないとまともな音が出ません。音の小さいスコーカーもウーハーも同じで、だいたいはコイル損傷によるところが多いです。その辺は写真のよう、ユニットを外して調べるしかないので、購入前には難しいかもしれませんね。
●そんなダメなツィーターでも、きちんとした手順で機能を回復させる事ができます。それが精密「 オーバーホール 」です。
音が小さい、コイルが損傷してる場合は直りませんが、自然劣化によるダメージの場合、劇的な変貌を遂げる固体も少なくありません。オーバーホールはユニットをバラバラに分解することから始めるのですが、JBLのアルニコユニットは分解しやすく、まるで20年後を見越して、レストアしやすいように設計された感すらあります。まるでドイツ車のベンツのようですね。写真はネジ部分に開封できないような封印、いわゆる”赤封 ”と言われるものが施されてますが、これは熱で簡単に処理できます。
●私がやるレストア工程の中には、このチェックも入っており、かなり時間を要す重要なセクションでもあります。上の■はLE25(フェライト)で、下の●がカバーを外したLE20。カバー付LE20のコーンはカバーされてるだけあり、写真のよう色焼けが少なく黒々した物が多いです。写真の■LE25は10セット以上あるなかで抜群に音が良い品ですが、それに匹敵するのがLE20です。当たり外れの大きいツィーターはスピーカーにとっての重要部品の一つです。今回は最高峰のカスタムなので、私が持ってるLE20の中でも、「 一番良い品 」をあてがいました。
●そしてJBLの場合、「ウーハーの音=JBLの音」と言えるくらい最も重要なのがこのウーハー116A、20cmのアルニコウーハー。116Aは4301と民生用のL16に搭載されてます。L16ではネットワーク通さずにスルーで接続されており、フルレンジとしても十分に成り立つポテンシャルがあります。ただそれを生かすも殺すも「 エッジが重要 」で、硬さやしなやかさで音が大きく変わってしまいます。柔らかくても高反発ではダメということです。私は過去に何十セットも扱ってきましたが、こちらは特に程度の良い116に、最高の自作エッジを組んだものをストックしておいた品です。
●かわってこちらは、以前私が作った自作箱です。
真ん中(ローズ)と右はパイオニア・エクスクルーシブのミニチュア版。矢印の大きいものは、最強の2way、スペシャルボーカルスピーカーを作る為に製作した箱になります。実はこの箱に、↑上の116Aをあてがうつもりでおりました。
●サイズはこんな感じで、右の4305Hとほぼ同じサイズです。
116を使う為の箱を製作しよう、ツィーターはホーンにしよう、そんな設計をしたところ、自然にこのサイズとなったわけです。これら自作箱を見ると、自分でも驚くくらい大変な事をやっていたな〜と製作風景が頭をよぎります。この手の凝った箱は製作所でも中々作ってくれないので、ある意味希少品かもしれません。大事にだいじに仕上げていきたいものです。
●さて、4301では116ウーハーにLE25がセットされてますが、今回LE20をセットするので、ネットワークをLE20用にリセッティングします。
このセッティングもピーカーにとって音質を左右する重要な項目です。自作スピーカーなどで単品ユニットの場合、マッチングが合わなかったりと、1ヶ月以上も時間がかかることはざらですが、メーカー品の場合、特にLE20とLE25では素相が似てるので作業もはかどります。4301元々のネットワークのままだと、LE20が持ってる本来のポテンシャルが消えてしまうので、私が得意とする「
切り替え式ネットワーク 」を採用することにしました。これであますことなくポテンシャルを発揮できます。
●スピーカーの部品で欠かせないのが右のターミナルと左のネットワーク(どちらも4301の純正品)。これをチューンすることで、ユニットの能力アップが期待できます。位相やクロスの合わないネットワークを適当に作ってしまうと、ユニットの能力をころしてしまうので注意が必要です。
古いJBLでは写真のような紙筒コンデンサーが使われてますが、これはとても優秀な物で、過去に500個以上は扱ってきましたが、容量が抜けるなど劣化したものは皆無でした。ですがアッテネーターとターミナルはご覧のよう通電性も悪いものが多いので交換、もしくは徹底したオーバーホールが必要になります。
●今回最高のカスタムにふさわしくなるよう、部品も一級品に交換します。 コンデンサーの値段はピンきりで、中には1個1万円もするような高額品もあるほどです。高額品は使われている部品に差があり、得に外装ではノイズを遮断する為に銅やアルミが巻かれた、いわゆる箔巻きで、配線も太目の金メッキなどが使われています。私は通常1個千円程度のコンデンサーを使ってますが、写真のようそれら機能を追加することで、高額品に劣らない機能に変わります。純正の硬いケーブルも悪くありませんが、写真のケーブルは多大な時間をかけていきついた「 臨場感の拡大 」に焦点を絞った自作品です。数十万円のケーブルとも比較しました。
●ターミナルはこちら。ごっついですねー。
私がいつも使ってる標準タイプは下の透明カバーのもので、それに比べるとなんと重量感のあることか。ネジの軸部分も下の透明カバータイプが4.5mmに対し、上は9.5mmと倍以上の太さ。高級ターミナルにありがちな太さですね。機能うんぬんの前に、この見多目にやられてしまいそうです。
●機能も凝っており、本体中央部分と先の部分の2ヶ所がネジ式になっていて、本体を回すと通常のケーブルをさす場所で、先端部分はバナナプラグを挿して回すと抜けなくなるロックがかかります。
私はよく特別なスピーカーには純銅ターミナルを使ってきましたが、機能を追及したこんなターミナルも良いですね。
●そして取り付け場所ですが、JBLの場合4301はもちろん4311や他の多くの機種では、背面にあるターミナルカバーが貧弱です。これは↑の写真にある、ネジ式のターミナルを取り付ける為に、薄い板が使われたのかもしれません。中でも4301の場合、薄板の接着も適当であまく、爪も2ヶ所だったり使われてなかったりで外れてるものも多いです。それが箱鳴りとして悪さをし音の劣化を招きます。いつもこの薄板は補強しますが、今回はごついターミナルを使うので、板もごついものに変更しました。これで箱鳴りはもちろん、強度も問題ありません。
●そしてネットワークが完成しました。セッティングに時間がかかるのはもちろん、コイルの場所から(コイルは隣同士だと音が干渉します)、接続部分、金属部分の劣化を防ぐために露出させないなど、細かい所までこだわって製作しています。私が入念におこなうのは、音質の為もありますが、それ以上に品質維持の目的が大きいです。
手間と時間はかかりますが、全ては最高の一品にする為、オーナー様の理想に近づくよう努力を惜しみません。
●そしてもう一つのこだわりがこちら
私の得意な「
切り替え式 」ネットワークです。
音質を変えるにはアンプのトーン機能がありますが、この切り替え式はそれとは違い、クロスオーバーや位相を瞬時に切り替えるものです。だからアンプのトーン機能やイコライザーでは出せない音が出せる、特別な装置でもあります。劣化が懸念されるスイッチも、2回路(接続ヶ所が2ヶ所ある)や3回路の物を、あえて1回路とし接点を増やして使うこだわりです。

 続く。 NEXT↓

 

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